辻真先のレビュー一覧
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作者辻真先によくある作品構成上のミステリー。
江戸川乱歩生誕100周年ということで書き下ろされた作品。あとがきに書いてあるのですが作者は生前の乱歩氏に二度お会いしているとのこと。
一回目はテレビドラマにするための依頼、二度目はそのドラマのお礼を言上に。
作品の目次は発端篇、展開篇、終局篇の三部構成。
ページを開くと乱歩の小説を思わせる書き出し。
それに対する手紙。そしてストーリーが動き出すという形式。
乱歩とその弟子にあたる作家の作品のこと。それを元にした小説家志望の青年の投稿小説と手紙。そしてそれを投稿された出版社。そこから始まるミステリー。
どう説明してもわかりにくいのですが、読むのは楽です。アニメの脚本をいくつもやった作者なのでスピーディでコミカルなシーンもありトリックもある。
読み終わった時、妙に充実した感があった。
そんな作品。 -
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ポテト&スーパーのシリーズも、とうとう完結かぁ。
こんなに長く続いたシリーズだけに感慨深い。
新装版で改めて読み返して、色褪せない面白さを再確認したし。
今作では、なにしろ、キリコがいよいよ母になる!
しかも、冒頭がいきなりあれで、まさかの出産を間近に控えて嵐の山荘になるのか、とどきっとしたわ。
ポテトは海外に出張中のようだし、しっかりしていても、ほんの少女とキリコが2人きりでは、と。
そこでは、過去に神隠し事件があり、謎は解決していないし、小さな集落で人間関係は複雑だし。
それが、すっきり解決するのは、素晴らしいカタルシス。
思いもよらない展開だった。
まさに、シリーズの完結にふさわしい大団円。
他シリーズの登場人物たちが名前だけでも登場するのも嬉しい。
昔、辻真先さんを読み始めたのは、赤川次郎さんの三毛猫ホームズに対抗した「迷犬ルパン」だたなぁ。あれやこれやも新装版に期待。 -
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キリコと薩次、ついに結婚?!
薩次(ポテト)が文学賞の大賞をとってのプロポーズ、やったー。
で、選考会の記録での大賞候補作が3本。
どれも選考委員には評価が芳しくないんだけど、どれがポテトの作品?
受賞者は当面明らかにしないというのも、なんなんだろう?
殺人に交通事故に失踪と、選考委員に災難が襲い掛かるし。
何がどうなってるんだか読むほどに混乱。
ポテトとキリコの熱々っぷりは読んでるこちらが照れるw
殺人のトリックは、いつものことながら思いつきもしなかった。
しかし、あの社長、ちょいと情けない、というかだらしないな。器じゃないよ。
とはいえ、とんとん拍子の謎解きのカタルシス。
他作品からの出張出演も嬉しい。
辻先生の他作品もどんどん新装版が出るといいな。
迷犬ルパンもまた読みたい。 -
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ネタバレコロナ禍真っ只中の2020年、年末ランキング3冠を達成。当時、著者の辻真先さんは御年88歳。91歳となった現在でも作家として活動中であり、頭が下がる。というわけで、文庫化を機に、初の辻作品を手に取ることにした。
サブタイトルに「昭和24年の推理小説」とあるように、時代は戦後間もない頃。何となく避けていた理由だが、読み始めるとぐいぐいと引き込まれる。古臭さは一切感じない。むしろ瑞々しい。活字が小さい創元推理文庫だが、早く読みえた。
占領下の学制改革で、新制高校3年として1年間だけ共学で過ごすことになった主人公・風早勝利。辻さんは終戦時に13歳だったそうなので、勝利はほぼ辻さんご本人と同年代。混乱期を過ごした辻さんの経験が、随所に生きている。
勝利たち推研の面々は、最初は異性とどう接するべきか戸惑っていたが、徐々に打ち解けていく。そんな彼らが2件の殺人事件に遭遇するのだが、謎解き自体は終盤まで引っ張った割には呆気ない。自分が思うに、謎解きは本作のメインではない。
軍国教育の影響はまだ色濃く残っており、誰もが生きるのに必死な時代。勝利たちは、理不尽な出来事、ショッキングな事実に打ちのめされる。それでも、新しい時代に前を向く。そして事件の動機にも、戦後間もない時代背景があるのだった。
『たかが殺人じゃないか』という物騒なタイトルの意味を、やがて読者は知ることになる。戦中は散々に殺し合って来た。玉音放送を聴いたところで、麻痺した感覚はすぐには戻らなかっただろう。そこでこのような局面に接してしまった。
戦後世代の基準では、被害者の行為は受け入れられない。当時、地位のある相手を告発するのは困難だっただろう。それでも、他の手段はなかったのかと、勝利でなくても考えてしまう。量刑はどの程度か。どうか更生の道を残してほしい。
本作は三部作の第2作に当たる。また、解説によれば、探偵役の人物は他の辻作品にも登場するようである。次に読むとしたら何がよいだろう。 -
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1945年8月9日払暁、ソ連は第二次世界大戦に参戦。満州への攻撃を開始した。迎える関東軍は戦力の大半を南方に向けており殆ど戦力として機能せず、ソ連機械化部隊は燎原の火の勢いで侵攻を開始した。その時、活劇俳優の神住恭は映画撮影の為にハルピンにいた。ソ連参戦を聞いてハルピンから退避しようとした神住は、混乱するハルピン駅で撮影旅行列車と偽って特別編成された列車に飛び乗ることになる。その列車とは、運転休止になったはずの『あじあ号』を牽引していた「パシナ型蒸気機関車」に編成された列車であった。ソ連空軍、中国ゲリラ兵、そして関東軍から離脱した中国反乱軍の追撃をかわし、大連めざして『アジア号』が鉄路を駆ける!同じ中国が舞台ということで景山民夫「虎口からの脱出」を彷彿とさせる血沸き肉踊る冒険活劇小説。