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アイザック・アシモフの数ある作品の中で『映像化不可能』と言われている作品です。そう言われるだけあって読み応えあります。
アシモフの作品には、有名な「ロボット三原則」のようにシリーズ毎に一貫したテーマがありますが、この「銀河帝国興亡史」では「心理歴史学」です。
「銀河帝国はどのような滅亡の道を辿るのか?」、「ファウンデーションはどうやってその危機を乗り越えるのか?」、「そして、ハリ・セルダンの予言とは何なのか?」
そう思いながら物語を読み進めていくと、あっという間に三部作を読み終えてしまいます。
他のアシモフ作品につながるテーマが要所に盛り込まれている、アシモフファン必読の三部作です。
Posted by ブクログ
飽和状態となり頽廃と崩壊を続ける第一銀河帝国。その事実を理解した科学者ハリ・セルダンは心理歴史学をもとに二つの“ファウンデーション”を設立するが……
壮大なスケールで描かれる宇宙叙事詩第1巻
めちゃくちゃ面白い!!
もともとミステリ読みなので、アシモフは「黒後家蜘蛛」を嗜んでいる程度なんだけど、さすが本家。こちらがアシモフのホームなんやね、と納得できる素晴らしさ。
“宇宙叙事詩”という文言で読むのを決めたんだけど、間違いないわ。濃厚な物語を楽しみたい人にオススメ。→
連作短編集なんだけどそれぞれの間が30〜50年空いてるから、一つ前の話の登場人物が次の話で言い伝えみたいな感じで出てくるのが個人的に好き。
度肝を抜かれるのが、アシモフがこの話を発表したのが1942年からという……え?第二次世界大戦下でこんな話考えてたの?!となる。SF作家すげぇ笑
Posted by ブクログ
『ファウンデーション』シリーズは、厳密な科学的思考に基づくSF作品として知られていますが、その構造の中に、理性だけでは説明しきれない深い洞察が織り込まれています。
ハリ・セルダンという存在は興味深い二重性を持っています。彼は精緻な数式で未来を予測する科学者でありながら、その行為自体が人類の運命に対する深い直観的理解を示唆しています。「タイム・ヴォールト」のメッセージは、未来を見通す知性の可能性と限界を同時に私たちに問いかけます。
物語に転換をもたらす「ミュール」の出現は、純粋な理性的予測を超えた力の存在を暗示します。また、第二財団の活動は、表面的には心理学の応用でありながら、人間の意識や社会に対するより根源的な理解を示しています。
後期の作品で展開される「ガイア」の概念は、個と全体、意識と物質の関係性について、従来のSFの範疇を超えた思索を導入します。アシモフは科学的な言語を用いながら、実は人類の知性と意識の本質について、より広い視野から考察を行っているのです。
このように『ファウンデーション』は、表層の科学的外観の下に、人類の知性と意識の可能性について、より深い問いを隠し持つ作品として読むことができます。それは現代の科学技術文明が直面する本質的な問題にも、新たな視座を与えてくれるかもしれません。
Posted by ブクログ
SFの巨匠アイザック・アシモフが描く壮大な宇宙叙事詩の第1巻である。
人類の未来を数学的手法で予測する「心理歴史学」というアイディアが秀逸で、人間の数が現在の地球上の人口を遥かに凌駕する規模になれば、人類がつくり上げる文明がどのような動きをするのかは数学的に予測できる、というのは妙に納得させられてしまう。この時点で本作の凄みが感じられるところは、まさに「センスオブワンダー」である。
本巻では3人の人物に焦点を当てて、彼らを取り巻く社会的状況を具体的なエピソードをもって描いていくが、私たち読者はこれらのエピソードを気の遠くなるような長さの人類史という視点から俯瞰的に見なければならない。資源をほとんどもたない辺境の小国が、傑物のリーダーシップとアイディアによって危機を切り抜ける痛快さを楽しむのはもちろん間違いでは無いが、本作の魅力はそれだけではなく、いかなる価値観が社会において支配的なのかという「時代」を読み解くことの「楽しさ」、これも同時に本作の魅力であろうと思う。本巻では経済の力が宗教の力を上回ることを示したところで物語が終わるが、もちろん作者はその先も見ていることは本文中でも示唆されている。WTOが機能不全に陥り、自由貿易体制の危機が叫ばれる現在、本作が提示する俯瞰的視点を持つことの重要性を感じずにはいられない。
Posted by ブクログ
銀河系全土を一万年以上にわたって支配してきた銀河帝国は、爛熟期から停滞期を超えて、緩やかに衰退しつつあった。
「心理歴史学」の第一人者ハリ・セルダンは、このままでは帝国が滅亡することを予言し、人類の知識的滅亡を防ぐために帝国中から学者を集めて百科事典を編纂するプロジェクトを開始する。衰退を直視しようとしない帝国から危険分子と見なされたこのプロジェクトは、セルダンの死去とプロジェクト関係者10万人が辺境の惑星ターミナスに追放されることにより、実質的に幕を閉じたかに見えた。しかし、ターミナスにプロジェクト拠点が写されること自体、実はセルダンの遠大な計画上予測され、準備されたことだった。セルダンの計画、それは多数の人間集団の行動を予測する為の数学的手法である「心理歴史学」を駆使することにより、未来の人類社会の動きを中長期的に予測し、なにもしないままでは次の文明興隆まで1万年以上かかるであろう暗黒期を千年に縮めるという気宇壮大な計画。ターミナスに残された10万人は、失われつつある帝国の科学技術を温存して次の「第二銀河帝国」の種となるべき存在だったのだ。百科事典編纂財団として発足したことから、やがて「ファウンデーション(財団)」と呼ばれるようになるターミナス社会は、「第二銀河帝国」への道筋をどのように切り開くのか?未だに強大な権力と軍事力を有する銀河帝国勢力と、どのように闘っていくのか??
いやー、愉快痛快!「古き良きSF」の面目躍如!!
何分にも、1950年代の作品(!)ですので、今読むと古さを感じるのは否めません。キャラ設定がシンプルで善人は善人、悪人は悪人と読み進めるまでもなくわかったり、作中に登場する「原子力」は現実の原子力とは異なり要するに「スゴく進んだ技術」を示すイメージだったり、訳文も古いので会話の流れが時々直訳調になって読みづらかったり、というところはあります。
が、そんな欠点を補ってあまりある、この「手に汗握る」感!銀河の辺境の田舎惑星ターミナスで、資源も軍事力も持たないファウンデーションが持っている唯一にして最大の武器、それは「知識」そしてそれを活かす「知略」です。衰退しつつあるとはいってもまだまだ強大な周辺諸国や帝国中枢を相手に、知と策略を武器にばったばったと敵をなぎ倒し、手を替え品を替えつつ勢力を拡大していくファウンデーション。この過程の爽快感と言ったらないです!
現実の人間社会に鑑みて、この展開は楽観的すぎるんじゃないの?という意見は、確かにあります。でも、「心理歴史学」という魅力的な架空理論でこの作品世界に強固なバックボーンを通し、痛快な冒険群衆活劇(と言っていいのか?ヽ( ´ー`)ノ)を描き出したアシモフのこの発想力は、まさにSF、センス・オブ・ワンダーだと鴨は思います。SFなんだから、思いっきり楽しみましょうよ!
Posted by ブクログ
アイザック・アシモフ!なんと巨大か!
さすがビッグ・スリーと呼ばれるだけはある。
アシモフといえば、ロボットの行動原則をシンプルにまとめ上げた(良いものは、往々にして単純なものだ)『ロボット工学三原則』で有名だが、ただそれだけが彼の名をビッグ・スリーと呼ばせたワケでないことを、未熟ながらも認識しているつもりだ。
科学的な後押しを得た豊かな発想に、読者を難なく惹きつける見事なプロット。そして、それらに垣間見られる確かな洞察は、単純明快でエキサイティングな彼の作品に多重の深みをもたらしている。
さて、そんな偉大なアシモフが樹立する気宇壮大な叙事詩─ファウンデーションシリーズは、ロボットシリーズに並ぶ彼の代表作。ヒューゴー賞のベストオールタイムシリーズ部門を受賞する傑作である。
その銘記すべきシリーズの第一作である当著は、帝国の生んだ最後の天才/心理歴史学者ハリ・セルダンの予言で始まる。
「銀河帝国の滅亡は避けられず、然る後三万年の暗黒時代が到来する…」
この暗黒時代を僅か一千年に圧縮にするため、セルダンは”ファウンデーション”を建立するのだが…
ファウンデーションに襲いかかる大難に、全幅の機知をもって立ち向かうサルヴァー・ハーディンやホバー・マロウの活劇に心奪われる…!
前に読んだ「われはロボット」に見られるように、当著はミステリー要素を多分に含んでいる。課題に立ち向かうハーディンやマロウの行動は一見すると理解し難いが、物語の終りでは、快刀乱麻を断つが如く謎は明らかとなり、課題は解決する。
複雑にもつれた(ように見える)事柄は、単純明快な名の下に整理整頓され、後には興奮冷めやらぬ余韻だけが残るのだ!
そして、そんなスリリングでエキサイティングな物語だが、空想の世界に留まらない─現代世界にも通じる的確な洞察が見え隠れする。
うーん、やっぱりアシモフすげぇよ。
読後、「アシモフすげぇ…!」という語彙のない月並みな感想しか抱けなかったが、それでいいのだ。
良いものは、往々にして単純なのだから!
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