岡部宏之のレビュー一覧
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『ファウンデーション』シリーズは、厳密な科学的思考に基づくSF作品として知られていますが、その構造の中に、理性だけでは説明しきれない深い洞察が織り込まれています。
ハリ・セルダンという存在は興味深い二重性を持っています。彼は精緻な数式で未来を予測する科学者でありながら、その行為自体が人類の運命に対する深い直観的理解を示唆しています。「タイム・ヴォールト」のメッセージは、未来を見通す知性の可能性と限界を同時に私たちに問いかけます。
物語に転換をもたらす「ミュール」の出現は、純粋な理性的予測を超えた力の存在を暗示します。また、第二財団の活動は、表面的には心理学の応用でありながら、人間の意識や社 -
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銀河帝国興亡史、3部作の完結編。
本作の主軸は「第2ファウンデーションはどこにあるのか?」である。わかりやすくワンテーマで物語が展開されるため、これまでの2作に比べると格段に読みやすいが、作品としての質が低下しているわけではまったくない。むしろ、探索の標的になる第2ファウンデーションとはどのような存在なのか、という副次的な関心事項がかえって私たちに大きな問題意識を投げかけている。それは、「私たちの世界の中に『ほんとうのこと』というのは存在するのか?」という問題提起であると自分は受け取った。
第1部ではミュールによる探索、第2部では第1ファウンデーションによる探索が描かれる。第1部は事 -
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SFの巨匠アイザック・アシモフが描く壮大な宇宙叙事詩の第1巻である。
人類の未来を数学的手法で予測する「心理歴史学」というアイディアが秀逸で、人間の数が現在の地球上の人口を遥かに凌駕する規模になれば、人類がつくり上げる文明がどのような動きをするのかは数学的に予測できる、というのは妙に納得させられてしまう。この時点で本作の凄みが感じられるところは、まさに「センスオブワンダー」である。
本巻では3人の人物に焦点を当てて、彼らを取り巻く社会的状況を具体的なエピソードをもって描いていくが、私たち読者はこれらのエピソードを気の遠くなるような長さの人類史という視点から俯瞰的に見なければならない。資源を -
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有名なテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作。「氷と炎の歌」シリーズの1作目。架空の世界における勢力争いをベースとして、主要人物を追いかける群像劇である。ファンタジーに分類されるようだが、過去にドラゴンがいたという記述以外は魔法や異種族などファンタジー的な要素は少なく、人間同士のドラマという性格が強い。
分厚い本であるが章が細かく分かれていて、章ごとに焦点が当たる人物がいる。ちょうどドラマの1話分程度のボリュームであり読み進めやすい。一度のめり込むと抜け出せなくなる面白さがある。
ただ、登場人物が異常に多いので名前を覚えるのが大変。メモを取りながら丁寧に読んだ。
個人的には〈冥夜の守 -
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ハリ・セルダンが若き日に、心理歴史学へどのようにしてたどり着いたかを記している。
クレオン一世に「周到に」興味をもたれた結果、彼が身を隠しながら、理論でしかなかった心理歴史学を実際に運用しようと二万年の「歴史」を手に入れようとする。
公園で出会ったジャーナリスト、ヒューミンの導きで、ストリーリング大学でドースという協力者を得て、その後危険を察して、より「古い何か」をもつマイコゲンへと逃れていく。
皇帝の前でも頑なに心理歴史学は理論であると言い張っていたセルダンは、協力者達との対話を通じて、実学の可能性を探っていく様子に引き込まれる。
また、それまでのハリ・セルダンは全てを悟った老人のイ -
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