川端裕人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
以前,著者に別作品で,「川の名前」という長編小説を買って読んだのですが,正直展開がゆっくり過ぎて根気が続かず,とうとう途中で放り出してしまったことがあったので,正直この本を購入する時にもややためらいがあったのですが,こちらは短編ということもあり,思い切って買っちゃいました。
結論から言えば,こちらはだいぶん読みやすいです。特に,表題作や恐竜の名前の話などはミステリというか少し推理小説仕立てになっていて,興味深く読めます。ただサイゴの方はまた,著者独特の情緒的な主題や構成が目立ってきて,読みづらいものが一つ二つあります。
「ソフトなハードボイルド」というか, 野生動物に心を寄せるやさしいワイルドさは嫌いじゃないのですが,こういう文章のトーンは僕としては少し読みづらい気がします。
小説って文章の微妙なニュアンスでかもし出される著者独自の世界ってありますよね。東野圭吾とか楡周平とかなんてそういう意味ではうまいと思います。でも逆にストーリーや主題はわりとタイプなのに,文章のトーンがどうしても肌に馴染まず読み進めるのが億劫に感じてしまう作家もいます。こういうのは相性なんですかね。高校生のころとか若いころは一時期赤川次郎とか新井素子のような軽い語り口が読みやすく感じたのに,今ではそういうものは全く読む気が起きません。不思議なものです。
コミックなんかもそうですね。私の場合,絵とストーリーがどちらも合格点に達しないと読む気がしないのですが,こういうのも人によって違うのかな?例えば絵が気に入ればストーリーは二の次とか,ストーリーが気に入れば絵は余り気にしないという人もいるのでしょうね。
そういう意味で,私にとってういう作家さんはとても残念です。自分としては肌合いがあまりあわないということはあるのですが,意外と人に勧めたいと思う本ではあります。 -
Posted by ブクログ
●色覚のサイエンスと、色覚異常が「特別視」される背景をつまびらかにした本。
●近視は問題にならないのに、色覚異常は差別的な扱いを受けるようなことがあったのか?→優生思想を背景に「結婚は避けるべき」というような差別まであったのは驚き。
●自分が子供のころにあった小学校の色覚検査がいつの間にか撤廃されたというのは聞いていたが、本書は、その色覚検査の裏に潜む優生思想の地続きの歴史と、二分法に囚われた日本の眼科医学の機能不全を描いている。 特に印象的なのは、同じ「目のピントや認識の個人差」でありながら、なぜ「近視」は問題視されず、「色覚異常」だけが凄惨な結婚差別や就職制限を受けるほどの扱いをされてきたのか、という不条理な構造への問いかけだ。遺伝学において、集団内での頻度が1%を超えるものは「異常(変異)」ではなく、人類が生き残るために受け継いできた「多型(多様性)」と定義される。つまり、人類は全員が同じ色を見るのではなく、異なる色覚を持つ個体がチーム(共同体)を組むことで、過酷な自然界を生き抜いてきたのだ。医療や社会の管理の都合によって無理やり「白黒」に分断された境界線。しかし、最先端の科学のアップデートは、かつて「異常」と切り捨てられたものが、実は人類の生存に必要不可欠な「グラデーションの多様性」であったことを教えてくれた。この本の結論としては、色覚異常は「異常」ではなく「多様性」と捉えるべき、となるだろう。