西尾維新のレビュー一覧
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上総園学園にある、分針が止まったままの時計塔。
いつも一人、音楽室で楽器を奏でる病院坂迷路。
奇人として、学園中から忌み嫌われている病院坂と
なぜか親交を深める一年生・串中弔士。
そして奇人三人衆の串中小串、童野黒理、崖村牢弥。
そんな要素が配置された、「囲われた」世界で起こる殺人事件。
病院坂と弔士が探偵ごっこの犯人捜しに乗り出して、
そして迎える、日常とは正反対の異常な結末――。
「きみとぼくの壊れた世界」と世界観を同じくする物語。
西尾維新が放つ、新しい世代の本格ミステリー。
ややボリュームが少ないという印象は受けたが、
期待を裏切らない、西尾維新らしいミステリー -
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尾張に戻った七花ととがめが、否定姫からの情報を得て
誠刀『銓』を求め向かった先は、陸奥の百刑場。
そこは先の大乱の首謀者であるとがめの父・飛騨鷹比等が
七花の父・鑢六枝に討ち取られたという因縁の地。
今は何もない原っぱとなった百刑場に突如現れた“仙人”は、
七花ととがめに己と向き合うことを強いる。
「刀語」の第十話。
変体刀の所有者と遭遇し、なんらかのプロセスを経た上で
変体刀を蒐集する、といった流れはいつもどおりだが、
すでに物語も完全に終盤に差し掛かっていることもあり、
今回はその流れの中で重要な事実が明らかになったり、
七花やとがめの内面にかすかな変化が生じたり、 -
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微刀『釵』収集後、不要湖の探索を終えた七花ととがめが
次に向かった先は、出羽は天童の将棋村。
心王一鞘流の道場と、道場の看板である王刀『鋸』を
一人で守る汽口慚愧と二人は出会う。
一筋縄ではいかない汽口との勝負に苦戦する七花だが――。
またその裏では、否定姫の懐刀であり、
元忍者という経歴の謎の男・左右田右衛門左衛門による
真庭忍軍への粛清は静かに続いていた!
「刀語」の第九話。
物語中でも触れられているが、刀集めに関しては、
今回、久々にお決まりのパターンに戻った感じ。
とがめが最後に奇策を打って勝利を収めるわけだが、
どうにも卑怯な策だという印象が拭えなかったが -
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土佐で七実を打破した七花ととがめは尾張に帰り、
否定姫と会見し、四季崎記紀について重要な情報を得る。
そして向かったのは江戸の不要湖。
人一人住まない、がらくたで埋め尽くされたその場所を
百年以上もの期間、守護し続けてきた日和号。
七花ととがめは、変体刀収集のために日和号に挑む。
その一方で、否定姫の腹心・左右田右衛門左衛門は
真庭忍軍に接触し、そして正体を明らかにする――。
「刀語」の第八話。
今回は、変体刀収集のシーンよりも、
否定姫サイドの動きに重きが置かれていて、
微刀『釵』はあっさり収集できてしまった感じ。
ただ、それでも微刀『釵』収集の過程において、
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死霊山を壊滅させた「化物」の存在を知り、
急遽進路を変更した七花ととがめが向かった先は、
刀大仏が鎮座する剣士の聖地・清涼院護剣寺。
そこで待っていたのは、七花のただ一人の肉親であり、
「見る」だけで相手の能力のすべてを吸収する天才・鑢七実。
悪刀『鐚』を携えて立ちはだかる姉に、
七花は果たして勝つことができるのか――。
「刀語」の第七話。
四月に、真庭虫組を相手取って大暴れをしてくれた
規格外の天才・七実と七花との直接対決。
悪刀『鐚』のせいで、より厄介な相手となっているわけだが、
対決の流れとしては割といつもどおりで、
思ったよりあっさりと決着がついてしまう。
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刀語の第六話。
七花ととがめが図らずもやってきたのは蝦夷の踊山。
次の収集対象は、この地に住む凍空一族が所有するという双刀『鎚』。
二人が出会った凍空一族の少女・こなゆきの怪力に
果たして七花は打ち勝つことができるのか――。
そして真庭忍軍や、尾張の否定姫の動向やいかに――。
毎月発行の大河ノベルもいよいよ6ヶ月目ということで、
すでにすっかり軌道に乗ったという感。
基本的には同じ流れで話は進むものの、
そこは西尾維新、当然まったく同じ形を
何の芸もなく繰り返すということはしない。
前回あたりから顕著になってきた、七花の内面の変化や、
真庭忍軍との関係の変化、そし -
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刀語の第五話。
七花ととがめが次に収集するのは、
西洋の鎧を模した、絶対的な防御力を誇る刀、賊刀『鎧』。
その所有者である校倉必からの提案によって、七花の心は揺れ動く。
果たして七花は校倉に勝利できるのか――。
刀語も五話ともなるとそろそろマンネリかと思いきや、
毎回少しずつパターンが違うので面白い。
今回は、否定姫という新キャラによるてこ入れをはじめ、
今まで噛ませ犬扱いだった真庭忍軍との関係のかすかな変化、
そして初めて対決の際に葛藤する七花など、
微々たる変化ではあるものの飽きを感じさせないつくり。
まぁ、あまりにぶっ飛んだパターンを前回見せられたので、
た -
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講談社BOXレーベルが送る、大河ノベル第3弾。
四季崎記紀の完成形変体刀を収集する七花ととがめが
三本目の収集対象として選んだのは、千刀・ツルギ。
その所有者は、出雲の三途神社の長・敦賀迷彩――。
ちなみに、「ツルギ」は表示できないから
やむをえずカタカナ表記になっているだけであって、
本当は、金偏に「殺」で「ツルギ」と読む。
第3弾ともなると、この「刀語」のパターンにも慣れてくる。
あくまでひとつの大きな物語のうちの一章なのであって、
原稿の枚数制限などもあるのだから、
このくらいのクオリティがもしかしたら限界かもしれない。
もちろん、決してクオリティが低いという意 -
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12ヶ月連続刊行“大河ノベル”の「刀語」第二話。
四季崎記紀の変体刀収集の旅を始めた七花ととがめが、
最初に収集する対象として選んだのは斬刀「鈍」。
その所有者は、因幡砂漠にそびえる下酷城の城主・宇練銀閣!
第一話よりも、いつもの西尾作品らしさが色濃く出てきた。
冒頭からいきなり馬鹿っぽい掛け合いがあったり、
とがめのキャラがツンデレの様相を呈してきたり。
クオリティは相変わらずといったところだが、
それはいつもどおりという意味であって、
特に突出して面白い作品だった、ということはない。
まぁ、ひとつの物語の第二話なのだから、
それで良いのだろうとは思うけれど。
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講談社BOXが放つ前代未聞の一大企画、
12ヶ月連続刊行“大河ノベル”の第1弾。
伝説の刀鍛冶・四季崎記紀の鍛えた十二本の変体刀を求め、
刀を使わない剣士・鑢七花と、奇策士・とがめが
様々な敵と繰り広げる戦闘を描いた時代活劇。
12ヶ月連続刊行という企画の性質上やむをえないことだが、
一冊一冊は比較的薄い本になっている。
しかしそれはあくまでページ数に限った話で、
肝心の内容は決して薄くはない。
戦闘のシーンにおいても、必ず“意外な結末”と
“その結末にいたる必然性”が描かれるのは
西尾維新ではすでにおなじみ。
様々な特徴を持った十二本の刀や、その所有者、
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一言、痛い。
高校生の頃にブログを書いていて、それを見た友人に「お前痛いやつになったのかと思った」と言われた苦い経験を思い出した。そう、文章はスルスル書けるときが一番危ないのだ。深夜に書き上げたラブレターやほろ酔い気分で打ったメールなんて見返してはいけない。絶対に。特にブログのような自己完結的文章は放っておくと修復不能なまでに痛々しい状態になる危険を孕んでいるので、より一層の注意を払う必要がある。
──なんてことに気付けなかったあの頃。そしてそのまま前出の友人の言葉が今でも頭から離れないわけで、「痛い」ということに敏感な反応をするようになってしまった。
しかし、今作『零崎双識の人間試験』 -
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“「『だって宗像くん』『さっきからずっと仏頂面で』『にこりともしないじゃん』
『滅多に笑わないのが格好いいと思っているのか』
『世界と相容れない自分を拗ねているのか知らないけれど』
『それじゃあ過負荷<マイナス>とは言えないぜ』
『思い通りにならなくても』『負けても』『勝てなくても』『馬鹿でも』
『踏まれても蹴られても』『悲しくても苦しくても貧しくても』
『痛くても辛くても弱くても』『正しくなくても卑しくても!』
それでもへらへら笑うのが過負荷<ぼくたち>だ!!」”
鴎くん初登場にしていきなりの表紙ですか。
“「ん そう言えば一人になるのは久し振りだな
二歳の頃からずっと善吉が私の味方だっ