寺山修司のレビュー一覧

  • あゝ、荒野

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    2021年、2冊目は、最近、プチブームの少し前の話題作シリーズ(菅田将暉主演で映画化されたため)であり、敬愛する寺山修司の作品(敬愛するとか言っておいて、今さらかい⁉️)。

    吃りと赤面対人恐怖症に悩む〈バリカン〉建二は、〈片目〉の堀口のボクシングジムの門を叩く。同じ頃、堀口はレコード店の前で、新宿新次をジムにスカウトする。二人は、同期のボクサーとして歩み始める。

    1960年代の新宿歌舞伎町を中心に、新宿西口周辺を舞台に、〈バリカン〉建二と新宿新次、その周りの人々で物語は展開されていく。

    序盤はやや緩慢な印象も、徐々にテンポ感が出てくる。さらに、今で言うところの差別用語や、寺山修司の独特な

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    2021年06月10日
  • 戯曲 毛皮のマリー 血は立ったまま眠っている

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    1976年に角川文庫から発売された寺山修司戯曲集。
    内容紹介には、初期戯曲集とありますが、演劇実験室天井桟敷の初期の2編の台本と、天井桟敷以前の戯曲3編が収録されています。

    自分、寺山氏の演劇作品は全く観賞したことがないんですが、寺山修司監督映画『書を捨てよ町へ出よう』と『田園に死す』は、なぜか好き。
    この作品集に収めれた5編に、それぞれこの2作品に通じるものがあり、ちょっと嬉しくなりました。

    丸山明宏、春川ますみ、といった役者が演じることを想定したキャラクターが面白い。登場人物が会話するセリフとひたすら壁に落書きされた文を読み上げるセリフとが重なるという手法が面白い。役者が登場人物として

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    2020年11月12日
  • 幸福論

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    “性”を扱ってる章がとても好きだった。性行為における「イク」という言葉の意味の面白さ(距離、何処に行くのか?)風俗嬢が口にする「遊んでいかない?」というセリフ(愛していかない?ではない)
     自慰行為の想像力(僕は自慰って言葉が好き、自分を自分自身で慰めるって素敵じゃない、性的にだとしても)
     二人でいる幸福を一人の幸福とすり替える愚かしさ、(それも人間的だと夏目は思うけど)
    性的にコンプレックスがある自分は読んでて楽しかった。

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    2020年01月09日
  • あゝ、荒野

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    ネタバレ

    この本のテーマは、「それでも生きていかなければいけない人間について」とか「命の重さ」かなあと感じた。

    青春小説と言ってる人もいるくらいなので、青年2人がボクシングで絆を深める話なのかと思ったら、全く違う。

    p12.バリカンが「何とかして周囲にひしめく人類の一パーセントたちに好かれたいと思っていた。」で早くも涙が出そうになった。
    同じジムで過ごす新次と健二の様子は微笑ましい以外の何者でもなかったし、健二はここで愛を知ることができるんだと思った。
    だけど、健二は新次に愛されていると思うことはついに最後までなかったのかな、と。
    だからこそ、ボクシングを通して、リングの上で殴り殺されることこそ愛さ

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    2019年11月22日
  • あゝ、荒野

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    河出文庫版。烏が表紙のやつ。何年も積読やったんやけど、平成が終わる前に昭和の臭いしかしないこれを読み終えたぜ。
    この時代の新宿などわたしが知るはずないけど、路地裏なんかの換気扇の臭いがしてきそうな雰囲気。

    バリカンくんせつないなー。でもそれが彼の向き合い方で自己表現の仕方なんやな。
    バリカンくんと新次くんがどうやって親交を深めたのか、そこが掘り下げられればもっと面白かったと思うんやけど…群像劇っぽい感じだから、他の人の話読んでるうちにしらんまに仲良くなってた。

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    2019年04月25日
  • 寺山修司少女詩集

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    尊敬する女性にプレゼントしてもらった。わたしが憧れる女性たちが好きな本。とても素敵な言葉が紡がれていて、驚いた。とても面白かって

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    2019年02月12日
  • 書を捨てよ、町へ出よう

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    原作のエッセイを読んで、いまいち分かりにくかったのだが、年配の友人に寺山修司ってどういう人?って尋ねたら、映画の方が面白いよと言われて読後に鑑賞もしてみた。

    確かに面白かった。原作で読んだ言葉たちが繋がった。「書を捨てよ町へ出よう」とは「町そのものを書物のように読むべし」ことだそうだ。町とはそこに生きている人間、光の当たらない人々の言葉なんだろうなと思った。主人公とその家族、人力飛行機で祖国へ帰ろうとする在日朝鮮人、ゲイの文通欄の言葉、娼婦、尋ね人の言葉、犯される少女の叫び、姥捨山に送られる老婆、街中の落書き、看板、街頭インタビュー、悪態をつく若者、気持ちの吐き出せないさまざまなマイノリティ

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    2018年12月23日
  • 栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック

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    江戸川乱歩、他『栞子さんの本棚2 ビブリア古書堂セレクトブック』角川文庫。

    三上延の『ビブリア古書堂の事件手帖』に登場した古今東西の名作集、第2弾。残念ながら今回も抜粋作品が多い。

    江戸川乱歩の『孤島の鬼』『黄金仮面』『江川蘭子』は抜粋。全文掲載は『押絵と旅する男』と『二銭銅貨』の2編。中でも『二銭銅貨』は傑作中の傑作。この時代にこれだけのレベルの暗号ミステリが創られたとは信じられない。何度読んでも面白い。

    小林信彦の『冬の神話』、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』『ハムレット』も当然の如く抜粋。

    小沼丹の『黒いハンカチ』は江戸川乱歩と同じような系統の小気味良いミステリー。時代を感じつ

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    2018年10月30日
  • 寺山修司全歌集

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    短歌、俳句、詩、エッセイ、評論、演劇…。芸術のジャンルを軽々と飛び越え、その鬼才ぶりを発揮した寺山修司。言葉の錬金術師は歌う。故郷を、愛を、青春を、父を、そして祖国を。短歌の黄金律を、泥臭く、汗臭く、血腥い呪文へと変貌させる圧倒的な言語魔術に酔いしれる。

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    2018年01月13日
  • あゝ、荒野

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    2017年10月の映画公開に合わせ購入。
    新宿を舞台にした生々しい昭和の香り。昔は新宿も薄汚かったのに、小綺麗になってしまった。ここに描かれた昭和が懐かしい。小説には出てこないけれど、コマ劇場前の噴水とか、昔の歌舞伎町を思い出した。何という小説ではないけど、昭和の新宿を生きた人たちの哀愁を感じる。寺山修司、初読。

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    2017年10月20日
  • 寺山修司少女詩集

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    愛ってなんだろう。
    死ってなんだろう。

    考えても考えてもキリがない。

    だけど、考えなくては前に進めない時がある。

    それを教えてくれる指南書のように感じる。

    溢れる想いを、どこへやったらいいか。
    道に迷った時、どこを目指したらいいか。
    悲しみに暮れる時、どこに愛を示すか。

    詩というものをあまり読まないけれど、感じる、感じ取るという意味では改めて寺山修司さん(『書を捨てよ、町へ出よう』ぶりに読んだ)のすごさを知った。

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    2017年10月12日
  • 書を捨てよ、町へ出よう

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    《ノック(30時間市街劇)》という演劇の存在を知り、興味が湧いたので読んでみた。寺山修司という人が、天井桟敷や、映画や、詩などを通して何をやりたかったのか少しだけ分かった気がした。当時はあらゆる人間が、とにかく何か動かしてみること、行為を起こすこと、を求めていたのかも。私は今、あした何が起こるかわからない日々を生きている。何をすべきか。

    『これは、決して進歩のすすめではなくて、むしろ移動のすすめに過ぎないのだが、座標軸を決めてかかった移動には、常に新鮮な視野がひらける。社会閉鎖と「あした何が起るかわかっている状況」への挑戦には、こうした休みなしの運動が必要な時代なのではないか、というのが私の

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    2016年04月27日
  • 戯曲 毛皮のマリー 血は立ったまま眠っている

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    戯曲も寺山修二も初体験。想像していたより、エンタメ色のある楽しい戯曲だった。
    「毛皮のマリーになんて、なるんじゃなかった!」醜女のマリーを演じてみたい。
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    他の方のレビューを読んで、「さらば、映画よ」がサイコパスにて引用されていたことを知った。現代、なにもかも代理人に任せているという感覚は新しいけれど、なるほどと思った。

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    2015年04月21日
  • 寺山修司少女詩集

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    どきりとさせられる言葉が随所にみられ、瑞々しい感性にも触れられた。「そう 恋のまたの名はおばけだよ」などなど思春期に読んでいたらもっともっと心にきたであろう。でも読めて良かった。次は音読したい。

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    2015年03月18日
  • 寺山修司少女詩集

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    自分的には、もっと短歌的なものを・・・
    って書こうと思ったのですがこれ詩集ですね
    短歌集を買えばいい話ですよね

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    2014年07月01日
  • 幸福論

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    「私たちの時代に失われてしまっているのは、
    幸福ではなくて幸福論である。」

    哲学といっしょで、幸福そのものよりも(そんなものはきっとない)、どうすれば幸福か、なにが幸福かを考えて行動することのほうが大切、だと思う。


    ・書物の歴史性を、現在化していくおは、読者の肉体である。
    →どういう肉体のコンディションで本を読むか。

    ・スクリーンがあれば、人は何度でも死に、何度でも生きられる。

    ・変装の役割。差別の克服。
    自分を解放する日常的な冒険。

    ・演技を生き方の方法にすることで、想像と現実の間の階級を取り除く。

    ・交際を広げたい人は、身近な人も他人とみなす疎外感。
    出会いに期待する心は、幸

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    2014年06月08日
  • 幸福論

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    幸福論は未来にしか存在せず。
    アラン的幸福論による認識の転換、雨の日でも良い側面がある、などといった思考を無理に変えるような自己欺瞞ではない幸福論を。
    その鍵はー想像力か?
    幸福である事に対する理性的判断も捨て去る?

    引用
    想像力も、交換可能の魂のキャッチボールになり得たときには、幸福論の約束事になりえる。

    →山の向こう、まで想像力が到達すればばいいのか?

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    2014年05月09日
  • 寺山修司少女詩集

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    愛や恋、海などを題材にした詩が多いのが印象的である。他にも短い物語なども見られる。
    詩人の表現力の高さには驚かされるばかりである。身近な題材であるが、それをとことん追究する様子は一種の哲学のように思える。

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    2014年03月16日
  • 幸福論

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    『本を読むということは「人生をおりている時の愉しみ」か、あるいは「人生を何かによって閉ざされている状態の代償行為である。』
    『「正義」の最大の敵は「悪」ではなく「べつの正義」なのだ、というのが確信犯の倫理である。』
    『想像力があれば存在することができる』

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    2013年12月22日
  • 戯曲 毛皮のマリー 血は立ったまま眠っている

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     寺山修司さんの戯曲。
     ≪サイコパス・PSYCHO-PASS≫の引用から興味を持って。

    ≪さらば、映画よ≫
    「映画なら上手も下手もないですよ」
    「映画もつまんない。ハンフリー・ボガートが死んでしまったもの」
    「そうね、俳優がほんとに死んじゃっちゃいけないなあ。俳優は映画の中で死ぬべきですよ。ストーリーの中で死ねばいいんだ。そしてまたべつの映画の中で生きかえる。歴史の反復性……輪廻。それなのにハンフリー・ボガートは映画の外で死んでしまった。何てわがままな人だろう」

    「『誰も私に話しかけてくれない』って遺書を残して死んだソビエットの養老院の老人の記事を読んで、母は薄笑いをうかべて『自分で自分

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    2013年10月18日