岡部宏之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
有名なテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作。「氷と炎の歌」シリーズの1作目。架空の世界における勢力争いをベースとして、主要人物を追いかける群像劇である。ファンタジーに分類されるようだが、過去にドラゴンがいたという記述以外は魔法や異種族などファンタジー的な要素は少なく、人間同士のドラマという性格が強い。
分厚い本であるが章が細かく分かれていて、章ごとに焦点が当たる人物がいる。ちょうどドラマの1話分程度のボリュームであり読み進めやすい。一度のめり込むと抜け出せなくなる面白さがある。
ただ、登場人物が異常に多いので名前を覚えるのが大変。メモを取りながら丁寧に読んだ。
個人的には〈冥夜の守人〉に入ったジョンを推している。今後の展開が気になる。 -
Posted by ブクログ
ハリ・セルダンが若き日に、心理歴史学へどのようにしてたどり着いたかを記している。
クレオン一世に「周到に」興味をもたれた結果、彼が身を隠しながら、理論でしかなかった心理歴史学を実際に運用しようと二万年の「歴史」を手に入れようとする。
公園で出会ったジャーナリスト、ヒューミンの導きで、ストリーリング大学でドースという協力者を得て、その後危険を察して、より「古い何か」をもつマイコゲンへと逃れていく。
皇帝の前でも頑なに心理歴史学は理論であると言い張っていたセルダンは、協力者達との対話を通じて、実学の可能性を探っていく様子に引き込まれる。
また、それまでのハリ・セルダンは全てを悟った老人のイメージだったが、心理歴史学を練り上げていく若者の姿は、興味深かった。 -
Posted by ブクログ
まだ最後まで読んでないのに感想書くとは。HBOのドラマが好き過ぎて、ハウスオブドラゴン観たし一念発起して読み始めた。キングの新作でも登場人物にゲースロ原作めちゃくちゃ面白いって言わせてたから、キングも好きに違いない。ドラマもいいけど原作がこれまためちゃくちゃ面白い!面白すぎて読んでないときも仕事中も家族と会話してるときも気がつくとゲースロ界に入り込んじゃってる。ドラマより登場人物たちの心理描写とか関係性がより深く表現されてて、ああ、あのときこんな気持ちだったのか…とか考えながら読めるから楽しい。アリアとジョンが仲良しだったり、ティリオンとジョンが友達だったり、ドラマではサラッと流されてたとこ深掘りしてくれるから読むのが楽しい!次の巻も楽しみ…てかスピンオフ書いてないで早よ完結させて…!
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Posted by ブクログ
ネタバレJ・R・R・マーティンが送る一大ファンタジー。ファンタジー小説かと思いきや読後感は戦国絵巻のそれに近く、数々の家同士の争いや権謀術数、数奇な運命に巻き込まれる子どもたちが描かれている。物語は様々な視点によって描かれており、複数のストーリーが同時進行するさまは、やや全体像の把握に困難を極めるが、それでも各エピソードの練り込み具合とキャラクターの魅力でぐいぐいと引き込まれてしまう。王の手に任命されて異変を探るエダート。妹からの手紙でラニスター家の不穏な動きを知り、それをエダートに伝えに行こうと旅に出るキャトリン。幼く、事態の変化をまだ知らないブラン。姉に引け目を感じながらも、姫らしくない活発さを誇るアリア。ナイツウォッチに任命された私生児ジョン・スノウ。遠き血で蛮族と政略結婚した、ドラゴンの血を引くデナーリス。物語は主にこの6つの視点で描かれる。自分がこうした戦国絵巻が好きだというのは新たな発見だった。
かつて大陸を支配した狂王エイリスを打倒し、新たな王となったロバート王。王ならではの野心と孤独感に苛まれながらも、ジョン・アリン公暗殺に異変を感じ、唯一の友人であり腹心の部下であるエダート王を王の手に任命する。豪放磊落なロバート王とやや堅物で真面目なエダードの関係は非常に分かりやすいが、両者とも死亡フラグが凄い。上巻では無事だが、下巻でこの二人の顛末が明らかになってからが本当の戦国時代の始まりだろう。エダードの息子ロブは14歳という年齢でウィンターフェル城の城主となるが、こちらもやや危うさを漂わせている血気盛んな若王子といったところで、いずれラニスター家との争う予感がする。弟のブランは密談を覗いてしまったが故に窓から落とされて下半身不随になったが、これはいずれ治るのだろうか。まだ7歳だが、この長い長い歴史絵巻の中でこの年齢や割かれた尺の長さから、数奇な運命に巻き込まれる主人公という感じがする。そういう意味では成長がとても楽しみである。クイーン・サーセイの息子ジョフリーに恋をしているサンサ、そんなサンサと仲が悪く、剣術を習っているアリアなど、次世代への種まきもしっかりと行われている。ただ、スターク家分裂の予感がして結構怖くもあるが。
ロバート王の妻であり、数々の異変の元凶でもあるクイーン・サーセイや分かりやすい残虐な王妃といったところで、そのサーセイと姉弟ながら通じている「王殺し」ことジェイミー・ラニスターも色々ときな臭い。この王殺しというのがそのままロバート王殺害に繋がるのではないかと読んでてヒヤヒヤしてくる。そんな悪徳のラニスター家の中でも稀代のトリックスターとして振る舞っているのはティリオン・ラニスターだろう。短剣の持ち主であるためブラン殺害未遂の容疑をかけられているが、この事件の真相はいまだ明らかになっていない。真犯人はラニスター姉弟だろうが、この家同士の戦争の前触れで、ティリオンの立場がどうなるか気がかりである。ブランの鞍を作ってやったり、ジョン・スノウとの会話など、スターク家の面々と親しい付き合いがあるので、やや引いたポジションの語り部として活躍スのではないだろうか。小鬼(インプ)という名称と皮肉な言い回しなど、実に魅力的なキャラクターである。
そんな戦国歴史絵巻の中でもう一人の主人公と言えるのはジョン・スノウだろう。エダードの私生児でという立場のせいか、その意味を知る娘のサンサや妻のキャトリンからはとにかく嫌われている。そんなコンプレックに苛まれているジョンだが、個人的に一番気に入ったエピソードは、母を娼婦呼ばわりした男を滅多打ちにしたら、武具師ドナル・ロイにエダードの私生児というバックボーンはここでは恵まれた文化資本であることをジョンに突きつけるシーンだろう。
滅多打ちにできたのは才能でも何でもなく、剣を持ったことのある、教わる人間に不自由しなかったが故の環境である。他の人間は母親が娼婦である人間は多く、剣など持ったこともない、喧嘩を習い覚えたのは裏路地や売春宿で、本物の剣を買うことができるほどの金持ちは二十人に一人もいない。そんな人間たちを滅多打ちにしたお前は弱い者イジメのがき大将に過ぎないという喝破は素晴らしかった。
非常に濃密で読み疲れるが、物語の密度は凄まじく、読んだ後にすぐさま下巻に手を伸ばしたくなるほどの中毒性がある。ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」はとりあえず下巻まで読んでから見てみることにしよう。