辻真先のレビュー一覧

  • 上州・湯煙列車殺人号
    トラベルライター瓜生愼が探偵役をつとめるシリーズ。

    吾妻線を走るイベント列車「ロマンティックトレイン」取材のため、「大正浪漫號」に乘車してゐた主人公の目の前で、毒物による殺人事件が起きる。
    走つてゐる列車の車内のことなので、いわゆる「密室殺人」であり、犯人の可能性のある人物は車内の數名に限られてゐ...続きを読む
  • 北海道・幽霊列車殺人号
    これはトラベルミステリーの名を借りた「本格推理」である。
    すべての謎は論理的に解明される。
    ただし、主要な登場人物の一人について、その本名が最後までわからないのは、ちとひつかかる。

    輕い筆致なので、重い内容であるにもかかはらず、樂しく讀み進めることができた。

    2004年9月19日讀了
  • 村でいちばんの首吊りの木
    表題作を含めて 計三作の中編が集められてます。
    言い回しに時代(昭和)を感じます。

    一人暮しの長男を訪ねて田舎から出てきた母親が 片手を切り取られた女の死体を発見。彼女と交際していたらしい長男は行方不明。警察は長男を犯人と疑う。

    長男の無実を信じる母親と、同じく一人暮しをしている次男(受験生)の...続きを読む
  • アリスの国の殺人<新装版>
    難しかった。
    現実と不思議の国の両方で殺人事件が起こり、その真相に迫るお話。
    現実と不思議の国でのリンクは特になし。
    序盤から登場人物が多く、なかなか物語に入り込めなかったが、だんだん入り込めるようになり、謎解き部分は面白かった。
    ハッピーエンドではないし、ラストは人によって解釈が変わるかも。
    理解...続きを読む
  • たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
    戦後が時代背景の為、中々消化出来ず初めのうちは読むのに少し苦労しました。(鉄道の話も本線から脱しているのに長すぎるかな)

    ミステリとしてはトリックが精密ではないとは思いますが、登場人物の背景や時代背景はとても勉強になり読んでいて感心しました。

    作者さんのお歳を考えると実体験に基づくところもあるの...続きを読む
  • 二十面相 暁に死す
    語り口は変わらずに少年探偵団なのだけれども、プロットの方は完全に辻真先になっているところがミソ。乱歩氏はこんな感じの少女キャラは描かなかったンじゃないかなあ。お約束のラストシーンにはニヤニヤしてしまう。
  • 日本海・豪雪列車殺人号
    脱力系アガサ・クリスティーの『オリエント急行殺人事件』で、マンガチックな登場人物たちが右往左往する。
    そして、「誰もいなく」なるほどの怒涛の展開。

    時々ふと食べたくなる〈どら焼き〉のような小説でした。
  • たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
    最初に驚いたのは、1932年生まれの著者が今も現役バリバリで新刊を書いていること。
    正に人生100年時代だ!

    題名通り、舞台は昭和24年、敗戦の傷が人々に影響している。

    主人公の風早勝利は新生高校3年…作者の分身であろう。旧制中学は5年間だったので、1年間限定の初男女共学高校生(著者の実体験) ...続きを読む
  • 深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説
    トリックとしては可能としても、建物の構造に仕掛けがあるのは、フェアではない気がする。動機もかなり無理があるような。
  • 村でいちばんの首吊りの木
    辻真先氏の初期短編集。やたら薄いが、これは元本が表題作の映画化に合わせて急遽編まれた短編集だったからという。そんな経緯や、表題作は辻氏の自薦ベストに含まれる作と言うことでハードルを上げすぎると多少肩透かしかも知れない。完成度の高い好短編なんですがフツーなのね。自薦ベストなんて問われると、妙に鼻息が荒...続きを読む
  • たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
    一番犯人でいてほしくなかった人が犯人だったなぁ。
    戦後の青春推理小説。初作家さんだった。
    シリーズ2作目だったらしい。
  • 仮題・中学殺人事件
    当時としては挑戦的な内容だったかもしれませんが、今読むとそこまで驚く構成ではなかったかなと。
    文章の稚拙さをカバーする理由付けとして、作中内作家による小説という体を取っているのは逆に潔くて好感を抱くものだった。
    キリコのキャラクターはとても魅力的に感じられたし、全体的に軽いノリで読みやすいのは良かっ...続きを読む
  • たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
    終戦後、昭和24年を舞台としたミステリ
    犯人は明白
    トリック寄りも時代描写、価値観などに面白味を感じた
  • たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
    昭和独特の描写や世界観が心地よく、なつかしいような少しあたたかい気持ちになりながら読んだ。
    長期休暇(できれば夏休み)にちびちび読むのがよさそう。舞台設定が今の時代ではないので、本が遠くの世界に連れて行ってくれ、頭の心のリフレッシュになりそうだと思った。


    ただ、昭和時代の物語なので、言葉が入って...続きを読む
  • 馬鹿みたいな話! 昭和36年のミステリ
    昭和ミステリーシリーズ第3作。本中ではCHKとなってるけど、NHKだわな。生放送中のテレビドラマの中で主演女優が殺されたという話。みはるの話ぶりから、枕営業させられてるという話だと思ったのに、全然出てこず。まぁ幼少期に里親から被害を受けていたという話だったけど。しかし、勘違いで殺されるなんて気の毒な...続きを読む
  • たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
    ミステリとして展開が遅く、ほとんど風俗小説だった『深夜の博覧会』から一転して、本作はガチガチのミステリ。早い段階で殺人、それも密室殺人が起こるのはマニア向けのサービスだとしか思えない。第一の殺人が不可能興味だとすると、第二の解体殺人は、なぜそんなことをしなければならなかったのかというホワイダニット。...続きを読む
  • 馬鹿みたいな話! 昭和36年のミステリ
    過去作と同様、ミステリと言いつつ、昭和の情景を描くのが主になっている印象。
    ミステリについては、被害者の行動に無理があり過ぎるように思い、拍子抜け感があった。
    文量が多かった割には、過去2作より落ちるかな…。
  • 深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説
    先に「たかが殺人じゃないか」を読んで興味をもったが、本格ミステリとしての面白さは上記に及ばなかった印象。
    不思議な建物と大がかりなトリックは十分に面白いものだったが、動機部分(や登場人物の行動)があまりしっくりこないのと、本の分量に対して謎解きの比重が少ないように感じられた。
    おそらく、時代背景の描...続きを読む
  • 赤い鳥、死んだ。
    トリックは小粒だし、犯人を追い詰めるのはロジックと言うより、物語の流れ。こう来たら犯人は○○でしょう、というパターン的なものがありますが、それを当て馬に使うようなツイストもなく、そのまま○○が犯人の形。正直、ミステリマニアが額に青筋を立てて読むようなものではなく、気楽に愉しむもの。で、ちゃんと楽しま...続きを読む
  • 馬鹿みたいな話! 昭和36年のミステリ
    1年半ほど前に那珂一兵シリーズの2作目を読んで1作目も読もうと思って忘れててこの3作目を読んだ。このシリーズは結構めんどくさいけど、今度こそ第1作も読もう。で、2作目もそうだったけど、前半が読んでて結構疲れる。後半は悪くないんだけどなあ。昭和36年か、ほとんど記憶にないけど「時間よ、止まれ!」はよく...続きを読む