フィリップ・K・ディックのレビュー一覧

  • ヴァリス〔新訳版〕

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    神学モチーフは確かに難しいし、わかりづらい。
    だけども、ヴァリスのわかりにくさは作品の善し悪しというよりも読んでいてそのわからなさも魅力だ。
    新訳での残り二作が出るのを楽しみに待つ。

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    2014年06月03日
  • 時は乱れて

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    初期の作品ではあるがディックのパラノイアの予兆のようなものを感じる。
    得意の現実崩壊系の作品で、プロットが面白く・破綻も無くしっかりしていて珍しく綺麗にまとまっている。
    良く言えばまとも、悪く言えばディックの良さが足りないかなと言ったところ。

    でもこういう話はすごく好きですw

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    2014年02月06日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    「にせもの」のスリル、
    「おお!ブローベルとなりて」「ぶざまなオルフェウス」の黒い失笑、
    「さよなら、ヴィンセント」の切なさが、特にも印象的だった。
    小説ではなく、著者の論考である「人間とアンドロイドと機械」も収録されていて
    SFを通じて著者が何を熟考し、表現したかったのかが、ひしひし伝わる。
    書くことは戦いであり探究、という印象を得た。
    「ペンと剣」という言葉を思い出した。

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    2013年11月23日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    このブラックな感じがなんとも言えない作品。短編集ということもあり、気に入った作品も、苦手な作品も半々といったところでした。とはいっても、これは海外SFがまだ二回目なので楽しみ方がまだ手探り状態ということにも起因しているとは思いますが…。
    個人的には、「ウーブ身重く横たわる」「にせもの」「電気蟻」「凍った旅」がお気に入りです。
    特に「電気蟻」のアンドロイド?ロボット?の仕組みは最近のSFには絶対出てこないものだったので新鮮で興味深かったです。

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    2013年10月18日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    やばい!ディックの悪夢世界から抜けられない・・・

    でも、著者の「短期間で量産した」とまで言われる膨大な短編はどんな感じなのだろう?ということで読んでみる。

    ここにもあるある!50年代の短編には見られない、精神分裂症的な影が60年代に現れてきているのです。自分が本物であることを信じきっている「にせもの」って今の我々にも悲しく重苦しく響くものがあります。じゃ、本物って何よと開き直る現代がさらに恐ろしく見えます。

    きっとコンピューターの仕組みを理解しないで書いている「電機蟻」も気味の悪さは増すばかり。これって自分の脳をカスタマイズするってことじゃないですか!

    必ずや発狂する「凍った旅」。傑作

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    2013年10月10日
  • 高い城の男

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    ネタバレ

    第二次世界大戦で枢軸国側が勝利した世界に生きる人々の群像劇。
    北米は3つに分断され、日本支配地域、ドイツ支配地域、中立地域となっている。
    ドイツは水面下で、日本を破壊して世界を征服しようと画策している。(タンポポ作戦)その矢先にボルマン首相が死去。タンポポ作戦の賛成派であるゲッペルスが次の首相として有力視されている。一方、タンポポ作戦反対派のハイドリヒが盛り返しているという話もある。小説で描かれているのはこの辺までで、その後どうなるのかは分からない。
    ホーソーン・アベンゼンが書いた「イナゴ身重く横たわる」という歴史改変小説が流行している。この本では(現実の歴史とは詳細が異なるが)連合国が勝利し

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    2018年12月30日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    ブラックユーモアの本場
    サイエンスフィクションと古典文学の風潮とアメリカ現代社会の英語の潮流、社会的風潮、、、潮?
    『人間とアンドロイドと機械』…SF作家のユニークな考え方、隠れた名著、小論文に

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    2013年06月02日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    フィリップ・K・ディックは、麻薬をテーマに扱った作品が多いけれど、この作品はその代表作。

    「麻薬でトリップ→ひどい悪夢→やっと目が覚める→と思ったらまだ悪夢の中」という恐怖を、しつこいほどに描いています。人間の意識なんてあやふやなものだと思わされます。

    麻薬による、人びとのそれぞれの夢の中に普遍的な神として君臨するパーマー・エルドリッチ。人間が己の瑣末な意識から逃れられない存在なら、神はその幻想さえ支配すれば神たり得るのかもしれません。

    途中まで、主人公をバーニー・メイヤスンだと思っていました。公式の主人公はレオ・ビュレロなんですね。

    タイトルは良いですね。美しいです。同じ作者の「流れ

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    2013年06月02日
  • 偶然世界

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    ネタバレ

    SF界では有名な方らしいというのと、本屋で見た装丁がかっこよ(略)厨二心をくすぐられたので購入。よく耳にする「~は~の夢を見るか?」というタイトルの元ネタでる「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という作品を書いたフィリップ・K・ディックの長篇処女作。らしい。本当はどこかの作品でオマージュだか参考だかにされているから手に取ったんだと思うけど、その作品かは忘れてしまった。

    ボトルという装置によってランダムに権威者が無作為に変動していく近未来の世界で、従属契約や刺客とディープの争い。《炎の月》。
    絶対的君臨者として存在するヴェリック。それにつき従うエレノアとムーア。テッドは翻弄されるがままにその

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    2013年02月20日
  • 偶然世界

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    PKDにしては、なんだか読みやすいぞ。最初の長編だから?

    現実とは、アイデンティティとは、という主題は出てこないと言っていい。唯一、複数人で一人の人格を形成する、一つの体を複数人でシェアする部分がかする程度。けど、大して触れられず、あっさり流される

    ストーリー上、重きを置かれているのはM(ミニマックス)ゲームでもなさそう。結局運でも偶然でもないことが明らかになるし。
    それよりは、人による人の支配の不当性が言いたいのかな?最初と最後でうまく繋がるし

    炎の月は理解不能

    最後の裁判はいささか唐突で、執筆直前にヴェニスの商人を読んだと言われても説得力があるほど

    そう言えば、ドラッグが出てこな

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    2012年06月26日
  • 火星のタイム・スリップ

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    この作品がこのタイトルではもったいない!

    タイトルでは表しきれない深い何かが、人間の心のあり様というか、善悪と心の病と人間の背負い続ける業とでもいうか、そういうものがある。

    同じ時間の同じような場面が少しずつ違ってきたりするあたりが興味深かった。

    しかし、正直なところラストが突然すぎて驚いた。どうしてああなったのかが分からない。

    他のディック作品を読み、また時間をおいて再読したい。

    追記:
    くらくらするアタマでぼんやり考えていたらなんとなくあのラストが理解できた気がした。
    マンフレッドは救われたんだね。

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    2012年04月29日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    まさにPKD、そして分けわからん。

    パーマー・エルドリッチって一体。あれが聖痕?
    そして、結局異星人の媒体かよ。。。

    あとがきに書かれているのは、本文の前に書かれている、人間は塵から生まれたからたかが知れてるけど、まぁまぁうまくやっている。今回の困難にもうまく対処できるんじゃないかな。っていう分かりやすいメッセージ

    毎度のこれって現実?神って実はたいしたことないんじゃね?的な物語かと思いきや、こんな話だったらしい。

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    2012年03月29日
  • 火星のタイム・スリップ

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    02年再版版。

    本作はPKDの長編では初期作品であるにもかかわらず、
    そのドープさ加減は手加減を知らない。

    至って面白みもないタイトルから安易に内容を予想するのは間違いで、
    やはり一筋縄ではいかないストーリー。現実世界を歪んでいき、
    最後のほうではやはり混沌に突入していきます。
    PKDの著作の中でも、ベストに挙げる人が少なくない名作。
     

    -ハヤカワオンライン「書籍詳細」より-

    火星植民地の大立者アーニイ・コットは、宇宙飛行の影響で生じた分裂病の少年をおのれの野心のために利用しようとした。その少年の時間に対する特殊能力を使って、過去を変えようというのだ。だがコットが試みたタイム・トリッ

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    2011年09月28日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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     初ディック(正確には、『きょうも上天気』で一編読んだのが最初)。映画『アジャストメント』を観たことをきっかけに手に取ってみましたが、すごく読み応えがありました。とはいえ、表題作「アジャストメント(「調整班」改題)」は、映画にとってはほとんど原案程度みたいですね。

     特におもしろかったのは「ウーブ身重く横たわる」、「にせもの」、「ぶざまなオルフェウス」です。
     「ウーブ…」は高度な知性を持った宇宙豚の話。人間てどうしてこんなバカなことするんだろう…という落ち込みから一ひねりあるラストにぞくっとしました。
     「にせもの」は自分という存在や記憶のあやふやさ、それを証明することの難しさがテーマ。す

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    2011年07月02日
  • スキャナー・ダークリー

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    ネタバレ

    フィリップ・K・ディック

    人格が2つ、3つと増えていく主人公。
    麻薬と仲間、監視。

    ディックの小説の特徴だろうか、後半の勢いがすごい!

    最初は、少し退屈していたが
    半分過ぎたあたりから面白くなっていくから
    読書ってのは、途中でやめるのもいいけど、
    この作品のようなこともあるから
    一応最後まで読んだほうがいいな

    って思わせた作品でした。

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    2011年06月10日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    〈私〉という存在は何か魂みたいなものがあって、生まれた時から存在するものではない。生まれてからの経験や思考を記憶として積み重ねていく、その積み上がった現在までの記憶の総体が〈私〉として認識されているだけなのだ。
    とすると、自分の記憶は本物の記憶なのかという疑問は、〈私〉の存在自体をおびやかす疑問で、本作に収録されている「にせもの」や「電気蟻」は〈にせものの記憶〉がテーマになっていて読み終わっても、う~んと考え込んでしまって答えは出ないんだけど、その考え込むという行為を誘発させる読書というのは非常に贅沢。他にも「父祖の信仰」での共産主義の描き方はなるほどと思えるものがあるし、「凍った旅」は非情な

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    2011年05月16日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    初めてディックの作品を読む。
    思った以上に、大変面白い。

    複雑な構造の時間軸。
    今なのか未来なのか過去なのか。
    現実なのか、悪夢なのか。
    ドラッグのフラッシュバックに乗っ取られる自己。
    幻想的な、神性と悪魔性のカオスの狭間で苦悩するも、
    希望は失わない…。

    かつて、安部公房にハマった時のワクワク感を思い出した。

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    2010年01月30日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    P.K.ディック 1965年作品。
    ドラッグによるトリップ具合といい、
    ぐだぐだな主人公の心象風景といい、まさにディック節炸裂! 
    ハリウッド映画のような展開にワクワクしつつ、
    ラスト間際の不可解でわけのわからない描写は独特。
    それでも一気に読める面白さはさすが!の一言。

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    2009年10月04日
  • アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

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     再読。前回読んだときは、評判の割にあんまりパッとしないなって印象だったけど、「まだ人間じゃない」が気に入ったから、やっぱディックはちゃんと読んでおかないとってことで再チャレンジ。
     <最終世界大戦>のため放射能灰が降り注ぎ、ほとんどの人間が植民星に移住し人口の激減した地球。本物の動物を手に入れるために、逃亡アンドロイド<ネクサス6型>を追跡するバウンティ・ハンター。わかりやすいプロットだけど、そこに本物と偽物という作者お得意のテーマを持ち込むことによって、「遊星からの物体X」的な緊張感と自分自身がアンドロイドかもしれないと悩む主人公っていう魅力的な設定が加わってる。自分がアンドロイドであるこ

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    2025年11月21日
  • ヴァリス〔新訳版〕

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    シンプルに難しかった。
    自分に宗教的な知識があればもう少し印象変わってたのか?
    評価しようがないのでとりあえず星3つ!
    き、機会があれば再読してみよう

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    2025年11月16日