瀧羽麻子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレフォロー中の方たちのレビューに惹かれて手に取った本。
緻密な作業が得意な職人肌の徳井と、アイディア豊富な天才肌・魚住のふたりが、何やかんやで椅子の工房を立ち上げ、互いを認め合い、これからもふたりでやっていこうと決意するまでの物語。
…などとまとめてしまうと、すごくつまらなそう。レビュー下手くそでごめんなさい。
fukuさん、tamazusa-doさんのレビューを読んで下さいませ。
面白くなかったとは言わないけれど、良くも悪くも全体に薄味に感じた。
ふたりの凸の部分、凹の部分、ともにさらっとしているからか。
木工や椅子についての描写に、驚きがなかったからか。
それぞれにお似合いの女子も登場するのに、それほど恋愛要素にもならなかったし。
むしろ、魚住の恋人のぬいぐるみ作家・胡桃がイイ。
自分の感性を貫く強さがある一方で、恋もして、現実的でもあって、魅力的。 -
Posted by ブクログ
ネタバレゆったりと進んでいく物語。
正反対の気質なコンビなので、椅子への情熱や思い入れも全く異なる2人だけど、不思議とかみ合うコンビ。
途中の家具作りの手法説明にあったような、へこみと出っ張りをぴったり合わせる「組み手」を体現したような2人だなと思いました。“つなぎめをぴったり合わせるのは難しいけれど、うまくできれば美しくて強度も高い。”
2人の作る椅子は、きっと同じように美しくて強度も高いんだろうな。
どこでどう生きていくのか、自分の意思で決めるというのも、隠し持つプライドや自分への言い訳、周りの視線、いろんなものが邪魔をして、なかなか難しい。それでも自分で選んでいかなきゃいけないんですよね。
胡桃ちゃんの作る作品も実際に見てみたいと強く思いました。笑 -
Posted by ブクログ
いつもの瀧羽麻子と違うテイスト。
こういうのを読みたいかと言われれば、違う。
ミステリにもエンタメにもなりきれていない中途半端な作品。
著者はやはり盛り上げるのが苦手なようだ。
カンニングにはもっと衝撃を受けて対立があっていいし、自分たちがしでかしたことの大きさに愕然とする描写があっていい。
持ち前の文章が淡々としているせいで、主人公が無感動に見えることがある。
専門知識のない分野で小説を書くのは大変なのだろうけど、パソコンにかかわる描写は抽象的過ぎて、底の浅い作品になっている。
「左京区」の理系男子たちは著者の身の回りにいたというだけあって割とリアルだった。
若者向けを狙ったのだろが、タイトルが作品に合っていない。
物語の柱は誠と小夜子の関係性にあるのに、このセリフは二人に何の関係もない。
いずみ先輩と達也の関係はなんだか消化不良だった。
続編を書くつもりなのだろうか?
登場人物はみんな好きだし、その関係性も面白い。
でもまだ高校生なのだから、もっと感情豊かでいいと思う。
物語にはもう少し抑揚が欲しい。
新しいジャンルに挑戦するのはいいと思うが、私としては何気ない日常を温かく描いていて欲しい。 -
Posted by ブクログ
左京区シリーズ第2弾。
国立大学とは思えない建築計画とか、ちょっと箱入りすぎる美月さんのキャラクターとか、どうして美月さんはデートに来たのかとか、気になるところがいくつかあった。
でも、とにかく初恋らしさがよかった。
初恋は、経験値が少ないせいで、思いの強さに比べてできることができることが少ない。
だから実際に相手といる時間は少なくとも、それ以外の時間に相手のことを考えて、勝手に愛情が育って行ってしまう。
山根は一人で悶々としていてまさにそんな感じだった。
やっとデートにこぎつけたと思ったら、お茶に誘ったのにお金がないとか、スケジュールを分刻みで立ててしまうとか、スケジュールを書いたメモをなくしてしまうとか、失敗ばかり。
かと思えば一人で突っ走って、いきなり「寺に入ります」なんてところまで行ってしまう。
ここまで奥手なのも極端だが、見ていて面白かった。
初恋は実らないとよく言うのに、さらに相手は良家のお嬢様で、難しそうな恋だと思いながらも二人の結末が気になった。
ラストの送り火のシーンは五感で感じられてとても印象的だった。
送り火が始まるわくわく感、電話から聞こえる美月さんの澄んだ声、目の前に広がる火の勢い。
「うさぎパン」、「ネバーラ」、「白雪堂」と読んできたが、これまでで一番素敵な描写だった。
滝羽麻子の文章は優しいけれど、描写としては良くも悪くも淡々としたところがあって、盛り上がりに欠けるところがあった。
でも、こういうシーンが要所で出てくれば、心に残る作品が増えてくるのではないかと思う。
早速シリーズ3作目を読もう。 -
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ネバーラの人たちも、居酒屋「なにわ」の桃子さんも、みんな温かい。
それに加えて田舎の風景と滝羽麻子の文章が合わさって、やさしさ純度100%の物語になっている。
キャリアを積んでいた証券会社を辞めるとき、友人に「今辞めたら、みじめになるだけだよ?」と言われた弥生は、こう考えを巡らせる。
「ここでがんばり続けるほうが、そしてとりかえしがつかないくらいすり減ってしまうほうが、よっぽどみじめに思えた。」
今疲れている人の支えにきっとなってくれると思う。
ただ、170ページ程度とボリュームが少ないせいで、ちょっと書き込みが足りないと感じた。
弥生の再生までの道のりはもっと詳しく書いてほしかった。
ネバーラの人たちともひと悶着あったりして、人間性を掘り下げて欲しかった。
だから、短編として奇麗にまとまっていた「はるのうららの」の方が出来は良かった。
こちらはネバーラに勤める事務員マユミの高校生時代のお話。
マユミは中学生のころから東京への憧れを抱いていたものの、いざ進路を選択する段になると、現実的に考えてしまって身動きが取れなくなってしまった。
「ネバーラ」を先に読んでいれば、マユミが地元に残ることは明らかなわけだが、どうやってその選択に至ったかが見どころとなる。
きっとマユミは真面目なんだろう。
何も考えずに東京に出てきてしまう人もいるのに、「東京へ行く理由」を探して戸惑う様子はかわいらしかった。
今のことも未来のことも大事に考えられるいい結末だったと思う。 -
Posted by ブクログ
『うさぎパン』が良かったので、さっそく別の作品を手に取ってみた。
女性作家が書く女子大生の恋愛ということで、少女マンガみたいな甘すぎる展開になってないかと危惧していたが、そんなことはなく爽やかな小説だった。
同じ京都大学を舞台にしていても、森見登美彦の作品とはこんなに違う雰囲気になるんだなあと新鮮な気持ちになった。
主人公の花は、男性が書く女の子像とははっきりと違う。
ファッションにこだわりがあって、バイトは古着屋、お酒も飲むし、クラブに踊りに出かけることもある。
いろんなことに興味を持っていて、過去の恋愛は飽きっぽいせいか長続きしなかった。
私みたいな地味な男からすれば、彼女はいわば「リア充」で、ちょっと住む世界が違う。
だから、私が花を好きになることはない。
でも彼女は、恋人のたっくんのことばかり考えて振り回されたりするものの、ヤマネくんやアンドウくんといった周りの人のことも見えていて、二人だけの世界に閉じこもらないという恋愛をする。
これがベタ甘にならないためのミソだと思う。
それを成せるのは、たっくんによるところも大きい。
数学に夢中で、一度没頭するとどこか遠い世界に行ってしまう。
素っ気なく見えて、さらっとときめくセリフを吐いたりする。
一言でいえば猫っぽい。
女の人はやっぱり、ベタベタされたり甲斐甲斐しく世話されるより、こういう感じの方が好きなんだろうか。
男から見ても、打ち込むものがある一方で落ち着いていてかっこいいし。
たっくんがあっさりしているから、飽きっぽい花も追いかけられるんだと思う。
好きなシーンは、たっくんの研究室の教授に振り回されてかねてからの計画が台無しになるも、アンドウくんが新しい妙案を思いつくところ。
このときの花は、マイナスの感情の絶対値をそのままプラスに持って行ったような前向きさがあって素敵だった。
一方で気になったのは、たっくんたちとは4年生になってからの付き合いなのに、彼らとのイベントばかりでそれまでの人間関係が花にあまり見られないこと。
女子大生って複数人の女子で固まってるイメージがあるのに。
作品全体の雰囲気は暖かくて、それには当然文章が影響している。
『うさぎパン』同様、平易な言葉遣いに自然な文章の流れ。
装飾に欠けるところはあるものの、過不足のない読みやすい文章。
きっと著者とは言語感覚が似ているんだろうなと思う。
「左京区」はシリーズ化されており、現在3作目まであるようなので、続きも読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
真面目で人に合わせて生きることを厭わない、無口な職人肌の先輩。
ふわふわしているようで椅子の事になると曲がらない、天才肌の後輩。
ずっと夢を見ていられるほど若くもないが、夢を捨てて現実に生きる程達観出来る年でもない。祖父と暮らす為に都会を離れた先輩の家に転がり込んだ、椅子作りの夢を見続けている後輩が次第に現実的な先輩を巻き込んでいきます。
ライトな読み口でさらりと読めます。言い換えれば引っかかりも少ないので、この本を読んで何かを始めようと思わせるパワーは持ち合わせていないです。
色々な物を犠牲にしているように見えながら、とても多くの物を持っている二人としか見えませんでした。