フィリップ・K・ディックのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルは知っていたのでずっと気になっていた小説。
翻訳ものもSFも苦手で少しハードルが高いような気がしていたけど、読んでみると出だしから引き込まれた。SF的世界観の解像度が好きだった。奇抜な発想が、物語の世界では当たり前のこととして土台となっている。
これが50年以上前に書かれたのか……。
同調オルガンのくだりが好きだ。レイチェルにフォークト=カンプフ検査をするところが面白かった。80ページくらいまでが特に好きな文が多くて、読んでいて楽しかった。
終わりの展開がもうちょっと欲しかったなあと思った。最後にドカンとあるんじゃないかと期待しすぎたかな。
イジドアパートもあんまり活かされていなかっ -
Posted by ブクログ
再読。前回読んだときは、評判の割にあんまりパッとしないなって印象だったけど、「まだ人間じゃない」が気に入ったから、やっぱディックはちゃんと読んでおかないとってことで再チャレンジ。
<最終世界大戦>のため放射能灰が降り注ぎ、ほとんどの人間が植民星に移住し人口の激減した地球。本物の動物を手に入れるために、逃亡アンドロイド<ネクサス6型>を追跡するバウンティ・ハンター。わかりやすいプロットだけど、そこに本物と偽物という作者お得意のテーマを持ち込むことによって、「遊星からの物体X」的な緊張感と自分自身がアンドロイドかもしれないと悩む主人公っていう魅力的な設定が加わってる。自分がアンドロイドであるこ -
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Posted by ブクログ
ディック読もう!となって、初めはやはり「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」かと思ったところだが念のためネットで見ていたところ、どうやら短編集があるらしいと。そしてそっちのがディックを読み始めるには良いかもとの意見もあったのでこちらを。
トータル・リコール、マイノリティ・リポート…聞いたことあるなーと思ったら映画化した作品だったんですね!映画も観ます!(シュワちゃんだし、トムクルーズだし)
もともとSF 読みてーってところから手に取ろうと思ったのでSF欲の満足度は十分でした。どれも表現は難解だけどスルスル読める。
どれも設定や描写が丁寧であるわけでないが読み進めるうちに自分の中で世界観が構築さ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ過去に何冊か読んだがあまり響かなかったようで、それっきりになっていた。映画『トータル・リコール』を再視聴しようとして序盤も序盤で気力が尽きたので、原作を読んでみることにした。
この選集に掲載された作品はほぼすべて全面核戦争中ないし後を舞台にしている。全面核戦争をテーマにした作品は1950年代にはすでに存在したことになる。
ゾーニングなどない喫煙がシーンに自然にまざっている。
そんな時代の空気を感じながら。
『トータル・リコール』△
邦題『追憶売ります』で発表されたが映画の原作となったことで改題された。寺沢武一の『コブラ』第一話のモチーフとなっているらしいことは聞いていた。その通りかもしれ -
Posted by ブクログ
フリップ・K・ディックらしい、「現実」と「虚構」の境界が曖昧な一冊だった。国民的スターである主人公が、ある日突然「存在しない人間」になるという不条理な状況に放り込まれ、そこから彼のアイデンティティと社会のシステムが崩れていく過程が描かれる。ラスト近くでは、その異常体験に一応の説明が提示されるが、かなり強引で、「結局何だったの?」という疑問は残る。ただ、その“納得しきれない”感覚こそが、まさにディックらしさでもある。整合性よりも、喪失や孤独、不安といった精神のリアリティが強く伝わってきた。タイトルに込められたルネサンス音楽の哀しみが全編に響いており、読後には不思議な余韻が残る。「説明できないけれ
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