稲村文吾のレビュー一覧

  • 文学少女対数学少女

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    連作短編4編。
    劇中劇のように現実の事件の進行する中で、犯人当てミステリー小説も登場し、謎解きが2倍の二重構造。しかもその謎解きにはわかったようなわからない数学の公式や定理が登場し読者を煙に巻く。女子高校生の友情も魅力で三角関係風の雰囲気も面白かった。

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    2021年04月19日
  • 元年春之祭

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    ミステリ史上に残る前代未聞の動機とは何か?この文章に惹かれて読む。中国古典が多用されていて、前半は些か辟易しながら読み進めるうちに、後半で待望の事件解明の段に入ってからは一気に読み終える。人里離れた山中で一族のみで閉鎖的に暮らす観一族、過去に凄惨な未解決事件を抱える。そこに豪族の娘、於陵葵(おりょうき)が侍女(小休)を伴い訪れる。観一族の娘、観露申(かんろしん)と共に新たな連続殺人事件に関わっていく。中国古典の難解な文章が引用されながら、巫女という宿命を負う者達の生き様が事件の背景として暗く淀む。事件の真相が明らかになる過程は読み応えがあり。冒頭の動機へと繋がっていくが、一般人には理解が難しい

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    2021年03月22日
  • 文学少女対数学少女

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    作中作を数学的論法と絡めて展開する短編が4つ。解説で2氏が後期クイーン的問題について論じている。初華文ミステリで、好きではない系統だが、あと少しは読んでみようと思う。

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    2021年03月02日
  • 文学少女対数学少女

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    ネタバレ

     するする読めたし、面白かった。ただし、連作短編として読むならば、個人的な好みからは外れる作品だった。
     毎回作中作を題材に、様々な観点から推理方法を議論したり、解釈してみたりする様子は、読んでいて刺激を受けた。同じ題材で、こうも多様な謎解きができるんだなぁ、と思った。それのみならず、ミステリというジャンルに対して、どの話も違う角度から、かなり挑戦的な作品だったように思う。そこが非常に面白い点でもあったものの、結果として、斬新なアプローチを提示したにとどまっているように感じることがなくもない。つまり、きちんと「落ちた」と感じる話は少なく(=物語として不完全な感じがする)、あまつさえ犯人を提示し

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    2021年02月18日
  • 死亡通知書 暗黒者

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    SL 2021.2.5-2021.2.8

    華文ミステリが苦手だったけど、これは読みやすくてエンタメの面白さは間違いない。
    それにしても犯人、情報取得が有能すぎてちょっと現実離れの感。
    とは言え、次作を早く読みたい。

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    2021年02月08日
  • 文学少女対数学少女

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    面白くないわけではないのだけれども…という感想。
    犯人を捜せ、という命題に数学の公式を当てはめて推理するってのは面白そうだけど。まぁでも彼女が書いた文章以外の論理的根拠等は無しとして、犯人を当てるという事にしないと辻褄が合わないような?

    最後はちょっと、うん。
    親友が文学少女だけを連れて行っちゃうのはナンダカナな感じが。そんなんで良いのか?

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    2021年01月24日
  • 文学少女対数学少女

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    ネタバレ

    「元年春之祭」が日本でもヒットした華文ミステリー作家 陸秋槎の短編集。
    陸秋槎と同名の女子高生がワトスン役。同級生で数学の天才 韓采盧がホームズ役といったところか。
    ただこの短編集の変なところは、各短編に作中作となる短編推理小説があり、その犯人探しと実際の作中人物の抱える問題の回答を推理するという事と、各短編が推理小説の抱える構造的な問題(解説で後期クイーン論として紹介されていたりしますが)をテーマにしたアンチ・ミステリーの形をとっている事、そしてそれらが数学の理論や歴史を絡めた内容になっていて、さらにそこにホームズ役とワトスン役が女子高生でちょっと百合要素も入っている、、、などなどの多くの設

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    2021年01月24日
  • 死亡通知書 暗黒者

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    法が裁け(か)ない犯罪者を誅殺する容疑者を警察と犯罪組織の双方が追いかける、という映画でもよくあるハードボイルドなシナリオが現代中国で展開される目新しさがあるが、舞台となる都市(A市=成都?)や社会情勢について描かれることがなく、謎解きのスリルだけで進行していくが故の無機質な感じが物足りなく思える。

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    2020年11月12日
  • ディオゲネス変奏曲

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    同じ作者の13.67が話題だったので読んでみたところ、びっくりするくらい面白かったのでこれも読むしかないと思い手に取ってみた。
    純粋なミステリーにとどまらずSF要素を取り入れた話もいくつかあり、作者の志向が垣間見れ興味深かった。収録作の中では「見えないX」、「作家デビュー殺人事件」、「カーラ星第九号事件」が気に入った。習作などもあり全てが傑作!とは必ずしも言えないが、13.67が気に入ったなら読んで損ではないと思う。

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    2020年10月03日
  • 死亡通知書 暗黒者

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    ネタバレ

    ミステリとしては力技っぽいところが目に付き、いろいろと納得いかないのだが、勢いを楽しむものなのでしょうか?

    第一部 完 なのに、シリーズ第1弾 と書くのはやめていただきたいです。

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    2020年08月23日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    ネタバレ

    流行りの華文ミステリ。
    日本の新本格の様式を色濃く受け継いでいると感じた。
    不可能と思われる謎に対する分析・考察をあらゆる角度から行い検証をし、犯人を絞り込んでいく思考ゲームの繰り返し。

    肝心の謎について、密室を作る現場の描写がわかりづらく、図解があるともう少し楽しめたのになぁと感じた。

    著者の作風なのか「華」の文化なのか、登場人物どおしの、呼吸をするかのような絶え間ない毒づきあいが自然に繰り広げられる様が妙にくせになりそうだった。

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    2020年06月28日
  • 黄

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    第4回噶瑪蘭・島田荘司推理小説賞受賞。全体的に荒削りで描き分けが甘い印象ですが、冒頭に叙述トリックが使われていることを宣言する大胆さや、既視感のあるネタの組み合わせ方に唸らされました。華文ミステリーですが違和感なく読めるのも良かったです。

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    2020年06月13日
  • ディオゲネス変奏曲

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    藍を見つめる藍★★★★
    サンタクロース殺し★★★
    頭頂★★
    時は金なり★★
    習作 一★
    作家デビュー殺人事件★★★
    沈黙は必要だ★★
    今年の大晦日は、ひときわ寒かった★
    カーラ星第九号事件★★
    いとしのエリー★★
    習作 二★
    珈琲と煙草★
    姉妹★
    悪魔団殺(怪)人事件★★
    霊視★
    習作 三★
    見えないX★★★★★

    王道かつトリッキーな本格推理小説集だと思って読んでみたら、ホラーやSF、幻想小説。また、ミステリの中でもメタミステリや、ややバカミス的な味わいの作品が多かったです。
    本格を期待して読んだ感想として、個人的に一番面白かったのは、ラストの「見えないX」でした。

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    2020年05月25日
  • ディオゲネス変奏曲

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    内容(「BOOK」データベースより)

    今、新たな潮流として注目を浴びている華文(中国語)ミステリ。その第一人者・陳浩基が持てる才能を遺憾なく発揮したのが、この自選短篇集である。大学生たちが講義室にまぎれこんだ謎の人物「X」の正体を暴くために推理を競い合う本格ミステリ「見えないX」、台湾推理作家協会賞最終候補作となった衝撃のサスペンス「藍を見つめる藍」、密室殺人を扱った「作家デビュー殺人事件」、時間を売買できる世界を描いた異色作「時は金なり」など、奇想と仕掛けに満ちた驚愕の17篇を収録。著者デビュー10周年記念作品。

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    2020年02月28日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    雪密室を扱った青春ミステリーで、ロジカルに手堅く纏まっている印象。北京出身の作家さんということですが、登場人物の名前以外は中国感が全くなく読み易い文章ですんなり物語世界に没入出来るところも良いです。
    ただ、どこか既視感のあるストーリーで何処にも真新しさを感じられないのが難点かなと思います。

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    2020年02月11日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    5年前に学生寮で遺体で発見された少女。不可解な要素がありつつも警察は自殺として処理。そして現在。新たに起こる殺人事件。その様相は5年前と酷似していた。

    中国の翻訳ミステリ。珍しいですね。中国ではこういう本格ミステリ的なものの市民権とかどうなんでしょうね?
    現代の事件の方のトリックというかそこに至るまでのプロセスはそれなりに納得できるものの殺害動機が・・・どうもなあ。学生が登場人物の学園ミステリということで「青春の先行きの見えない不安定さ」みたいなものを表現されたりとかなんでしょうかね?あんまり・・好みではないですがホワイダニットは後回しになるのが本格らしさといえなくもない・・のかな?
    さらに

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    2020年02月04日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    ネタバレ

    青春学園物の華文ミステリ。(翻訳)。
    ミステリではあるけど、そのはかとなく漂う女学生たちの百合感を楽しんだ感じ。

    中国の名前だから馴染むまでてこずったけど、訳が良いので作品に集中できる。
    事件を調べ始める動機も弱いし、推理も弱い感じ。でも、この空気感は良い。印象としては学園×百合×ラノベ×ミステリ風味というとこかな。

    ひっかかったのは、これって探偵役が犯人っていうNGパターンでは??大御所が満を持してやるならいいけど・・・。
    あと、終章で著者と同名の作家設定の人が出てきたけど、このキャラは女性だったはず。そして著者さんは男性だよね???
    この終章の語りが入るのもキライじゃないけど、あえて自

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    2019年12月21日
  • 黄

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    みなさんのレビューで気になって読んでみた作品。
    初めて読む中国ミステリーだが、それ以上に、島田荘司先生が中国語で書かれたミステリーを対象にした賞を創設されていたことも知らず驚いた。
    この作品はその島田荘司推理小説賞の第四回(2015年)受賞作品だそうだ。

    「黃」というタイトルには様々な意味が込められている。その辺も考えながら読むと面白いかも知れない。

    主人公は中国の孤児院で育ち裕福なドイツ人夫婦の養子となった盲目の青年・ベンヤミン。
    中国で6歳の少年が両目をくり抜かれるという残忍な事件が起きたことを知り、事件の真相を探りに生まれ育った中国へと旅立つ。

    現在と過去の話が交互に展開していくよ

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    2019年11月15日
  • 元年春之祭

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     前漢時代の中国を舞台にしたミステリー。難しい漢字がたくさん出てきます。中国の歴史文化の知識が多少でもあると読みやすかも。あと百合です。これらが苦手な人にはおすすめできません。

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    2019年11月09日
  • ディオゲネス変奏曲

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    ネタバレ

    「13・67」の作者による短編集。
    いろいろなジャンルに富んでいて、面白いものもあった。
    全体的に(特にSF的なもの)は星新一を思い出した。

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    2019年11月07日