坂口恭平のレビュー一覧
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ホームレスとして暮らす主人公・硯木と隅田川沿いのホームレス仲間たち。「ホームレス」と言ってしまうとイメージが良くないけれど、お金ではなく知恵と工夫で生き抜いていく姿に、生き物としての本来の暮らし方を考えさせられた。
暮らしを楽しみ、ふわりと、しかし前向きでしなやかな生きていく――読んでいて楽しく、爽快な気持ちに。
p250
人間は、アイデアを使い、工夫し、方法を発明することで自分にとって必要な最小限の空間を発見することが出来る。さらに壁に囲まれた空間だけを家を感じるのではなく、脳味噌を使うことで、壁を通り抜けて広大な世界を自分の空間と体感出来る。
硯木は無意識にこの極小と無限大の感覚を同時に -
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この本が出版されてから8年。昨年、参院選後に見つけた著者と山本太郎さんの対談の動画に、ご本人が「そんなこともありましたね」とコメントされてたけど、もうここに書かれていることは、坂口恭平さんにとっては過去のものなのかな?
タイトルは『独立国家のつくりかた』だけど、「坂口恭平ができるまで」という感じでもある。「新政府総理大臣」ということは知ってたけど、具体的なことはこの本を読んでようやくわかった。私の知らない人の名前(有名な方でも)や本のタイトルがたくさん出てきて、この方の頭の中はホントどうなってるんだろうと・・。つまんない言い方しかできないけど、頭の良い方であるのは間違いないよね。
最後の方、鬱 -
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今から20年以上前、舞台は1990年代後半の東京、主役の路上生活者が読み手を終始わくわくさせてくれる物語であった。著者は東京の路上生活者を取材した「TOKYO 0円ハウス 0円生活」という本を書いており、その取材ネタを元に小説に落とし込んでいるので準ノンフィクション的な小説である。
僕自身、出世しないタイプというか、宝探しや小さなリサイクルや小屋建てや青空宴会が大好きであって読んでてずっとわくわくだった。またこれは小説の要素だと思うけどクロやモチヅキさんのようなひたすらに利他的な仲間がすごくいいなあと思った。
テレカ、モーニング娘。、時代を感じる一方、あの頃は今より絶対息苦しくない緩い時間 -
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ネタバレ隅田川に暮らすホームレスの生活を舞台にした小説。東京にはこれだけゴミがあったんだなあと思う。建築学科卒の作者だけあって、やっぱり、「家」についての知識がすごい。
建物としての家と、そのなかに展開されるホームとしての家。ハードとソフトのどちらについても考えさせらる内容だった。
もちろん、人の暮らしはどんな家にすむか、というハードに左右されるところがあって、どんな家にすみたいか、というのはその人の哲学が反映されるところでもある。家とは、中であって外でもあるんだなと思う。今までなかった「家」ができてくるのは、新しい哲学の誕生なのかも。ていうか、ホームレスってすごく原始的というか古いものだと思って -
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かなり危なく、ぎりぎり面白い。
そういった印象だった。
今の国家を否定し、新しい国家をつくるということ。
それは、坂口さんが考えて考えて考えた結果の、行為だ。
“こんなんじゃ駄目だ”と思った事柄に対し、向き合い必死に考える。
何が必要なのか。
何をすべきなのか。
どうしたら世界が変わっていくのか。
その行動力や態度に対しては、尊敬を覚えるし、
思考の広がりや組み立てかたには、面白さを覚える。
考え自体には、かなりギリギリな印象を覚えつつも、それでも惹き込まされる。
読んでよかった本であるし、考え方の幅を広げてくれる意味で非常にいい本だと感じた。 -
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高い解像度の視点で都市を眺めれば、多様な階層(レイヤー)が存在することが分かる。その中から、他人が必要としていないが自分が必要とする「都市の幸」を過不足なく手に入れていく生き方。必要なものは必要な時に都市から手に入れればよいので、財産やモノに束縛されなくなる。既存の社会の枠組みにも束縛されず生きる。そんな都市型狩猟採集生活を熱く説く本。家や仕事に執着しなくても、自分自身の家や仕事を自分で作り出すことができる。
無理スジに思えるところもある主張だが、自分をひたすら家畜化して生きる現代人(含むボク)には突き刺さる問いかけではなかろうか。ジャレド・ダイアモンドが「銃・病原菌・鉄」のプロローグで書い -
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ネタバレ*印象に残った言葉※
・歩き方を変える。視点を変える。思考を変える。それだけで世界は一変するのである。自分に無数の「生」の可能性があることを知る。
どんな退屈な世界に身を浸していても、冒険を見つけ出すことができるようになった。何かを「帰る」ことが革命なのではない。むしろ、革命がすでに起きていることを、思考の転換によって見つけだすことができる。それは「変える」というよりも「拡げる」方法論である。生き方は無数にあるという事を気づく技術
・「考える」とは何か。
これはつまり「どう生き延びるか」の対策を練るという事である。「生きるとはどういうことか」を内省し、外部の環境を把握し、考察することである。 -
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未来の日本のお話を描いた恩田陸を含む8人の作家による短編集。私が気に入った作品。
恩田陸「逍遥」。意識上で集まった3人がなくなった時計の謎に挑む。それは空間を越えて、情報を他人と認知できる能力。いつの世界も技術が発達しても、ひとがやることは変わらないのですね(笑)
小路幸也「里帰りはUFOで」日本のどこかの、どいなかの街。そこは日本でインフラが整備された街。友達と里帰りすることになった大学生の野宮淳一は、UFOの目撃話を聞いて。。
自動運転が当たり前になった社会。世の中の暮らしがどう変わるのか。
支倉凍砂「AI愛情表現」。AIに恋愛相談をもちかける浩太。AIはひとのパートナーになりうるの -
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『僕たちは、簡単に知覚しうるものだけで構成された「現実」という名の立体空間を、無意識下で作り上げた。さらに集団を形成することで、「社会」と呼ばれる、言葉をもとに人間を管理し、抑制する空間も生み出した。
もちろんそれらは、個では生きることができない人間にとって欠かすことのできない装置である。普通や常識という概念や尺度も、馬鹿にはできない。それによって、円滑に社会が進むのは事実だ。現実という指針があるからこそ、危険を感じ、身を守ることができているのだろう。
しかし、・・・』
面白かった。
アンリ・ベクルソンが『時間と自由』で言ってることを、すごく日常的な言葉で簡単に表現してる感じかな。たぶん