川端裕人のレビュー一覧
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良いよ、なんか。多分著者と自分の考え方が近いんだろうなって思う。夏のロケットの時も思ったのは知識のすごさ。今回も多摩川水系の歴史的な話から始まってペンギンの生態他とても詳しく調査したことが感じられた。夏のロケットのロケットに関する知識よりもやはり生態系の知識の方が自分には受け入れやすいんだなって実感し、納得もする。この著者の作品を好むことに対して哀愁的な現実逃避とか言われがちだ。確かにそう考える向きもわからないではない。でも、いつまでも子供でいたい自分にとってはこうした主人公に若者を使ったとても受け入れやすいテーマなのだ。哀愁的であることは悪いことではない。変化するだけが発展ではないわけで。た
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Posted by ブクログ
手放しで絶賛します!すごく面白かった。
両親が離婚して、世界中の自然を撮影するのが仕事の父親と暮らしているためひとところに長く居られない小学生の男の子が主人公です。
発達障害の妹がいるゴム丸、物静かで内向的な河童、文武両道でちょっと憎たらしい手嶋、謎の呪文のような言葉を叫んでは校庭で喇叭を吹き鳴らす喇叭爺、と、登場人物はみんな魅力的。
タイトルの「川の名前」は、自分の暮らす場所を、行政が勝手に引いた県とか区とか市とかの人間が後付けで勝手に作った呼び名ではなくて、元々自然にある川、どこの海に流れるどこの水系の川で、表そうじゃないか!、という、生物学の岸由二教授が提唱した考え方だそうです。 -
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初期の猿人から猿人、原人、旧人、そして現生人類へ。
昔々、学校でも、アウストラロピテクスが現れ、その後ジャワ原人、北京原人が現れ、ネアンデルタール人が出てきた、なんて勉強したような。
しかし、なかなかそれに興味を持つというところまではいかなかった。
それが、近年、大きな発見があったりして、ずいぶんと分かってきたことがあるらしい。
新聞報道などもあり、特に人類学に興味がなくても聞こえてくる、ホットな分野であるようだ。
そして、監修者である海部陽介さんも、テレビで何度も見る機会もあった。
本書は、しかし、海部さんが書いているのではない。
サイエンスライターで作家の川端さんが、海部さんを取材して -
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ネタバレ2020年に起きたコロナウイルスの蔓延とその後遺症による社会の変化、多くの人に閉塞感や悲しみを与えた
この小説に出てきた万葉高校地学部の面々もそうであった。地学オリンピックの中止と東京オリンピックの延期。地学とクライミングの両方のオリンピックが潰えてしまった。
しかし、そんな中でも何とかできないかと模索し、世界を巻き込んだ地学とクライミングの祭典を計画し実行した。
大人も未来に希望を見いだせなくなっていた時期であったが、未来を先導する若者たちが道を示してくれ、一筋の光が指した。
青春と地学、クライミング、コロナと様々なものを題材にした小説で結末を読んで、これからの力強い希望の灯りとなっ -
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いや~奇書ですね。そして面白い。
『不思議の国のアリス』や『ドラえもん』にも登場する、かつてモーリシャス島に生息していた絶滅鳥類ドードー鳥と、同じドードー科の孤独鳥を追いかける「絶滅動物小説」です。
全編、主人公の手記という形で進みます。そのルポルタージュ感が素晴らしいと思ったいたら、この本に先行して『ドードーをめぐる堂々めぐり――正保四年に消えた絶滅鳥を追って 』と言う同作者によるノンフィクションが出版されていました。つまり、この小説は先行したノンフィクションの上に物語を載せて小説に仕立てたもの。実際、この小説の第3章は「堂々めぐり」と言うタイトルであり、第4章の初めにはノンフィクション本を -
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ネタバレ仕事中に眺めたダ・ヴィンチでおすすめされていた本。
物語で読める古生物学入門!という感じで新鮮だった。知らない知識がいっぱい。と思ったらノンフィクションも書いている作家さんでした。なるほど。この本の前にドードー鳥のノンフィクションも書いているようだ。ボーちゃんとケイナちゃんが当たり前のように読んでいた基礎文献とかもいつか読んでみたい。
事実と物語が入り混じっているので読み慣れるまではちょっと時間がかかった。
終盤、北海道の神社の社宝が孤独鳥だとわかったからこそ連絡しなかったことが判明したシーン、ボーちゃん視点の読者にあまり開示されていなかったケイナちゃんの内面がついに開示されたようで、心がいっ -
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小学生の頃、父親の静養のために千葉の学校に転校した望月環ことボーちゃんは、ちょっと変わった子と思われていたケイナちゃんと仲良くなる。自分たちを絶滅した飛べない鳥、、ドードー鳥と孤独鳥になぞらえ、自然の残る百々谷で奔放に過ごす。しかしケイナちゃんは転校してしまう。
二人の小学生時代の第一章、社会人になったボーちゃんが研究者となったケイナちゃんと再会する第二章。そして研究の過程で暴走し始めるケイナちゃんと、それを止めようとするボーちゃんの姿と進んでいく。
ゲノム解読が進み、絶滅した動物が再生できるのでは、という話は現実の世界でもいろいろ取り上げられているが、倫理的問題や権利関係など慎重に進めな -
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ネタバレ【目次】第一章 百々谷と百々屋敷/第二章 近代の絶滅/第三章 堂々めぐり/第四章 ドードー鳥と孤独鳥/終章
第一章は、タマキとケイナの小学生時代の話。一緒に過ごした時間は決して長くはないが、2人の魂の共鳴が描かれる。
そして第二章以降で、大人になった2人が、それぞれに専門性を身につけ、絶滅危惧種に取り組む様が描かれる。
精緻な挿絵が豊富で、画集としても資料としても素晴らしいと思う。
……専門的すぎて細かい話にはついていけなかった。
ケイナがマッドサイエンティスト系に走り、タマキはまっとうに手堅い仕事をする。ミステリならば暗い結末が予想されるが、これはジャンルが違う。
となると結末は一択か