川村裕子のレビュー一覧

  • 平安女子の楽しい!生活
    とんでもない良書です。
    私は女の人が夫の3歩後ろを歩くとか政治の道具になるとかいうことにとっても嫌悪感を感じてしまうので、平安時代はどうかなぁイライラしないかな…と思いながら読み始めましたが、めちゃめちゃ楽しく読めました。
    そして、ただ抑圧されて苦しんでいる生活でもなかったのかなと思いました。
    女性...続きを読む
  • うつほ物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    うつほ物語

    源氏物語の先駆けになったとも言える初の長編小説。四代に渡る秘琴の伝授を中心とした宮廷の物語。

    秘琴の伝授した俊蔭、尚待、仲忠、いぬ宮と宮廷での皇位継承問題が一見乖離したストーリーになるかと思いきや、どちらものストーリーもそれぞれの内容を深めるために必須でこれまでの長編物語にできている...続きを読む
  • 今昔物語集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典

    短編集

    一部ご紹介します。
    『炎に飛び込み、身を焼いて食事に差し出したウサギ』:昔々、とある場所で、行き倒れた老人を、ウサギとキツネとサルが見つけた。
    キツネとサルは、食べ物を探してまわり、老人に与えた。だが、非力なウサギだけは、何も与えることができなかった。
    そこで、ウサギは、キツネとサルに焚き...続きを読む
  • とりかへばや物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    性とは一体どうあるべきなのかを強く訴えかけている本だと思う。
    所謂男らしさ、女らしさに縛られているこの社会で兄弟はそれぞれの性格とのギャップを感じ、父親が性を偽装し別々の性別で人生を送っていく。

    女君は男の姿であるときの果断に富んだ性格が本来の女君の姿になることで一変しステレオタイプの男を待ちわび...続きを読む
  • 更級日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    菅原孝標女作ということしか頭になかったが、実際読んでみて何よりも印象的だったのが田舎から京への旅路を細かく書いている点にある。
    日記文学であれほどまでに細かく旅の描写があるのはみたことがなかった。
    また、この作品のタイトルをつけるとすると'諦念を知った少女"だと自分は思う。
    源氏物語などに魅了され、...続きを読む
  • 竹取物語(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    原文も現代語訳文も解説も図説も載っていてとても丁寧な本だと思った。高校一年生の時に古文の教材として配布されたけど1ページも読まずにしまってあった。そして今年、高2の3学期に「読書を日課にしよう」と思い立ったはいいが本がなくて渋々読み始めた本。
    絵本では知ることのできない「かぐや姫」の真髄を知ったよう...続きを読む
  • 平安女子の楽しい!生活
    当時の文のやり取りが
    今でいえばメールやラインだとすると
    短い言葉で 気持ちをやり取りしたり
    ちょうどニュアンスに合うような
    スタンプを選んだりするのと似てる
    和歌を詠み 季節の花につけ送った平安時代
    すごく身近に感じますよ
  • とりかへばや物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    びっくりするぐらい現代的だなと思わせる箇所があり、それだけでも読んでよかったと思う。作者不詳とのことだけど、男性によって書かれたなんてありえないと思う…。
  • おくのほそ道(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    学校で必ず習う冒頭の「月日は百代の・・・」以外の部分を初めてまともに(大半は現代語訳で)通読。

    風情ある景色の移ろいを書き留めているのかと思うとそうでもない。土産を持たされても重たいだけだし、宿だって道中どこにでもあるわけではなく、冷たい土間で一夜を明かすこともある。奥羽の関所では旅人自体が珍しく...続きを読む
  • 万葉集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    正岡子規が好きなので、万葉集はいつかちゃんと読みたいと思ってるけど、全部読むと、他の読書が止まり過ぎる予感があるので、これでひとまず誤魔化す。

    中平卓馬は万葉なんだな、とか。誤解を恐れずにいえば、日本の詩の歴史における縄文土器。ドカッとした塊の迫力よ。
  • 徒然草 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    わかりやすい!読みやすい。訳の後にある一言が、おもしろかったり新たな視点だったり解説だったり。それが、読者にとっての徒然草に幅をもたせてくれる。
    繰り返し読んでもっと咀嚼してみたい。
  • 紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    これでもかっ! という現代語訳の後に古文を配し、そして解説文が続く構成がとても良かった。源氏物語の作者として教科書でも有名な彼女の、中宮彰子に仕えた女房としての記録とエッセイと言える日記を楽しむことができた。天皇の後継者を生んだ彰子に仕える女房のあり方に対する熱い想い、そして枕草子の作者・清少納言へ...続きを読む
  • 更級日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    平安時代に興味が出てきたので、何か読んでみたいと思っていた。源氏物語は長くて導入部分でつまづくことが分かっていたので、もっと簡単なものを探していたところ更級日記に行き着いた。

    作者である藤原高標の娘とは、簡単に言うと文学オタクの中学生女子。京都で流行りの源氏物語を読みたくて、ウズウズしている田舎の...続きを読む
  • 平安女子の楽しい!生活
    女子っぽいフワフワしたイメージの新書。
    でもこの一冊で古典の世界がぐんと身近に感じられる。
    あえて今時な現代語訳なのもわかりやすい。
    イメージしにくい日常生活がとても生き生きと描かれていて、初心者だけではなく、古文を知っているつもりの人にもおすすめ。決しておかたい世界ではないことがわかる本でした。
  • おくのほそ道(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    断片的には読んできたが、今回初めて通して読んだ。
    内容はあまりにも有名だが、こうやって通して読むと、松尾芭蕉という一人の天才の魂の軌跡みたいなものが浮かび上がってくる。すでに俳諧の世界ではトップに君臨しながらも全てを捨てて旅を続ける心境がなんとなく分かることで、その俳句の精神世界が少し理解できたよう...続きを読む
  • 梁塵秘抄 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    最近、「遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ」という歌が、脳内でリピートされている。

    ということで、その出典の「梁塵秘抄」を読んでみることに。

    梁塵秘抄は、当時の流行歌ともいうべき「今様」を集めたもの。今様は、いわゆる流行りもので、和歌と比べる...続きを読む
  • おくのほそ道(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    一応中学・高校で古文はやったが、あまり馴染むこともできず、その後はすっかりご無沙汰、でも古典にまったく興味がないわけでもない……といった向き(つまり僕だが)にはありがた過ぎる角川文庫の「ビギナーズ・クラシック」シリーズの中の一冊。

    「おくのほそ道」自体は短い作品なので、全文が収載されているが、本書...続きを読む
  • 蜻蛉日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    この時代の上流階級の女性の結婚と、その生活について、描かれた日記。兼家さんの悪びれない女好きに作者はプライドが許さずに苦しんだり喜んだり、また凹んだりと、躍らされてしまう人生を送ります。最後のあたりではもう兼家さんは来なくなり、悲しさ切なさひとしおで日記が終わり、何とも言えず後に残る話でした。
  • おくのほそ道(全) ビギナーズ・クラシックス 日本の古典
    旅行記書きとして、そして俳句の読み手として(どっちも中途半端ですが)、一度は読んでおかねばとかねがね思っていた古典。
    平泉のような有名なくだりは勿論読んだ事がありますが、通して触れてみると、なぜ芭蕉があんなにも平泉に思い入れがあったのかよく理解できます。

    それにしても、驚くほどの簡にして要を得た文...続きを読む
  • 新版 蜻蛉日記II(下巻)現代語訳付き
    序文にあるように現代の者も垣間見たいこの時代の身分の高い人の妻の生活が見える。結婚、夫婦の関係の制度は違えど、そこから生まれる喜怒哀楽は今と同じ。歌や裁縫の上手であり、そういう面で夫を支えていた。奥様は侍女にかしずかれてばかりいるものと思っていたので意外だった。蜻蛉のようにはかないと思い続けた女の一...続きを読む