中村明日美子のレビュー一覧
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マメくんが、食堂でボランティアとして働き始めた。
が、殺人事件がおこって、彼は容疑者とされてしまう。
とはいえ、さくっと容疑ははれるんだけどね。
今回は、とても日常的な話。
日常的なのに、なんともいえない居心地の悪さがあって、事件がおこって解決に向かっていく間に、その居心地の悪さがほどけていく感触があって、上手いと思う。
うん。
今までの話は、閉塞感が常にあったのだけど、今回はなんか違ってる感で、きてる。
上手く、ギアチェンジしたと思う。
とはいえ、オチは弱いかな。
まぁ、むしろ弱いからこそ、彼女たちの境遇が浮き彫りになるのだけど。
…桜餅が猛 -
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登場人物ほとんどはワケアリなのだが、単純に子供(じゃないけど)だと思っていた彼が…。
実は、っていうあたりは、定番といえば定番だし、そのあともステレオだといえばステレオなのだけど、なんなんだろうな。ワケアリが、肩よせあってひっそりとがんばっていたのに、それを土足で踏み荒らすというか、用意周到に大雨で地盤を緩めておいてそれから重機もってきてぐちゃぐちゃにした、感じに怒った。
あら、すっかり妖琦庵サイドに入れあげているわね、と我ながらびっくり。
だからこそ、満を持してのマメくんの話だったか…。
やられた。
妖人の話は、ようするに<差別>と<区別>の問題になって -
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まぁ、一番恐ろしいのは、人間なのだ。
というか、人間の恐ろしさは、底がない。
でもって、妖という異質を通してなお、底が見えない。
というのを、描こうとしているのかと思う。
<見えない底>に手をのばそうとしているように、感じる。
だからこそ、妖という、それこそチートに手を伸ばすことができそうな存在を必要とした?
母娘の共依存の窒息しそうな感じは、鬼気迫っていた。
多かれ少なかれ、母娘というのは、こういう窒息感をもっているよなと思う。
それによって、くるっていくのも人間だからこそ、であり、それから逃げられないのはある種のやさしさなのだ。
だか -
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「2週間のアバンチュール」だけなら☆5です。
表題作は林間学校を舞台にした短編。妖艶な切れ長の目と不思議な雰囲気をもつ子供らしくない少女・アンジュが、我侭なローズに辟易し企てた悪戯とは……
少女という生き物の無邪気な残酷さ、狡猾な悪意を巧く表現している。描写もエロティック。小悪魔的なアンジュは耳で切り揃えた黒髪おかっぱと冷ややかな切れ長の目という、一般に「子供らしい可愛さ」と誉めそやされる基準とは対極にあるのだが、ふしぎな魅力がある。
個人的に「修道院」の方が好き。マリー・ルーの可愛さは異常。マリー・ルーとアンジュの間に芽生える依存にも似た友情、アンジュに心酔するマリー・ルーに対するアンジュの -
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人魚をめぐる物語。
人魚というか、<血>か。
どうして、日本の人魚はえぐいというか、…えぐいよな。
って、本質が妖怪だからか。西洋のものは、妖精かなんかで、その辺の差なのかもしれない。
依頼されたからというだけでなく、どんどん巻き込まれていく伊織は危険な目にあうのだが、それをどこか容認している雰囲気がある。
で、最後にその理由が明らかになるのだが、その出し方が上手い。
うむ。
ちょいちょいポエミーな表現が気になるときもあるのだが、ここでシメ、というか、暗転するというか、そういう一言を投げ込むのが上手い。
で、気が付くと、奈落にいるような感覚になる。
で、宿敵ともい -
Posted by ブクログ
占い師と謎の子供の話。
いわゆる毒親で、その犠牲になってということなのだろうが、それだけで片付けられないものを感じさせるところが上手い。
妖人だからどうのというのは、薬味みたいなものだなと思う。
かといって、その設定がないと物語が成立しないのだけどね。
と、相変わらずやたらご飯が美味そうなのだ。
やっぱ、食は生きていくことに直結していると思う。
ああ、そうか。
このシリーズ、生きていくことを真正面から肯定していこうとしているのか、と感じる。
だからこそ、主人公のちょっとした危うさが気になってしまうのだけどね。
うまいことやられたもんだ。
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