辻真先のレビュー一覧
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昭和12年7月7日夜、中国北京の盧溝橋で鳴り響いた発砲音。やがて日中は戦争状態となり、昭和20年8月に無条件降伏するまで続く。
アメリカ軍との太平洋を舞台にした戦闘に比べ、中国との戦争はあまり知られていない。
中国、台湾、韓国といった東アジアの人々から見たら、当時日本という国が何を考え何をしたかは、知っておくべきこと。
昭和12年に名古屋で開催された博覧会を舞台にしたミステリー。
あまり物語には馴染まない名古屋で、怪しげな“〇〇館の殺人”的カラクリ満載で、思春期の少年が主役で、なんだか小説の描写自体もノスタルジーを感じる仕掛けだ。
次作の副題「昭和24年の推理小説」に対し、本作が「昭和12年の探偵小説」とされているところからも、作者が意図的にそうしていることがわかる。
それでいて、現代の読者層に対しては昭和初期の矛盾した風潮を一考させるべく、エンディングではその描写をガラリと変えて心に残すように仕向けている。
まんまと心に残った。 -
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大正時代、奇妙奇天烈な「むの字屋敷」で起こった事件を追え #命みじかし恋せよ乙女 #少年明智小五郎
■あらすじ
大正時代、新聞記者の可能勝郎は富豪の屋敷に取材に来ていた。当主である余介が屋敷になかむら座を招いて「番町皿屋敷」を上演するためだ。
開演日まで関係者に取材を続けていた勝郎だったが、ある酔った宵、女性の死体を見かけてしまう。しかしドタバタの中、いつの間にか死体が消失してしまって…
■きっと読みたくなるレビュー
大正ロマンにしっとり浸れる作品。若干の艶っぽさがスパイスになって、独特の雰囲気に包まれますね。まるでお芝居を観てるかのような場面の移り変わりや台詞のやり取りで、大御所先生ならでは風格を感じられます。
時代小説を読むと、いつもその時代の文化や風俗だったり、人々の生活や職業に魅かれてしまう。身に着けているもの、食べ物や飲み物、住まいや街並み、移動手段など、どんなことでも新鮮で幻想的なんすよね。
特に歌、劇、絵画みたいな芸術に関しては、大きく現代とも変わることなく、現代とも距離が近いって感じちゃうんですよ。タイトルにもある「ゴンドラの唄」は大正時代の流行歌。今、聞いても耽美主義の世界を漂えます。
また登場人物がいいんすよ。イチ推しは滴、カネ、静禰の三人組。ちょっと特殊な奴らなんですが、屈託のないセリフが可愛くて。いい大人たちも太刀打ちできない様子に、つい微笑んじゃうんですよね。
また本作は、奇天烈な館ものでもあります。「むの字屋敷」ってなんなの?って思ってましたが、なるほどこういうことですか… むむむむむ。奇妙さだけでなく、しっかりと謎解きや物語にも組み込まれているところはさすがですね。
謎解きミステリーとしては、様々な事件が起こる上、人間関係や背景も込み入っているため大混乱。幻想的で愛らしい世界観なのに、かなり後半まで事件が巻き起こるんですよね。
しかし終盤、まさしくあっと驚く人物による、目から鱗の解決編が気持ち良すぎるんです! いやー、この切り口をぶちこんでくるのかぁ~。思わずミステリーファンとしてはニヤけてしまいました。
終章も明るい日本を感じさせてくれるし、ファンに向けたサービスも嬉しいですね。御年93歳の辻真先先生は、文芸作品はもちろん、アニメ脚本など多くの文化的な功績を残されている大先生。携わったアニメの一覧なんか見ると、もう涙がでてしまいます。まだまだ元気に、これからの人生を楽しんで欲しいです。
■ぜっさん推しポイント
いつの時代もひた向きに生きる若者たちに胸を打たれますね。天真爛漫な笑顔の裏に秘められた様々な想いが、何ともやるせなくって切なくなります。
「ゴンドラの唄」の歌詞をみて思う。
これからもどんどん時代は変わっていきます。周囲の価値観など影響されず、自分の意思で、好きなこと、正しく善いと思うことに突き進んで欲しいです。 -
ネタバレ 無料版購入済み
試し読みでもかなり
やはりテンポの良さ等はシナリオの完成度の高さからきているのでしょう。
読めた範囲(冒頭80ページ)ではまだ何が起こっているのか、判然としません。戦時下の兵器が神出鬼没によみがえって攻撃してくるという。兵器としての能力、当然ながら大差があるはずですが、不意打ちに連戦連敗という感じです。
これは続き、読みたくなります。 -
Posted by ブクログ
配信された白黒アニメ版を見て、興味をもって購入。昭和40年代のTVマンガといわれていた作品の一編にこのような主張を盛り込める凄さと自由さを感じる。半年や一年のスパンで、一話完結を基本としたテレビシリーズは、ウルトラシリーズも含めて、バラエティに富んだ作品を産みやすかったのかもしれない。この本はアニメ版の作品の流れに即してキャラの描写を付け加えており、個々のサイボーグたちを引き立てているところに好感が持てた。個人的には、もっと踏み込んだり、描き足したりして欲しいところだが、あくまでアニメ準拠に徹するという抑制を効かしていたのだろうと解釈した。
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ネタバレ昔のテレビのサザエさんで、脚本として画面で名前を見たこともある辻先生の作品。皆川先生、辻先生と言えば、御年90歳代で精力的な執筆活動をする凄い先生方なのだけど、一読者としてはただただ敬服するのみ、ほんと畏れ多いです。
ジュビナイル的な雰囲気を残しながら、時代の変遷と当時の状況の描写が印象深く書き込まれているし、戦後の名古屋市街の描写も個人的に良く知っているので微妙なノスタルジィも感じられる。六・三・三制の導入で突然高校3年生になった青年たちの抱える現状の描き方も良く、子供なのか大人なのかわからない設定が巧いです。
謎解きストーリーは定番ながらも鮮やかで、幕切れの秀逸さも加わって見事な出来栄えと言える。前作を読んだ上でこの本の面白さがわかるというのは、感情移入の点で
そのとおりなのだと得心した次第です。