川村裕子のレビュー一覧
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「ところで、ここまででなにか気になることはないですか? そうです。肉がないですよね。実は平安人は、肉類をほとんど食べなかったみたい。平安時代には仏教が流行っていたので、動物を殺すこと(殺生)は避けられていたんです。だから平安男子はみんな草食系でした。」
—『平安男子の元気な!生活 (岩波ジュニア新書)』川村 裕子著
「でも、平安男子には大事なお仕事がもう一つあります。それは、行事や儀式をきちんとやること。今だって入学式とか初詣でとか、イベントはあります。だけど、平安男子のイベントの量は、それどころではなかったのです。これをきっちりこなしていくことが、ミカド(天皇)を中心とした貴族社会のな -
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川村 裕子
博士(文学)。平安文化、日記文学。『蜻蛉日記1』『蜻蛉日記2』(角川ソフィア文庫)、『平安女子の楽しい!生活』(岩波ジュニア新書)『平安男子の元気な!生活』『平安のステキな!女性作家たち』(同)、『ビギナーズ拾遺和歌集』『王朝の恋の手紙たち』『はじめての王朝文化辞典』(角川ソフィア文庫)
「特にこの時代は現代と違って、旅立ちのお別れは、一生のお別れになるかもしれなかったんです。治安だってそれほど安心できる状態ではないし、また病気になっても治療の方法などは、現代ほど進んでいませんでした。 そんなお別れだからこそ、二人は、魂を交換するように小袿を交換したんです。お姉さんは二藍、そし -
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たぶんコロナ前に見つけて買ってた本。途中まで読んでなんとなーくそのままにしてたのを、この機を逃しては…と最初から改めて読んでみた。
大河『光る君へ』のおかげもあるだろうな、紹介される平安の人々がにわかに生き生きとしてる姿が思い浮かんで、一気に読んでしまった。多少の時代(年齢)のズレはあるかもしれないけど、これまで見てきた俳優さんたちがイメージされた。
現代の言葉を多用して、若者に語りかけているから、もしかしてそういうのに馴染めない方々には不評かもしれないけど、私は好きだな。学生さんに教わったとのことだけど、流行りモノに敏感な先生のお人柄が偲ばれる。
蜻蛉日記や和泉式部日記、更級日記、もちろん源 -
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『平安女子の楽しい!生活』の同シリーズ。今度は平安時代の男性の生活にピントを当てた案内書。前回同様、語り言葉、今のおしゃべりで、平安ボーイズの毎日を再現している。最初に紹介しているのは、藤原行成。『枕草子』等でもおなじみの、当代きっての青年貴族である。彼もここでは、親しみやすく、行成くん、であって。この人選がすでに良いよなあと思うのである。物語から引っ張ってくるのではなくて、行成くんなところがいい。文学作品や歴史の教科書で小難しく出会うより親しみも湧くし。
朝起きて、眠い目をこすりながら起きてくるところから。なんて、自分と重ね合わせたら、誰もが経験がある。出かける先は、学校と内裏で違うのだけ -
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素敵!
川村裕子氏の著作はいくつか読んでいます。
どれも共通するのは、
優しく穏やかな語り手がいること。
まるで平安時代の物語に出てくる女房に案内されている気分になります。
たくさんの説明で疲れているときにも、
励ましてくれる、
あたたかでやさしい王朝文化への入門書なのです。
さて、この本は、
平安時代に当たり前のように出てくる言葉や風習、物、場所を解説した本です。
解説といっても、心配いりません。
とてもとてもわかりやすくガイドさんが案内してくれます。
最初は寝殿造などの建物のお話から。
ほんとうに、一緒に建物を見て回るような気分になれます。
平安貴族たちの暮らしは、結構忙しく、
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平安女子に続いてこちらの男子も読んでみた。
最初は語りかける口調に戸惑うが、すぐ慣れて親しい家庭教師に教えてもらっているように頭に入る。
著者も言っているように、平安時代といえば和歌を読んで雅で、男子もすぐ泣くみたいなイメージが強かったが、この本を読むとかなりハードな生活をしていたことが窺えた。
蹴鞠で遊んで恋にかまけてばかりではなかったんだなあ。
中学生の頃に、国語や平安時代の歴史の時間に読んだら、もっと興味を持って授業に取り組めただろうな。
今回この本で特に印象に残ったのは、第3章の藤原行成の子供が亡くなった時のことだ。
当時は死に触れるとケガレが生じ、そのケガレはうつると考えられていた -
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前作『平安女子の楽しい生活』がとても面白かったので、こちらも読んでみました。
前作では煌びやかだけど、待つしかできない女の身の辛さを知ることができました。
今作では、行事や暮らしなど、生活や政治的な話が中心になっています。
生活だとか政治だとか、言葉だけだと退屈そうなんですが、川村さんはまるで友達のことを話すような調子で平安男子の生活を語ってくれます。
イマドキの言葉遣いが、昔のことでも、共感や親しみが沸くように導いてくれる。
それなりに古典文学を読んでいても、
いまいちわかりにくいのが、当時の彼らの風習や文化で、
方違えだとか、結婚だとか、なんとかの儀だとか、身分だとか。
調べても断片的 -
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とんでもない良書です。
私は女の人が夫の3歩後ろを歩くとか政治の道具になるとかいうことにとっても嫌悪感を感じてしまうので、平安時代はどうかなぁイライラしないかな…と思いながら読み始めましたが、めちゃめちゃ楽しく読めました。
そして、ただ抑圧されて苦しんでいる生活でもなかったのかなと思いました。
女性は女性なりに宮仕えにでて働いてみたり、和歌の力で駆け引きをしたり、帝の母親になれる可能性があったり、色々なことを考えて積極的に生きていたんだなあ。
文章自体がとても分かりやすくて面白く、平安女子の世界に引き込まれました。挿絵も多くて良かった。 -
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菅原孝標女作ということしか頭になかったが、実際読んでみて何よりも印象的だったのが田舎から京への旅路を細かく書いている点にある。
日記文学であれほどまでに細かく旅の描写があるのはみたことがなかった。
また、この作品のタイトルをつけるとすると'諦念を知った少女"だと自分は思う。
源氏物語などに魅了され、いつか自分も同じような経験をするだろうと信じてやまなかったが、実際この無情の世では物語のようなことがあるはずもなく、次第に諦念を知っていく。
また、様々な人との別れがあり、会者定離のこの世を物語っている。
そんな無情を嘆きつつも、少女の淡い願いや喜びが所々垣間見れ、そのギャップを -
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平安時代に興味が出てきたので、何か読んでみたいと思っていた。源氏物語は長くて導入部分でつまづくことが分かっていたので、もっと簡単なものを探していたところ更級日記に行き着いた。
作者である藤原高標の娘とは、簡単に言うと文学オタクの中学生女子。京都で流行りの源氏物語を読みたくて、ウズウズしている田舎の少女。
彼女の願い叶って京に引っ越し、源氏物語を昼夜問わず熱中する様。平安時代も現代もあまり変わらないんだなと思った。
物語中では、乳母や姉が亡くなったり、家が火事で燃えたりする。そういう中で、彼女もだんだん年老いていく。外ばかり見てる若い時代から、自分の内面を見つめるように移り変わる。
更級日記 -
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