川端裕人のレビュー一覧
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新型コロナというものを通じ、普段あまりやってこられなかった「サイエンスと政府・国民の三人四脚」が日本でも行われざるを得なくなった。有る種強制力によって急にやらなければならなくなったのである。そんな状況下で、サイエンスの立場の人が何を思い、何を経験し、何をしようとしたかの記録がこの本である。環境整備が全くなっていない、ノウハウもない、そういう状況下で三人四脚するのは過酷だろうなと思うが、その考えの通り沢山の苦労が展開される。特に、「思ってもみなかった」「こんなことになるとは」といった類の苦労は、新環境で振る舞い始めた自分にもよくあることなので、辛さがひしひしとわかる。
この本を通して何ができるの -
ネタバレ 購入済み
今読んで記憶しておきたい一冊
コロナ第一波に対応する西浦先生の生々しい記録。現在の日本でできること、できないことを認識しながら最大限の仕事をされたことに感謝したい。ご本人はコミュニケーションの失敗にも言及しているが、それは行政やマスメディアの責任も大きいと、外部からは感じる。最後に言及された、日本社会が目指す方向性が未だに明確になっていないことは、残念と言わざるを得ない。これから来る第四波がワクチン摂取で抑えられるのか、どれくらいの規模になってしまうのか。ひと段落した後にもう一度本書を読み直してみたい。
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購入済み
生命としての人間が持っている不
まさに目からウロコ。相談業務に関わる人はこの不眠に遭遇することが多々あるはず。
多分、今までの間違った常識に従って、的外れなアドバイス、プランを立てているのではないだろうか。
今後の研究にも注目してゆきたい。 -
Posted by ブクログ
かつて日本では、世界に誇るという石原式色盲検査表というものがあり、これで小学生以来すべての生徒をスクーリングにかけて、「色盲」を検出しようとしてきた。ところが、その後高柳さんという人を初めとして多くの眼科医の運動で、この検査が差別を生み出すということで、学校において行われなくなった。しかし、だからといって、色盲による不都合な現実が出なかったわけではない。そこで、最近また、この検査表でもう一度スクーリングをやろうとしているという。やる方は、生徒たちが将来そういう困難な局面に遭遇したとき困るから、早めに対策をとらせようというわけである。ところが、川端さんはこれに大きな違和感を覚えた。「むしろ、必要
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すごくおもしろかった。
アジアの原人の最新研究が、生き生きと読みやすく展開されていく。
アジアには多様な種族が存在していたことがわかるが、タイトルの意味は、それなのになぜ今はホモ・サピエンスだけなのか。
読書メモ:
人類 700万年 五段階 初期の猿人、猿人、原人、旧人、新人
300-200万年前 原人 ホモ・ハビリス
100-60万年前 旧人現る ネアンデルタール人
新人=ホモ・サピエンス アフリカ単一起源説
ジャワ原人 ピテカントロプス・エレクトス →その後ホモ・エレクトスに デュボア @トリニール
ソロ川流域 サンギラン、サンブンマチャン
玉ねぎ地層
ジャワ原人
停滞していたと思われ -
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昨日、川端裕人「銀河のワールドカップ」をやっと読み終わりました。好きな作家でしたがなかなか手が出ずにいましたが、4月からアニメ化と言うことでようやく買いました。
内容としては元Jリーガーの主人公が小学生のサッカーチームを率いて8人制のサッカーの全国大会を勝ち上がって行くスポーツ青春ものです。この小学生たちがすごい選手ばかりならまあ、わかるのですが、このお話ではその他のあまり上手くない人にフォーカスが当てられています。
しかもそれらの人もちゃんと試合で活躍できるという。面白い小説です。
この人の作品は普通の人たちが有人ロケットを飛ばすリアリティある「夏のロケット」で好きになりましたが、この作品も -
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数年前,「生命大躍進」という大変興味深い展示会を観ました。
そのとき,私が学校で学んだときから,かなり人類の進化に対する研究が非常に進んだことを知り,かなり驚きました。
本書は,その最新の知見について分かりやすく説明したもので,大変面白く読みました。
アジアには同時代に多様な人類の種類が存在した可能性があり,また旧人と我々人類は交雑したこともあるにもかかわらず,なぜ我々は我々だけなのか,この問いに対する答えが出るには気の遠くなるような研究の積み重ねが必要ですが,これほど興味の尽きないテーマもありません。
同じテーマを取り扱った本も読んでみようと思います。 -
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アジアの人類としての古代史が、こんなにも興奮に溢れる場だとは知らなかった!
ジャワ原人、フローレス原人、北京原人、名前は知ってるけど、はるか昔の曾祖父くらいのイメージしかなかった。
しかし実際は生物種としての適応と繁栄と消滅といったダイナミズムをもつ存在だった。
そして現在では我々は我々の種しかいないけど、それは昔からそうではなかった。多様な種が、祖先から綿々と旅をし、環境に適応し、進化し、そして(多分静かに)消えて行った、という壮大な物語の一端を味わえて大満足。
これからの研究の進展にも期待したい。
それにしても我々しかいないのは、拡散の速度が速すぎて均一化してしまった、というのは、宇 -
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夏休みの自由研究に野生のペンギンの観察をする。それだけ聞くと荒唐無稽ですが、そこにリアリティという説得力を持って来るのがこの作者のすごいところでしょうか。
夏と少年の物語。少年たちはそれぞれ家庭の事情があり、越えるべきものを抱えている。重苦しくなく軽やかに、それぞれの挫折と成長が書かれています。子どもだからできないこと、子どもだからこそできること。大人の関わりは干渉となり手助けとなり。はじめ小学5年生という設定はこの物語のテーマに対して幼いのではないかと思いましたが、その幼さがもつ無茶が起爆剤として素敵に作用していました。
物語の内容についてはここでは書きません。何故なら読んで欲しいから。作品 -
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ドキュメント、6人の研究者、前野ウルド浩太郎(バッタ博士)、高橋有希(宇宙)、飯田史也(バイオロボ)、森田浩介(超重元素合成)、石川洋二(宇宙エレベーター)、堀信行(地理学)。カッコでざっくり書いたが、そんな簡単にラベルできるものでもないが、後で思い出したりとっかかりによかろうと。前野先生の『バッタを倒しにアフリカへ』で言及されていたので読んだ。あのモーリタニアの件を別の視点でみるというのは面白かった。その他の研究者たちの話も面白い。特にこれからどんな分野に進みたいのか自分でわからない若者が読むにもとてもいいとおもう。本著に取り上げられている研究者の方々は華々しいが、この背後には累々と地味研究