高田大介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいる途中から、ああこれ「まほり」なんだな、と気付いて、その印象はラストシーンを迎えても変わらなかった。もちろん、お話としては完全に別物で、単に舞台をフランスに変えたって話はもちろん違う。
「人文ミステリ」というか、膨大かつ難解な学術領域そのものを舞台装置としたエンタメ、という、ちょっと類作が思い付かないような構成が共通してるな、と感じた。
お話としてはそれほど難解ではなく、あらすじとエッセンスだけなら非常にシンプルだと思う。
誰も死なないし、恋愛もない。銃撃戦やカーチェイスなどのバトルもないし、エンタメとしては致命的なまでに盛り上がる要素がない。
なのに、ぐんぐん「物語」に引 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ題名の意味が最後にすっきりと氷解する。社会学のブルデュー、トッド等や移民政策などなじみがあるところはともかく、音楽史、オック語等は読むのが面倒なところも。
2017年リモージュの新聞記者ジョンゴ(ワトソン)が大学院生ゾエ(ホームズ)と組んで、対独協力者として断罪された祖父の遺品から隠された謎を探求する。
それと並行して、イスラム原理主義者のテロの冤罪として友人が巻き込まれる事件が起こる。
背景として、衒学的に次の語りが入る。
①フランスの移民社会の課題、移民政策、社会の階層化、投票行動のマインドセット等社会学の分析がちりばめられる。ジャンゴも祖父はアルザス人で祖母はマグレブ、教師等を排出する家 -
Posted by ブクログ
すごく難しい本でした。
最初は 主人公ジャンゴのお祖父さんが第二次世界大戦後 ドイツへの協力者コラボと呼ばれて排斥されます。教師でした。
この排斥がひどい!
フランス革命の時の住民の怒りのようなものです。
お祖父さんは 家族と離れて 逼塞します。
そこで年下のヤスミナと結婚し ジャンゴの父が産まれる。
ある日 兄から電話があって お祖父さんが亡くなり 遺品を預かってるから 持っていってくれ。
その遺品の中に黒檀の小箱が何個もある。
ラテン語や音楽にも強いゾエという女の子が
興味を持って見てくれ 箱の内側から ラテン語で書かれた古い時代の聖歌の楽譜をみつける。
記憶の対位法がテーマ
それは -
Posted by ブクログ
ネタバレ数年ぶりに再読。キリヒトの正体を知った状態で読み返すと、かなりわかりやすく伏線が張ってあったんだな…と感じた。これだけヒントがあったにもかかわらず、マツリカが繙くことができなかったのは、キリヒトだけが本当の意味での味方だと無意識のうちに感じていたからかもしれない。
キリヒトが覚悟を決めるシーンの笑顔が悲しくてたまらない。とどめを刺そうとした瞬間の恥じるような表情に涙があふれた。マツリカもキリヒトも自ら望んで生まれついたわけではない。そんな二人が手を取り合ってやり取りすることに密やかでたしかな絆を感じるし、人を斬るために育てられたキリヒトにとっても救いだったのだろう。再読のためこれからの展開は -
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最終章、第4巻を読み終えました。言葉に表して気持ちを伝えることが容易くないと言いましょうか、とにかく圧巻、感無量でした。1行で言い表すとすれば、言葉を呑むほど感動している…に尽きます。
ニザマ、アルデシュ、一ノ谷の三国和睦会議は固唾をのんで読み進めました。その量、軽い文庫本1冊分くらいはあるんじゃないかしら…! キリンの活躍は読んでいて爽快でした。
最終章、やはり魅せつけてくれますね。双子座の居城へと向かうマツリカ一行ら。面前でその様が繰り広げられているかのように臨場感が伝わってきます。焦りや恐怖といったもので支配され、呼吸も浅く早くなっていて、気づけば目を見張るように本を見つめていました。
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Posted by ブクログ
「言葉」の乱射がエグい
いやー面白かったねー
そしてこれを面白いと思える自分なかなかのもんやでとひとり悦に入れる系ですな
「言葉」と「歴史」
「言葉」と「音楽」
「言葉」と「差別」
「言葉」と「テロ」
「言葉」と「ジャーナリズム」
「言葉」を中心に多彩なテーマを描いています
強く思うのは、高田大介さんてめちゃくちゃ頭いいんだろうなーってこと
もうがんがん難しいこと言ってくるんよ
もう物語全編にわたってほぼ討論ですw
しかも半分くらいはちんぷんかんぷんです
超絶頭いい人がめちゃくちゃ分かりやすく教えてくれてるんだけど、いやそれはあなたのレベルで言う「分かりやすい」で、わいらからしたら十 -
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Posted by ブクログ
山育ちのキリヒトの、慎重でありながらも俊敏な体の動きの”勘のよさ“は第1巻から感じとっていました。第2巻ではそれが顕著にでていた。同じ人間の身のこなしなのか…と思うほど。
マツリカとキリヒトが行動を共にする場面では、同じ気持ちを共有しあう友のようなやり取りが垣間見えて、微笑ましいなと思った。
イラムの存在も大きい。キリヒトやマツリカ、ハルカゼ、キリンが家族のように唯一落ち着ける場所なのでしょう。食事をする彼らを見るのも、私の密かな楽しみとなっています。
後半、巨人の襲撃は手に汗握る展開だった。キリヒトの行動はとにかく凄かった。この一件で、温厚で従順でマツリカの手話通訳を器用にこなす、あの