稲村文吾のレビュー一覧
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悪童
中国の東野圭吾と言われた作者のミステリー作品。
夏休みを過ごす少年達のビデオカメラにたまたま写りこんでしまった殺人の様子から始まるハラハラな展開に序盤からとても引き込まれた。
ストーリーが二転三転していき、まったくどうなるのか予想がつかず、先が気になって結果的に一日かけて一気読みしてしまった。
まず、主人公含めてそれぞれのキャラクターがとても良く、夏の子ども達の青春も感じが後半のストーリー展開の対比にもなっていた。どんな手を使ってでも目的をやり遂げる子ども達VS殺人犯の頭脳戦の場面になっていきどちらが上回るのか最後の最後まで分からなかった。 -
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ネタバレ前読んだ「検察官の遺言」も良かったけど、その前に出たこの本もめちゃめちゃ面白くて一気読み。タイトルがちょっと悪いけど、見事な華文ピカレスク小説。
シリーズものではあるが、主要人物がかぶるだけで、どちらから読んでも問題なし、つか第1作自体邦訳無いし。本作は登場人物も少ないので読みやすいし、展開が早く、ベタな想像の裏を行く意外性もあり、まさにページターナー。細かいツッコミどころはあるけれど、とにかく面白く読めるので全く気にならない。ミステリ要素はほとんどなく、エンタメ本として読むのがおすすめ(この悪童ぶりに、読後感は保証できませんが)。 -
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ネタバレまず翻訳が素晴らしい、最後まで名前に読みを振ってくれてるから読みにくさが全くない。
そして中国が舞台だけど、設定に中国文化がそんなに出てこないから、途中で調べたり、どういうことか分かりにくいってこともないからストレスがない。
序盤立て続けに小さい悪事が連続で起きて、それがこの小説内では悪事を上手くする方が勝つという身も蓋もない宣言になってる。
騙されたり、人の悪意に気づかない方が悪くて
それで殺されても仕方ないみたいな世界観。
めちゃくちゃ面白い。
途中のプープーが読んでた本が、この後の展開を予期させるのもいい。
主人公がサイコパスになっていくのかな!
楽しい! -
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作家を目指している少女と天才数学少女が推理小説を通じて関係を深めていくお話です。作中作が何個か登場し、文学少女はミステリ的な観点から、数学少女は数学らしく型に当てはめて推理をしていく様子はこれまで推理小説を読んでいく上で気にしたことがなかった視点を与えてくれました。犯人当てゲームという非日常と主人公たちの世界という日常の切り替えといった点も驚くほど上手くてお気に入りの一冊になりました。
この作家さんの作品は初めて読んだのですが、3作目だそうで、本作の主人公が以前にも登場しているのでそちらも読もうと思っています。ただ、ここから読んでも特に問題は無かったです。 -
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“宝樹” 時間を操る作家
ケン・リュウ編ハヤカワSF新書「月の光」にあった「金色昔日」をよんでから、この人の物語になぜか惹かれる。
宝樹短編集『時間の王』
「穴居するものたち」……人は自らを囲い有限のなかに平安を得る。なぜ? そしてラストはやっぱりロマンチック。
「三国献麺記」……嘘をホントにする為の時間旅行。ドタバタって理屈なく楽しい。
「成都往時」……過去にしか行けないタイムトラベラーと不老不死を得た者が再び出逢うことはできるのか。ロマンチックタイムトラベル、良いですね〜。
「九百九十九本のバラ」……タイムトラベルなんて、もうどっちでもいいほどロマンチックで青春、作者も「二つは同 -
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ネタバレ前漢時代という背景と生国や立場が違いが活かされた結末だと思いました。
また、「アニメ的なキャラクター表現」と後書きに書かれている通り、於陵葵、観露申、小休における人間関係や、観若英と観江離、そして亡き観芰衣との描写、度々論を交わす於陵葵と観若英等の表現が百合を感じさせられました。
於陵葵がもう少し心情を露わに出来ていたら、観露申との仲も拗れず、小休もあんな行動に出なかったのではないかと考えずにはいられません。しかしながら、於陵葵の不器用ながらも小休の事を思う優しさに気付いていたが故に、小休もまた、於陵葵の事を思い行動に移したのだとも思え、とてもやるせない気持ちになりました。
小休 -
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ネタバレ最後まで読んで、5年前の唐梨の事件を追い、馮露葵と姚漱寒が憶測混じりで幾つかの推理を出していたのは、呉莞の事件を追う上での読者へのヒントであったのだと思いました。
今回、馮露葵も姚漱寒も数多の推理を披露しましたが、そのどれもがあり得そうなものであり、そしてそれを犯人が認めなければ確たる証拠は無いというもので、5年前の唐梨の事件の犯人が誰でもあり得そうだと思いました。それは、呉莞の事件の動機が感傷的なものだった事から、動機があてにならないという事からもそう思わせられました。
馮露葵の持つ才能への羨みや普通である事の不安は、先の見えない学生だからこその思いだと思います。頑張って普通に -
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ネタバレ推理小説を数学を用いて読み解いたり、数学を推理小説に置き換えて説明したりしていて、一見関係無さそうな数学と推理小説の類似性を感じられて面白かったです。
私は推理小説を全然読んでいないので〈後期クイーン的問題〉やヴァン・ダイン等は分からないのですが、今作を通じて推理小説の自由さや難解さを垣間見た気がします。
特に4話の犯人当てで、解答が複数存在すると宣言し、参加した人達が皆、違う答えに行き着いた処が推理小説の可能性を感じました。
また、1話で陸秋槎と韓釆蘆が無矛盾性と完全性を話していながら、4話では解答が唯一では無いとする事でフェア・プレイを保っていたのも印象的です。無矛盾性と完全性が -
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こんなに読み応えのある短編集はなかなかないです。
「13・67」が最高に面白かったとはいえ、あんな面白い話が量産できる作家とか滅多にいませんよ?と気楽に読み始めましたが、流石は「13・67」を書いただけある!とシャッポを脱ぐしかなかった。
一遍毎の読ませる技の巧みさもさることながら、内容がまたバラエティに富んでいて、SFもホラーもユーモアミステリーも味わえるお得な一冊です。全部面白い!
しかも著者のあとがきが作品解説になっていて、イメソン的BGMまでプレイリストで用意してくれる厚遇っぷりで読んでるこっちが恐縮してしまいそうな気持ちに…
個人的に気に入ったのは「時は金なり」
タイムイズマネー