三津田信三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
主人公が小学男子で広い年齢層が読めるような平易な文章だと思う。
深い嫌な感じを出さないままにラストに向かうけれど結果はかなり恐ろしかった。
特にまさかと思いながら読んだ最後の一行で絶望の淵に落とされる感じ。
やはりベースになっているのは土地とそこに宿るものというのはいつもの三津田作品の流れだけれど割と読みやすく書かれているのでうっかりしてしまった。
日本の神様はキリスト教とは違ってアニミズム的なものだと思う。だからこういうホラーを自然に受け入れられるっていうか、DNAにそういうのが組み込まれているのかな。
原始的とか迷信とも言えるけれど、それは自然の中で暮らしてきた人間の当然の考え方でもある。
太刀打ちできない自然に畏れを抱くのは当然であって、むしろ自然を敬わないような今の人間の在り方の方が恐ろしい。
私はスピリチュアルなものに傾倒しすぎるのはあまり好まないし、私の中の警報が鳴るけれど、自然に身を委ねるしかない人間の力なさはよく理解している。 -
Posted by ブクログ
修学旅行の夜は、恋愛の話をする部屋と怖い話をする部屋があった。どちらの部屋のほうが人数が多かったのかは定かではないが、わたしは怪談部屋のほうに参加した記憶がある。
世の中の大抵の人は怪談好きだから、わたしの頭の中にある『話に詰まったときの話題収納タンス』には、上から2番目くらいに【怖い話】というラベルが貼られた抽斗があり、中にはほどよく脚色されたいくつかの体験談が保管されている。
夜中に目が覚めて思い出して怖くなったり、お風呂で髪を洗っているときにぞっとしたり、ふと鏡を見たとき肩越しに何か映っていたらどうしようと怯えたり、絶対に後悔すると分かっていながらも怖い話に惹かれていく。
それは辛いものを食べたくなる衝動と少し似ているのかもしれないとわたしは思う。痛みを和らげるために出る幸せホルモンのエンドルフィンが、恐怖を感じる精神的辛さのときも出てくるに違いない。
さて。
この『誰かの家』という話は6つの短編から成っている。
個人的に一番面白かったのは『御塚様参り』で、それはなぜかというと藁人形を使った呪い方について詳しく書かれていたからだ。これが結構準備が大変なのだ。白装束は上下白い服で勘弁してもらい、ろうそくはアロマを焚くのに使うキャンドルで代用する。わら人形は余った毛糸で心を込めて作り、その後五寸釘をホームセンターへ買いに行かなければならない。あっ、一本歯の下駄はどうするのだ!
なんて感じで、用意するだけでヘトヘトになってしまい、毎晩夜中の2時に誰にも見られることなく神社の木に人形を打ち付けるなんて(しかも7日間連続で)絶対無理。
最後の『誰かの家』まで読み終えたのだが、わたしにはどの話も怖いとは思えなかった。あえて言うなら、一番最初の話かなあと思う。
でも怖くなかった=面白くなかった、というわけでは決してない。
-
Posted by ブクログ
著者が得意とする物件ホラーに今回も怖がらせてもらおやないけ。。と楽しみに読んだらこれ結局安っぽいスリラーじゃねえか。と毒づきたくなるのは著者の作品に対する期待値があまりにも高くなってしまっているため。以前感想を書いた「よもつひらさか」みたいなポンコツとは異なり普通に楽しめる作品で一気読み。
あるおもちゃの伏線がラストで生きるんだけどイマイチ弱いよね。主人公そんなサイコパスじゃないし。なんというか、唐突感が強く、どんでんがえしのためのどんでんがえしになってしまっており、必然性がなく読者に媚びているように見えてしまう。
過去作を読み返したくなった。