フィリップ・K・ディックのレビュー一覧

  • 変数人間

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    SF小説10篇。映画化された正統派SFミステリーが1篇ありこれが一番素直に楽しめた。他は中年達がこぞって人形すごろくに熱中していたりするシュールな作品が多く、これらの良さが分かる人がこの作者にハマるようだ。深読み出来る人向きなのかな。表題作は割と正統派だろうけれどその本質より設定の古臭さが先立ってしまった。途中から面倒になって読み飛ばしたのも2篇あるけど、それらの作品を推す人も多くいるようで。傑作選集と帯にある割に玉石混交な印象だったけれど、それだけ幅のある作品を書ける人というのが一般的な評価なのだろうね。

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    2017年03月18日
  • 火星のタイム・スリップ

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    表紙が違うけどなー。
    読んでるうちに頭が混乱して、こっちが分裂しそうだったので「火星」はともかく「タイムスリップ」は追求しないことにしました。
    でも、もしかして新しい土地への開拓団みたいな感じで送り込まれた人たちは(自分の意思で参加したとしても)こんな環境にはあったんじゃないかな?と思うし、護符とか言い伝えとか、馬鹿にできない部分があるのも事実。
    なんか背筋が少し寒くなります。

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    2017年03月13日
  • 死の迷路

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    ネタバレ

    不思議な宗教に、不思議な星、不思議な登場事物たちと、飽きることなく次へ次へと読み進めてしまいます。
    物語の最初に出てきた主人公かなと感じていた人物が一番最初に死ぬ、最後はやりきれない夢オチ…と私はなかなか楽しむことのできた一冊でした。
    ただ、『高い城の男』『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』に比べるとそれほど強く印象に残る一冊でもなかったというのが私の感想。

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    2017年02月25日
  • 流れよわが涙、と警官は言った

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    SFをほとんど読まない自分にとっては長編はちょっと辛かった。面白さがよくわからない。SFを読むセンスが無いのかな。

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    2016年12月09日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    ネタバレ

    「地図にない街」★★★★★
    「妖精の王」★★★
    「この卑しい地上に」★★★
    「欠陥ビーバー」★★★★
    「不法侵入者」★★★
    「宇宙の死者」★★
    「父さんもどき」★★★
    「新世代」★★★★
    「ナニー」★★
    「フォスター、お前はもう死んでるぞ」★★★
    「人間以前」★★
    「シビュラの目」★★★

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    2016年10月16日
  • スキャナー・ダークリー

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    浅倉久志訳による新装版「スキャナー・ダークリー」(旧訳「暗闇のスキャナー」)は、著者自身の実体験を踏まえた物語。テーマは、麻薬。

    カリフォルニアのオレンジ郡保安官事務所麻薬課の捜査官フレッドは、上司からも自身の姿を隠す「おとり捜査官」である。彼の真の姿は、なんと麻薬中毒者ボブ・アークター。木乃伊取りが木乃伊になるそんな世界で、与えられた新たな任務は「麻薬密売人のボブ・アークターを監視すること」。自分自身を捜査対象にする彼は、麻薬中毒の深刻化も相まってしまい…

    「わたしはドラッグの危険性を訴える福音を説こうと誓った」とは、訳者あとがきで引用される著者の言葉。麻薬中毒の経験があり、その目で幾人もの友人(=麻薬中毒者)の死や破壊を目の当たりにした彼だからこそ響く重い言葉ですが、本書で麻薬中毒の恐ろしさを知る…ほど無教養ではなく、麻薬の恐ろしさは既にありとあらゆる媒体を通じて理解しているところ。ただ、だからといって、何にも感じなかったのかというと、もちろんそうではありません。

    主人公アークターは、自分自身を監視する過程において、ある時点ではっきりと「おかしく」なってしまいます。正直、この瞬間に「あぁぁ…」と嘆いてしまいました。それ以降は、凋落の一途を辿るばかり。物語は終盤、アークターが廃人として施設に収容されてしまう姿をみると、ただただ空しい感情にとらわれます。そんな感情は、物語に出てくる言葉の節々で感じるところ。

    「黄金時代。そこでは知恵と正義がおなじものだった。すべてが砕けて、鋭い破片になる前のことだ。もう二度と組み合わせることができず、いくら努力しても二度ともとどおりにならない破片の山になる前のことだ。」

    「想像してみてよ。意識はあるけど、生きてないってことを。見ることもできるし、知ることもできるけど、生きてない。ただ、外を見てるだけ。認識はしても、生きてない。(中略)もうすでにそれは死んでて、ただいつまでもじっと見てるだけ。見ることをやめられない」

    著者は、また、あとがきでこのようにも述べています。
    「麻薬乱用は病気ではなく、ひとつの決断だ。(中略)おおぜいの人間がそれをはじめた場合、それはあるひとつの社会的な誤り、あるひとつのライフ・スタイルになる。この特殊なライフ・スタイルのモットーは、『いますぐ幸福をつかめ、明日には死ぬんだから』というものだ。しかし、死の過程はほとんどすぐにはじまり、幸福はただの記憶でしかない。」

    引用が多く、長くなりましたが、何を思ったかというと、ただ単に空しい感情が襲ったということだけ。でもこの空しさこそが著者が訴えたいひとつのパーツではないでしょうか。

    ちなみに著者特有の陰謀論っぽさは、相変わらず健在です(笑)

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    2016年03月21日
  • ヴァリス〔新訳版〕

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    「ヴァリス」の簡単な解説を読んですぐに思い至ったのは、ウイリアム・バロウズの「裸のランチ」だ。クローネンバーグの映画をきっかけに高価なハードカバーを意気揚々と買い込んだのはいいが、その難解さに途中で放り投げてしまった苦い経験がある。だから「ヴァリス」も同様な経験をするのではないかといささか不安ではあるが、この作品がディック最晩年の傑作であることは疑いようのない事実である。
    読みながらの印象として想起したのは、なぜか舞城王太郎の「ディスコ探偵水曜日」だった。神学的なこと、劇中劇、主人公と作家の同質性など神秘体験を味わっているような不思議な気分がなんとなく質的に似ていたのかもしれない。
    後半の劇中劇「ヴァリス」の登場から俄然物語はとんでもない方向に動き出す。作者のリアルなキーアイテムが随所に登場しだして物語と現実が物語同様に溶解し融合し見分けがつかなくなってくるのだ。
    そうして、物語はディックの神学的な邂逅へと向かうように見せかけながら有耶無耶に終焉する。まあこんなもんかなと疲弊した心持ちで本を閉じるしかないのである。難解ではあるが、読み応えはあったが、少々酔ってしまったという趣。

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    2015年11月23日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    ペシミスティックで、哀れと悲哀が全編に漂うなあと思った。時代なのか、それがディックの特徴なのか。

    翻訳の仕方があまり好みじゃなかったというのもあるかも。原書読んでないのに偉そう言えないけれども。

    短編集で読みやすかった。

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    2015年10月31日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    近代社会の大量消費社会への警鐘を鳴らすような説教じみた話がいくつかと、ファンタジーのような話がいくつか。
    「この卑しい地上に」が不気味で好きです。

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    2015年10月22日
  • 流れよわが涙、と警官は言った

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    ディック強化月間最後は、ディックらしいちょっとうっとうしいタイトルのこれ。早川で早々に新装版が出ていたので、名作として認められてる作品なのかな?

    内容としては、テレビの有名司会者であり、歌手のジェイソンが、ストーカーのファンに襲われて目を覚ましたら、自分だけが存在しない世界に入っていたというパラレルワールド物。

    結局最後まで、なぜパラレルワールドに飛ばされたのかが明らかにならず、そもそもの入りの部分の必要性も不明。このへんが「ディックらしく破綻している」っていうのだろうか?

    また、「スイックス」など、意味が完全にわからなくてもなんとなく取れるんだけど、言葉の定義をしないままストーリー展開することが多いため、ちょっと疑心暗鬼になるのは、ディックにかぎらず、洋物のSFの苦手なところだ。

    それ以外のストーリーは非常に解りやすく、実は飛ばされたのが「去年を待ちながら」のように、非合法の新しいドラッグのせいで、ドラッグが切れるに連れてじわじわと解除されていくというあたりはなかなか新鮮。

    個人的にはすごい名作とは思えないし、最後の締めだって、視点を他人に移してのかなり無理やりなところがあり不満だけど、未来にありながらSF要因を絞り込んだところが、本作の印象を良くしたといえる。

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    2015年09月05日
  • 偶然世界

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    フィリップ・K・ディックの処女長編は、ランダムによる無作為な権力交代が行われる九惑星系社会が舞台。クイズマスターなる最高権力者は、ボトルという偶然をつかさどる装置により選り抜きされます。時のクイズマスター、ヴェリックはこのボトルにより失脚。代わって権力の座についたのは、無級者のカートライトですが、指名大会で選出された刺客により、命を狙われることに… そんな中、主人公ベントリーは解職を機にヴェリックと雇用の誓いをたてるが…

    ディックの長編はやっぱり無秩序な印象を受けます。
    二十三世紀の九惑星社会、先にあげたボトルによる権力交代制度、パワーカードに無級者、そして《炎の月》などなど、背景やガジェットが入り乱れて登場します。しかし、これらがうまく物語に組み込まれているかというと、そうではありません。ランダムな社会制度といいつつも、実際には作為的な関与がありますし(これはその社会が既に破綻しているとみることもできますが…)、なにより《炎の月》の存在意義なんて、読解力不足でしょうが、読み終えてもよく解らなかった笑
    ただ、だからといって、面白くないわけではなく、ディックの場合はこの無秩序さがなんだか心地よく、楽しめるんですよねぇ。短篇がきれいにまとまった作品が多いだけに、長編のこういう無秩序さは、かえってディックらしさを感じるのでした。

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    2015年05月31日
  • 流れよわが涙、と警官は言った

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    ネタバレ

    正直、結局何がどうなったのかがいまいち分からなかった。結構サクサク読めて内容は理解できる。が、最終的にどうなったの?スイックスって?

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    2015年04月09日
  • 時は乱れて

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    物語の大きな構造の真相は早めにわかる。その上でその理由や背景を押し知るべく登場人物の描写を読み取るのに力が入るのだが、いざ終盤で全てが明かされても、何か物足りなかったかなぁ

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    2015年02月03日
  • 変数人間

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    断続的ひとりディック祭りも、SFマガジンの特集をもって世の中の流れに合流したか・・・

    今回の短編集は、コミカルな雰囲気のものや比較的ストレートなSFが多かった。

    やっぱりディックの魅力はパラノイア的「なんでこうなるの?!」な展開でしょー。

    自らの妄想力を全開にして実態化させる能力ももつ異常者を超能力者と定義するディックは、現代においては異常なのであろうか?

    異常者でなければ優れて創造的な人となるのでしょうが、異常と正常が紙一重の差というところを気づかせてしまうディックはやはり恐ろしい。

    「不適応者」が印象深い。

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    2014年08月30日
  • 変種第二号

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    しまった。昔読んだ短編集に収録されている話がほとんどだった。
    相変わらずさらっと読めておもしろいけど。お金もったいなかった。。

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    2014年04月16日
  • 偶然世界

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    ディック祭りあらため、ディックの足跡をたどる月間。古本やさんから初期の本をかき集め準備は整った!

    出版の順番からいくと処女長編となる本書。公共的偶然発生装置によって、ランダムに変化させらる世界、ティープ部隊、偶然によって即位させられる最高権力者、選抜される公的な刺客、太陽系外縁にあるとされる炎の月に向かう狂信者集団、光速を超えて飛翔できる人造ボディ、等々説明抜きにあふれるガジェットの数々。ドラッグを使用していると思しきシーンは出てきますが、ぐじぐじ病んでいる分裂病的な人物はこの作品では出てきません。(こんなのも書いていたんですね)

    きっと、謎が仕掛けられているに違いないと思った設定があっさり破壊されていしまったり、と寓意に満ちていると感じられたり、何の脈絡も無かったりとなかなか印象深いディック版スペースオペラ!

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    2013年11月14日
  • 流れよわが涙、と警官は言った

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    人はなぜ涙を流すのかというお話。SFというよりかは、SF的なギミックを持ったハードボイルドな文学という読後感だった。いわゆるディック的なものを求めて読むと拍子抜けかも。

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    2016年01月17日
  • スキャナー・ダークリー

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     フィリップ・K・ディック、といったらSFと思って本書を取るものなら、拍子抜けするに違いない。まあ、ジャンキーから見た我々の世界は「SF」のようなものだろうし、また逆も然りなのだろうから、ジャンキーを描いたこの作品も「SF」と言えるのかもしれない。

    …以上、屁理屈である(笑)

     なぜだかわからないが、読めば始終やるせない感じを受けることとなる。結末がああだから、というのもあるだろうが、言い知れぬ恐怖があるからだろうか。
     物語としては、若干冗長ではなかったか。

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    2012年11月12日
  • スキャナー・ダークリー

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    中盤にだるいとこはあるけど、ディックの中では比較的筋がわかりやすい。あんまりSFぽくはない。アークター=フレッド=ブルースも、ドナも人格がつかめない。
    限りなく透明に近いブルーもだけど薬中から脱した人は喧嘩したり奪い合ってばっかりだった友人をやたらとかけがえながるのが今一つ腑に落ちない。

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    2013年01月01日
  • 流れよわが涙、と警官は言った

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    表紙をしげしげと眺めながら「名は体をなす」という言葉が思い浮かんだ。

    ある日突然、その存在そのものを消し去られてしまった主人公タヴァナーとそれを追う警察本部長バックマン。
    ふたりはあらゆる点で対極を成しており、追う者と追われる者というステレオタイプに深みを与えている。
    遺伝的優生種「スイックス」と普通人。
    三千万の視聴者を持つエンターテイナーと孤独な警察幹部。
    もっとも重要なのは人を愛せるか否かという点ーー愛する者を失う悲しみを知っているかどうかという点。
    愛する者を失った時のやり場のない悲しみに物語が収斂する第3章最後のエピソードがいい。

    最初は主人公に感情移入して読み始めるのに、最後にはまったくそうではなくなっている、これはフィリップ・K・ディックマジックなのか。

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    2016年11月13日