坂口恭平のレビュー一覧
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いのっちの電話という活動を通して自分と向き合い自愛に満ちた創作活動をしている坂口恭平さんと精神病理学とその啓蒙活動をされている斎藤環さんの往復書簡。
往復書簡のスタンスもそれぞれで、それこそが個々を認めている形でとても心地よい。
躁鬱という気持ちの浮き沈みと共存しながら激しく上がりすぎずにコントロールする坂口さん。
自分を良く俯瞰して見ていらっしゃる。
わかった風で上からでもない、風のような返答ができるあたりとても見習うものがたくさんある。
自分の中に自分がいてそう答えさせているかのような感覚か、人を嫌な気持ちにさせたりせずかと言って過保護にもならず、なかなか出来ない切り返しが出来るのは自 -
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著書の飾り気のない気持ちや思いが心に刺さった。死にたいと思う気持ちは、悩み続ける真面目な気持ちとも言え、その真っ直ぐな精神は、創作することに向いているのではないか?という問いを実践して確かめている著者に感服した。またプライバシーを守ることは議論にならないほど浸透している現代において、携帯電話番号を巻頭から晒し続け、話を聞く姿勢は市井の宗教者や医療人顔負けの行為である。「一生懸命生きる 」ってこの人のためにある言葉ではないのかと思ってしまった。この本に救われた方、今後救われていく人の支え(共に生きること)になることは出来ないかと考えさせられた一冊である。
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『現実脱出論』に補論(「現実創造論」)が追加された増補版なのだが、補論では『現実脱出論』で提示された問題提起に応えるかのように、具体例に「現実さん」と上手にお付き合いしつて、「健康」にサバイブするための方法(=「現実創造」)が提起されていて、これだけでも購入する価値がある。
補論で提起されているのは、自分が「健康」であったときのことを思い出し、その「健康」であったときの「現実」を創造していくことなのだか、筆者によるその実践の具体の提示のしかた(「健康」であったときの「現実」の見つけかた、その分析の仕方、再創造の仕方)もユニークで、考えさせられる。 -
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坂口さんが幼い頃に抱いていた社会への疑問を投げかけるところから始まる。誰も応えてくれないその質問を前にすると、坂口さんがいかに思考をして生きてきたかが明らかだ。彼は躁鬱病を患った過去があり、死と隣り合わせの人生。死と向き合うことがどのように生きるかへと拡がり、現在では同じように苦しむ自殺志願者を減らすために自らの電話番号を公開し、相談に乗り続けている。社会状況を国のせいにする人が多いなか、彼は不満を言うのではなく別角度から問題に取り組む。自分のためではなく、人のために。
私にはやりたいことがある一方、その一歩がなかなか踏みだせずにいた。金銭面や失敗への不安が頭につきまとっていたからだ。しかし -
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ネタバレおもしろかった!
最初の河川敷のホームレスの話に引き込まれた。
途中方法論など頭に入ってこないところがあったけど、それでもずっと新鮮におもしろがりながら読めた。
メモ
・憲法25条、生存権とホームレスの矛盾
・本当の意味でのパブリックとは?アイディアの実現、共有
・態度を示す、交易をする
・何をしたいかではなく、何ができるかで社会に貢献する
・社会の疑問を持ち、それに答えを出し行動すること
・鬱期は審美眼の解像度が上がる期間
新しい知見を得た気がする
経済のあり方、生活や自分を見直すこと、考えを放棄しないこと、行動すること
本当にこの世界の矛盾、理不尽なこと、横暴さに絶望してたのだけど、 -