川端裕人のレビュー一覧
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川端氏の著作「ドードーをめぐる堂々めぐり」というドードーについてのドキュメンタリーがあり、本作品はそこでの調査を含めた物語を小説にしたもの。なので、小説といってもドキュメンタリーに近い。
主人公の望月環と景那(ケイナ)は百々谷(どどたに)で幼少期を過ごし、そこの自然に触れながら育った。そこで絶滅したドードー鳥と孤独鳥(ソリテア)をそれぞれに投影する。大人になっても環は科学を扱う記者になって絶滅動物を追う、特に江戸時代に日本に入ってきたドードーについて調べる。ケイナは動物の研究者になって絶滅動物のゲノムなどを研究する。ケイナは孤独鳥のように孤高な研究を続け、そこからが小説らしくなる。ケイナの本当 -
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17世紀頃に絶滅してしまったとされるドードー鳥が、鎖国時代の出島に来ていたという史実を追いかけるノンフィクション。
内容は学術的だけど、著者自身の粘り強い調査の行方がコミカルに記されていて読みやすく、好奇心をそそられる。
ドードー鳥メモ
■ドードー鳥はモーリシャス島やレユニオン島に生息していた固有種の鳥
■頭が大きく飛べない鳥。ハト科の分類とされる。物語や絵画などでは太ったコミカルな鳥として描かれている。
■人間がモーリシャス諸島に上陸したことをきっかけに絶滅してしまった。人間が持ち込んだネズミやサルなどがドードーの卵を食べ荒らしてしまったようだ。 -
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ネタバレ自然豊かな場所を小学生の少女二人はささやかに開拓していく中でドードー鳥と孤独鳥に自分たちをなぞらえるようになる。少女たちはそれぞれの道を進み大人になって一人はライターにもう一人は研究者となって絶滅した鳥の姿を追い求め、二人は再会し、人生はまた寄り添うように進んでいく。
小説だけど途中の挿絵が写真だったり資料だったりするので鳥の勉強にもなります。絶滅した動物や植物を私たちはどうするべきなのか、というのはこれほど身近な問題になってきているということを知らず勉強になりました。遺伝子操作のお話は、説明で分かったような気にはなり読み進めましたがなかなか難しかったです。
しかし私みたいなタイプの人間に -
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絶滅した動物の代表のような、個性的な見た目の飛べない鳥、ドードー。
『不思議の国のアリス』や『ドラえもん』にも登場するので子供にも知られている…かもしれない(知らない人も結構いる気がする)。
この本は、同じ絶滅したオオナマケモノについて調べていた著者が「日本にドードーが来ていた」という論文と出会ったことから始まる、日本から世界をわたる長き旅=堂々めぐりについて書かれたもの。朝日新聞の広告欄で見て、一目惚れして手に取った。
表紙には、出島を望む長崎の高台に佇むドードー画。これは歴史画ではなく、論文を書いた研究者(画家でもある)が描いたものだが、夢のある、表紙にふさわしい絵画である。
出島 -
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自分は小学生の時に学校の検査で赤緑色覚異常と言われた。中学では、何人かが別室に呼ばれ、就職で制限があるからと説明を受けた。化学、生物、工学でも色々な色の電線を扱う電気工学の分野は難しいとか言われて、自然に進学の方向を数学、物理の方向にせざるを得なかったな。この本は色はどうやって感じるのかから始まって、色覚異常の検査とその歴史と問題、現在の色覚検査、眼科医による認識、再度の学校での検査の開始可能性などが述べられ。色覚は異常・正常ではなく、広範な連続性があるものととらえていこうとしている。自分で不便と感じるときは、白いハンカチやシャツを買ったつもりでも、それピンクだよ!って家人に指摘されるときかな