フィリップ・K・ディックのレビュー一覧

  • 時は乱れて

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    映画ブレードランナーの原作SF作家として有名なヒィリップKディックの作品。初ディック。
    新聞の懸賞クイズに2年間勝ち続けている男が、日常の存在感に違和感を感じるところから物語が始まる。最初は古いアメリカンファミリーの日常描写かなと思っていたら、段々とSFになっていくあたりの展開がうまいと思った。映画にもしやすいような展開だ。ソ連やら核戦争のことを起こる可能性が高い前提で書かれているところが時代を感じる。ただし古臭い感じはあまりなく、すっきり読めた。
    ブレードランナー原作の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も読んでみようと思う。

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    2016年02月14日
  • 流れよわが涙、と警官は言った

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    ネタバレ

    TVスターがトラブルで手術室に運び込まれ,目が覚めると世界中の誰も自分を覚えていないし,データバンクに彼の存在を示す記録が何も残っていない,,,という,ディックお得意の「現実と非現実の違いって何?」というお話し.
    と聞くと極めてSFチックなのだが,ただし,実は設定はそれほど重要ではなく,読んでみると中身はボネガットか,ジョンアーヴィングか,という感じ.
    ディックの作品の例に漏れず,グダグダになっているところもあるし,TVスターは主人公ですらなくなってしまうし,そもそもはじめに述べたトラブルの理屈もサッパリわからないのだが,近しい人を失う喪失の痛みを書いた話です.
    おそらく25年ぶりぐらいの再読

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    2016年02月11日
  • 流れよわが涙、と警官は言った

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    解説というものを人生の中で指折りで数えられるくらいしか読んだことがないが、読んだ。
    小説に対する某かの感想なんてあまり意味のないように感じていたが、これは理解を深める上では役立つこともあるのかもしれない、と思い直した。

    名は体を表す、か。
    肝に銘じておこう。

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    2016年01月22日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    ディックは読むのがしんどい
    表紙   6点渡部 隆
    展開   6点1964年著作
    文章   6点
    内容 640点
    合計 658点

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    2015年12月16日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    久しぶりのF.K.ディック。短編集。
    しかもPSYCHO-PASSを読んだ後での「シビュラの目」はなかなか運命的な出会いと言わざるをえない。

    「地図にない町」は三崎亜記を彷彿とさせるテーマ。地図にない町に住んでいるという乗客から、世界の境目が次第に揺らいでゆく。

    「新世代」「ナニー」のような、ロボットを用いたシニカルなSFも面白い。
    子供の教育を完全にロボットに任せ、それが最善と信じて疑わない社会。そんなバカな、と当時の読者が思った以上にはリアルに近付いている。

    またタイトル「人間以前」も衝撃的。
    人口増加率をゼロにするためにとられた積極策。それが12歳以下の魂のない子供を「人間以前」と

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    2015年08月18日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    表題作が興味深いのだが、巻末収録短編のタイトルが「シビュラの目」である…
    私はSFを完全に誤解していたなぁ、だから手を出さなかったんだろう、SFは全てにおいて「無機質なもの」と思い込んでいた。人間の在り方も科学的に進んでしまう事で精査され、人間味が薄れ、設定の奇抜さを楽しむもんだと思い込んでた。設定の奇抜さで競う、と言うのはBLにもある側面だ。
    収録作の『ナニー』に差し掛かっているが、ほぼ球体のアンドロイド家政婦ロボットの話。旧式は新式と対決すると、性能の差、と言う絶対値を打ち破る事は出来ない。人間の様に「火事場のクソ力」なんてものはスペックになければ出すことが出来ない。旧式のロボットは修理す

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    2016年07月24日
  • 宇宙の眼

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    意外にも良心的な結末にちょっとビックリ(…ハッピーエンドですよね?)。
    先日読んだ「発狂した宇宙」と並び多元宇宙の金字塔と評される本書です。どちらも現実と異なる世界に迷い込み、四苦八苦するという点では同じですが、「発狂した宇宙」における多元宇宙が無限にある宇宙のひとつだとすると、こちらは極端な考え方をする誰かの意識(しかも複数)に迷い込みます。また、「発狂した宇宙」で訪れる宇宙がSFオタクの空想ものだとすると、こちらは現実の主義主張の地続きの異世界が舞台。だから甲乙つくわけではありませんが、楽観的に読み進められた発狂した宇宙に対し、不安と疑心がつきまとう本書でした。

    読み終わって改めて思うこ

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    2015年08月31日
  • 偶然世界

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    SFらしいSF!ディックは初めて読んだけど、他のも読んでみたいと思った。後半の方の駆け引きが面白かった。

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    2014年11月01日
  • 火星のタイム・スリップ

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    何でこのタイトルにしたんだろう?
    確かに火星だし、目的はタイムスリップなのだが、あくまでも副次的な要素でしかないように思う。

    まず第一に、全然火星らしくないw
    火星的な火星ではなく、完全にもう一つのアメリカ(西部開拓時代の)。
    地球からの移民だから当たり前と言えば当たり前かもしれないが、
    彼らの関心・心配事はごく普通の(地球上と何ら変わらない)ことばかり。
    原住民である火星人も、完全にネイティブアメリカンである。
    とにかく、SF小説的な火星では全く無い世界観が描かれている。

    そしてメインテーマは自閉症の子の内世界と他者の現実の混濁。
    現実の現実性を否定するディックの世界観はやはり秀逸である

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    2014年09月18日
  • 時は乱れて

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    ネタバレ

    久しぶりのディック.今は亡きサンリオ文庫から出ていたものらしい.
    ディックお得意の「模造記憶」「泥沼化した戦争」「並行世界(ちょっと違うか?)」がキーワードだが,比較的前期の作品であるために,作者自身がパラノイア化したともいえる後期作品とは異なり,短編の延長のようで読みやすい.
    「なぜ彼らの側についたんだ?彼らは女性や子どもを殺しているんだ−」
    「それは彼らの方が正しいからだ.」
    今の世の中でこんな台詞を読むとゾッとしないでもないが,何が「正しい」かは読んでからのお楽しみ.

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    2014年08月24日
  • ヴァリス〔新訳版〕

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    神学モチーフは確かに難しいし、わかりづらい。
    だけども、ヴァリスのわかりにくさは作品の善し悪しというよりも読んでいてそのわからなさも魅力だ。
    新訳での残り二作が出るのを楽しみに待つ。

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    2014年06月03日
  • 時は乱れて

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    初期の作品ではあるがディックのパラノイアの予兆のようなものを感じる。
    得意の現実崩壊系の作品で、プロットが面白く・破綻も無くしっかりしていて珍しく綺麗にまとまっている。
    良く言えばまとも、悪く言えばディックの良さが足りないかなと言ったところ。

    でもこういう話はすごく好きですw

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    2014年02月06日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    「にせもの」のスリル、
    「おお!ブローベルとなりて」「ぶざまなオルフェウス」の黒い失笑、
    「さよなら、ヴィンセント」の切なさが、特にも印象的だった。
    小説ではなく、著者の論考である「人間とアンドロイドと機械」も収録されていて
    SFを通じて著者が何を熟考し、表現したかったのかが、ひしひし伝わる。
    書くことは戦いであり探究、という印象を得た。
    「ペンと剣」という言葉を思い出した。

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    2013年11月23日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    このブラックな感じがなんとも言えない作品。短編集ということもあり、気に入った作品も、苦手な作品も半々といったところでした。とはいっても、これは海外SFがまだ二回目なので楽しみ方がまだ手探り状態ということにも起因しているとは思いますが…。
    個人的には、「ウーブ身重く横たわる」「にせもの」「電気蟻」「凍った旅」がお気に入りです。
    特に「電気蟻」のアンドロイド?ロボット?の仕組みは最近のSFには絶対出てこないものだったので新鮮で興味深かったです。

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    2013年10月18日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    やばい!ディックの悪夢世界から抜けられない・・・

    でも、著者の「短期間で量産した」とまで言われる膨大な短編はどんな感じなのだろう?ということで読んでみる。

    ここにもあるある!50年代の短編には見られない、精神分裂症的な影が60年代に現れてきているのです。自分が本物であることを信じきっている「にせもの」って今の我々にも悲しく重苦しく響くものがあります。じゃ、本物って何よと開き直る現代がさらに恐ろしく見えます。

    きっとコンピューターの仕組みを理解しないで書いている「電機蟻」も気味の悪さは増すばかり。これって自分の脳をカスタマイズするってことじゃないですか!

    必ずや発狂する「凍った旅」。傑作

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    2013年10月10日
  • 高い城の男

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    ネタバレ

    第二次世界大戦で枢軸国側が勝利した世界に生きる人々の群像劇。
    北米は3つに分断され、日本支配地域、ドイツ支配地域、中立地域となっている。
    ドイツは水面下で、日本を破壊して世界を征服しようと画策している。(タンポポ作戦)その矢先にボルマン首相が死去。タンポポ作戦の賛成派であるゲッペルスが次の首相として有力視されている。一方、タンポポ作戦反対派のハイドリヒが盛り返しているという話もある。小説で描かれているのはこの辺までで、その後どうなるのかは分からない。
    ホーソーン・アベンゼンが書いた「イナゴ身重く横たわる」という歴史改変小説が流行している。この本では(現実の歴史とは詳細が異なるが)連合国が勝利し

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    2024年08月01日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    ブラックユーモアの本場
    サイエンスフィクションと古典文学の風潮とアメリカ現代社会の英語の潮流、社会的風潮、、、潮?
    『人間とアンドロイドと機械』…SF作家のユニークな考え方、隠れた名著、小論文に

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    2013年06月02日
  • パーマー・エルドリッチの三つの聖痕

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    フィリップ・K・ディックは、麻薬をテーマに扱った作品が多いけれど、この作品はその代表作。

    「麻薬でトリップ→ひどい悪夢→やっと目が覚める→と思ったらまだ悪夢の中」という恐怖を、しつこいほどに描いています。人間の意識なんてあやふやなものだと思わされます。

    麻薬による、人びとのそれぞれの夢の中に普遍的な神として君臨するパーマー・エルドリッチ。人間が己の瑣末な意識から逃れられない存在なら、神はその幻想さえ支配すれば神たり得るのかもしれません。

    途中まで、主人公をバーニー・メイヤスンだと思っていました。公式の主人公はレオ・ビュレロなんですね。

    タイトルは良いですね。美しいです。同じ作者の「流れ

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    2013年06月02日
  • 偶然世界

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    ネタバレ

    SF界では有名な方らしいというのと、本屋で見た装丁がかっこよ(略)厨二心をくすぐられたので購入。よく耳にする「~は~の夢を見るか?」というタイトルの元ネタでる「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」という作品を書いたフィリップ・K・ディックの長篇処女作。らしい。本当はどこかの作品でオマージュだか参考だかにされているから手に取ったんだと思うけど、その作品かは忘れてしまった。

    ボトルという装置によってランダムに権威者が無作為に変動していく近未来の世界で、従属契約や刺客とディープの争い。《炎の月》。
    絶対的君臨者として存在するヴェリック。それにつき従うエレノアとムーア。テッドは翻弄されるがままにその

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    2013年02月20日
  • 偶然世界

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    PKDにしては、なんだか読みやすいぞ。最初の長編だから?

    現実とは、アイデンティティとは、という主題は出てこないと言っていい。唯一、複数人で一人の人格を形成する、一つの体を複数人でシェアする部分がかする程度。けど、大して触れられず、あっさり流される

    ストーリー上、重きを置かれているのはM(ミニマックス)ゲームでもなさそう。結局運でも偶然でもないことが明らかになるし。
    それよりは、人による人の支配の不当性が言いたいのかな?最初と最後でうまく繋がるし

    炎の月は理解不能

    最後の裁判はいささか唐突で、執筆直前にヴェニスの商人を読んだと言われても説得力があるほど

    そう言えば、ドラッグが出てこな

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    2012年06月26日