高田大介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった…!ずっと心待ちにしていたので期待も高かったけど、とても面白かった…!読む手が止まらなかった。
残されたわずかな手がかりや、アキームの素朴な言葉がきっかけとなって、マツリカの囚われている場所を絞っていくのがすごかった。ハルカゼやキリンはもちろんすごいけど、全員がマツリカ救出のために動いている姿に心が熱くなった。
これまでのシリーズのキャラクター大集合という感じで大満足。ワカンとエゴンはあれきりだと思っていたけど、嬉しいサプライズだった。ちょろちょろ、の仕掛けに驚かされた。
特にキリヒトが帰ってきたのが嬉しかった。キリヒトの天然な感じは相変わらずだけど、「全員切る」という選択肢が浮かぶのが、やはり「キリヒト」なんだな…と思った。マツリカとの数年ぶりの再会で、お互い万感の思いだろうに、交わされる言葉がほとんどないことに、かえって絆を感じた。ヴァーシャも相変わらずでなにより。
ミツクビの目的がわからず、とても不気味。洪鈞がミツクビに何を言ったのかも含めて、早くも2027年に出るという次巻が待ち遠しい。
言語学的な内容や地質学、政治、軍略など、細部に至るまで練られていて、正直に言えば半分も理解できていない気がしている。それでもこの世界や物語に強く惹きつけられるし、何度でも深く楽しめるような、そんな魅力がある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んでいる途中から、ああこれ「まほり」なんだな、と気付いて、その印象はラストシーンを迎えても変わらなかった。もちろん、お話としては完全に別物で、単に舞台をフランスに変えたって話はもちろん違う。
「人文ミステリ」というか、膨大かつ難解な学術領域そのものを舞台装置としたエンタメ、という、ちょっと類作が思い付かないような構成が共通してるな、と感じた。
お話としてはそれほど難解ではなく、あらすじとエッセンスだけなら非常にシンプルだと思う。
誰も死なないし、恋愛もない。銃撃戦やカーチェイスなどのバトルもないし、エンタメとしては致命的なまでに盛り上がる要素がない。
なのに、ぐんぐん「物語」に引き込まれ、読後感は最高という、素晴らしいエンタメ作品に仕上がっている。
現代フランスにおける「差別」の問題と、主人公が祖父の遺品である黒壇の箱から見つけた「紙片」の謎、そして、フランスという国家の歴史や、「対比法」という音楽の学術的な理論が同時並行で進んでいく。
そのうえで、「まほり」同様に、がっつりと様々な領域の学術的な蘊蓄が展開されるので、読んでいるうちに、いま自分は何を読んでいるんだっけ、ってことになりかねない。これが「高田大介」の作品でなければ。
高田大介が凄いのはここから。氏の作品は、こういった入り組んで分かりにくく為りかねない内容ですらも、流麗でリズムの良い文体で語られることによって、読むストレスを感じさせない、というレベルを超えて、「読む」という行為そのものが愉しくなっていく。これは本作だけの話ではなくて、高田大介作品すべてがそうなのだからとんでもない。
もちろん、「雰囲気」として「読みやすい」だけでなく、本来なら難解で理解が難しい学術的な内容であっても、それを「作品」の舞台装置として最大限に活かし、素人である登場人物を介入させることで、素人である読者にも理解できるようになっていく。安易な例え話や省略に頼って「分かりやすさ」に逃げることをせず、真正面から正確に伝わるよう、難解なものを難解なまま、しかし理解するための補助線や導線をしっかりと整備しながら、「物語」の舞台装置として読者に染み込ませていく。これこそが、高田大介作品における最大の魅力だと自分は感じている。
そして本書は、語られてきた全ての要素が、最終章で「記憶の対位法」というタイトルに収斂されていく。この流れが本当に美しくて、書かれた全てが、まったく無理のない自然な展開のなかで回収され、「記憶の対位法」という言葉へと姿を変えていく。
そして迎えるラストシーン。自分ははっきりと映像で「見えた」。これまたとんでもない美しさだった。
作品としての「美しさ」と、ラストシーンの映像としての「美しさ」。ダブルの美しさで完全KOされました。
高田大介は名作しか書いていない。
マジでとんでもない傑物だと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ題名の意味が最後にすっきりと氷解する。社会学のブルデュー、トッド等や移民政策などなじみがあるところはともかく、音楽史、オック語等は読むのが面倒なところも。
2017年リモージュの新聞記者ジョンゴ(ワトソン)が大学院生ゾエ(ホームズ)と組んで、対独協力者として断罪された祖父の遺品から隠された謎を探求する。
それと並行して、イスラム原理主義者のテロの冤罪として友人が巻き込まれる事件が起こる。
背景として、衒学的に次の語りが入る。
①フランスの移民社会の課題、移民政策、社会の階層化、投票行動のマインドセット等社会学の分析がちりばめられる。ジャンゴも祖父はアルザス人で祖母はマグレブ、教師等を排出する家族であるのに、学校嫌いで新聞記者。
②リモージュで起こったとされる対位法など古楽の歴史。
最後に「対位法」の題名がわかる。
③歴史修正主義に対するフランスの「記憶の法律」それ自体も歴史修正主義の側面も。
最後に、祖父の遺品は、アデマール・デ・シャバンヌーリモージュの司教であり対位法の創設者と目され歴史の捏造者が糾弾し、冤名を受けた学僧に対する同情とアデマールに対する憤懣を自己に重ね、アデマールの対位法も剽窃だと論考するための資料収集と想定される。
中世、戦後、現代を通じた「記憶の対位法」 -
Posted by ブクログ
すごく難しい本でした。
最初は 主人公ジャンゴのお祖父さんが第二次世界大戦後 ドイツへの協力者コラボと呼ばれて排斥されます。教師でした。
この排斥がひどい!
フランス革命の時の住民の怒りのようなものです。
お祖父さんは 家族と離れて 逼塞します。
そこで年下のヤスミナと結婚し ジャンゴの父が産まれる。
ある日 兄から電話があって お祖父さんが亡くなり 遺品を預かってるから 持っていってくれ。
その遺品の中に黒檀の小箱が何個もある。
ラテン語や音楽にも強いゾエという女の子が
興味を持って見てくれ 箱の内側から ラテン語で書かれた古い時代の聖歌の楽譜をみつける。
記憶の対位法がテーマ
それは ジャンゴの友だちのイスラム教の子が
いきなり警察に引っ張られたり
アルザスロレーヌ地方出身だった祖父が コラボだと言われたり
そのあと出てくる 昔 キリストの13人目の弟子がいた。
なんて話しが現れたりする。
対位法って音楽用語らしい
昔のグレゴリア聖歌より古いのか?
対位法の音楽は ドーモを震わせ 人の心も打った。
この話しは記憶の対位法がテーマ
難しいな!やっぱり!
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ネタバレ数年ぶりに再読。キリヒトの正体を知った状態で読み返すと、かなりわかりやすく伏線が張ってあったんだな…と感じた。これだけヒントがあったにもかかわらず、マツリカが繙くことができなかったのは、キリヒトだけが本当の意味での味方だと無意識のうちに感じていたからかもしれない。
キリヒトが覚悟を決めるシーンの笑顔が悲しくてたまらない。とどめを刺そうとした瞬間の恥じるような表情に涙があふれた。マツリカもキリヒトも自ら望んで生まれついたわけではない。そんな二人が手を取り合ってやり取りすることに密やかでたしかな絆を感じるし、人を斬るために育てられたキリヒトにとっても救いだったのだろう。再読のためこれからの展開はすでに知っているけれど、しっかり見届けたいと思う。 -
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最終章、第4巻を読み終えました。言葉に表して気持ちを伝えることが容易くないと言いましょうか、とにかく圧巻、感無量でした。1行で言い表すとすれば、言葉を呑むほど感動している…に尽きます。
ニザマ、アルデシュ、一ノ谷の三国和睦会議は固唾をのんで読み進めました。その量、軽い文庫本1冊分くらいはあるんじゃないかしら…! キリンの活躍は読んでいて爽快でした。
最終章、やはり魅せつけてくれますね。双子座の居城へと向かうマツリカ一行ら。面前でその様が繰り広げられているかのように臨場感が伝わってきます。焦りや恐怖といったもので支配され、呼吸も浅く早くなっていて、気づけば目を見張るように本を見つめていました。
個人的にコダーイ大佐は裏表がなく好感が持てるし、人として好きですね。アキームも勇敢でかっこいいと思いました。
やはり要となったのはマツリカとキリヒトの指話かなと。和睦会議で遺憾無く発揮していて爽快でした。相手に悟られず、どんな内緒話でも話すことができるんですからね。
いつの間にか夢中になって、前のめりになって(笑)、周りが見えなくなるくらい惹き込まれる世界観でした。続編もあるようなので、そちらもまた楽しみたいと思います。 -
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「言葉」の乱射がエグい
いやー面白かったねー
そしてこれを面白いと思える自分なかなかのもんやでとひとり悦に入れる系ですな
「言葉」と「歴史」
「言葉」と「音楽」
「言葉」と「差別」
「言葉」と「テロ」
「言葉」と「ジャーナリズム」
「言葉」を中心に多彩なテーマを描いています
強く思うのは、高田大介さんてめちゃくちゃ頭いいんだろうなーってこと
もうがんがん難しいこと言ってくるんよ
もう物語全編にわたってほぼ討論ですw
しかも半分くらいはちんぷんかんぷんです
超絶頭いい人がめちゃくちゃ分かりやすく教えてくれてるんだけど、いやそれはあなたのレベルで言う「分かりやすい」で、わいらからしたら十分難しいんですが?って経験誰でもあると思うんよね
学術的なことに限らずそれこそスポーツとか仕事の業務とかさ
「ね?こうやると簡単でしょ?」みたいな
心の中で「いや簡単じゃねーよ!(ハリセンボン春菜)」っていうあれ
でも、なんかそれが面白いんよ
分かんないこと面白いんよ
分かんないことが楽しいんよな〜
ふっしぎ〜
ただのドMやん!( ゚д゚ )クワッ!!
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Posted by ブクログ
山育ちのキリヒトの、慎重でありながらも俊敏な体の動きの”勘のよさ“は第1巻から感じとっていました。第2巻ではそれが顕著にでていた。同じ人間の身のこなしなのか…と思うほど。
マツリカとキリヒトが行動を共にする場面では、同じ気持ちを共有しあう友のようなやり取りが垣間見えて、微笑ましいなと思った。
イラムの存在も大きい。キリヒトやマツリカ、ハルカゼ、キリンが家族のように唯一落ち着ける場所なのでしょう。食事をする彼らを見るのも、私の密かな楽しみとなっています。
後半、巨人の襲撃は手に汗握る展開だった。キリヒトの行動はとにかく凄かった。この一件で、温厚で従順でマツリカの手話通訳を器用にこなす、あのキリヒトと同一人物なんだろうかと…鳥肌が立つほど恐怖に感じてしまった。キリヒトの名前の由来にも驚きを隠せない。
第2巻まで読んで、知らぬうちに物語に取り込まれて夢中になるくらいに面白いと感じている。引き続き3巻を読んでいきます。