高田大介のレビュー一覧

  • 図書館の魔女 第四巻

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    むせかえるような情報量と豊富な語彙で埋め尽くされる文章の結実。キリヒトとマツリカの感情がダイレクトに突き刺さり、終盤は胸がギュッと締め付けられたままだった。だからこそ、とても読後感が良い。
    というかさ、これメフィスト賞受賞作だったわ…… すっかり忘れて読んどった。マツリカ様は魔術はないと言い切ってたけど、そんなロングタームの暗示とか実質魔術じゃないの? とか三巻読み終わるところまでにちょいちょい疑問があったけど、全部トリックであったか……

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    2025年08月24日
  • 図書館の魔女 第四巻

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    語彙力皆無だが、マツリカの誰かへ送る言葉は一言で言えば粋。粋という単語に纏めてしまえるほど簡単なものではないが、言葉とは意思であり意志。と、私はそう感じました。

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    2025年08月17日
  • 記憶の対位法

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    ネタバレ

     読んでいる途中から、ああこれ「まほり」なんだな、と気付いて、その印象はラストシーンを迎えても変わらなかった。もちろん、お話としては完全に別物で、単に舞台をフランスに変えたって話はもちろん違う。
     「人文ミステリ」というか、膨大かつ難解な学術領域そのものを舞台装置としたエンタメ、という、ちょっと類作が思い付かないような構成が共通してるな、と感じた。

     お話としてはそれほど難解ではなく、あらすじとエッセンスだけなら非常にシンプルだと思う。
     誰も死なないし、恋愛もない。銃撃戦やカーチェイスなどのバトルもないし、エンタメとしては致命的なまでに盛り上がる要素がない。
     なのに、ぐんぐん「物語」に引

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    2025年08月11日
  • 図書館の魔女 第三巻

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    まさかまさかの展開ではあった。
    なにより、それによって起こされたマツリカの苦悩から示された彼女が如何に繊細かというのが如実に露見されたように思う。
    いつの間にか、マツリカとキリヒトの間には強い繋がりが生じていたことに胸がほっこりとした。ニザマ帝はやはり帝なんだなぁとも。経験値の差というと簡単な聞こえになるが、一枚上手なのはそうかもしれない。

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    2025年08月09日
  • 図書館の魔女 第二巻

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    終盤尊みが大爆発した。どういうことや。
    読み終わったところで胸がいっぱいになってしまった。この感覚は久しぶりかもしれない。
    一巻で感じていた不満が二巻では作品を彩る美しさに大昇華されていてすごくいい。本当にいい……
    でもこれなんで一巻と二巻分割したの??ってくらいのもったいなさも感じる。一巻で離れちゃった人可哀そう……

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    2025年08月07日
  • 記憶の対位法

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    ネタバレ

    題名の意味が最後にすっきりと氷解する。社会学のブルデュー、トッド等や移民政策などなじみがあるところはともかく、音楽史、オック語等は読むのが面倒なところも。
    2017年リモージュの新聞記者ジョンゴ(ワトソン)が大学院生ゾエ(ホームズ)と組んで、対独協力者として断罪された祖父の遺品から隠された謎を探求する。
    それと並行して、イスラム原理主義者のテロの冤罪として友人が巻き込まれる事件が起こる。
    背景として、衒学的に次の語りが入る。
    ①フランスの移民社会の課題、移民政策、社会の階層化、投票行動のマインドセット等社会学の分析がちりばめられる。ジャンゴも祖父はアルザス人で祖母はマグレブ、教師等を排出する家

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    2025年08月10日
  • 記憶の対位法

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    すごく難しい本でした。
    最初は 主人公ジャンゴのお祖父さんが第二次世界大戦後 ドイツへの協力者コラボと呼ばれて排斥されます。教師でした。
    この排斥がひどい!
    フランス革命の時の住民の怒りのようなものです。

    お祖父さんは 家族と離れて 逼塞します。
    そこで年下のヤスミナと結婚し ジャンゴの父が産まれる。
    ある日 兄から電話があって お祖父さんが亡くなり 遺品を預かってるから 持っていってくれ。

    その遺品の中に黒檀の小箱が何個もある。
    ラテン語や音楽にも強いゾエという女の子が
    興味を持って見てくれ 箱の内側から ラテン語で書かれた古い時代の聖歌の楽譜をみつける。

    記憶の対位法がテーマ
    それは

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    2025年07月29日
  • 記憶の対位法

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    話題の中心が飛び飛びになるのに、わかりやすく良かった。ラストも結局人を貶めるのも人だし、人を救うのも人なんだよなあ、とじんとくる。
    作者の頭の中をのぞいてみたいくらいの知識量。
    もちろん調べて書いたのだろうけれど、本当にすごい。
    時間と気持ちに余裕のある時、じっくりとむかいあいたい本だった。

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    2025年07月19日
  • 図書館の魔女 烏の伝言 (下)

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    ネタバレ

    人が人を騙し陥れようとするなかで、剛力衆や近衛兵・鼠たちの、決して仲間を見捨てない姿に胸が熱くなった。何よりも嬉しかったのが、カロイの存在。かつて仲間を裏切り、肉親と右腕を失った彼は、今回多くの人を助けてきた。そしてかつての仲間たちとの繋がりも失われず、子供たちに希望を与えるような存在になっていたことに胸を打たれた。皮肉まじりのマツリカも相変わらずで、また会えて嬉しい。
    これからも続くであろう一ノ谷、アルデシュ、二ザマの激変を見届けたい。

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    2025年07月11日
  • 図書館の魔女 第二巻

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    ネタバレ

    数年ぶりに再読。キリヒトの正体を知った状態で読み返すと、かなりわかりやすく伏線が張ってあったんだな…と感じた。これだけヒントがあったにもかかわらず、マツリカが繙くことができなかったのは、キリヒトだけが本当の意味での味方だと無意識のうちに感じていたからかもしれない。

    キリヒトが覚悟を決めるシーンの笑顔が悲しくてたまらない。とどめを刺そうとした瞬間の恥じるような表情に涙があふれた。マツリカもキリヒトも自ら望んで生まれついたわけではない。そんな二人が手を取り合ってやり取りすることに密やかでたしかな絆を感じるし、人を斬るために育てられたキリヒトにとっても救いだったのだろう。再読のためこれからの展開は

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    2025年06月15日
  • 図書館の魔女 第四巻

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    最終章、第4巻を読み終えました。言葉に表して気持ちを伝えることが容易くないと言いましょうか、とにかく圧巻、感無量でした。1行で言い表すとすれば、言葉を呑むほど感動している…に尽きます。
    ニザマ、アルデシュ、一ノ谷の三国和睦会議は固唾をのんで読み進めました。その量、軽い文庫本1冊分くらいはあるんじゃないかしら…! キリンの活躍は読んでいて爽快でした。
    最終章、やはり魅せつけてくれますね。双子座の居城へと向かうマツリカ一行ら。面前でその様が繰り広げられているかのように臨場感が伝わってきます。焦りや恐怖といったもので支配され、呼吸も浅く早くなっていて、気づけば目を見張るように本を見つめていました。

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    2025年06月13日
  • 記憶の対位法

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    祖父が残した黒檀の小箱から出てきた紙片。そこから物語は歴史、差別、音楽、宗教、様々な方向へと広がっていく。
    正直わからない部分も多かった。しかしわからなかったが故に、考え感じる部分も多くあった。別々のエピソードに見えていたものが繋がり、タイトルの意味へと集約されていく。美しい物語。

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    2025年05月31日
  • 記憶の対位法

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    「言葉」の乱射がエグい

    いやー面白かったねー
    そしてこれを面白いと思える自分なかなかのもんやでとひとり悦に入れる系ですな

    「言葉」と「歴史」
    「言葉」と「音楽」
    「言葉」と「差別」
    「言葉」と「テロ」
    「言葉」と「ジャーナリズム」

    「言葉」を中心に多彩なテーマを描いています

    強く思うのは、高田大介さんてめちゃくちゃ頭いいんだろうなーってこと
    もうがんがん難しいこと言ってくるんよ
    もう物語全編にわたってほぼ討論ですw
    しかも半分くらいはちんぷんかんぷんです

    超絶頭いい人がめちゃくちゃ分かりやすく教えてくれてるんだけど、いやそれはあなたのレベルで言う「分かりやすい」で、わいらからしたら十

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    2025年05月29日
  • 図書館の魔女 第四巻

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    なんて面白い小説!!!一巻の読み始めたときは文章が堅くて読むのが大変だったけど四巻にもなると慣れたもんで先が気になって気になって寝る間も惜しまず一瞬で読み終わってしまった
    この本には、ある世界が、学問が、人間が、言葉が、なんと鮮やかに渦巻いていることだろう!
    こんなに知識欲を掻き立てられる小説は初めて
    もう一度読み直したい
    アニメ化をとてもしてほしい…

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    2025年05月30日
  • 図書館の魔女 高い塔の童心

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    手元にあるひとつの小さな海老饅頭。これが大きな地政学の理解に繋がるとは。
    ミクロからマクロへ、同じような事象が世界を作っているのだと分かっていてもこんな風に鮮やかに描かれるともうため息しかでない。
    以前読んだ『砂糖の世界史』でも思ったけど、教科書で習ってきたことに人の暮らしが見えるとその景色が色づき始めるのよね。

    さてマツリカ。「あの」マツリカの奥底にある深い泉をのぞかせてもらって(マツリカが登場するページは決して多くないのに)いたく得心した一篇となりました。もう一度シリーズを再読せねば!そう決心して本を閉じました。

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    2025年05月22日
  • 図書館の魔女 第二巻

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    山育ちのキリヒトの、慎重でありながらも俊敏な体の動きの”勘のよさ“は第1巻から感じとっていました。第2巻ではそれが顕著にでていた。同じ人間の身のこなしなのか…と思うほど。

    マツリカとキリヒトが行動を共にする場面では、同じ気持ちを共有しあう友のようなやり取りが垣間見えて、微笑ましいなと思った。

    イラムの存在も大きい。キリヒトやマツリカ、ハルカゼ、キリンが家族のように唯一落ち着ける場所なのでしょう。食事をする彼らを見るのも、私の密かな楽しみとなっています。

    後半、巨人の襲撃は手に汗握る展開だった。キリヒトの行動はとにかく凄かった。この一件で、温厚で従順でマツリカの手話通訳を器用にこなす、あの

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    2025年05月14日
  • 図書館の魔女 高い塔の童心

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    良すぎた。最新刊が読めるって最高。
    番外編のような立ち位置だと言われていただけに、少しタッチが違った。やはり子どもの心を表すためだろうか、意識的に優しい言葉が使われているような気がした。
    にしても、まさかこうくるとは思わなかった。奪われたものと、新しく得たもの。そして、奪われたと思っていたけれどもなくしきっていなかったもの。それらの寂しさと悲しさがよく現れていた。最後の方は泣いてしまった。

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    2025年05月13日
  • 図書館の魔女 高い塔の童心

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    終盤で語られるマツリカの祖父タイキの胸中に色々考えることがあった。衆愚になるな、ということか。情と理のバランス。理を尊ぶこと。

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    2025年04月30日
  • まほり 下

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    そういえば棚上げになっていた「まほりってなんぞや」問題。ここに本作のミステリ的な旨みが詰まっております。学術的興奮も相まってうわぁ!!となります。
    ちなみに、巧緻きわまるプロットに冒険小説かサスペンスめいた後半のスピード感など、読者を手玉にとって手の上で転がすような作者ですが、惚れた腫れたに関しては、なんかもう小学生の初恋の如き初心な描写なんですよね。

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    2025年04月01日
  • 図書館の魔女 高い塔の童心

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    ネタバレ

    やっぱりよかった。
    まさにエピソード0。
    主要人物がどんどん現れ、まさかの登場とか驚いた。
    タイキのリーダーとしての凄まじさ、ハルカゼに語った話、マツリカの人を動かす賢さ、ハルカゼがマツリカに感じたこととそれによる愛しみ深さ、全て何度も感じたい。

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    2025年03月02日