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「あなたにとって幸福とは何ですか?」という問いかけに、大勢の人々が「昼寝」や「テレビをみること」、「美味しいものを食べること」と答えているのを見たならば、あなたはそれをどう感じるだろう。〈私たちの時代に失なわれてしまっているのは「幸福」ではなくて、「幸福論」である〉と記す著者が、古今東西の「幸福論」に鋭いメスを入れ、イマジネーションを駆使して考察した新たなる「幸福論」。
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Posted by ブクログ
一番好きな作家。 正直文章自体は理系の自分には中々難しく、かなり読み飛ばしている部分もある。 けど、この人の書く文章には力学がある。秩序を前提とした「当たり前」の矛盾に立ち向かってるパワーがひしひしと感じられる。 私の詩のなかには いつも汽車が走っている だが私はその汽車に乗ったことがない 心を...続きを読む撫でてくれるような文章はないけど、だからこそがつんときました。出会えて良かった
寺山修司に触れる 理解できなくても共感できなくても ちょっとでも良いなと思うところを探す幸福 そこを繰り返し読む幸福
“性”を扱ってる章がとても好きだった。性行為における「イク」という言葉の意味の面白さ(距離、何処に行くのか?)風俗嬢が口にする「遊んでいかない?」というセリフ(愛していかない?ではない) 自慰行為の想像力(僕は自慰って言葉が好き、自分を自分自身で慰めるって素敵じゃない、性的にだとしても) 二人で...続きを読むいる幸福を一人の幸福とすり替える愚かしさ、(それも人間的だと夏目は思うけど) 性的にコンプレックスがある自分は読んでて楽しかった。
「私たちの時代に失われてしまっているのは、 幸福ではなくて幸福論である。」 哲学といっしょで、幸福そのものよりも(そんなものはきっとない)、どうすれば幸福か、なにが幸福かを考えて行動することのほうが大切、だと思う。 ・書物の歴史性を、現在化していくおは、読者の肉体である。 →どういう肉体のコン...続きを読むディションで本を読むか。 ・スクリーンがあれば、人は何度でも死に、何度でも生きられる。 ・変装の役割。差別の克服。 自分を解放する日常的な冒険。 ・演技を生き方の方法にすることで、想像と現実の間の階級を取り除く。 ・交際を広げたい人は、身近な人も他人とみなす疎外感。 出会いに期待する心は、幸福を探す心。 ・アトム畑井。自分がボクサーになって殴られる様子がテレビに映ることで、母に自分を探してもらえるという期待。 ・売春婦は、「遊んでいかない?」とは言うが、「愛していかない?」とは言わない。 ホイジンガ「愛が遊戯であり、性がまじめである」 ・なぜ「いく」っていうんだろうか。 なにかが逃げていくのか。 ・オナニーはランプの魔人と似てる。 ・「オナニーは、出会い。自分の中に同胞を見出す行為」寺山修司 ・距離と歴史。 100mを11秒で走るランナーにとっては、10000mは18分の歴史。 走ることは、過去をたぐりよせること。 ・歴史で大切なのは、伝承されるときに守られる真実の内容。どうつくりかえ、再構築していったか。そこにどういう意図があったか。 ・寺山修司の劇団は、身の上相談。 不幸な人が、不幸を演じればいい、という考え方。
幸福論は未来にしか存在せず。 アラン的幸福論による認識の転換、雨の日でも良い側面がある、などといった思考を無理に変えるような自己欺瞞ではない幸福論を。 その鍵はー想像力か? 幸福である事に対する理性的判断も捨て去る? 引用 想像力も、交換可能の魂のキャッチボールになり得たときには、幸福論の約束事に...続きを読むなりえる。 →山の向こう、まで想像力が到達すればばいいのか?
『本を読むということは「人生をおりている時の愉しみ」か、あるいは「人生を何かによって閉ざされている状態の代償行為である。』 『「正義」の最大の敵は「悪」ではなく「べつの正義」なのだ、というのが確信犯の倫理である。』 『想像力があれば存在することができる』
寺山修司の著作を読んだのは初めてだったのですが、とにかく引用が多いこと、登場する人物名が多岐に渡ること、文の表現や比喩、状況の描写などが独特であること、競馬の知識が皆無であること等から、その言わんとすることはなかなか理解し難かったのですが、彼の伝えたいことはその独特の文章から少しばかりは汲み取ること...続きを読むが出来たかなと感じました。 寺山の幸福論を読み解くための手掛かりになると思われる想像力や演技、出会い、偶然と必然などの言葉にはいささか得るものがあったのかと思われるところがあります。「出会いに期待する心とは、いわば幸福をさがす心のことなのだ」、「偶然の本質、偶然をそれ自体の存在として受けとめようと思い立ったときに、はじめて自由になれるのだ」といった言葉にも考えさせられる部分があり、読んでいて飽きない作品でした。 寺山の幸福論は多くの哲学、数学、社会学等の学問や映画、詩などの著作を引用しており、幅広いジャンルの書物の紹介書のようでもあるため、これを読むことでさらなる知的好奇心をかきたてることができることからも、是非読んでいただきたい一冊です。
「幸福とは決して一つの状態ではないと知ったとき、『幸福になってしまったあと』などという言葉は失くなるはずである」 ジュール・ルナアルの言葉を思い出させる一文。 寺山修司は出会いを勧める。ときには家出を、変身を、快楽を奨励する。それは常に動的である。 「幸福の相場を下落させているのは、幸福自身ではな...続きを読むく、むしろ幸福ということばを軽蔑している私たち自身にほかならないのである」
奈何せん予備知識が足りないから完全に楽しめたとは言えません。 だけど思考のやり方はこの度も素敵ですね。 「出会い」と「性」の章が好きだな。 取り上げられている題材についてもう少し理解出来たらいいなと感じた。 ので、評価は四つですのよ
寺山修司は競馬の話してる時が一番面白いよって聞いたんだけど、その通りだった。競馬のこと何もわからないのにここがいちばよかった。 もとい、引用も多く、ご存じのね、みたいに言われても存じない浅学ですみませんという気持ちになる部分もあるが、決して読みやすくはない文章の連なりの内に、腑に落ちることや胸に刺...続きを読むさることも多く、手元に置いて折に触れて読み返したい一冊だなと思います。
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幸福論(角川文庫)
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寺山修司
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