中村明日美子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「2週間のアバンチュール」だけなら☆5です。
表題作は林間学校を舞台にした短編。妖艶な切れ長の目と不思議な雰囲気をもつ子供らしくない少女・アンジュが、我侭なローズに辟易し企てた悪戯とは……
少女という生き物の無邪気な残酷さ、狡猾な悪意を巧く表現している。描写もエロティック。小悪魔的なアンジュは耳で切り揃えた黒髪おかっぱと冷ややかな切れ長の目という、一般に「子供らしい可愛さ」と誉めそやされる基準とは対極にあるのだが、ふしぎな魅力がある。
個人的に「修道院」の方が好き。マリー・ルーの可愛さは異常。マリー・ルーとアンジュの間に芽生える依存にも似た友情、アンジュに心酔するマリー・ルーに対するアンジュの冷ややかな観察の目の対比、二人の温度差がとてもいい。
アンジュはマリー・ルーに対し生理的探究心からとある実験をするのだが、その描写がねっとりエロく、責められる側の表情がとても甘く扇情的で、百合好きな男性の鑑賞にも堪えうるほど。中村明日美子がBL一本の人だと思ってる男性にも声を大にして薦めたい。
「彼の左目」は途中までよかったが、ラストのとってつけた感が少々不満。
エピローグは蛇足。
「なんであの流れでこういう決着になるの?」と展開の整合性に疑問符。
奥さんの扱い方もあれはあんまりだなあともやもやが残る。
中村明日美子の幅の広さに触れたい方はぜひご一読を。 -
Posted by ブクログ
人魚をめぐる物語。
人魚というか、<血>か。
どうして、日本の人魚はえぐいというか、…えぐいよな。
って、本質が妖怪だからか。西洋のものは、妖精かなんかで、その辺の差なのかもしれない。
依頼されたからというだけでなく、どんどん巻き込まれていく伊織は危険な目にあうのだが、それをどこか容認している雰囲気がある。
で、最後にその理由が明らかになるのだが、その出し方が上手い。
うむ。
ちょいちょいポエミーな表現が気になるときもあるのだが、ここでシメ、というか、暗転するというか、そういう一言を投げ込むのが上手い。
で、気が付くと、奈落にいるような感覚になる。
で、宿敵ともいえる青目のことが多少つまびらやかになってくるわけだが…。
いやなヤツなんだけど、恰好いいのよね。
困ったことに。
にしてもやっぱり愛は歪むと怖い。 -
Posted by ブクログ
占い師と謎の子供の話。
いわゆる毒親で、その犠牲になってということなのだろうが、それだけで片付けられないものを感じさせるところが上手い。
妖人だからどうのというのは、薬味みたいなものだなと思う。
かといって、その設定がないと物語が成立しないのだけどね。
と、相変わらずやたらご飯が美味そうなのだ。
やっぱ、食は生きていくことに直結していると思う。
ああ、そうか。
このシリーズ、生きていくことを真正面から肯定していこうとしているのか、と感じる。
だからこそ、主人公のちょっとした危うさが気になってしまうのだけどね。
うまいことやられたもんだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今の時代となってはBLという言葉も世間に出回り、同性愛もむしろ認める方向に動いているけど、中村明日美子さんが描くような『耽美』の中では『同性愛』まして『近親』は本当に死にも近い禁忌なのだと思う。それがあのラスト。
兄が弟を遠ざけたのは、近づいたら『禁忌』を犯して全てが崩壊してしまうことを自覚してたからなのだろう。
目隠しをすることで、『弟だとわかっていなかった』と言い聞かせ、弟と交わることへの罪悪感をなくす。
あのラストが耽美らしい、とはわかっていても、やはり別の幸せの形があったのではないか?と思ってしまう(……のはハピエンBLに浸かりすぎたせいだろう)
弟はこれからどうなるのか、
救われるのか
弟×甥という展開も美味しいのでは……と思うのは単に私が叔父甥好きだからですねすみません
次はどの中村明日美子作品を読もうか…
レビューを見るとダブルミンツがハピエンそうかな…… -
Posted by ブクログ
中村明日美子さんの踊るような輪郭線はいつ見ても感情がほぐされそうになる。
読む前は「同級生」のサイドストーリーとして原先生が適当な新規キャラに心ほぐされて救われるんだろう、といったものを想像していましたが、実際は原先生という人物の掘り下げもさることながら、ソラノの過去の恋愛、更には原先生の過去の片思いの相手と更にその相手の現在の恋人へと、物語が佳境に近づくにつれ幾重にも増していく関係性の縦走感と、最後には畳み掛けるようにそれぞれの場所に落ち着いていく一連のもつれ、その美しいカスケーディングの様相に非常によく練られた作品だと思わされました。
物語を読み終えた後にこの表紙を見ると、こうして二人が並んで歩くに至るまでの時間と経てきた物語に感慨深いものがありますね。終わる恋、終わる恋、終わる恋、それでも今隣り合って歩いていけているのは、二人が前向きだったからだとか、良い奴だったからとかではなくて、なんだかんだでお互い向き合ってこれたからなのかな、と。
単純に惹かれ合うと言うには多くの関係性に揉まれすぎてノイズだらけに見えるし、現実に流され続けて落ち着くところに落ち着くのもそれだけ聞くと何かに負けたように聞こえるけれど、でも最後の二人のからっとした心境を見ているとそう行き着いた先の関係性というのも悪く無いのかな、と思えました。
他の誰よりも「ふたり」に見える表紙の構図も相まって。
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