辻真先のレビュー一覧
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ネタバレ 無料版購入済み
試し読みでもかなり
やはりテンポの良さ等はシナリオの完成度の高さからきているのでしょう。
読めた範囲(冒頭80ページ)ではまだ何が起こっているのか、判然としません。戦時下の兵器が神出鬼没によみがえって攻撃してくるという。兵器としての能力、当然ながら大差があるはずですが、不意打ちに連戦連敗という感じです。
これは続き、読みたくなります。 -
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配信された白黒アニメ版を見て、興味をもって購入。昭和40年代のTVマンガといわれていた作品の一編にこのような主張を盛り込める凄さと自由さを感じる。半年や一年のスパンで、一話完結を基本としたテレビシリーズは、ウルトラシリーズも含めて、バラエティに富んだ作品を産みやすかったのかもしれない。この本はアニメ版の作品の流れに即してキャラの描写を付け加えており、個々のサイボーグたちを引き立てているところに好感が持てた。個人的には、もっと踏み込んだり、描き足したりして欲しいところだが、あくまでアニメ準拠に徹するという抑制を効かしていたのだろうと解釈した。
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ネタバレ昔のテレビのサザエさんで、脚本として画面で名前を見たこともある辻先生の作品。皆川先生、辻先生と言えば、御年90歳代で精力的な執筆活動をする凄い先生方なのだけど、一読者としてはただただ敬服するのみ、ほんと畏れ多いです。
ジュビナイル的な雰囲気を残しながら、時代の変遷と当時の状況の描写が印象深く書き込まれているし、戦後の名古屋市街の描写も個人的に良く知っているので微妙なノスタルジィも感じられる。六・三・三制の導入で突然高校3年生になった青年たちの抱える現状の描き方も良く、子供なのか大人なのかわからない設定が巧いです。
謎解きストーリーは定番ながらも鮮やかで、幕切れの秀逸さも加わって見事な出来栄えと -
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ネタバレ戦後の色濃い、探偵推理小説。
タイムスリップした様な感覚で読みました。
今の時代からはちょっと想像しにくい様な、教科書でしか知らない昔。時代によって価値観も常識も変わるんだと当たり前の事に気づかされます。
舞台は名古屋、わたしも以前住んでいたので広小路や栄などの地名が沢山登場するのは懐かしい気持ちになりました。
肝心のストーリーですが、王道本格ミステリに思います。密室トリックや犯人の動機なんかも硬派で、あぁ、久しぶりに本格ミステリを読んだという満足感がありました。
最後は、してやられました。コレが一番気持ち良かったです。楽しかったですね。
ただ、映画や俳優の会話がやや多かったのでそこは -
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乱歩の少年探偵団シリーズに捧げられたオマージュ作品は数多いが、小林少年以下のキャラクターが名前だけ登場するような、適当な作品も多い中で、本作は本家の堂に入ったトレースぶりで、群を抜く。ですます体の文体をトレースするだけでも充分に楽しいが、お話の面でも、例えば、小林少年とある人物が読者の目にはバレバレのある作戦を実行するのを、まったく気付いていない風でヌケヌケと描写したりする。迂生は少年探偵団シリーズのそこまで熱心は愛読者とは言いかねるが、それでもこれはたまらない。その上で敗戦の日々に(これは間違っても「終戦」などと書いてはいけない)、辻氏が感じたのだろう、苦い思いをきっちりと刻み込んでいくのは
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ネタバレ『たかが殺人じゃないか』を読むために読んだ。
ミステリー小説ながら、時代小説として充分読み応えがあって面白かった。当時の空気感が濃くて、逆に現代の常識が通じないところに気持ち悪さを感じた。すごい。
実際の事件が起きるまでが、予想よりも待たされ、特に早く知りたいというモチベはなかなか湧かなかった。これは好みの問題だな。面白いんだがなかなか読み進められない。
トリックについては、これはあとで使うからね!ばりに散りばめられてるし、建物の仕掛けもでしょうな感。あるある。
犯人も、これ良いのかな。まあフェアだが、本格小説というにはバレバレでは。あまりにも容疑者が少ないしやってのけられる能力の人も少な -
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読書好きの友人から貰った探偵小説。面白く読めました。ありがとうございました。
著者は名古屋生まれの脚本家、辻真先さん。昨年、「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」で年末ミステリーランキング3冠を達成。昭和7年のお生まれなので88歳というご高齢。本作は「たかが殺人じゃないか」の前日譚という位置付けになります。
昭和12年に実際に行われた「名古屋汎太平洋平和博覧会」の最中に銀座と名古屋にまたがって発生した不可解な殺人事件。本書は正統ミステリーで、犯人探しの材料は(たぶん)全て読者に提供され、最後は探偵が関係者全員の前で推理を披露するという構成になっています。ミステリーの種類はいわゆる「 -
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ネタバレこの前読んだ「たかが殺人じゃないか (昭和24年の推理小説)」の前日譚になる。今作は那珂一兵が探偵役を務める<昭和ミステリー>シリーズの第1作にあたり、彼以外にも主要人物が重複して登場する。昭和12年、彼はまだ似顔絵書きの少年である。しかし以前から活躍しており、知る人ぞ知る名探偵である。
東京と名古屋を結ぶ殺人事件を追うわけだが、当時の風景風俗が描かれており、何やら妖しい江戸川乱歩テイスト。と思っていたら、ラストのほうは、ちょっと哀しい横溝正史テイストに。
この日中戦争から太平洋戦争に向かう時代は、作者の辻さん自身の少年時代なのだ。事件の背景が時代に密接に関わっている。今作のダークさ(