寺山修司のレビュー一覧
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絢爛豪華なことばが縦横無尽にはねまわっている戯曲集。
貧困や政治や性を扱っているのに、ことばが喚起するイメージだけで、舞台が天国にも宇宙にも変わる。
放埒な中にも、シェイクスピアなり聖書なりのモチーフをさりげなく生かしているのがいやらしいほどうまい。
(テグジュペリがなんていうかは知らない)
特にどの戯曲が好きというのはなくて、テーマや言い方は違えど、通底するものは同じに思える。それが何かは言葉にできないけど。
寺山修司はエッセイを1,2冊しか読んだことがないのだけど、その中の言い回しやアイデアがここにも(というか、自分の戯曲をあちらで引用していた)。
色々なところから気に入ったフレーズ -
Posted by ブクログ
初読み寺山修司。すっごくおもしろかった!増田セバスチャンさんの影響で手を出した寺山だが、ここまでおもしろいとは。太宰を読んだのもアラサーのときだったが、アラフォーにして寺山にかぶれる。読書人生どんな楽しい落とし穴が待っているかわからないもんだ。
一読して思ったのは、寺山修司はぽっかり空いた穴を埋めてくれるタイプの作家ではなく、よりその穴をえぐるような扇動を仕掛けてくる挑発的な作家だということ。左翼的に思われがちな彼だが、私が感じたのは左翼も右翼も「体制」「反体制」というなんらかの体制に縛られているのに対して、寺山は「体制(スタイル)には属していない」ということ。そんな言葉があるかわからないが -
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言葉の連隊が大挙して押し寄せてくるようなすさまじさ…。言葉の錬金術師ってこういうことか!!!5篇の戯曲が一冊に収められていますが編み方も大変よく、見事に一つの無限ループを描いて宇宙を作ってます。みんな誰かの代理人。私は誰の代理人なんだろう?それを放棄し動物的に生きるということは意外と勇気がいる。遠くに行きたいという僕の願いをかなえてくれるのは汽車ではなく僕の中を流れる赤い血。人生とは自然に反して生きること。見せかけの栄光か本物の自由か。見てしまった歴史と処世。舞台等なくても誰もが芝居をしている。D.C.
で、ここまで言葉責め(なんか違う)しておきながら、“言葉が 死ぬとき めざめる 世界がある -
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数年前、インターネットの海で初めて見た「階段」という詩がとても好きになって、以来ずっと大切にしていたのです。
初めて見てからほんの数週間ほど前まで、きっとわたしの知らないどなたかが書いた詩なのだろうと思っていましたが、何故だか突然誰が書いたのか?もし手に入るなら手元に置きたいと思いついて、インターネットで調べました。
寺山修司の本は2冊持っていましたが、詩集は持っていなかったし、作詩をしていたことも知らなかったのですが、手に入るということが嬉しくて早速本屋さんで買いました。
いま読んでもとってもとっても素敵ですが、何年も前、もっと自分の感性が定まっていない、まだ構成中のふらふらした頃に出 -
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初めて読んだ寺山修二の本が「家出のすすめ」だったせいだろうか。
あれから彼のどの著書を読んでも、寺山修二に対するイメージは「家出少年」のまま変わることがなかった。「身捨つるほどの祖国はありや」と彼が詠んだ歌があまりにもインパクトが強かったせいもある。
だがこの本を読むことにより、また一つ別のイメージも定着することになる。
どこかテネシーウイリアムズの戯曲「ガラスの動物園」の主人公の少年を思わせるような、センチメンタルで繊細な少年である。
この詩集は、今にも壊れそうな美しい硝子細工のような心を持った少年の、アイロニーに満ちた叙情詩である。
「ヒスイ」という一編の詩がある。
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ネタバレ初めて手にした寺山さんの著書。
一読二読してみて、本書のタイトルの意味を理解できたかどうかが、この本(ひいては寺山さん)が自分に向いているかどうか、分かれるでしょう。
途中途中に詩や歌謡曲の歌詞を織り交ぜてくれる事で、つい感傷に浸ってしまいました。心に残る、ついメモを取りたくなる言葉が多いです。
売ったり手放したりせずに一冊、いつでも読めるところに置いておきたい本。人生の指南書の一つですね。
この本の中で一番好きな章は自殺学入門ですね
自殺とは死への純粋な憧れからの行動であり、何か生きてる上で足りないものがちょっとでもあればそれは他殺や病死になってしまうので自殺ではなくなる・・・とは、とて