辻真先のレビュー一覧
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ネタバレ戦後の色濃い、探偵推理小説。
タイムスリップした様な感覚で読みました。
今の時代からはちょっと想像しにくい様な、教科書でしか知らない昔。時代によって価値観も常識も変わるんだと当たり前の事に気づかされます。
舞台は名古屋、わたしも以前住んでいたので広小路や栄などの地名が沢山登場するのは懐かしい気持ちになりました。
肝心のストーリーですが、王道本格ミステリに思います。密室トリックや犯人の動機なんかも硬派で、あぁ、久しぶりに本格ミステリを読んだという満足感がありました。
最後は、してやられました。コレが一番気持ち良かったです。楽しかったですね。
ただ、映画や俳優の会話がやや多かったのでそこは読み飛ばし気味でした。 -
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乱歩の少年探偵団シリーズに捧げられたオマージュ作品は数多いが、小林少年以下のキャラクターが名前だけ登場するような、適当な作品も多い中で、本作は本家の堂に入ったトレースぶりで、群を抜く。ですます体の文体をトレースするだけでも充分に楽しいが、お話の面でも、例えば、小林少年とある人物が読者の目にはバレバレのある作戦を実行するのを、まったく気付いていない風でヌケヌケと描写したりする。迂生は少年探偵団シリーズのそこまで熱心は愛読者とは言いかねるが、それでもこれはたまらない。その上で敗戦の日々に(これは間違っても「終戦」などと書いてはいけない)、辻氏が感じたのだろう、苦い思いをきっちりと刻み込んでいくのはさすが。
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ネタバレ『たかが殺人じゃないか』を読むために読んだ。
ミステリー小説ながら、時代小説として充分読み応えがあって面白かった。当時の空気感が濃くて、逆に現代の常識が通じないところに気持ち悪さを感じた。すごい。
実際の事件が起きるまでが、予想よりも待たされ、特に早く知りたいというモチベはなかなか湧かなかった。これは好みの問題だな。面白いんだがなかなか読み進められない。
トリックについては、これはあとで使うからね!ばりに散りばめられてるし、建物の仕掛けもでしょうな感。あるある。
犯人も、これ良いのかな。まあフェアだが、本格小説というにはバレバレでは。あまりにも容疑者が少ないしやってのけられる能力の人も少ないし、余所に目線をやろうにもこの閉じられたメンバー間での話ばかりなので、わかってしまう。
全体的に、反戦なんだなとわかる。これはメタだが、結末を知ってる作者だからこそ、先を見据えたキャラを出せて、それを通してほらねと言ってるわけなので、はあ、そうですよねっていう気持ち。無邪気にすごいと楽しめなかった。つまらない人間になってしまった。
人間ドラマもあんまり楽しめなかったな。2時間ドラマで、映像の演出があったら深みにハマれるかもしれないが、そこまで。
でもまあその時代の空気を存分に感じられたし、館も面白かったしっていう感想。ミステリーとしてはまあまあかな。
本命のほうに期待する。これを越えてて欲しい。
史実とフィクションのあんばいは良かった。良いさじ加減。史実の人出してて大丈夫か?って思ったけど、まあいいや。ちょっと勇気が出た。
うっすら横溝っぽいなと思ってたら同じような感想を見かけて、ですよね!っていう気持ち。 -
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読書好きの友人から貰った探偵小説。面白く読めました。ありがとうございました。
著者は名古屋生まれの脚本家、辻真先さん。昨年、「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」で年末ミステリーランキング3冠を達成。昭和7年のお生まれなので88歳というご高齢。本作は「たかが殺人じゃないか」の前日譚という位置付けになります。
昭和12年に実際に行われた「名古屋汎太平洋平和博覧会」の最中に銀座と名古屋にまたがって発生した不可解な殺人事件。本書は正統ミステリーで、犯人探しの材料は(たぶん)全て読者に提供され、最後は探偵が関係者全員の前で推理を披露するという構成になっています。ミステリーの種類はいわゆる「不可能犯罪」もので、「こいつらがここにいるのに、こんなところで犯罪が行われるわけがない」という設定。個人的には、超大掛かりなトリックや動機がちょっと大味な気がしました。
それでも、この本は面白いです。本書の最大の読みどころは昭和12年当時の銀座、名古屋の風俗描写と思います。アドバルーンなんて存在を忘れていたし、燐寸売りの少女の存在については知りませんでした。そして、名古屋の旧遊郭地帯で行われる怪しい余興、名古屋博覧会での悪趣味な展示物も戦前のエログロの雰囲気を生々しく表現しています。
また、本書はボーイミーツガールの物語の要素もあります。その顛末にもひとつの謎が提供されています。その解答は最後に用意されていますので、本として非常に座りが良くなり、気持ちの良い読後感を得ることができました。
謎解きは大味と書きましたが、戦前の探偵小説はその「大味さ」が魅力だったのかもしれません。それを考えると、本書はやはり魅力的なエンタメ本です。この本を読んだら、戦前の鬼畜系エログロ系探偵小説を読みたくなり、大昔に読んだ江戸川乱歩の「孤島の鬼」を買ってきました。こちらも面白いです。 -
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ネタバレこの前読んだ「たかが殺人じゃないか (昭和24年の推理小説)」の前日譚になる。今作は那珂一兵が探偵役を務める<昭和ミステリー>シリーズの第1作にあたり、彼以外にも主要人物が重複して登場する。昭和12年、彼はまだ似顔絵書きの少年である。しかし以前から活躍しており、知る人ぞ知る名探偵である。
東京と名古屋を結ぶ殺人事件を追うわけだが、当時の風景風俗が描かれており、何やら妖しい江戸川乱歩テイスト。と思っていたら、ラストのほうは、ちょっと哀しい横溝正史テイストに。
この日中戦争から太平洋戦争に向かう時代は、作者の辻さん自身の少年時代なのだ。事件の背景が時代に密接に関わっている。今作のダークさ(エログロというか)は、エピローグ(昭和22年)の青空で少しは払われたように感じた。「たかが…」より上の評価としたい。 -
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史実絡めた「あの時、あの裏にはこんな事件が!」系が大好きで。
これは明治十四年、明治天皇が北海道へ行幸し義経号へ乗車する際に起きた列車運行の妨害事件と、屯田兵村で起きた首吊り事件の謎とを絡めた『歴史冒険推理』。
正直、ミステリ部分については現場の図解が欲しい感じでしたが(笑)、それを補って余りある活劇要素が面白かった。
あと、登場人物がズルい。主人公に藤田五郎(斉藤一ですな)と、その相棒が法印大五郎(清水の次郎長一家の一員ですな)、剣術小町に狼に育てられたアイヌの美少女まで出てくる。そして繰り広げられる剣戟の数々。もうテンポもよく、くすぐり要素も抜群で素敵な冒険活劇エンタメに仕上がってましたね。
アニメ、コミカライズ、実写どれでもいいんだけど、視覚で楽しみたい勢いのあるストーリーでした。 -
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新春ドラマとして放映するはずだった里見八犬伝。ところが進行役の女優・玉木梓が不慮の事故で命を落とす。代役に抜擢されたのは、どこか浮世離れした女優・滝沢さとみ。しかし彼女は房総に旅行中。そのさとみとひょんなことで知り合った朝日刑事とルパン達。さとみと共に犬や猫たちを保護してきた老女の不審な死を巡っているうちに、ある事件に巻き込まれてしまう――犬達の命を守る為に、走れ朝日刑事、迷犬ルパン!
迷犬ルパンシリーズの一冊なので(三毛猫ホームズみたいだなー)朝日刑事を始めとして他のキャラとかはよくわからなかったのですが、八犬伝ものなので読書開始。やっぱこういう現代を舞台に八犬伝をある種メタ的に扱う作品は好きですねー。レギュラー陣はよくわからなかったけど読んでいくうちに掴めていけたしどのキャラも好きでした。話もすごく面白かった。特に最後の芳流閣の見立てのように朝日刑事と犯人が向かい合う展開はしばらくページから目が離せなくなったくらい。やっぱ芳流閣やるよねー八犬伝ものならねー! 若干事件が強引でねーか? とは思ったけどね。キツかったのは動物の死骸、残虐描写ですねえ…この話に限った話でなく、たとえば春樹の海辺のカフカみたいに動物が残酷に殺されていく、あるいはその死体の様を読むのはかなりキツいっす…おうふ
最後にそれぞれ八犬士に見立てられるところがあるのですが毛野ちゃんだろこの人って思ってた人がまさかの仁だった\(^ ^)/ それで仁だなんて思えないよw -
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ネタバレいわゆる"読者への挑戦"もの。バラエティに富んだ様々なパターンの作品に触れられて面白い。
ただし、
・「少女」殺人事件
大学2年生の中国人留学生がトイレの貼り紙「うんこが流れません」を読めない、というのは納得がいかない。「won't flush」レベルがわからずにどうやって日本で生活するんだ。
また、ミステリの十戒が推理に多大に影響するなら十戒を書いておくのが筋でしょう。ミステリってそういう内輪ネタを公然と出してくるところあるよなぁ。
「必要な情報は全て読者に提示され」じゃないのか。
「アンフェアな描写も目立つ。2点。」ということか。