辻真先のレビュー一覧
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宮沢賢治について取材をしている記者・可能が、盛岡で「銀河ステーション」なるレストランをオープンさせた後輩の後藤に会いに行くことから事件ははじまる。
宮沢賢治作品の朗読会のシナリオに紛れ込んだ、贋作童話「プラネトーとマグネトー」。
大学の賢治サークル「羅須地人クラブ」のメンバーが、賢治作品になぞろえられて殺害されていく。
宮沢賢治の「アメニモマケズ」の境地に、生きながら辿り着いていた三木司郎という青年の死。
殺人事件ミステリとして、というよりも、宮沢賢治作品のすばらしさを改めて感じさせてもらえた。
そういう意味でのおもしろさが上回った。
ラストは、ありがちな感じするけど、悲しい恋の結末。
こ -
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1949年の戦後間もない名古屋を舞台にした高校生達のお話。
推理小説研究会の部長である勝利は、
映画研究会との合同旅行で湯谷温泉へと向かうことに。
そしてそこで遭遇してしまう、密室殺人事件。
この事件を筆頭に、夏休み最終日、
キティ台風が襲来する夜に起こる首切り殺人事件。
この二つの不可解な事件に巻き込まれた勝利たちは、真相を追うことになる。
学制改革による旧制中学卒業後の特別な1年間の高校生活を描いていて、
男女共学が始まったばかりということもあって、学生達の戸惑いが新鮮だった。
こういった時代背景を下地にしながらも、
とても大昔の出来事とは思えない、現代に通じる人間描写の数々。
『たか -
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新旧含め話題のミステリ作家が定番の名探偵を使って短編を書き、杉江松恋がミステリ論を展開する入門書。最近のミステリのみを読んでいる大人にも超おすすめの一冊です。なんとなくスルーしている昔の定番名作も紹介されていて、読みたい本が増える危険な一冊でもあります。ルビあり、229ページ。中学年ぐらいから大丈夫ですが、多くの子が読めるようになるのは高学年くらいからかなぁ。各中表紙に探偵挿絵あるのと、ミステリ論ごとに四コマまんがあり、手に取りやすくなっています。紹介される小説は完全に大人向け。
「パブリック・スクールの怪事件」 楠谷佑
ホームズとワトソンが男子寮で起こった事件を解決します。
「アルセーヌ・ル -
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海外ミステリの有名な名探偵たちを取り上げたパスティーシュ作品のアンソロジー&ブックガイド。子供向けのように思えますが、大人も充分に楽しめます。初心者向けのようでもあるけれど、ミステリファンにとっても読みごたえは充分にあります。読み終えたらさらにミステリを読み漁りたくなります。国内ミステリ版も出していただけませんでしょうか。
お気に入りは水生大海「一つの石で二羽の鳥を殺す」。他の作品は面白かったけれど、だいたい真相がわかったのですが。これだけぜんっぜん解けませんでした。ミス・マープルの脱線したかのような話がきちんと関わってくるところも見事だし。
ブックガイドも古典的な定番を押さえているように見え -
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昭和12年7月7日夜、中国北京の盧溝橋で鳴り響いた発砲音。やがて日中は戦争状態となり、昭和20年8月に無条件降伏するまで続く。
アメリカ軍との太平洋を舞台にした戦闘に比べ、中国との戦争はあまり知られていない。
中国、台湾、韓国といった東アジアの人々から見たら、当時日本という国が何を考え何をしたかは、知っておくべきこと。
昭和12年に名古屋で開催された博覧会を舞台にしたミステリー。
あまり物語には馴染まない名古屋で、怪しげな“〇〇館の殺人”的カラクリ満載で、思春期の少年が主役で、なんだか小説の描写自体もノスタルジーを感じる仕掛けだ。
次作の副題「昭和24年の推理小説」に対し、本作が「昭和1 -
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大正時代、奇妙奇天烈な「むの字屋敷」で起こった事件を追え #命みじかし恋せよ乙女 #少年明智小五郎
■あらすじ
大正時代、新聞記者の可能勝郎は富豪の屋敷に取材に来ていた。当主である余介が屋敷になかむら座を招いて「番町皿屋敷」を上演するためだ。
開演日まで関係者に取材を続けていた勝郎だったが、ある酔った宵、女性の死体を見かけてしまう。しかしドタバタの中、いつの間にか死体が消失してしまって…
■きっと読みたくなるレビュー
大正ロマンにしっとり浸れる作品。若干の艶っぽさがスパイスになって、独特の雰囲気に包まれますね。まるでお芝居を観てるかのような場面の移り変わりや台詞のやり取りで、大御所先生な