感情タグBEST3
Posted by ブクログ
どこまでがフィクションなのか分からなくなるが、おそらく出てくる神社などは架空だろうが、出てくる史料などは本物なのだろう。史学的なアプローチから文字の変換などはありうる話だと思う。
結局主人公の生い立ちなど不明な点は残っているが、伏線などは回収していて面白いと思う。
自分の住んでいる場所についてもっと調べてみたいと思った。
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史学的アプローチによる民俗学ミステリという面白さ。作中にガンガン史料を登場させ、読み解くことで現在の状況を導き出す。
伝奇ものに寄り過ぎず、冒険ものの味付けもある、物語の面白さを凝縮した贅沢な作品。
あの先生でシリーズ化したら面白いのだろうなあと期待する。
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話の流れとしては(特に最後の方)、どこかで読んだ話かな…と思う。
しかし、民族学の手法や思考法、言語学的な古語の紐解き方など…ストーリーに付随した知識量が豊富で、個人的には非常に面白かった。もっとこういうマニアックな小説が読みたい。興味のない人にとっては苦痛かも分からないが。
また、古語で書かれた石碑や文献の描写がリアル、かつ微妙にそのまま理解できてしまうのが「知りたくないのに分かってしまう嫌さ」として付き纏う、というのが新鮮な読書体験だった。
「差別的かつ暴力的」な噂話は特に伝播しやすいという意見、身につまされる。
自分が差別的な意識を持っていないと思いながら「ある言葉」を使う人々を最近たくさん見かける。
その人のことをよく知りもせず「ある言葉」でカテゴライズして馬鹿にして蔑む…こういう所から都市伝説は出発するのだろうか。人の営みは常に地続きだ。
Posted by ブクログ
民俗学ミステリ 下巻です。
わかってはいたけれど、さすがは言語学者さん。
難解です・・・が、面白い。
歴史を遡れば残酷無残に行き当たる・・・
裕は、自分が発信源にならぬよう注意された。
スキャンダラスで差別的な事は広がりやすい。
ある程度の考察が整ったところで、村の少年:淳が
帰ってこないと連絡があり、急遽、山に向かう。
そこに、紹介してもらった先生から連絡が来て、
裕の考察を真っ向から否定する。
聞いているうちに、淳と少女に危険だと判断。
ここから怒涛の展開がすごかったぁ~
久しぶりに焦りと緊張で心臓バクバクでしたよぉ~
「まほり」の意味が分かった時の恐ろしさったら!
裕の本題である、母親の事。
何一つ語られることはなかったけれど、最後の一言で
その理由がわかってしまった。
いやぁ・・・またもスゴイものを読んでしまいました。
この著者の作品の重厚さは、やっぱりスゴイなぁ~
Posted by ブクログ
「まほり」の意味が分かったとき、ぞっとした。しかし本当におもしろかった。解説通り、確かに謎の解け方も通常と違っておもしろい。なんとなく話の最後がずっと読めていたが、細かくは言及しないあたり余白があってよい。
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〜上からの続き〜
調べれば調べるほど混乱していく裕。
同級生の香織と一緒に少しずつ確信に迫る…
一方、地元の小学生の淳は知りたいことへ突っ込んでく。
そして、この3人が揃ったとき…
裕は真実に辿り着けるか?
いや〜面白かった!…が、寝落ちの確率がとにかく高い(笑)←まぁ、読んでみれば分かると思います。
とにかく、小難しいことだけでなく、香織との恋の予感も淳の猪突猛進ぶりも見どころ。
とても楽しかったです♪
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古文書部分も慣れると雰囲気は伝わるもので、何となく意味も伝わる。物語の後半先が気になりはじめると読み飛ばしたくなるのを我慢しなくてはならないのが、逆にマイナス要素か。蘊蓄万歳で、京極夏彦的で良かった。ただ超弩級のエンターテイメントって煽るなら上下巻で分冊しないで一巻本にして欲しかった。
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話がグッと進み始めた後半。やっとテンポが良くなった。
まほり、というタイトルが実はどのような意味を持っていたか。そこが判明するまで、主人公と一緒に大変な史料の点検をしてきた感じ。ある意味すごい臨場感。もちろん実際の研究はもっとじっくり文書を読み込むはずだから、読者側の私は楽をさせてもらったと思う。
伝奇ミステリという分野が昔流行った。似ているが、口伝より史料から謎を読み解く感じが、新しかった。
作中の古文書の文章は、実在のものなのか、創作なのか。どちらにしてもすごい。普段から作者さんはこういう文書に触れているのだろうと思った。楽しそう…
準主役の少年淳の出会った着物の少女と、裕のルーツ、両方がスッキリする。
古い因習による凄惨な過去を明らかにする話、かなり好物なので、楽しめた。
Posted by ブクログ
上巻に引き続き文献との格闘がかなり読み気をなえさせますが、この作品にこの件は必要不可欠なんだろうと感じます。
後半物語が動き出すことによりカタルシスへ誘われます。
主人公の母親についてのあることがら、途中から予想はつくのですが最後に明かされることで、まだ語られぬ物語に想像が膨らみます。
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半分からは続きが気になってドキドキしながら読み終わりました。出てくる単語や専門用語が少し難しくて読む人を選ぶかもしれないですが、テーマは非常に興味深く登場人物を含めた『場』の雰囲気を描くのがすごく巧い作家さんだなと思いました。
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もう、何を言ってもネタバレそう・・・
閉ざされた村の歴史と、今も行われる儀式とは。
ホラー調だけど、呪いとか霊とかは出ない。
そして言葉が難しい。世の中には私の知らない言葉がこんなにあるとは。
語源とか、候文とか、知らないことがいっぱい。
難しいので躓きつつではあるが、最後の一章は途中で止められません。
Posted by ブクログ
大学生の裕が母の出自を探るためある村を調べる話。探していくうちに怪しげな伝承が浮かび上がり、別口で調査する少年と出会い、どう終着するのか気になる。裕の成長や、学者達のスタンスも個人的見所。民俗学の奥深さを知る、まほりってそういう意味なのか。
Posted by ブクログ
上巻に続き、前半は幾つかの謎の核心に迫る文献資料を追う長い道のりにペースダウン。
飢饉や間引きといった悲惨を予感させるワードから覚悟はしていたものの、“まほり”という言葉に隠された陰惨な因習に寒気を覚えずにはいられなかった。
多くが語られないままの裕の母の形見がもたらす終わりもこれ以上ないインパクト。彼女が何を感じて生き、どういう経緯を辿って裕の父と出会ったか知りたい気持ちは山々だが、母親を苦しめていたであろう辛い過去の鎖を息子が時を越えて断ち切ったことに救われた思いがして、痛ましさと共に胸が熱くなる。