三津田信三のレビュー一覧
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ネタバレ死相学探偵6作目。
「黒術師」のシンパを集めたバスツアーがあると聞き、弦矢俊一郎自身もそのバスツアーに参加する。
しかしバスが事故に会い、その拍子に「八獄の界」という呪術の影響でバスツアー参加者は異世界に閉じ込められてしまう。ある種のクローズドサークルの中で、次々と参加者が死んでいく。と、今までと比べるとかなりホラー色が強い。
しかも、異世界に発生した霧には化け物が済んでおり、その霧は徐々に範囲を狭めていくというのだから、パニックホラーの様相さえ呈している。
複数の要素が混じり合った小説でとても面白いが、互いに名前も知らないところから始まり、恐怖の体験によって奇妙な団結感が出てきたと -
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ネタバレ死相から事件の全貌を推理していく死相学探偵の一作目。
探偵としての最初の事件だからか、主人公の無愛想さ、不調法さが物凄い。
事件としては家族全員に同じ死相が見えている一家が次々と死んでいく連続殺人(?)事件である。
しかし死因は呪いによる心不全であり、ハウダニットは存在しない。
普通のミステリーなら呪いなどはなくトリックを用いた人為的な殺人であることを探偵が突き止める、ホラーからミステリーへと転換するパターンが多いが、この作品の探偵はホラーをミステリーに変換せず、ホラーはホラーとして受け止める。呪いは呪いであるとそのまま受け入れ、ではなぜ呪いがかけられているのか、一家の呪いは共通のものなのか、 -
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ネタバレ主人公が作者である三津田信三の設定で 最初の序章と最後の終章に登場し、その2部が現実世界で、間に2編 聞いた話を文章にした1部と、手に入れた手記が2部になっているこの2編がのぞきめという怪異を物語る。
序章では手記を手に入れる過程の話が中心で、終章ではのぞきめの論理的な謎解きという構成になっている。
聞いた話を文章にした方の解釈は、ほぼ怪奇現象として処理されているのだが、手記で語られた手記中の主人公が経験した怪奇現象を論理的に解釈したり、手記のその後を三津田信三が想像ではあるが語っている。
ホラーとミステリーが融合した 読み出すと一気読みしてしまう面白さがあった。
評価を4にしても良い -
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このシリーズ、個人的に最新作を読んでから遡って一作目、二作目と読み始めたんだけど、一作目は詰め込みすぎ、二作目は前作を省みて逆に削ぎ落とし過ぎのように感じた。
ただシリーズモノってこうやって試行錯誤を繰り返して洗練されていくのだと思えば、全く興を削がれる事は無く、この後大御所キング先生のホラーを挟んでシリーズ中でも評価の高い『首無し…』を読もうと既に準備している。
一作目に比べてあっさり感は否めないもののそれでも巫女消失のトリックについては破壊力充分だった!
結びにもう一点、あとがきを読んで読む本を決められる方、この本についてはやめられた方が良い。
掟破りの『あとがきネタばらし』で肝心 -
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現実と虚構が入り混じる三津田さん短編ホラー。
テープの自殺者たちが最後に見たものは?麻衣子が袴谷夫人に感じた歪さの正体は?目的や意味がわからないまま進んでいくのだけど、そこを考え出すとキリがなくて引き摺っている自分にハッと気づいてまた怖さが増す。サラッと読んでサラッと忘れるに限るな。忘れた頃にまた読むんだろうけどw
わけのわからん石を押しつけられる「集まった四人」と正体不明の何かが近づいてくる「すれちがうもの」がイヤ~な怖さ。
水遊びや水を注ぎたがったり、子どもが水に魅入られるのも何かしらの魔力だろうか。
それはまぁ考えすぎだろうけど。
「屍と寝るな」で久々に洋画『スケルトン・キー』を思い出 -
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『蛇棺葬』→『百蛇堂』と順番に読んで、まとめて2冊分の感想。
蛇棺葬は百蛇堂へ至るための物語(作中作)の扱いですので、純粋に怪異に翻弄される主人公を愛でながらホラー作品として楽しむ感じ。
百蛇堂は、ミステリ的な解釈が入る解決篇に当たるわけですが、(目次をみれば気づくと思いますが)探偵役の「飛鳥信一郎の推理」が入るのが作品の真ん中辺り…というわけで、その後も三津田作品お得意の二転三転、解釈のつかない事も多々盛り込みつつ、物語は開いたまま終わる…という感じ。ホラー寄りの締め方で、こういうのも良いですね。
「蛇足」としてエピソードを纏めるところも、この「蛇」にまつわる物語の締めとしてはとても良い言葉