あらすじ
深刻な麦の不作に苦しむアルデシュは、背後に接するニザマに嗾けられ、今まさに一ノ谷に戦端を開こうとしていた。高い塔のマツリカは、アルデシュの穀倉を回復する奇策を見出し、戦争を回避せんとする。しかし、彼女の誤算は、雄弁に言葉を紡ぐ自身の利き腕、左手を狙った敵の罠を見過ごしていたことにあった。
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まさかまさかの展開ではあった。
なにより、それによって起こされたマツリカの苦悩から示された彼女が如何に繊細かというのが如実に露見されたように思う。
いつの間にか、マツリカとキリヒトの間には強い繋がりが生じていたことに胸がほっこりとした。ニザマ帝はやはり帝なんだなぁとも。経験値の差というと簡単な聞こえになるが、一枚上手なのはそうかもしれない。
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片手にこの小説、片手に辞書、それでもわからないときはインターネットで言葉を調べながら読んだ作品です。これまで読んできた中で読み終わるまでに一番時間がかかりましたが、それに見合う読書体験ができました。人生で一番読み応えがあって、感動し、満足させてもらいました。こんなに趣味が読書で良かったと思ったことはありませんし、今小説を読んでいる!という充足感が最高です。
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何が凄いってもう、何一つ無駄のない文と知識に裏付けられた内容構成である。一つ一つのセリフに意味があるからだ。しかとも、「このときはまだ、ミツクビの凶手が迫り来ることに気がついていないのであった」という続きが気になる文言も折々に差し込んでいるため、読むことを止められないのである。更に内容を構成する謎は全て知識に基づいて練り上げられ、解説もされるため、私を魅了してやまないのだ。ラストがどうなるのか非常に楽しみである。すぐ第四巻を読もうと思う。
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どんどん広がる物語に圧倒されながら読みました。
序盤の様々な出来事は大いなる伏線だったと知り、一から構築した架空世界だけでなくストーリー展開にも緻密さを感じます。
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『これはすべて、もとはといえば書物を読むということの価値が広く知れ渡ったからだというのに、結果はまったく矛盾したものとなる。
書物が一介の消費財となる上に、複製すべき書物を選ぶのに人が人生を賭すほどの意味が無くなる。その帰結として起こることはもはや自明だ。この世に駄本が満ちあふれて流通することになる。愚書が蔓延る。』
複製技術の進歩が、書物を書き写すという労力をゼロにしてしまい、価値のない書物まで増え、何が価値があるのか分かりにくくなってしまった。
まさに同感。たまにそういう本に当たってしまいがっかりする。
ものすごく惹きつける作品でいよいよ最終巻へ。ニザマ帝国に乗り込む緊張感がたまらない。
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一気に物語が加速。実は外交交渉ファンタジーだったとは。蘊蓄が盛りだくさんで、これまではリズムがつかみにくかったが、ここに来て、リーダビリティも逸品。
マツリカは高い塔から動かない安楽椅子探偵タイプかと思っていたら、三国交渉に直に敵国ニザマまで赴く、なかなかのアクティブぶり。
キリンの能力全開、真骨頂だし、近衛の面々もそれぞれの個性が立って魅力的になってきたし、穏和かつしたたかなニザマ帝もお茶目でステキ。
長い蘊蓄にも慣れてきて、随所に挟まれるマツリカとキリヒトの会話にくすりとさせられ、ほのぼのとする。
三国交渉を成功させ、次巻は、いよいよマツリカを狙った刺客「双子座」との対決。楽しみです。
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マツリカの危機と側に寄り添うキリヒト、このふたりの関係性が読んでいてとても心地良いのだけど、シリーズということは今後それも移り変わっていくのだろうか。とりあえず今は、第四巻(分冊完結巻)が分厚いことが嬉しい。
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前の部分読んだ後少しあいちゃうと内容がすぐわからなくなるし、理解するのも結構大変だけど、討論の内容が面白いし、話がやっと展開してきて面白い!!
次の巻が楽しみ(^^)v
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キリヒトとマツリカの恋模様、いよいよ高まってまいりました。
互いの手を握り合って寝ちゃうわ、海原デートだわ。ベタといえばベタ。けど、あらすじが武骨だから、いいアクセントになっている。
あと、マツリカのキャラクターとか、キリヒトとの関係性とか、『図南の翼』の珠晶と供麒っぽくなってきた。キリヒトの方が遥かに大事にされてるけど。
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言葉を大事にして読みたい本。世界観にどんどん引き込まれて、どんどん読み進められる。でも、意味の取りにくいところや複雑な事情の語りは何となくで読み飛ばしても、それなりにきちんと理解できるところが不思議である。
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長く展開される知的会話がクセになって、いよいよ楽しい、海を渡る冒険つきの3巻。
技術のこと、農政、もちろん言語学、地理、政治力学… 刺激的な本だと改めて思います。
出番の増えていく衛兵たちもキャラクターがたっていて、キャラ同士の会話のテンポも○です。
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全4巻中、3巻での出来事
元儀仗隊アキームとイラムの心の機微
魔術書のニセモノぶり
印刷技術の普及による本の物理的価値の低下
特定の書物を禁書扱いする行為の無意味さ
戦役回避の布石としての技術復元
マツリカ襲撃とその結果
荒れるマツリカ
ニザマ帝との交渉
前半は書物を禁書扱いする無意味さについてのあれこれ
この辺は現代の表現規制とかデマの取り扱いに繋がるものがあるなぁ
間違っている事を広めたくないなら、間違っている事をそれ以上に広めればいいのでしょうけど
現実問題として、理解出来ないものより自分でも理解できるものを信じてしまう人が一定数いるわけで
そんな人達の目に触れないように情報を制限するというのは言論統制として正しいのかどうか
デマも深度があって、最初から最後まで荒唐無稽なものと、一部事実に即しているけど大部分が間違っているものがあるわけで
じゃぁ、何が正しくて何が間違っているのかという絶対的な評価とうのは本質的にはできないんですよね
となると、どんなデマであろうと言論そのものを封じる事はできないのではなかろうか
後半に関しては、これまでの展開の繋がりに驚く
地下水道の探索からの渋鞣の設備がこう活かされ
さらにそれが戦役を納めるための技術として用いられるという展開がね
知識ってすげぇなぁと改めて思う
そして、船旅でのマツリカの弱気デレ加減がよろしい(笑)
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文庫版3/4巻。
独特な小説だなぁ、とあらためて感じる。
読み応えのある展開。結構な頻度で難しい言葉が使われいるので、いちいちググり、へーほーと思いながら読んだ。どうやらニザマについて使われる言葉には中国に由来した言葉が多い。
一ノ谷をはじめとする周辺国家の思惑が交差する。マツリカ率いる高い塔の面々が活躍する。一見するとマツリカ達の計画は順調に進んでいるように見えるが......
以下ネタバレ有り。(備忘録)
今回はキリヒトはあくまで通訳としてのキリヒトだった。ある時、マツリカを狙う刺客が現れ、マツリカの利き手である左手を封じた。キリヒトには守れなかった。一種の催眠術のようなものであり、ハルカゼらはその術を説くべく奔走することになる。ハルカゼ超優秀。こんな姉が欲しい。
キリヒトの存在は、マツリカにとって全てとも言ってよいほど、以前にも増して掛け替えのないものとなっていた。
左手を失い、一時は失意に沈むマツリカであったが、周辺三国の状況が放っておかなかった。左手はなくとも右手がある。キリヒトがいる。そのことが彼女を落ち着かせた。
また、一年前からタイキ(先代)とキリヒトの師(先代キリヒト)が姿を消していたことがわかった。その目的は何か。マツリカの下にキリヒトを、タイキは自らの下に先代キリヒトを呼び寄せた、その理由とは何か。マツリカは何かを理解しているようである。
文庫版三巻目の見所の一つは、何と言ってもニザマへ出向したマツリカを描いたシーンではないだろうか。
ニザマ帝を前に臆せずに向き合うマツリカはさすが。そのマツリカさえも辟易させるほどに、ニザマ帝がとてつもなく奥深い人物と感じさせるところが、著者のすぐれた文才を感じる。
宴会の場での、二人の対話には読んでいるこちらもヒヤヒヤした。言葉の検閲、言論の統制を行うニザマに対し、言葉は自由に開かれるべきと主張するマツリカ。
私の思考が入り込む余地なんて無かった。何となく、中国やロシア、かつてのナチスドイツを想像してはみた。
最後にニザマ帝の医者の間で『諱(いみな)』について、魔女は知っているかという会話がなされる。ニザマ帝自らの死を覚悟しての言葉か。最終巻に向けての伏線か。
今後の展開が予想できない。キリヒト頑張れ。マツリカ頑張れ。
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物語が大きく動き出す第3巻。
崖下の工房や指話などそれまでの伏線が重要な意味を持って物語に関わってくる。
作者的にも、ようやくここまで来たかという感覚なんじゃないかと思ったり。
利き手を奪われたマツリカの動揺と焦燥。
そんなマツリカの助けになろうとするキリヒトの献身。
まさに、これまで二人が培ってきた絆の深さに熱くさせられる。
ただ個人的に今巻で一番熱くなったのは、イラムがアキームの顔に手をやり、語る場面。
こういうのに弱いのよ。
さて、ニザマ帝室との関係を結んで、策は成ったように見えるけど、当然、宦官たちの反撃が予想される次巻。
先代タイキのたちの動向も併せて、スカッとする大団円を期待する。
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自分が知らない日本語がこんなにもあったのかと思い知らされながら、逐一辞書を引いていては話にのめりこめないので、とにかく雰囲気だけ感じて先へ先へと読み進めます。だって面白いんだもの! 現実に引き戻されずにドップリ浸りたいんだもの!(地団太) これだけの語彙を自在に操れたらいいだろうなぁと羨望しつつ、一般人との会話では碌に通用しなさそうですね(笑)
語彙や言語学に限らず、政治戦略・地質学・農学・商学と、筆者の学の深さには恐れ入るばかりです。どれも単なる知識のひけらかしではなく、全てが密接に絡み合って話の展開に活きてくるところが凄い。凄すぎて全くついていけない自分が情けない……(涙) 話の骨太さに押しつぶされそうになりつつ、時折挿入されるマツリカとキリヒトのエピソードや、衛兵たちとのやりとりに心和まされています。
次はいよいよ最終巻……ぶ……分厚い……(汗)
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■剣でも魔法でもない、少女は”言葉”で世界を拓く
深刻な麦の不作に苦しむアルデシュは、背後に接する大国ニザマに嗾けられ、今まさに一ノ谷に戦端を開こうとしていた。高い塔のマツリカは、アルデシュの穀倉を回復する奇策を見出し、戦争を回避せんとする。しかし、敵は彼女の“言葉”を封じるため、利き腕の左手を狙う。キリヒトはマツリカの“言葉”を守れるのか?
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いよいよ面白くなってきた。ストーリーが流れている時と、言葉や政治について語られている時の緩急がある。語られている言葉の面白さもあるし、小説として書かれている言葉も大切に選ばれているのが分かるので、聞き慣れない言葉でもきちんと理解したいと思う。
四巻も楽しみだ。
2017/7/30
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前2巻まで、さんざん読みにくいだのルビが変だの言ってきたが、…面白かった。悔しいけど。
2巻からお抱えになった衛兵たちが良い味を出していて物語に活気が与えられている。キリヒトも相変わらずかっこかわいい。
キャラ読みにも耐えうる人物配置になり、内容も軽くない。
いいんじゃないか。
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第三部 一ノ谷、ニザマ
文献学講義と糸繰る者達
新しい護衛たちと少しずつ慣れていく。マツリカを襲う凶事と国を襲うかもしれない凶事。ほぐす事が出来るのか。
時々読めない漢字があって、もどかしくなる。さっき読んだページにルビが符ってあったと思って探すけど見当たらない。辞書を引く。ふ~っ
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キャラクターの個性がどんどん出てきたのと、物語が大きく動く。
マツリカに起こる事件、みんなで物事の解決に向かおうとする学者達、近衛兵たちのそれぞれ、そしてニザマ帝の登上。
盛り上がったところで4巻へ。
2016.11.1
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本編のメインどころではないけれど、イラムが本当に好き
エピソードを読んでるだけで元気がでる
そしてラテン語履修しとけばもっと楽しめたかもなという後悔した
イズミルの名前はトルコの市に由来してたりするのかな
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ニザマ帝との面会。根回しといくつかの切り札で満を持して外交に切り込む高い塔の面々、がぜん面白くなってきた。少数精鋭すぎる。
塩害を語り古歌の韻律を論じ政治に踏み込む、どこかの世界の文系科目の授業を受けてる気分になってきた。マツリカ、表紙も挿絵もないから想像が膨らむ。幼く聡く不遜な少女。
文字に埋もれていた少女と張り詰めた武の道しか知らない少年の感情と関係の行方をおばちゃんはニヤニヤしながら読み進めるのです。
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2021.1.5
これまでに比べて格段に読みやすく、事態も動いた。
フィジカル派の自分には向かない知能戦な物語だが、マツリカとキリヒトのこの人なしではいられない感が胸をうちます。
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くっ…三巻まで頑張って読んだが挫折しそう…。
この方のやたら長い文章が無駄ばかり多いように思えて仕方がない。おんなじことばっかり繰り返していうんだもの…言葉を尊ぶ女の子が主人公だから、あんな言い方もできる、こんな言い方もあるっていう、語彙の嵐でもいいのかもしれないけど。
このくどい言い回しのせいで、アクションシーンはスピード感迫力ともに削がれてる気がする。
どうも私の基準は上橋菜穂子先生にあるようだ。
あの簡潔な文章とは対極にある、装飾を凝らした語り口である。
しかし描写はくどいほど厚い割に人物造形が一辺倒な気がして奥行きはないと感じた。だいたい言うことが想像できると言うか。ある意味キャラが立ってると言うことかもしれないが…
まあでも女性は結構かっこよく描かれている。それが救い。
これ人気なのかあ…
私はファンタジー読みとしてあまり優秀ではないのかな…ファンタジー好きなのにな…ストライクゾーンが狭すぎる。
Posted by ブクログ
第3巻。
ニザマからの刺客の傀儡師による攻撃、ニザマ帝の登場。
ラストに向かって話が盛り上がってきた。
ちょっと言葉遣いが難しくて読み込めていないので、最後まで読んだら再読しよう、かな。