三津田信三のレビュー一覧

  • 八獄の界 死相学探偵6

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     死相学探偵6作目。
     「黒術師」のシンパを集めたバスツアーがあると聞き、弦矢俊一郎自身もそのバスツアーに参加する。
     しかしバスが事故に会い、その拍子に「八獄の界」という呪術の影響でバスツアー参加者は異世界に閉じ込められてしまう。ある種のクローズドサークルの中で、次々と参加者が死んでいく。と、今までと比べるとかなりホラー色が強い。
     しかも、異世界に発生した霧には化け物が済んでおり、その霧は徐々に範囲を狭めていくというのだから、パニックホラーの様相さえ呈している。
     複数の要素が混じり合った小説でとても面白いが、互いに名前も知らないところから始まり、恐怖の体験によって奇妙な団結感が出てきたと

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    2019年12月22日
  • 五骨の刃 死相学探偵4

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     死相学探偵4巻目。
     恐怖をテーマにした芸術展での凄惨な殺人事件と、その参加者へのじわじわと追い詰めるような呪いの二重仕掛けで展開も早く、楽しい。
     前者は物理攻撃だが、後者は完全に呪殺であるためハウダニットはあまり考えなくて良さそう。
     後者の呪いによる「死相」が見えている人が多く、死相が見えている人たちのミッシング・リンクを探すホワイダニットがメインの謎になっている。
     主人公俊一郎もだいぶ成長し、接客がスムーズになってきているし、曲矢警部の妹も登場し、主人公を取り巻く人間関係も増えて物語が進んで来ているのを感じる。

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    2019年12月18日
  • 十三の呪 死相学探偵1

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    死相から事件の全貌を推理していく死相学探偵の一作目。
    探偵としての最初の事件だからか、主人公の無愛想さ、不調法さが物凄い。
    事件としては家族全員に同じ死相が見えている一家が次々と死んでいく連続殺人(?)事件である。
    しかし死因は呪いによる心不全であり、ハウダニットは存在しない。
    普通のミステリーなら呪いなどはなくトリックを用いた人為的な殺人であることを探偵が突き止める、ホラーからミステリーへと転換するパターンが多いが、この作品の探偵はホラーをミステリーに変換せず、ホラーはホラーとして受け止める。呪いは呪いであるとそのまま受け入れ、ではなぜ呪いがかけられているのか、一家の呪いは共通のものなのか、

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    2019年12月08日
  • 四隅の魔 死相学探偵2

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     大学生がとある儀式を行ったのをきっかけに、儀式の参加者が次々と亡くなっていく。原因は亡霊か、それとも人か……。
     ホラーとミステリーを融合させた作品が特徴の三津田作品ですが、死相学探偵の特徴は、探偵役には生きている人間の「死の原因」がビジュアルとなって見えること。

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    2019年12月05日
  • 十二の贄 死相学探偵5

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    相変わらず僕にゃんがいい味出してます(笑)
    冒頭の導入部に較べて、解決部分にページを割いていないのが、残念な気がしました…
    次回作に期待します!

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    2019年12月05日
  • 幽女の如き怨むもの

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    今回は『首なし…』同様、いささかイレギュラーな構成で刀城さんの出番は少なめ。 毎回のおどろおどろしい事件をこの主人公のキャラクターが些かなりとも緩和してくれており、良い意味で物語にメリハリを生んでいると思う。

    と、ここではその刀城さんのボリューム少なめで、ひたすら苦界での花魁達の暮らしぶりが生々しく綴られており、後半は食傷気味。 

    一応
    既刊のシリーズはひと通り読み終えて、やっぱり三津田信三さん面白い!

    近くまた刀城先生と偲さんにお目にかかれる事をせつに願う!

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    2019年11月21日
  • のぞきめ

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    ホラーとミステリーの融合作。ただ恐ろしいだけではなく、推理を楽しむことができた。20頁ほどの終章がこれほどまでに濃厚な作品も珍しいのではないか。
    閉鎖的な村、異人殺し、憑物筋…民俗学の知識が随所にちりばめられており、リアリティのあるホラーとなっている。登場人物の名前がやたらと凝っており読みにくいのが玉に瑕。

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    2020年07月06日
  • 赫眼(あかまなこ)

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    ホラーとミステリーの融合が特徴的な三津田信三氏の短編集。
    ミステリー要素が含まれるものもあるが、殆どが謎が解けても恐怖は続く、ホラー短編集である。
    主人公はほとんどが三津田信三氏であり、他作品の名前が出てきたり、死相探偵の短編が入っていたりと、ほかの作品を読んでいるとさらに楽しめる。
    三津田作品は追われる描写が素晴らしいと思っているので、表題作「赫眼」の追われる描写が怖かった。

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    2019年10月02日
  • 十二の贄 死相学探偵5

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    シリーズ物とは知らずに途中から読んでしまった。
    「死相」が見える探偵が、呪術で人を殺す能力を得た犯人を推理するストーリーのようだ。
    普通の刺殺や絞殺ではないため、ハウダニットは難しいだろうが、今回は叙述トリック気味のフーダニットだった。
     前半の中学生が怪異に追われる描写はとても怖かったが、その正体についての解明はなし。
     ミステリー要素はしっかり楽しめた。

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    2019年08月26日
  • のぞきめ

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    主人公が作者である三津田信三の設定で 最初の序章と最後の終章に登場し、その2部が現実世界で、間に2編 聞いた話を文章にした1部と、手に入れた手記が2部になっているこの2編がのぞきめという怪異を物語る。


    序章では手記を手に入れる過程の話が中心で、終章ではのぞきめの論理的な謎解きという構成になっている。

    聞いた話を文章にした方の解釈は、ほぼ怪奇現象として処理されているのだが、手記で語られた手記中の主人公が経験した怪奇現象を論理的に解釈したり、手記のその後を三津田信三が想像ではあるが語っている。

    ホラーとミステリーが融合した 読み出すと一気読みしてしまう面白さがあった。
    評価を4にしても良い

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    2019年08月01日
  • 忌館 ホラー作家の棲む家

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    作者のデビュー作ということで、乱歩趣味や、書誌関係の知識がふんだんに盛り込まれている。個人的にはやや気負いすぎな感じがして、その分、評価が下がった感じ。単体で観れば、決して悪い作品ではないのだけども、作者のその後の作品と比べると、怖さの切れが物足りない。ミステリとホラーとの融合という点では、オチまで含めて、及第点だとは思う。

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    2019年06月24日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    ネタバレ

    事件が始まる前までの、四つの怪談の描写に力を入れている感じで、事件は何も解決しておらず消化不良。
    御堂島警部が理解のありそうな人物なのに、もう少し事件の解決についての詳細を出して欲しかった。
    祭や村の様々なことばかりがメインで、ミステリー色が薄く、密室のトリックの証明がなかった。
    また、勝手についてきて勝手に文句を言って、他人の恋愛事情に首を突っ込む祖父江がウザかった。
    新作なので少し楽しみだったが、結の部分が甘すぎてガッカリした。
    ミステリーよりもホラー的要素がとにかく多いので、そっちの方が描写が強かった。

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    2019年06月20日
  • 凶鳥の如き忌むもの

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    このシリーズ、個人的に最新作を読んでから遡って一作目、二作目と読み始めたんだけど、一作目は詰め込みすぎ、二作目は前作を省みて逆に削ぎ落とし過ぎのように感じた。
    ただシリーズモノってこうやって試行錯誤を繰り返して洗練されていくのだと思えば、全く興を削がれる事は無く、この後大御所キング先生のホラーを挟んでシリーズ中でも評価の高い『首無し…』を読もうと既に準備している。

    一作目に比べてあっさり感は否めないもののそれでも巫女消失のトリックについては破壊力充分だった!

    結びにもう一点、あとがきを読んで読む本を決められる方、この本についてはやめられた方が良い。
    掟破りの『あとがきネタばらし』で肝心

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    2019年06月05日
  • ついてくるもの

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    ・隔靴掻痒(かっかそうよう)靴の上からかゆいところをかく、の意から、思いどおりにいかなくて、もどかしいこと。
    ・逡巡(しゅんじゅん)決断をためらうこと。ぐずぐずすること。
    ・リビドー(ラテン語)フロイトの用語。性的衝動の基になるエネルギー。また、ユングでは、あらゆる行動の根底にある心的エネルギーを広くいう語。
    ・ジュブナイル ティーンエイジャーを対象とする修飾詞。口語表現ではヤングアダルト作品 (Young-adult fiction) やjuvenile novelあるいはjuvenile fictionに置き換わる。

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    2019年03月05日
  • 怪談のテープ起こし

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    現実と虚構が入り混じる三津田さん短編ホラー。
    テープの自殺者たちが最後に見たものは?麻衣子が袴谷夫人に感じた歪さの正体は?目的や意味がわからないまま進んでいくのだけど、そこを考え出すとキリがなくて引き摺っている自分にハッと気づいてまた怖さが増す。サラッと読んでサラッと忘れるに限るな。忘れた頃にまた読むんだろうけどw
    わけのわからん石を押しつけられる「集まった四人」と正体不明の何かが近づいてくる「すれちがうもの」がイヤ~な怖さ。
    水遊びや水を注ぎたがったり、子どもが水に魅入られるのも何かしらの魔力だろうか。

    それはまぁ考えすぎだろうけど。
    「屍と寝るな」で久々に洋画『スケルトン・キー』を思い出

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    2019年02月17日
  • 誰かの家

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    作中著者が挙げているように、「オチの無い訳が分からない話」達からなる6編の短編集

    理屈がつきそうでつかない、あれこれと考えてみても訳が分からない、起こり得ないことや不可解な整合等が背後からじわじわくる不気味な感じ

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    2018年12月11日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    民俗学系のホラーが相変わらず素敵。
    推理部分はそこまでインパクトなかった。
    序盤地名とか名前の漢字読めなくて前ページとだいぶパラパラした。

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    2018年12月10日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    刀城言耶シリーズ長編。なんだか久しぶりのような気が。しかし安定の怪異っぷりでした。最初の怪談部分はいささか読んでいて長い気もしましたが、怪異に追われる姿を書かせれば右に出るものなし、といつも思うこの恐怖感。その後の展開はあっという間でとんとん拍子に読み進められます。でも今回は久々だったせいか、祖父江さんのわがままっぷりに若干イラつきました。

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    2018年10月05日
  • 碆霊の如き祀るもの

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    ネタバレ

    刀城言耶シリーズ最新刊。
    久しぶりのシリーズで楽しく読めたが、以前に比べて気味悪さが少し薄い気が。
    相変わらずの色々な考察は面白かったが、真相のトリックは無理はないのだろうか。
    蓬莱さんの存在も結局はっきりしないし。
    ただ面白かったのは確か。
    次作に期待。

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    2018年09月10日
  • 百蛇堂〈怪談作家の語る話〉

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    『蛇棺葬』→『百蛇堂』と順番に読んで、まとめて2冊分の感想。
    蛇棺葬は百蛇堂へ至るための物語(作中作)の扱いですので、純粋に怪異に翻弄される主人公を愛でながらホラー作品として楽しむ感じ。
    百蛇堂は、ミステリ的な解釈が入る解決篇に当たるわけですが、(目次をみれば気づくと思いますが)探偵役の「飛鳥信一郎の推理」が入るのが作品の真ん中辺り…というわけで、その後も三津田作品お得意の二転三転、解釈のつかない事も多々盛り込みつつ、物語は開いたまま終わる…という感じ。ホラー寄りの締め方で、こういうのも良いですね。
    「蛇足」としてエピソードを纏めるところも、この「蛇」にまつわる物語の締めとしてはとても良い言葉

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    2018年08月15日