稲村文吾のレビュー一覧
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ミステリ史上に残る前代未聞の動機とは何か?この文章に惹かれて読む。中国古典が多用されていて、前半は些か辟易しながら読み進めるうちに、後半で待望の事件解明の段に入ってからは一気に読み終える。人里離れた山中で一族のみで閉鎖的に暮らす観一族、過去に凄惨な未解決事件を抱える。そこに豪族の娘、於陵葵(おりょうき)が侍女(小休)を伴い訪れる。観一族の娘、観露申(かんろしん)と共に新たな連続殺人事件に関わっていく。中国古典の難解な文章が引用されながら、巫女という宿命を負う者達の生き様が事件の背景として暗く淀む。事件の真相が明らかになる過程は読み応えがあり。冒頭の動機へと繋がっていくが、一般人には理解が難しい
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ネタバレするする読めたし、面白かった。ただし、連作短編として読むならば、個人的な好みからは外れる作品だった。
毎回作中作を題材に、様々な観点から推理方法を議論したり、解釈してみたりする様子は、読んでいて刺激を受けた。同じ題材で、こうも多様な謎解きができるんだなぁ、と思った。それのみならず、ミステリというジャンルに対して、どの話も違う角度から、かなり挑戦的な作品だったように思う。そこが非常に面白い点でもあったものの、結果として、斬新なアプローチを提示したにとどまっているように感じることがなくもない。つまり、きちんと「落ちた」と感じる話は少なく(=物語として不完全な感じがする)、あまつさえ犯人を提示し -
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ネタバレ「元年春之祭」が日本でもヒットした華文ミステリー作家 陸秋槎の短編集。
陸秋槎と同名の女子高生がワトスン役。同級生で数学の天才 韓采盧がホームズ役といったところか。
ただこの短編集の変なところは、各短編に作中作となる短編推理小説があり、その犯人探しと実際の作中人物の抱える問題の回答を推理するという事と、各短編が推理小説の抱える構造的な問題(解説で後期クイーン論として紹介されていたりしますが)をテーマにしたアンチ・ミステリーの形をとっている事、そしてそれらが数学の理論や歴史を絡めた内容になっていて、さらにそこにホームズ役とワトスン役が女子高生でちょっと百合要素も入っている、、、などなどの多くの設 -
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藍を見つめる藍★★★★
サンタクロース殺し★★★
頭頂★★
時は金なり★★
習作 一★
作家デビュー殺人事件★★★
沈黙は必要だ★★
今年の大晦日は、ひときわ寒かった★
カーラ星第九号事件★★
いとしのエリー★★
習作 二★
珈琲と煙草★
姉妹★
悪魔団殺(怪)人事件★★
霊視★
習作 三★
見えないX★★★★★
王道かつトリッキーな本格推理小説集だと思って読んでみたら、ホラーやSF、幻想小説。また、ミステリの中でもメタミステリや、ややバカミス的な味わいの作品が多かったです。
本格を期待して読んだ感想として、個人的に一番面白かったのは、ラストの「見えないX」でした。 -
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5年前に学生寮で遺体で発見された少女。不可解な要素がありつつも警察は自殺として処理。そして現在。新たに起こる殺人事件。その様相は5年前と酷似していた。
中国の翻訳ミステリ。珍しいですね。中国ではこういう本格ミステリ的なものの市民権とかどうなんでしょうね?
現代の事件の方のトリックというかそこに至るまでのプロセスはそれなりに納得できるものの殺害動機が・・・どうもなあ。学生が登場人物の学園ミステリということで「青春の先行きの見えない不安定さ」みたいなものを表現されたりとかなんでしょうかね?あんまり・・好みではないですがホワイダニットは後回しになるのが本格らしさといえなくもない・・のかな?
さらに -
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ネタバレ青春学園物の華文ミステリ。(翻訳)。
ミステリではあるけど、そのはかとなく漂う女学生たちの百合感を楽しんだ感じ。
中国の名前だから馴染むまでてこずったけど、訳が良いので作品に集中できる。
事件を調べ始める動機も弱いし、推理も弱い感じ。でも、この空気感は良い。印象としては学園×百合×ラノベ×ミステリ風味というとこかな。
ひっかかったのは、これって探偵役が犯人っていうNGパターンでは??大御所が満を持してやるならいいけど・・・。
あと、終章で著者と同名の作家設定の人が出てきたけど、このキャラは女性だったはず。そして著者さんは男性だよね???
この終章の語りが入るのもキライじゃないけど、あえて自 -
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みなさんのレビューで気になって読んでみた作品。
初めて読む中国ミステリーだが、それ以上に、島田荘司先生が中国語で書かれたミステリーを対象にした賞を創設されていたことも知らず驚いた。
この作品はその島田荘司推理小説賞の第四回(2015年)受賞作品だそうだ。
「黃」というタイトルには様々な意味が込められている。その辺も考えながら読むと面白いかも知れない。
主人公は中国の孤児院で育ち裕福なドイツ人夫婦の養子となった盲目の青年・ベンヤミン。
中国で6歳の少年が両目をくり抜かれるという残忍な事件が起きたことを知り、事件の真相を探りに生まれ育った中国へと旅立つ。
現在と過去の話が交互に展開していくよ