坂口恭平のレビュー一覧
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今から20年以上前、舞台は1990年代後半の東京、主役の路上生活者が読み手を終始わくわくさせてくれる物語であった。著者は東京の路上生活者を取材した「TOKYO 0円ハウス 0円生活」という本を書いており、その取材ネタを元に小説に落とし込んでいるので準ノンフィクション的な小説である。
僕自身、出世しないタイプというか、宝探しや小さなリサイクルや小屋建てや青空宴会が大好きであって読んでてずっとわくわくだった。またこれは小説の要素だと思うけどクロやモチヅキさんのようなひたすらに利他的な仲間がすごくいいなあと思った。
テレカ、モーニング娘。、時代を感じる一方、あの頃は今より絶対息苦しくない緩い時間で生きてたなあと。インターネットは膨大な知識とコンテンツを人に還元した代わりに、過剰な生産貨幣社会も生み出し、時間と心にゆとりが無くなったきたのは間違いないと思う。
あと寝れなくする目的で設置してるベンチ中央の手すりとか花壇、いつもながら見るたびに酷いよなあって思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ隅田川に暮らすホームレスの生活を舞台にした小説。東京にはこれだけゴミがあったんだなあと思う。建築学科卒の作者だけあって、やっぱり、「家」についての知識がすごい。
建物としての家と、そのなかに展開されるホームとしての家。ハードとソフトのどちらについても考えさせらる内容だった。
もちろん、人の暮らしはどんな家にすむか、というハードに左右されるところがあって、どんな家にすみたいか、というのはその人の哲学が反映されるところでもある。家とは、中であって外でもあるんだなと思う。今までなかった「家」ができてくるのは、新しい哲学の誕生なのかも。ていうか、ホームレスってすごく原始的というか古いものだと思ってたけど、もしかして新しいもの?ちょっとそこらへんまた調べてみたい。
主人公が都会のサバイバルさながら、廃材や家電製品、いらないものを拾ってきて路上生活をする。モノであふれかえる生活の裏目をかいている、しかしそんな都市生活にどこか息苦しさを感じているからこそ、あまりにも都合のいいことばかり起きてないか、と思うが、すごくうらやましくもある。
アパートを借りると、働かなくてはいけなくなる、という文章にもインパクトがある。働いてるからアパートを借りられるのではなくて。そんな見方もはっとさせられる。
とくに、一番最初の河原?で主人公が目覚めて、気持ちいいなー!地面と近いっていいなーってなる場面、夜中近い本屋で目をしょぼつかせながらこの本を読んでいて、猛烈に羨ましくなった。本捨ててもうこの生活をやめたくなった。最初は、もっとシンプルに暮らしたいって思って、それで仕事をやめたはずなのに。
なかなか、この都市生活から抜けるのは容易じゃない。ここまで思いきれたらと思うのに。毎日飲んで遊んでのんびり過ごす。それだけが叶えられれば、私たちは幸せなはずなのに。 -
Posted by ブクログ
高い解像度の視点で都市を眺めれば、多様な階層(レイヤー)が存在することが分かる。その中から、他人が必要としていないが自分が必要とする「都市の幸」を過不足なく手に入れていく生き方。必要なものは必要な時に都市から手に入れればよいので、財産やモノに束縛されなくなる。既存の社会の枠組みにも束縛されず生きる。そんな都市型狩猟採集生活を熱く説く本。家や仕事に執着しなくても、自分自身の家や仕事を自分で作り出すことができる。
無理スジに思えるところもある主張だが、自分をひたすら家畜化して生きる現代人(含むボク)には突き刺さる問いかけではなかろうか。ジャレド・ダイアモンドが「銃・病原菌・鉄」のプロローグで書いていた、「未開人のほうが一般的に賢く見える。なぜならボーっとしていては生きていかれないからだ。」というのを思い出した。また、ある程度は貨幣経済に参加しているのも興味深い。セックス方面も、それである程度いけるということだろう。
実践的知識もいくつか。台東区では毎日炊き出し。教会や南千住の玉姫公園、代々木公園で衣服が手に入る。12Vのバッテリーで意外と多くの電化製品が動く。ダンボールハウスはパレットなどで地面から浮かして。しかし、多摩川のロビンソンとはどこらへんにいらっしゃるのだろう。 -
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未来の日本のお話を描いた恩田陸を含む8人の作家による短編集。私が気に入った作品。
恩田陸「逍遥」。意識上で集まった3人がなくなった時計の謎に挑む。それは空間を越えて、情報を他人と認知できる能力。いつの世界も技術が発達しても、ひとがやることは変わらないのですね(笑)
小路幸也「里帰りはUFOで」日本のどこかの、どいなかの街。そこは日本でインフラが整備された街。友達と里帰りすることになった大学生の野宮淳一は、UFOの目撃話を聞いて。。
自動運転が当たり前になった社会。世の中の暮らしがどう変わるのか。
支倉凍砂「AI愛情表現」。AIに恋愛相談をもちかける浩太。AIはひとのパートナーになりうるのか、浩太の恋の行方は。ケータイセブンと言うドラマと何となく被りましたが、いつか共感しあえる関係になれたら良いね。
山内マリコ「五十歳」。市役所の附託職員で働くキャリアウーマンだった牧野さん。若い研修の女の子がやって来て。少しでもやりたい仕事をやる。若さって、素晴らしいなと思いました。 -
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『僕たちは、簡単に知覚しうるものだけで構成された「現実」という名の立体空間を、無意識下で作り上げた。さらに集団を形成することで、「社会」と呼ばれる、言葉をもとに人間を管理し、抑制する空間も生み出した。
もちろんそれらは、個では生きることができない人間にとって欠かすことのできない装置である。普通や常識という概念や尺度も、馬鹿にはできない。それによって、円滑に社会が進むのは事実だ。現実という指針があるからこそ、危険を感じ、身を守ることができているのだろう。
しかし、・・・』
面白かった。
アンリ・ベクルソンが『時間と自由』で言ってることを、すごく日常的な言葉で簡単に表現してる感じかな。たぶん、こういうくくり方が良くないんだろうけど…。
「現実」の外に出ることはすごく大事。
それが分からない人の方が怖い…。 -
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さっきもつぶやいたがツイートで流れてきたので気になって本屋で手に取ってみたら「生き延びるための家族小説」とあったので、あ~これは読んでおかないとと思い購入。
すごい内容だった。
ここまで自分をさらけ出せるのってたいしたもんだと思う。
そして「書く」という行為に対する作者の姿勢に少し共感したのでありました。
だが、しかし。
俺の抱えている家族というか現状の問題を解決するものではなかった。
作者はパートナーに恵まれた感がものすごくある。
俺も家族と向き合わないとなと思いつつ10年近く経ってしまっているが、もう諦めたところもあるしな。
それ以上に問題がひとつあるし。
明日までに解決するか否か。
俺も作者の叔父さんの様に蒸発してしまうかもしれん。
っといつもの読書感想とは違った方向に行ってしまったな。
さて坂口さんはこれを読むのだろうと予測してるが、僕は生き延びれますかね?