稲村文吾のレビュー一覧

  • 元年春之祭

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    「忠義・忠愛とは」
    ー中国の楚王は基礎を武力ではなく巫術を称え祭儀を重んじた。その命を授かる観一家に殺害異変が起きる。さらにもう一方の家族へ殺害が広がる。そこには巫女に関わる親族間での厳しい規則と躾が人を変え殺害を巻き起こすミステリー、と思いきや、犯人はさらに別人。謎を解こうとする豪族の娘葵は頭脳明晰で豊富な知識を持つ、だが人の心を読む、情に薄く人への愛情が欠ける性格がキーとなる。葵の目的は「邪教の普及」、それと「巫女の禁忌」にまつわる侍女の行動。
    中国の古典、社形祭祈儀式、名称など難しい単語が多く出るが、歴史を語る論語、礼記、詩経、漢書など、兵を持って楚国を破った伍子胥、楚国の復興に心を砕い

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    2022年10月23日
  • 死亡通知書 暗黒者

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    ネタバレ

    2022.8 中華小説は行間を読ませるとかなく、これでもかこれでもかと事象を投げつけてくる。
    翻訳家にもよるんだろうけれど三体でも感じた緊迫感がある小説でした。ラストはえ〜続くの…というのが実感。早く続編が読みたい。中国小説は曹操も待っているんだよね…

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    2022年09月01日
  • 時間の王

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    ネタバレ

    三体の二次創作小説からデビューしたことを後から知った。
    個人的には三国献麺記と成都往事が好き。
    三国献麺記は最後にやっぱり…!?となるのが良かったのと、成都往事は昔観た中国ドラマの「美麗的神話」や恩田陸の「ライオンハート」を思い出す感じが好みでした。
    また、どの作品も(三国献麺記以外?)ハッピーエンドな結末が爽やかというか、今の中国の人々の意識が表れているようで羨ましいかも笑。

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    2022年03月21日
  • 時間の王

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    「三体」の二次創作小説(三体Xとして2022年に日本語版発売予定)が好評となり、SF作家としてデビューすることになったという逸話を持つ著者による「時間」をテーマにした7編収録の短篇集。どれも面白かったが、タイムスリップが可能なちょっと先の未来が舞台で、三国志で有名な曹操にラーメンを食べさせに行く「三国献麺記」が一番ぶっ飛んでいて面白かった。あと、宇宙をテーマにした「暗黒へ」はすごく「三体」を感じた。タイムトラベル系の小説が好きな人はハマると思う。

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    2022年03月13日
  • 悪童たち 下

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    ネタバレ

    本当に面白かった。朱朝陽がまさかそこまで展開を読んで用意周到に準備をしていたのかという恐ろしさが存在した。最初は優等生であった人間がここまでのことをやってのけるのはある意味凄すぎる。また、事件の背景には中国社会の闇の部分が映し出されており、陰鬱な気持ちになった。

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    2022年02月13日
  • 悪童たち 上

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    殺人犯と3人の子供の頭を使った駆け引きがとても面白く、またもう一つの殺人もどのような展開になっていくのかが楽しみ。下巻も早く読みたい。

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    2022年02月01日
  • 文学少女対数学少女

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    初読み作家さん。数学とミステリの融合という点から井上真偽の「恋と禁忌の述語論理」を想起したが、本作のあとがきでもそれに触れられていて滾った。読み始めてから今作は麻耶雄嵩オマージュに溢れているという話を聞き、それで更に血圧を上げながら読み進めることとなったわけだが、内容は確かに麻耶先生オマージュらしくミステリとしては変化球といったところで、そのクセの強さを百合要素がマイルドに包んでいる。しかしその変化球からもミステリに対する真摯な愛が感じられる一冊だった。

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    2022年01月19日
  • 死亡通知書 暗黒者

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    「仕掛けの凝ったミステリー」ドラマで、あまり難しいことを考えずに没入して楽しむことができた。

    警察官の死亡事件を解決すべく作られた個性的な専従班メンバーが、過去の事件から引きずられた謎と、次々と発生する予告殺人事件に翻弄されながら、革新へ近づいていく。

    決して「仲間同士の団結が解決につれ高まる」ような感動ドラマではなく、どちらかというと「硬派」な感じのメンバー個々の思惑が交錯し、疑心暗鬼を生み出すというドラマ。
    時より、メンバーの心理・行動解説を想像してくれる犯罪心理学専門メンバーの慕剣雲や、情報を整理してくれるIT関連エキスパートの曾日華がいてくれて、とても助かった。

    わざとじゃないか

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    2022年01月11日
  • 時間の王

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    最初のタイムトラベラーは、ゾッとする話。これほど嫌なタイムループ、あまりない。これが一生続くのは、地獄〜。

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    2021年12月20日
  • 文学少女対数学少女

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    華文本格ミステリということで、果たしてどんなミステリなのかと思っていたら、予想していた以上に、日本の本格ミステリを拗らせたような(いい意味で)ガチガチのメタ的な視点の入った本格ミステリでした。

    収録作品は4編。それぞれに作中作があり、作中作と実際に起こる事件に、ミステリ好きの文学少女・陸秋槎と天才数学少女・韓采蘆が挑みます。

    韓采蘆が数学の理論と交えて語るのは推理小説の矛盾や新たな視点。ミステリに唯一の正解なんてものがあるのか。トリックや犯人を指摘しないミステリは可能なのか。

    いわゆる後期クイーン的問題を数学の理論に絡め、話は進んでいきます。正直数学理論については大概ついていけなかったの

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    2021年11月21日
  • 死亡通知書 暗黒者

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    初めての華文ミステリ。彼の国の警察システム「専従班」など、独自の背景が面白い。重厚な警察小説かと思っていたら、登場人物が全員怪しくミステリ要素も満載。三部作でドラマ化もされているとのこと。サイコパス系はあんまり好きではないし、彼らのバックボーンがほとんど語られないので、感情移入しにくい面もある。でもあっという間に読み切ってしまった。次回作も読んでしまいそう。
    それにしても同じアジア人なのに、日本人よりはるかにしぶとくガッツがある。なんだか完敗。

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    2021年10月28日
  • 悪童たち 下

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    CL 2021.9.9-2021.9.10

    とてつもなく嫌な話なのに、読ませるので途中で止めることができない。どうしてもラストが気になるじゃないか。
    おそろしく賢く、おそろしく非情。
    どの登場人物にも感情移入できないのに、面白かった!

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    2021年09月10日
  • 悪童たち 下

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    「悪童たち」と言う題では安易過ぎるような複雑な事件が繰り返されていき、その度に、ええっ!と叫びながらの読書。社会情勢も上手く絡められていて後を引く不気味な終わり方だった。

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    2021年08月10日
  • 悪童たち 上

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    中国のミステリー。貧しいが成績優秀で孤独な中学生の男子を訪ねて来た小学時代の「友達」と呼べる子とその妹ぶん。偶然カメラに写っていた殺人事件。事件はこれだけじゃない、これでもかと言う程の出来事にハラハラし通しだった。

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    2021年08月10日
  • ディオゲネス変奏曲

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    小気味良さが心地良い……。

    どの物語も読み始めると止まらなくなり、最後で必ず「エッ!」となる。
    そのたびに自分の脳が活性化される。

    しかも、ミステリーのみならず、SF風だったりホラーだったり…
    この人の引き出しの多さは、半端ではない。

    さすがですね。

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    2021年07月28日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    ネタバレ

    華文ミステリ。百合成分ありのライトノベルっぽくもあり。

    寮が併設された学校でいじめに遭っていた少女が死亡した。5年後、生徒会長の馮露葵、学生寮長の顾千千、図書室司書の姚漱寒はこの事件の解決に挑むが…。青春小説の趣が強い作品。

    「融けたくない」と願う雪の結晶のような少女達。互いにツンツントゲトゲしている会話が雪華の花びらのよう。煌めきが眩しい。

    トリックとしてはどうかな?という部分と、華文翻訳文を読みなれてないためもあるのか少し読みにくさがありました。

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    2021年04月22日
  • 元年春之祭

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    最近話題の華文ミステリの一作。やはり人物名が覚えにくいのがつらいところ。更には推理小説ではよくある衒学要素として、膨大な漢文が引用されているのでもう大変。正直序盤は全く入り込めなかったが、後半になると少しは慣れてきて楽しめた。ミステリとしては意外性もあり、特にホワイダニットが見もの。なかなか読むのが難儀な本だが、華文ミステリに興味があるのならぜひ手にとって欲しい。

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    2021年04月11日
  • 文学少女対数学少女

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    表紙が可愛いという理由だけで手に取ったら
    なんと華文ミステリー。しかも本格。

    自身が書いた推理小説に自信がない高校生・陸秋槎
    (りくしゅうさ)は学校で数学の天才と有名な
    韓采蘆(かんさいろ)にアドバイスを求めようとする、
    すると采蘆は…。

    全4篇、すべて作中作を読み解き(?)かつ
    現実の問題も解決(?)していく物語。

    なぜ(?)なのかというと、ミステリの超初心者読者
    の私としては「なんで?」「それはアリなの?」
    「どうしてそうなった?」「ところで○○は?」
    と(?)の連続だったからです。

    数学が分からなくても(いい意味で)浅く楽しく読めました。
    数学が大好きなら深く楽しく読むことができ

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    2021年03月22日
  • 雪が白いとき、かつそのときに限り

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    これはミステリの形を取った青春小説。若さが持つ儚さ、脆さが繊細な表現で実に上手く表現されており、誰もが10代だったころに感じた“何者でもない自分に対する不安”を思い起こさせる。あと訳と表紙が最高。

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    2021年03月21日
  • 死亡通知書 暗黒者

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    ネタバレ

    先が気になるし一気読みなんだけど、誰が敵で誰が味方なのか読者が疑心暗鬼になってしまう展開が面白い。
    どうしても登場人物の名前で引っかかってしまうのなんとかしたいなー。

    にしても続編は絶対読まなければ。

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    2021年01月20日