岡田憲治のレビュー一覧
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日常は淡々と営まれている。ルーティンで行動する中で微かに変化する空間の肌触りを感じる。だからなのか、人は常に供給される情報の中から劇的や刺激的なものを好んでしまいがち、そこには多分に野次馬根性も見え隠れして愚痴や悪口を叩いてしまう。これが対面する井戸端会議の範疇なら許容できるが、匿名のSNS界隈に及んでしまうとそこにフェイクや捏造が混入してしまいがち、そこから陰謀論などタチの悪さが芽生えてしまう。そこを見抜く術を筆者・岡田憲治は低姿勢な言葉で紡ぎ上げていく。真面目で茶化す。その対象は権力者や常識と称される偏見や差別であり、本当のデモクラシー精神を私たちの心にそっと添えてくれる。このざわざわする
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面白い。タイトル通り、大学で政治学を教えている著者がPTA会長に抜擢される話。
アカデミアの世界ともビジネスの世界とも違う不思議な空間。これまでの常識がまるで通用せず、著者は悪戦苦闘をしつつも学びながら上手くやっていく。
PTAという特殊な環境の話だけれども、組織論、リーダーシップ論、コミュニケーション論などなどのあらゆる点で一般化できる知見がいくつもあった。
例えば、
・正論を振りかざすだけでは人は説得されない。
・何を言うかより誰が言うかが大事。現場を知らないぽっと出の大学教授がいきなり上からものを言っても響かない。
・無駄な業務をスリム化したい気持ちよりも、前例を変える不安の方が大きい -
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ネタバレ小学校教員の身からすると、本当に申し訳ない限り。
はじめの方にある教員の書かれ方(総会中の虚無っぷりとか)が、リアルすぎて…でも読み進めていくと教員の、本当に手が回らない(回せない)実情が浮き彫りになっていって…
…電話回線2つが当たり前だと思ってた。世間でうんざりするほど言われる教員の社会経験の無さは、あぁ本当にそうなんだな、と
私含め先生方、本当に余裕がないし、時間がない。そんな中でも、時間が取れる年度始めに、この本を読めてよかったと思う。勤務校でもするべきところはスリム化を進めていきたいし、少なくとも親御さんに寄り添っていきたい。
もう職員室に置きたいというか、校長先生に読んでほしい -
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ネタバレ政治とは「権力を通じて、誰かの利益になるように他者の行動をコントロールすること」で、「選んで決める」という性質を持っている。
議論や話し合いの目的は、「共有している部分と、別れてしまった部分の確認・記録すること」であるので、変わりうる自分を認められなかったり、論破してしまったりしては、目的から外れてしまっている。
自分の意見を言えない理由は、①自分の経験の範囲を超えている②言い方がわからない③言えないのではなく、「言わない」などがある。それでも、言えない人にもフォロワーとして「ひたすら聞く」「記録する」「言えた人を励ます」などできることはある。
日本では「リーダー」と「上司/キャプテン」の区別 -
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学生は教室という空間こそ世界であると思いがちで、ここでうまく平穏を勝ち取ろうと処世術を学んでいき日常をやり過ごす。そこから脱落or排斥された者を自己責任だとレッテルを貼って周りが看過してしまう事態はとても悲しい。もちろんその教室は世界の全てではないし、自己責任という優しさの放棄も許しがたい。不平等は無くならないけど、やり直しはいくらでもできる。私たちは完璧ではなく、幾度も人に迷惑をかけてしまうのだから、人に迷惑をかけられても許せるようになればいい。そこに民主制は芽生えてくる。可視化できない心の機微に政治の良さがある。世間での政治に言葉は大切だが、フリップや連呼するワードは発信側の責任の軽さにも
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稀有で、エモい。エッセイの豊穣さを感じた。
ここに書かれていることはPTAに限らず(会社さえも)似たような事は起きていて、色々と応用が利きそうな気がする。日本社会に存在する様々な組織への処方として、汎用性は相当高いんじゃないかと思った。
あと仕事できない底辺社員・オペレーターとしては、"既得権益層"であった専業主婦層のことが気にかかったりもした。改革は現場を置き去りにしがちなので。(専業主婦の人達は俺と違って凄いオペレーションをしてるだろうし"底辺"なんかではないけど)
コロナ禍で全てがひっくり返る最終章も凄まじい。その渦中での素晴らしい取り組みに -
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ひとつの事実に対して人それぞれの真実が宿る。マスメディアによって踊らされる情報は受け手側の真実へと洗脳する。それほどメディアの力は強く、私たちが峻別するリテラシーの熟練度は学校教育にまで遡る。"真実はいつもひとつ" と豪語するコナン少年はホラ吹きの第一人者であり、初めの関門としてここから現実を見定める鍛練を必要とする。テストに出る言葉だけを鵜呑みにするのではなく、言葉を出来うる限り漫遊することが大切であり、見誤っても良いから発声すると知らなかった世界を体感できる。自らの言葉を己の耳で聞くとわかる瞬間に出会う。そこで知ることがその人の真実なのだ。あらかじめ梱包された真実(もど
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タイトルからは、政治学者がその知見からPTAを改革する!という話かと思ったら、思ったよりそうではなく、自治というものに対しての正論vs人間、という構図の話であった。常に作者が反省、反省を繰り返しながら、少しずつPTAは変わっていく…が、新たな課題の出現による再反省や、なくすべきと思っていたものの意外な存続意義、そしてコロナウイルス…という、各ステージごとに課題、悩みが巻き起こってとてもおもしろかった。
特に、従来PTAをやっていた方への敬意、という点は、組織があくまでも人間の善意で運営されている、ということを痛切に感じさせるし、正論だけでは渡れない世の中の構図が見える。
自分としてとても共 -
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これは身につまされる1冊だったなぁ。
選挙の際にどんな理由であれ投票しないという行動が結果的に与党にとってプラスに働く、そっかぁ。
ある種の高潔さ(ナイーブさ)に魅力を感じてはいるがそこに縛られることで物事が前に進まずに、数の理論で押しきられることが果たして望んでいる未来に繋がるのか、それならば最終的に目指すところは同じでなくてもまずはそれを達成できる土台(仲間)作りをして、力を持った状態でいる事。
いきなり正解だけを連発することはできないだろう。育つのを待つ必要だってあるはず。それでもたぶん組織や権力は硬直し腐敗への道に寄っていきやすいもの。そうなった時に自浄できなければ、またその時点で