川端裕人のレビュー一覧
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江戸時代に日本にドードーが来た?
絶滅した鳥の行方を追う堂々めぐりの
探求の旅を綴るノンフィクション。
序章 堂々めぐりのはじまり
第一章 日出づる国の堂々めぐり――正保四年のドードー
第二章 ヨーロッパお堂々めぐり――西洋史の中のドードー
第三章 モーリシャスの堂々めぐり――ドードーと代用ゾウガメ
終章 堂々めぐりの終わり
堂々めぐりの謝辞など、文献と注有り。
「おしゃべりな絶滅動物たち」が面白かったので、
こちらも読んでみたら、初っ端から日本にドードー!?
偶然に読んだ記事から日本にドードーが来てたことを
知るのが、堂々めぐりの始まりとなるとは。
「出島ドードー」の痕跡を得るための史料探 -
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近代の絶滅で姿を消した動物たち。
その姿を求め、世界を訪ね歩く。
何故彼らは短時間で消えたのか?
残る記録や資料で分かる実体と痕跡が語る真実を綴る。
・はじめに おしゃべりな絶滅動物
第一章 「絶滅」を知らない時代の絶滅
第二章 「人為の絶滅」の発見
第三章 現代的な環境思想の勃興
第四章 絶滅できない!
第五章 それでも絶滅は起こる
第六章 ドードーはよみがえるか
終章 絶滅動物は今も問いかける
コラム①、②、謝辞など、注有り。
18世紀のステラーカイギュウ。
それは狩猟だけではない。ラッコ猟も絶滅に影響。
19世紀のオオウミガラス。
「人為絶滅」は羽毛産業のみならず、標本需要も含まれる。 -
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めちゃくちゃ面白い本。絶対読んでほしい。
科学者ではなくジャーナリストの手による科学啓発本は概ね読みやすいのが特徴だけれど、これは群を抜いて読みやすく、実に社会的でもある。
とにかく構成が素晴らしい。
物事を伝えるための手順にそって、丁寧に展開していくので『なんで?』と置いてけぼりにされることがない。テーマを上手く絞ってあり、テーマの問題点のアウトラインもきっちりと明瞭にしているので迷子になる感覚がない。
色を見るという感覚自体が主観的で、実のところ簡易に他者と比べることの出来ないものであると説明した上で、その主観を数値化して浮き彫りにするための手法がある。その筆頭がいわゆる色盲検査につかわれ -
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マジメで硬派な本なのに、ページをめくる手が止まらなくなった
色覚について科学的な情報を読者に分かりやすく伝えた上で、色覚にまつわる社会の偏見や抑圧を指摘し考察する
科学的な説明のページは知らなかった事実や理屈が分かり易く解説されてとても面白く、社会的な問題を記述したページでは感情抑え目の著者に代わって世の中の理不尽さに腹が立つ、アップダウンのあるジェットコースター的読書感
科学的な事実をしっかり踏まえた上で社会の問題を論考している点が素晴らしい
もっと怒っていい当事者なのに著者が感情抑え目で冷静に話を進めている点も良い
5年前に刊行された旧版での記述に対する反省を明確にしている点も好感が持て -
Posted by ブクログ
進化の中の人為的な絶滅の様子を知ると、とても辛い。人間はそれを悲しむことができる生き物なのに、一方では自然界を破壊することを繰り返す。近年、なんとか絶滅動物を蘇らせないかと世界中の生物学者が研究している。絶滅自体は自然の一部だし、明らかに人為であっても絶滅動物は私たちを糾弾したりしない。でも、今も密猟のニュースなどを知ると、やりきれない思いで自責の念に駆られてしまう。ある学者はエッセイの中で人間を進化の冒険の旅を続ける船の船長に見立てた。作者は、その旅は決して人間の存在そのものをゴールにしたものではない。同じ星で進化して相互作用しながら同時代を生きる、地球生態系の構成員に対して、親近感をいだき
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著者、すげー!
めっちゃわかりやすいし、言葉選びが秀逸だし、写真はプロ級だし、生き物たちのよさがガシガシ伝わる!
〝「へんてこな生き物」たちは、地球上の生命の「にぎわい」を感じさせてやまない〟←この表現めっちゃ好き
ハニーポッサムかわいすぎるやろ!
花粉と花の蜜が主食なんて童話かよ!
ハリモグラはモグラじゃないんかい!
卵産むんかい!
ワオキツネザルの学名が化け猫てリンネ様さすが
オオサンショウウオの化石を〝洪水で溺れた(人間の)子どもの骨〟って解釈したってどゆことww
どーみても人間には見えんやろw腹痛いんだがww
は?ノコギリエイかっちぇー!!!
ミナミシロアホウドリもいいなぁ
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すごい…
大作。大力作。
何がすごいって、愛がすごい。
最近見た映画や本の中でもとりわけ愛が深い。
すっかりドードーのファンになって、終盤出てくるドードーら絶滅種が生きていた頃の再現図見たときには涙が出そうになったくらい。
好きなものに対して、ここまで一心不乱に身を捧げられるのが本当に素敵だしかっこいい。
あと、著者の川端さんの、いい人なんだろうなと思わせる人となりも良い。ところどころお茶目というかかわいい。
ニワトリが目の前駆けていって、思わずソリテア?!となっちゃうところとか、
ゴールデンバット(黄金バット!)←ここかわいい
ブロンズ像のゾウガメを一瞬本物と見間違えてテンション爆上 -
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江戸時代の日本の出島に生きたドードーがやってきていた。そんな事実を確認した著者がドードーの実態に迫る。絶滅した動物について知るために過去の文献を具に調べる必要があるが、そのためにはドードーについて先人が記録を残していなければそもそも情報を得られない。著者が丁寧に文献にあたり、知見を持っている人を取材し、モーリシャスで発掘作業にも携わる。そして本書が次のドードー研究へとつながっていく。書名の“堂々めぐり”はもちろん“ドードー”からきているが、調査は堂々巡りにはなっておらず、どちらかというと調査の螺旋階段を上るイメージである。本書はドードーについて生物学的な知見を得るものではない。調査とはこのよう
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私が小学生のころは、健康診断で石原式色覚検査表の検査があった。皆面白がってやっていたが、確かに読めない子がいて、どうして読めないのかと不思議だった。馬鹿にしたりはしなかったが、読めない当人はショックだったろう。「負のラベリング」という言葉が重い。
「色というのは、個々人の脳内で形作られる内的な感覚」「つまり、主観」
男と女では色の見え方が違うと男脳女脳の本で読んだ。性別に限らず、そもそも色がどうみえているのかは、自分以外はわからない。他人も同じ感覚なのかどうかはわからない。
「人は加齢とともに水晶体が着色して、青みを感じにくくなる」
年齢によっても色の見え方は違うのだ。
爬虫類、鳥類 -
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面白かった!!ビジュアル資料もたっぷりで、大満足のノンフィクション、よくばり科学日本史世界史ミステリという感じでしょうか、上質です、とっても上質(2度言う)。表紙が魅力的ですね、長崎の出島を丘の上から見下ろすドードー、これは興奮です。内容は日本に輸入されていたドードーの足跡を辿り、ドードーについての基礎知識、ドードー研究の現在を読みやすく、トピックに分けてQEDに迫っていきます。迫るだけですが(笑)。正保4年のドードーと日本のドードー研究者、西洋史ヨーロッパにおけるドードー、モーリシャス。こういう系統の本は鳥類学者や自然科学系の研究者が著者であることが多く、そっち系の文章には慣れていない人も多
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島で暮らすことになった生物少年の駆。同じクラスになった遊学生の周太、萌奈美、島の六年生 希美の四人で結成した「宇宙探検隊」の活動が学校、地域の大人たちを動かしていく。
「キャンディロケット」にはワクワクした!
更に下巻で一気に面白さが加速し、駆たちの前代未聞の挑戦から目が離せない。
弾道飛行ではなく、周回飛行へーー。
ソーラーセイルを使って地球圏を離脱する。
『雲を破って、天を突く。地上ではない、遠いどこかへ今すぐ旅立とう!』
子どもの「今やりたい!」という興味と意欲が周囲の大人を動かしていく。目標に向き合う真っ直ぐな姿勢に胸が熱くなります。
子どもたち一人一人の成長が誇らしく、ラスト -
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川端裕人さんの読みやすい文と、海部陽介さんの新知見を盛り込んだ内容が面白くて、一日で一気読みした。
文句なしの星5つ。
序盤の化石についての概説は、退屈かもしれないが後半の理解には必要な情報であり、川端氏の『現地』描写を交えた筆致は決して飽きさせない。
そして怒涛の後半、第四の原人や、デニソワ人についての新たな提案。
この時、整理された理解の生じる快感、そこが面白い。
分からないことは、何が分かってないからなのか。
どこまでなら、コンセンサスがある話なのか。
この整理が、理科や歴史でざっくり
「アウストラロピテクス」とか「北京原人」なら知ってた
レベルの一般人にも伝わってくる。
小難し