フィリップ・K・ディックのレビュー一覧

  • 火星のタイム・スリップ

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    再読。といっても前に読んだのはたぶん20年以上前で、ほぼ初読状態。
    ディックらしい作品の一つ。ぐにゃぐにゃと歪んだ現実を五感すべてで感じられるかのように読ませられる書きぶり。時間の狂い方すら歪んでる進行。モラルなんか無いが人との繋がりは持たずにいられない登場人物たち。読むのに相当の精神力が必要で、アルコールかクスリか何かの力を借りたくなる、でもページを捲らずにはいられない、そんな傑作。
    でも、きっと次は読まないかなあ。ラストの読後感が気持ちよくなさすぎる。
    あと、ハインラインの『明日を超えて』と同様、今なら出版できないと思われる表現が頻発するので、気分を害するかも。

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    2025年03月30日
  • 高い城の男

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    ネタバレ

    設定は最高。手に取った時ワクワクした。

    展開と中身は。。。なんか気が散る文章で生成AIとウィキペディア駆使してなんとか読んだ。

    易経が万能すぎる。易経本だこれは。

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    2025年03月21日
  • ユービック

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    割とマニアックでよくよく読んでも構造が今一つ理解できない、ホンマ物のSF。
    同じ作者の「アンドロイドは電気羊の夢をみるか(ブレードランナーの原作)」のほうが有名なのはよくわかる。「アンドロイド」のほうが人間がよく書けているし、構成が理解しやすい。

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    2025年03月16日
  • 高い城の男

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    日本人独特の、
    良く言えば奥ゆかしい
    悪く言えばはっきりしない
    特有の気質といおうか、国民性をディックはどうやって仕入れたのだろう。

    日本人歴の長い生粋の日本人からして「ん?」となる部分もないわけではないが、違いが文化を生むのだから「アメリカ人から見た日本人の描写」というのも面白い。そもそも違う国の人同士が交わる大陸横断型の小説は難易度として高いのではないのか。ドイツ人も出てくるし。

    内容自体は「フィリップ・K・ディックの小説!」という意気込みで、SFを期待してたので、肩透かしを食らった感は否めない。

    支配者側の田上氏は白人に差別的な意識はあっても人を殺したという人道的な罪悪感に苛まれ、

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    2024年08月19日
  • 高い城の男

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    ディックの最高傑作に推す声も多い本作はWW2で枢軸国が勝ちドイツと日本が超大国となっていたら…という歴史改変物。実在の人物についてかなり触れられていたり、改変歴史の中でさらに「連合国がWW2で勝っていた歴史if」を描いた小説が軸に登場するなど虚実を織り交ぜた構成。しかもそうした構成を下敷きにしつつ、主に描かれるのはそれぞれの立場でもがき悩む人たちの内面の葛藤だったり、その悩みの拠り所として易経が重要要素として描かれたりするのでなかなか独特。日本人やドイツ人が読むのと戦勝国側の人が読むのだとそれぞれどんな読後感の違いがあるんだろうと気になります。

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    2024年07月27日
  • 銀河の壺なおし〔新訳版〕

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    「久々にディック作品でも読んでみよう」ということで、まだ手に取っていなかった本作をチョイス。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(1968年)と『ユービック』(1969年)の間に発表された、ディック黄金期の作品。

    主人公のジョー・ファーンライトは、陶製の壺を修復することを生業とする職人だが、世の中はプラスチック製品が主流となり、依頼があるのは骨董品のみ。その骨董品もほとんど修復されてしまい、修復依頼は打ち止め状態。失業手当で食いつなぎ、言葉遊びの<ゲーム>に興じて無為な日々を過ごすことに嫌気が差すジョー。そんな彼の元に、グリマングと名乗るものから巨額のオファーが舞い込む。それは、プラウマン

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    2024年07月07日
  • いたずらの問題

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    メディアをコントロールし大衆を間接的に管理しようとするディストピアもの。
    「1984」のビッグブラザーを象徴とする社会よりも緩めやけど、現代のSNSを住処とする誹謗中傷、ガセネタのばら撒きなどの予見のよう。
    顔の見えない裁きの場「ブロック集会」「テレメディア」など、歪んだ大衆心理が怖い。
    再読してもうちょい感度高めます。

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    2024年06月02日
  • 高い城の男

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    ネタバレ

    不思議な力強さのある作品でした。

    本当にそっくりそのまま世界が反転していのは凄かったです。確かに日本とドイツが世界大戦で勝っていればこんな世界になっていたのだろうと想像ができます。陰鬱で秩序や差別が厳しい世界。

    日本タイムズなどは、読んでいて言葉が面白かったです。西海岸は日本が占領しているなど、ありえなさそうで、でも勝利していたらありえそうで、白人が日本人にあんなにオドオドする姿はある意味新鮮でした。アメリカと日本の立場が見事に逆転していていました。

    内容はかな。哲学的、人とは何なのか、人種とは何なのかという自問自答が多い。国家とは何なのか、そういった思想に近いモノを一人一人が抱えており

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    2024年05月04日
  • 高い城の男

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    ユービックを読んで、「うわあああああ好きいいいSF最高……早く次!!!」となった勢いで、内容を全く知らずに読んでしまった。
    つまりディックの超SF世界観を求めて読んでしまったので、あまりSF味のない雰囲気に結構な落胆を感じながら頑張って1冊読みました。笑(誰も悪くない)

    第二次世界大戦について、恥ずかしながら本当にざっくりしたことしか知らなかったので、
    大人になった今、改めてちゃんと学ばないとな…と反省。詳しい事実を知っているほど楽しめる作品。
    なんたって子供の頃、歴史が1番嫌いな教科だったからな……(盛大な言い訳)

    けれどそういった戦争どうのこうの〜〜だけを伝えたい作品ではなく、もっと抽

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    2024年05月01日
  • 流れよわが涙、と警官は言った

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    スイックスという存在に惹かれた。
    いわゆる遺伝子操作された特別人種みたいな存在大好き。
    ディックの小説はSFだけど哲学的なテーマが垣間見えて文学チックで良いよね!

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    2024年04月27日
  • ユービック

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    バーナード嬢曰く、に書いてある通り、裏表紙のあらすじはネタバレなので、読んではいけない。

    辻褄やストーリーの整合性はわからない部分はあったが、この世界観を文章で描けるのは凄い。作者のイメージを見てみたい。

    予知能力者を無力化する不活性者という存在は自分にとって新しいものだったので、それだけで面白く読めた。

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    2024年04月06日
  • 高い城の男

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    リドスコのドラマの方は1話でやめてしまい…
    本は読み切ることできてよかった!

    ちょっと思った内容と違ったけど、、
    ドラマでは自由の女神の破壊シーンとかあるのか笑

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    2024年03月16日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    ネタバレ

    フィリップ・K・ディックという名前とハヤカワ文庫の表紙の絵を見て買ってから半年くらい積んでいた本。
    中でも「地図にない町」「この卑しい地上に」「人間以前」の話が理解しやすく特に印象に残っている。
    「地図にない町」は架空の世界を知覚してしまったことによって自分のいる現実の世界にまで影響をあたえ変わってしまう恐怖を感じた。
    「この卑しい地上に」は結婚相手をだけをもとに戻したいという思ったために、世界全体に影響を与え、一個人の問題で収まらなくなった事への焦りを感じた。
    「人間以前」は何もできない子どもと勝手な大人の対比が表されていて面白かった、また、中絶が魂があるかどうかで12歳まで中絶として処理さ

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    2024年02月29日
  • トータル・リコール

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    フィリップ・K・ディックの短編傑作集。
    どの作品も短いので読みやすいとは言え、それでも、SF初級者の私には難しかった。いつか、すらすら理解できるようになりたいものだ。
    「ミスター・スペースシップ」と「マイノリティ・リポート」が良かった。
    未来の物語の中に人間の本質、社会の歪みを突いて来るので、気づきが多い。SF小説の深さなんだろうな。

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    2024年02月17日
  • 流れよわが涙、と警官は言った

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    ディックの名作とされる作品。ただ後半はよくわからなかった。なぜ警官はタヴァナーに罪を押しつけなければならなかったのか。タヴァナーが世界を異動したことの意味、エピローグの意味は何なのか、とか。もう一度読む必要があるか、、、。

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    2024年01月11日
  • トータル・リコール

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    表題となるトータル・リコールを含む短編集。

    一番面白かったのはやはりトータル・リコール。
    映画で観たなぁと思って読んだら全然違う話でびっくり!でも面白い。
    なんというか落語にもなりそうだし「世にも奇妙な物語」にも出てきそうな、ありそうでありえない、子どもが夢想しそうなことを一流作家が書いたらこうなる、といった感じの短編小説。

    他の映像化作品もぼちぼち面白いのでファンの方が読む分には良いと思う。

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    2024年04月08日
  • 逆まわりの世界〔改訳版〕

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    死者は墓から蘇り、生者は若返って子宮へ回帰する。そんな時間逆転現象が起こった「逆まわりの世界」が舞台。死者の再生と売却を請け負うセバスチャンは、ユーディ教の始祖ピークを掘り出したことをきっかけに、ピークをめぐる様々な派閥の抗争に巻き込まれ…

    死者は蘇り、生者は子宮に帰る?なんというトンデモ設定。面白いのはこのトンデモ設定を実生活にまで落とし込んでいるところ。例えば、本来、生者は食物を食べて消化しますが、この世界では生者は食物を胃袋から皿に戻します。あるいは、子宮に帰る生者のためにあえてセックスをしたりと、なんだか因果関係がめちゃくちゃ。だけでなく、蘇った死者の売却権は発掘者に帰属したりと、こ

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    2023年11月22日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    ネタバレ

    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)

    人間と認められるのは12歳以上、12歳未満の子供は人間と認められず、狩り立てられてしまう……衝撃のディストピアを描いた表題作を、新訳で収録。長篇『ユービック』と同一設定の中篇「宇宙の死者」、ディック短篇の代表作として知られる現実崩壊SF「地図にない町」(新訳)、侵略SF「父さんもどき」、書籍初収録作「不法侵入者」、晩年の異色作「シビュラの目」ほか、幻想系/子供テーマSF全12篇を収録する傑作選。

    [収録作品]
    地図にない街
    妖精の王
    この卑しい地上に
    欠陥ビーバー
    不法侵入者
    宇宙の死者
    父さんもどき
    新世代
    ナニー
    フォスター、お前はもう死んでるぞ
    人間

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    2023年11月12日
  • 高い城の男

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    1962年、第二次世界大戦に勝利した日本とドイツはアメリカを分割占領され、太平洋側は日本の統治下に置かれた。日本統治の影響で中国由来の『易経』が普及し、日本人アメリカ人を問わず多くの人が易により物事を判断するようになっている。さらには「第二次大戦に連合国側が勝っていたら」という内容の小説が評判を呼んでいた。

    アメリカ古美術商のロバート・チルダン、通商代表団の田上信輔、贋作工場で働くフランク・フリンク、フランクの元妻・ジュリアナ、プラスチック産業のビジネスをするバイネス、イタリア人トラック運転手のジョーなど、さまざまな人の物語が交互に進み、そこにドイツ政府の思惑も交錯する。

    もし第二次大戦で

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    2023年10月18日
  • 高い城の男

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    わかったようなわかんないような
    不思議な読後感なのですが
    読んでいるときは妙におもしろい。
    久しぶりに読んだけど
    そういえばディックって私にとっては
    そういう作家だったっけ。

    日本とドイツが第二次大戦に勝った
    架空の世界が舞台なのですが
    日本人の田上が主要な役どころで
    これが今読んでも「あ、なんか日本人」
    思考回路とか、ちょっとした行動とか。
    すごいな、ディック御大(笑)

    敗戦国となったアメリカで
    新しい製品作りに取り組むフリンクや
    少しずつプライドを取り戻していく
    田上御用達の骨董品店長チルダンの姿が
    現実日本の戦後復興期に踏ん張った
    人々の写し身のように思えた。

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    2023年07月12日