岡田憲治のレビュー一覧
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積読チャンネルでの紹介動画を見て読んでみた。紹介プレゼンが面白くて3割増しくらいになっていたかな。学問と実践の間には大きな隔たりがあって、学問(又は論理や正論)まみれになっていた人が自分の武器では現実を戦っていけないと自覚し、実践を通した気づきを得て現実に立ち向かっていくノンフィクションの物語であり、似たような分類の人間にとっては現実世界の対処ハウツー本として面白かった。いまだに正論を振りかざし、振り回すことをやめられない我が身がもしこの立場に追いやられたらと想像しながら読み進めたが、本当に背筋が凍りそうだったし、なんか似たようなことが学生時代にあったなと苦い思い出が甦ってきて、読みながらズーンと落ち込んだりもした。
この本を読めば理屈ではどうにもならない、正論が意味をなさない世の中のあらゆる現場で、どう状況を打開すればよいか、色んなヒントが見つかりそうだし、「あの政治学者の先生でも現実への対応はメッチャ苦労したし上手くいかなかったことも諦めたこともあったんだから」と自分を慰めるセリフができたのも妙に気持ちが軽くなって収穫だった。 -
Posted by ブクログ
政治学者であり教授でもある著者があらゆる事柄について世間で蔓延しているフェイクについて自身の知見などを交えて書いた一冊。
自身が専門とする政治はもちろんのこと、選挙や人間関係やPTA活動やスポーツに至るまで様々なことについて真実を見極めるべき情報を本書で知ることが出来ました。
不登校についての考え方や男性と女性の提出物の違い、政治学者の著者が言う民主主義の目的や教授として今の教育に必要なものなど専門家としての著者ならではの目線や指摘は参考になりました。
また、諸外国と比べて公職選挙法を軸とした日本の選挙制度の問題点や問題と課題のことばの違い、民主主義の目的や責任を取ることの本当の意味なども示唆に富むもので興味深いものだと感じました。
また政治学者としての知見として政治家を評価する基準や憲法や法律が政治家優位に解釈されているとも感じるとともに選挙に行くことによって自分の意思を政治に反映させることやヒトラーの独裁政権が生まれた事実などを知ることが出来ました。
本書を読んで情報を鵜呑みにするのではなく情報を入手して自身で考えることがフェイクに騙されないために重要なことだと感じた一冊でした。 -
Posted by ブクログ
政治学者であり大学で教授をしている著者が、それまで未知の世界であったPTAの世界に突然入り、会長を務めた3年間の話。
「PTAの話は政治で言えば自治の話だ」と政治学者が捉えていても、これまでの常識が通用しない世界で失敗と反省を繰り返す過程が書かれていて、他の組織の運営でもポイントになってくる気づきが多かった。
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・先人たちが積み上げてきたものを、効率だけを求めて切り捨ててしまうことは危険だ(その行動の裏に隠れたニーズがあることがある)し、先人たちへの敬意を忘れないようにしないと支持が得られにくい
例えば、ベルマークを切って貼って、という労働時間に見合わない報酬しか入らない作業は、専業主婦にとって夫の愚痴を言い合う重要な時間。古紙回収は「下の子が小さくて普段PTA活動に参加できなくてごめんなさい」という気持ちがのっているので、これがなくなったらその気持ちをどうしたらいいの、という人がいる、など。
・自分のリーダーシップやその他能力頼みの強行突破は、未来の「あの代は〇〇さんがいたからできたことだよね」に繋がるため危険
・リーダーがグイグイタイプの場合、2番手や周りに冷静な判断ができる人材がいると、スムーズに回せる
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本書のことは積読チャンネルで取り上げられていて知り、自分も地域の育児サークルという、任意団体という点ではPTAに近しい組織の運営に3年間関わって悩みも尽きなかったので、何が正しかったのだろう?と答え合わせをしたくなったのと、いずれ子どもが小学生になったらPTAも身近な話になるので、勉強する気持ちで向き合った。(面白そうすぎて積読チャンネルは我慢し先に現物を手に取った)
結果、答えはないが、任意団体って難しいな…という、読む前と変わらない、いや、寧ろ読む前よりもそう思うようになったかもしれない。
本書序盤に出てくる「組織維持の自己目的化」の話や、隣の学校のPTA会長に言われた「岡田さんは、PTAを壊そうとなさっているんですか?」からの1ページ分の著者の心情の羅列(皆が大変な思いでやっていることがあるのであれば、任意団体なのだから、できるだけスリム化するために、(オペレーターではなく)リーダーシップを発揮して、そうしたら効率化できて、それがいいに決まっているじゃない、といったような内容)が、まるまる自分が考えていたことと同じで、そしてうまく歯車が噛み合わなかったところも同じで、恥ずかしくて苦しくなった。
だんだんメンバーも自分で動けるようになりいい感じにPTAが回るようになってきたときに、スリム化について、「無駄な贅肉はカットして、必要な筋肉をつけるということ」と言語化してみたところがとても納得感があった。
もう一つスリム化で難しいこととして挙げられていたのが、「PTAは企業ではないので、利益を出すとか結果を出すということではない」と謳っているのに、「無駄だ」を強調すると、「結局効率が悪いというコストパフォーマンスの話になりますよね?」となり自己矛盾に陥るということ。確かに。
会長2年目以降、自ら立候補した人たちとPTAを構成するようになり、「嫌々ながらやっている人たちと『別にやらなきゃ死ぬってわけでも全然ないこと』を一緒にやる羽目になる苦しみ」から解放されたという話も頷き続けた。
自分も何かを決める時に何がなんでも抽選やジャンケンではなく立候補で募集したいと思っているけれど、みんながそれに協力してくれるとは限らないよね。
これから自分もPTAや町内の役割を担うタイミングもあると思うが、何でもかんでも効率化、電子化、と張り切る前に、昔からいる人とのコミュニケーション、情報交換を疎かにしてはいけないといつことを覚えておきたい。
学生時代は先輩は引退していなくなるし、ビジネスは利益第一なので全然違う。色々やってきたつもりでいたが、大人の世界でのやりくりはまだまだ奥深くて、これはもしや苦手分野なのかもしれないないと、薄々感じていたことに判を押された気がする。
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Posted by ブクログ
生活の中で他者との不和が生じた時、あなたは、どのように対応するでしょうか?
「自分が我慢すればいいのなら。。。」と、思っていませんか?
本書の著者 岡田憲治(おかだ けんじ)さん(政治学者 専修大学法学部教授(現代デモクラシー論))は、「言えないことはまったく問題ではない」と言います。でも、「したいこと、したくないこと、できること、できないこと」を切り分けることからスタートして、「ちゃんと発言・主張できる人に」なって欲しいとも語ります。
本書では、理論編と実践編により、「言いたくても言えない」という状況がどのように生じ、どう工夫して、思いを伝えたら良いかの技法を検討し、実践的場面で活用していく例が説明されています。
あなたの抱えている問題は、環境や、あなたの性別・年齢・立場により、簡単には解決できないかもしれません。軽々しく声を上げることはできないかもしれません。わたし(みのり)だって同じです。
でも、自分の問題を客観的に捉え直し、政治学という側面からの見方を知ることにより、(問題そのものよりも)あなた自身の中で何かが変われば良いなぁ、と思って本書をご紹介する次第です。
毎日、お忙しいとは思いますが、お互い無理のない程度に頑張っていきましょうか。大切な人を守るためにも。
-----目次より-----
はじめに
【理論編】
第1章 「声を上げよう!」と言われても
◆言いたいことはそうそう言えない
◆「ちゃんと言いなよ」がもたらすもの
◆「沈黙してはならない」と伝えた理由
◆正論で世界を変えることが難しくなった
◆名づけられようもない生活者
◆言えない理由を切り分けてみる
◆自分の気持ちをつかめないから
◆波風が立つのが嫌だから
◆角が立つと面倒くさいから
◆圧力や制裁が怖いから
◆孤立するかもしれないから
第2章 「言う」ための技法
◆「言う」と「黙る」の間にあるもの
◆着地点はどこか?
◆言い方はたくさんある――工夫しながら言ってみる
・勇気を出す
・言い方を工夫する――毅然と言う/丁寧に言う/お願いするように言う/静かに言う
・目的に重心をかける――ぶつける/示唆する/頼りにする/探り尋ねる
・沈黙してみる
第3章 「やる」ための技法
◆「言う」だけでなく「ふるまい」もある
◆主張できることが貴重だった過去
◆「私たちの物語」が成立していた時代
◆個人へとミクロ化する「言う」という行為
◆ふるまいの技法もたくさんある
・勝つ――対処可能な範囲に収める/仲間にしてしまう
・勝たないが負けない――負け越しを受け入れる/捕まえておく/引き延ばす
・助けを求める――仲間をつくる/事態を公開する
・言ったりやったりしている人を孤立させない――頑張る人たちの話を聞いてあげる/プロセスを記録してあげる/頑張る人たちを励ましてあげる
・逃げる・諦める
【実践編】
第1章 ネトウヨになった父に暴言はやめてと言いたい
第2章 「男なら泣くな」と子どもを叱る夫に言いたい
第3章 マンション管理組合の長老に「話を聞いて」と言いたい
第4章 PTA活動で「ムダな仕事は省こう」と言いたい
第5章 会社に給料を上げてほしいと言いたい
第6章 子どもに「ダメなやつ」と言った担任の先生と学校に言いたい
第7章 近隣外国人に生活マナーを守ってほしいと言いたい
第8章 地域イベントをやってみようと言いたい
第9章 多様な選択肢をつくってと政治に言いたい
第10章 戦争をやめてと世界に言いたい
おわりに
謝辞 -
Posted by ブクログ
今の個や多様性が尊重される時代の裏側では、
暗黙の了解、空気を読まないといけない、周りに配慮しないと悪者になる…。
だから意見なんて言えない状況だし、
本当は嫌だけど、
間違えることのほうが不安だから
周りに合わせたり、今までの繰り返しをしていれば無難。安心。
衝突を避けるためにあえて関わらないから
人と人との距離は昔よりだいぶ遠い。
ネットもあるから物理的にも遠い。
加えて時代の流れはものすごく早くなっているから、
いろんな年代の人が集うPTAは
お互いの価値観は理解できなくて当たり前。
さらにPTA活動に正解はないし、実態はモヤモヤとして不透明だから
懐疑的にもなるし、めんどくさいし
PTAの嫌なイメージは膨らむばかり。
これを読んで、
リーダーができる人は
本当に限られた人だなと感じた。
今の時代、オペレーターになれる人はたくさんいる。でも、リーダーになれる人は少ない。
そしてそれはPTAに限ったことではなくて、
社会全体でも言えることだった。
著者は、PTA会長として、活動を自分の決断で自分のやり方でしっかりまとめた。
私だったら違うやり方をするなと思ったけれど、
これはこれで正しかった。
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Posted by ブクログ
政治家たちの不祥事が取り沙汰される昨今、教室を生きのびる政治学とは面白いタイトルだな、と思って手にした一冊。
扱う内容はいいけれど、クセの強い口語文体で、読むのに苦労した。中高生だとこうした文体の方が読みやすいのかな……。
政治学というのは身近に存在している。そのことを学校生活の一部を切り取って説明してくれるので、なるほどなと思う点は多かった。
ただ、教室を生きのびるために政治学が役に立つとうたっている点に関しては、うまく理解できなかった。政治学の知恵というより、筆者の知恵は役に立つので、読んで損はしないけれど。
まとめると、筆者からの中高生への熱いメッセージがつづられた本、という感じだ。
友だち・話し合い・リーダーシップ・不平等・自己責任・民主主義……読めば、社会の仕組みへの理解やものの見方が豊かになるし、モヤモヤもスッキリするはずだ。
中高生に読んでほしいけれど、なかなか読みづらい(そして政治学の繋がりがわかりにくい)ので星3つ。 -
Posted by ブクログ
『政治学者、PTA会長になる』が面白かった(著者 オカケンの吠える声が今でも耳に残っている…)ので、同じ学校現場関連で本書をチョイス。
PTAでは親御さん世代が対象であったのに対し、今回は(一応)中高生向けに執筆されている。「自分の身の安全を確保し、学校生活をサバイブしてほしい」というのが本書におけるメッセージだ。
学校はいわば社会の縮図。政治学をその小さな社会に当てはめることで、身の回り半径5メートル以内の「安全保障」につながる、というわけだ。
中高生対象なだけあって、今回のオカケンは超ノリノリ!
ほぼ話し言葉だし、まるで階段教室に全国の中高生を集めた臨場感たっぷりの講義を行なっているみたい。(その分脱線したりとまとまりがないように感じることもあったけど)
本文の主役とも言える若人の声・本音はあくまでオカケンが作り出したものだが、言い分はよく分かるしこれでもかとこだましてくる。
何よりもここで大切にされていることは「分節化」だ。
ビッグワード(「社会」など抽象度が高く汎用的な言葉)について、「そもそも〇〇(ビッグワード)」とは何かを分析し、必要とあらば何種類かに切り分けている。
・「友達」→「自分以外の区分け(クラスメート・違う組の知らない人….)」
・「意見を言わない人」→「彼らが意見を言わない理由」
等を列挙・解析することで、大きな壁みたく立ちはだかるビッグワードを見極められるよう促している。ビッグワードを振りかざされるたびに立ちすくむこともなくなったりして。
表向きは中高生向けだけど、中高生だった自分にも今の生活において共感できる点が多かった。「友達100人なんてもってのほか、友達よりも”仲間”を作る方が必要!」の話は心がほぐれる…。
何かを取り決める時(本書では学祭の出し物を決めるクラス会議が引き合いに出されていた)、「みんなの心を一つに!一致団結!」の精神論がもてはやされがちだけど、「仲良くもない人たちに合わせたくない」というのが大体の本音である。
でも人間関係が合わないのは自然なことだし(オカケン…ではなく哲学者フッサール曰く、「なぜかそうなっちゃう組み合わせにすぎない」)、協力する動機なんか正直何だって良い。意見が対立したら損得勘定で対応したって良い。
心の安全さえ確保できれば、それくらいドライでも良いのか。過去の自分に教えてあげたい。
「僕たちは弱くて小さくて助けが必要だ」
「学校なんか命をかけて行くところじゃない」
何のために学校へ行くのかを問われると、悔しいかな親や教師が吐いたような文言しか出てこない。そこで展開される教育の目的も然りだ。
オカケン曰く(二度目の正直!)、その真の目的は「勇気と覚悟をもって自分で考えて決断できる頻度の高い人間を社会に送り出すこと」だという。「生きのびる=正しいと判断したことを実行できる」フィールドが教室でなくても良いのだ。