川端裕人のレビュー一覧

  • 「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論

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    人間の視覚のうちで色の認識は、客観的な外的事実の認知ではなく、あるスペクトラムの光をある色として認識するいわば錯覚であり、個体差が大きい。したがって、色盲、色弱と言われるカテゴリーと正常色覚を明確に区別することはできず、色覚の弱い人から、スーパーノーマルと言われる極めて色覚能力の高い人までなだらかな正規分布をなしており、正常と以上の間にギャップがない。
    また、現在行われている石原式色覚検査は、偽陽性の発生頻度が極めて高く(男子で46%、女子では97%)、スティグマの弊害が大きい割に、メリットが小さく、一律に実施するのは妥当ではない。
    という内容。健康診断におけるエビデンスベースの考え方を色覚検

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    2021年07月10日
  • 空よりも遠く、のびやかに

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    高校生の地学とクライミングを合わせた1冊。
    昨今のコロナ禍を取り込み、青春小説を更に奥深いモノへと昇華させている。このご時世でリアルに共感出来る描写もあり今だからこそ読むべき1冊。

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    2021年06月16日
  • 「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論

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    色覚の検査、小学校の頃にやった記憶がある。
    結果、「異常」の可能性ありと判定されたクラスメイトがいたことを覚えている。
    たぶん、僕は、色がわからないことがどういうことか理解ができず、興味本位で彼に質問しただろう。どんな風に色が見えるのかを。
    彼はニコニコしてあまり気にしていない風だった記憶がある。でも、心ではどう思っていたのだろう。

    今から考えると、みんなの前で色覚について正常か異常かを診断する差別的な検査だった。
    しかも「色覚異常」に治療法はないときている。
    「色覚異常」が遺伝性のため結婚について注意を促したり、就ける職業を制限したりするための検査。
    なんのために、そんな重荷を小学生に負わ

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    2021年06月13日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    8割おじさんこと西浦氏が、新型コロナウィルス流行初期から第一波を乗り切るまでを振り返った本。

    西浦氏や尾身氏といった専門家が真摯に取り組みまたコミュニケーションを図ろうとしても、官邸や官僚や自治体がそれをうまく扱えず、また責任を押し付けようとしていた事に、忸怩たる思いを感じた。

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    2021年05月31日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    2019年終わりから流行が始まった新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対応した西浦氏の行動や思索の記録です。氏の行動への賛否は様々だとしても、本書は歴史的な資料として価値があるはずです。
    日本のクラスター対策を日本より感染が深刻な外国から批判する昔の上司や、経済対策ではなく感染の流行制御の話に立ち入ってくる経済の専門家、責任を取らない政治家、そして自身の知見を正確に国民に伝えることの難しさなど、感情的ではないけど突っ込んだ本音まで記述されています。

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    2021年03月13日
  • 青い海の宇宙港 秋冬篇

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    「青い海の宇宙港」の後編。クライマックスは小学生たちが呼び掛けて実現するロケットの打ち上げですが、打ち上げの瞬間にはなんか涙が出ました。

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    2021年03月13日
  • 青い海の宇宙港 春夏篇

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    宇宙港のある島、多根島を舞台にしたお話。主人公は宇宙遊学生制度で東京から多根島に来た小学生。あえて宇宙にそれほど興味がなく自然に興味がある少年を主人公に置くところが面白い。

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    2021年03月13日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    貴重な記録。
    マスコミ等で下手に混乱をさせたくないがために情報統制を図る政府・行政と、事実をもとに正しい判断に導きたい科学者。
    共に気持ちはよく分かるが、コロナよりもっと酷いパンデミックだったらどうだったろう。
    情報を削ってしまって肝心なことが伝わらない&共感・理解を得られないことが一番の問題ではなかろうか。
    気持ちも伝えられる素晴らしい漫画家がいる国、わかりやすくヘルプ情報を解説するYouTuberが人気を博す時代、ここに改善できる余地が十分にあるのではないかと思いたい

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    2021年03月06日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    政治上言えること、言えないことや、それが政治家の発言やニュースになる際にどのように削ぎ落とされたり駆け引きが行われるのかが見て取れる稀少な本。
    コロナ初期の記憶が残っているうちに読むことがおすすめです。

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    2021年01月30日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    日本には政府から独立し、しかも政府に提言できる科学者集団(アメリカのCDCのような)ものがないというのはこういうことか、と暗然たる思いになった。
    突然国立感染研から北海道大学の先生が呼び出され、そのつてで何とかコロナ対策班を作る。急拵えで、しかもボランティアに支えられているというお粗末さ。
    この西浦先生は今はアドバイザリーボードにいるようだが、第一線でずっとやってくれている尾身先生は本当にご苦労が絶えないと思う。科学的な分析結果をどのように伝えるか、どのように判断するか、誰が決断を下すか(これは政治に決まっているが)、はっきりしていなかったことに驚きを覚える。

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    2021年01月16日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    海外にいたこの1年間で、コロナ対策に関して日本でどのようなことが起きていたのかキャッチアップの意味も込めて読みました。

    いわゆる第一波といわれる初期の混乱の中で、著者の一人である西浦教授がどのように行政に「巻き込まれ」(敢えての表現)、時の人となりつつも専門家として熱意をもって仕事をされていたのかが伺えました。

    前半で述べられている、行政とメディアに挟まれるサイエンティストとしてコミュニケーションに苦心されていた問題は多角的に議論できると思います。複雑な問題をマネジメントするリーダーの立場であれば、サイエンティストとしてのバックグラウンドであってもコミュニケーションへ投下するリソースが多く

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    2021年01月06日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    新型コロナウイルスへの対応で数理モデルがどのように活用されたのかに興味があり、この本を読み始めた。

    前半は、西浦さんをはじめとする多くの人たちが、どのように行動していたかが書かれており、とてもワクワクした気持ちで読むことができた。
    想像以上に泥臭い現場であったかがよくわかった。

    後半は、政府や政治家とのやりとりにおける現場の葛藤が書かれている。
    なぜここまで政治に関する話が出てくるのか?と疑問を抱えながら読んだが、あとがきを読んでその理由がよくわかった。
    それは、数理モデルの活用をする上で、いろいろなチャネルとのコミュニケーションがいかに重要かということだった。

    最後に、西浦さんと自分の

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    2020年12月29日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    本書は八割おじさんこと西浦教授が新型コロナウィル騒動の前夜である2019年の12月(一年前だ!)をプロローグに本格的に騒動が始まった2月のダイアモンドプリンセス号の対応から第一波を乗り切るまでのクラスター対策班の中心人物として過ごした体験を記したものです。殺害予告まであったようなので、政治家や官僚のとの軋轢も相当なものと思われますが、そのあたりはとてもソフトな書き方をしているのがとても印象的、もう少し毒があったほうが面白かったかもです。感染症の危険があまりなかった日本では感染症疫学の研究者は少なく、とりわけ感染症の数理モデルを扱える研究者は西浦教授とその研究室しかなかったようです。大変お疲れ様

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    2020年12月27日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    読みながら、『伝えるが9割』を思い出した。中身は、本当に重要だけど、それを、どう伝えるか、どう伝わるかで、そのあとの動きが大きく変わる。そういう記録として読むこともできる。

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    2020年12月24日
  • 理論疫学者・西浦博の挑戦 新型コロナからいのちを守れ!

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    面白いです。専門家軽視ともいえる日本的意思決定のあり方は、今後、リスク・インフォームド・ディシジョン(意志決定支援)に変化していけるでしょうか。

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    2020年12月13日
  • 「研究室」に行ってみた。

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    テーマとしてはシンプルに「現在、研究の最前線を走る研究者の方々にお話を聞き、その研究内容の全貌と展望、そしてそこにたどり着くまでの彼らの道のり」が丁寧に語られる。
    あとがきで著者が語っていたが、この本のタイトルを目にした読者の多くは「研究室」という言葉になんとなく理系的な雰囲気を感じ取るかもしれない。だが中身を読んでみると、たしかにいわゆる自然科学の研究室に多く触れているが、その内容を読んでいくと文系的な側面も多数見られる。
    フィールドワークを行なう上で向かった先での生活や営みについて思いを馳せたり、研究対象を調べる中で哲学的な分析を行ない始めたり……。最終章の地理学者の研究に関しては、「地理

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    2020年04月22日
  • 我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち

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    「人類学系の読み物として最高の一冊」

    第2章の中盤からは次のページをめくる指が止まらない。それくらいに私たちの祖先への興味が1ページ毎にかき立てられる一冊。他のブルーバックスのように「専門を学ぶ入門書」というものよりは、「専門を旅する読み物」といった感覚の1冊。

    私たちを私たちたらしめているのはテクノロジーであって、テクノロジーの進化によって種としての進化を代替している訳でもある。そしてそのテクノロジーは、世界をひとつにし、世界からガラパゴスをなくし、均質なものとすることで、種としての進化のストッパーにもなっている。

    著者も問題提起していた現代の我々の大きな命題である「ダイバーシティ・ア

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    2020年04月25日
  • 川の名前

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    ネタバレ

    【動機】
    川端裕人さんにて未読だったため

    【内容】
    小学五年生の少年たちの川をめぐる一夏の冒険。
    鳳凰池にやってきたペンギンの家族たちを中心に巻き起こる様々なできごとと、少年たちのアイデンティティの話。

    【所見・まとめ】
    この作者の小説が大好きで、当時大学の学部を決めたのも『リスクテイカー』という小説を読んだことがきっかけ。
    本小説もとても面白かった。

    ドキッとしたのはタイトルにもなっている「川の名前」の概念。
    自分がどこに立っているのか、どこから来てどこへ行くのか、そしてどこに帰るのか、そんなことを考えたことは一度もなかった。
    普段使用している住所が人間が作ったもので、街とか番地でしか

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    2020年02月24日
  • 我々はなぜ我々だけなのか アジアから消えた多様な「人類」たち

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    人類の祖先にまつわるロマンと知的興奮にあふれた一冊!これは良い!なぜ、他の動物たちはあれほど多様な形態を残しているのに、われわれ人類は今のホモ・サピエンスだけなのか?今まで考えたこともなかった謎に迫る様子はめちゃくちゃ興奮。正にセンスオブワンダー!昔、ホビットのような小柄な人類がいた、と思うだけでワクワクしてくる!

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    2020年01月25日
  • 声のお仕事

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    声優さんのお仕事って?売れるまでどうだったの?というのが赤裸々に書いてある小説でした。声優さんのインタビュー記事を読んで、イマイチピンと来てなかったアフレコブースでの空気感が、この小説を読んで少しイメージできるようになりました。みんなオーディション頑張れ!!

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    2019年07月15日