あらすじ
『ドードーをめぐる堂々めぐり』著者川端裕人が贈る、スリリングで感動的な「絶滅動物小説」!
科学記者の「タマキ」は、ゲノム研究者になった幼馴染「ケイナ」と二十年ぶりに再会した。
ステラーカイギュウ、リョコウバト、オオウミガラス、そして、ドードー鳥と孤独鳥……自然豊かな房総半島南部の町で過ごした小学生の頃から、絶滅動物を偏愛してきたふたり。
カリフォルニアで最先端のゲノム研究「脱絶滅」に取り組むケイナに触発されたタマキは、江戸時代に日本の長崎に来ていたという「ドードー鳥」の謎と行方を追う旅へと乗り出した。
〈もっと知りたいと願った。
ドードー鳥と孤独鳥の秘密を、ケイナちゃんとわたしを結びつける秘密を。〉
日本、アメリカ、欧州、そしてドードーの故郷モーリシャスへ。
やがてふたりの前に、生命科学と進化の歴史を塗り替える、驚愕の事件が待ち受けていた――
会いに行こう! もう会えない「幻の鳥」に――
忖度なしの〈堂々たるドードー小説〉
『ドードー鳥と孤独鳥』、堂々刊行!
*美麗函入
*挿絵多数収録
◎装幀・本文設計=山田英春
◎装画=Dodo/Solitaire, Extinct Birds, Walter Rothschild, 1907, William Frohawk del. より
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人間の乱獲により絶滅してしまったドードー鳥。犯してしまった罪を思いせつなくなる。他の絶滅種にも触れ、過去から現在、未来へと進んでいく。自然豊かな百々谷の描写にも心が踊る。
生物そのものだけではなく、彼らがいる背景も含めて見ていく視点を知った。
Posted by ブクログ
房総半島時代の2人の話は小説らしかったけど、ケイナに再会してからはこの前読んだ『ドードー鳥をめぐる堂々めぐり』のように実際にタマキが体験した話のような感じ。
絶滅動物を復活させる話は興味があるけど、「環境」って所は考えたことがなかったな〜。
これもワクワクするような楽しい本だった。
Posted by ブクログ
ざっくりあらすじ「主人公とケイナちゃんは、絶滅動物への想いで繋がっていた。ドードー鳥と孤独鳥に自分たちを重ね合わせた二人は、絶滅種を探る旅へと乗りだす。」 物語調のノンフィクションの読み心地で、少し難しい部分がありつつも、不思議と読ませる筆致! 先が気になってすらすら読めました。 どこまでが史実でどこからがフィクションなのか線引きははっきりされておらず、ドードー自体にも興味が沸いたので、同著者のノンフィクション「ドードーをめぐる堂々めぐり」も是非読もうと決意。
Posted by ブクログ
いや~奇書ですね。そして面白い。
『不思議の国のアリス』や『ドラえもん』にも登場する、かつてモーリシャス島に生息していた絶滅鳥類ドードー鳥と、同じドードー科の孤独鳥を追いかける「絶滅動物小説」です。
全編、主人公の手記という形で進みます。そのルポルタージュ感が素晴らしいと思ったいたら、この本に先行して『ドードーをめぐる堂々めぐり――正保四年に消えた絶滅鳥を追って 』と言う同作者によるノンフィクションが出版されていました。つまり、この小説は先行したノンフィクションの上に物語を載せて小説に仕立てたもの。実際、この小説の第3章は「堂々めぐり」と言うタイトルであり、第4章の初めにはノンフィクション本を出版した話が出て来ます。
自然豊かな房総半島南部の町で過ごした小学生の頃から絶滅動物を偏愛してきた主人公は、成人して新聞社の科学部記者になる。通常業務の合間に個人テーマとして絶滅動物を追い続けるなかで、子供の頃からの夢であるドードー鳥の跡を世界中で探し続けるためにフリーになり、やがて南蛮人によって日本に連れてこられたドードー鳥の存在を知る。そして・・・。
人間の手で絶滅された動物たち、ステラ―カイギュウ、オオウミガラス、リョコウバト・・・・。そしてそれらをゲノム編集で復活させることの倫理的問題点。
分野が違いますが、直木賞を受賞された伊与原新さんのような「理系小説」です。著者の川端さんは東大教養学部卒。理系、文系の境が無い学部ですが、どうも理系の話を一般の人に分かりやすく紹介することに長けておられるようです。
370ページ。箱入りの豪華な製本ですが、なんかそれが似合う作品でした。
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仕事中に眺めたダ・ヴィンチでおすすめされていた本。
物語で読める古生物学入門!という感じで新鮮だった。知らない知識がいっぱい。と思ったらノンフィクションも書いている作家さんでした。なるほど。この本の前にドードー鳥のノンフィクションも書いているようだ。ボーちゃんとケイナちゃんが当たり前のように読んでいた基礎文献とかもいつか読んでみたい。
事実と物語が入り混じっているので読み慣れるまではちょっと時間がかかった。
終盤、北海道の神社の社宝が孤独鳥だとわかったからこそ連絡しなかったことが判明したシーン、ボーちゃん視点の読者にあまり開示されていなかったケイナちゃんの内面がついに開示されたようで、心がいっぱいになった。ドードー鳥と孤独鳥が自分達みたいだと言って過ごした鮮やかな時間がボーちゃんだけでなくケイナちゃんにとっても色褪せて無いことがとても嬉しかった。
命をめぐる科学ってむずかしいなとかも思ったけど、古生物学とか遺伝子化学?の話から自分を探す2人の物語とノンフィクションとフィクションの混ざり具合が絶妙でおもしろく読めた。
比喩表現の言葉が好きだな。
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SF。著者の「ドードーをめぐる堂々めぐり」を読んでいたのでフィクションだとはわかっていたのだけど、その取材力が活かされていて一部ノンフィクションであり、それによってものすごくリアルな話に感じる。「ドードーをめぐる堂々めぐり」でも感じたけれど読後もワクワクした気持ちがとまらない。
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SF。絶滅動物。
タイトル通り、ドードーにまつわる物語。
SF(サイエンスフィクション)としては、サイエンスの要素が強めで、フィクションの要素は薄め。
ノンフィクション作品かと思うような雰囲気。
博物画が多めに挿入される構成が特徴的。
生物系のSFが好きな自分には、かなり好きなタイプの作品。
ちょっとノスタルジックな雰囲気も良い。
かなり気に入ったので、ネットで著者の他作品をすぐに購入しました。
Posted by ブクログ
小学生の頃、父親の静養のために千葉の学校に転校した望月環ことボーちゃんは、ちょっと変わった子と思われていたケイナちゃんと仲良くなる。自分たちを絶滅した飛べない鳥、、ドードー鳥と孤独鳥になぞらえ、自然の残る百々谷で奔放に過ごす。しかしケイナちゃんは転校してしまう。
二人の小学生時代の第一章、社会人になったボーちゃんが研究者となったケイナちゃんと再会する第二章。そして研究の過程で暴走し始めるケイナちゃんと、それを止めようとするボーちゃんの姿と進んでいく。
ゲノム解読が進み、絶滅した動物が再生できるのでは、という話は現実の世界でもいろいろ取り上げられているが、倫理的問題や権利関係など慎重に進めなければならない問題がたくさんある。
二人の少女の成長と友情の物語である一方で、こうした様々な問題も提起されている。科学的・歴史的な解説が完全に理解できたわけではないが、とても面白かった。最後は、この後どうなっちゃうの?と思うのだが…
Posted by ブクログ
【目次】第一章 百々谷と百々屋敷/第二章 近代の絶滅/第三章 堂々めぐり/第四章 ドードー鳥と孤独鳥/終章
第一章は、タマキとケイナの小学生時代の話。一緒に過ごした時間は決して長くはないが、2人の魂の共鳴が描かれる。
そして第二章以降で、大人になった2人が、それぞれに専門性を身につけ、絶滅危惧種に取り組む様が描かれる。
精緻な挿絵が豊富で、画集としても資料としても素晴らしいと思う。
……専門的すぎて細かい話にはついていけなかった。
ケイナがマッドサイエンティスト系に走り、タマキはまっとうに手堅い仕事をする。ミステリならば暗い結末が予想されるが、これはジャンルが違う。
となると結末は一択かなと思ったとおりで、結果をほのめかしつつ、彼女たちらしい生き方が描かれる。
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「近くのため池で コウノトリを 見た」
と 無邪気にはしゃいでおられる方に
ーいやいや そのコウノトリは 人間の都合で
無理やり繁殖させられているものであって…
と いちいち説明するのは面倒である
そんな思いを ずっと持ち続けている
コウノトリの人工(!)繁殖を聞いた時から
モヤモヤするものを抱いていた
そんな思いの中で
この一冊を読ませてもらう
それはそれは 腑に落ちること
そうだったのだ、
科学的な根拠とはこれか、
なぁるほど、
が 次から次へ出てくる
コウノトリに限らず
レッドデータに興味関心のある方
必見の一冊です
Posted by ブクログ
川端氏の著作「ドードーをめぐる堂々めぐり」というドードーについてのドキュメンタリーがあり、本作品はそこでの調査を含めた物語を小説にしたもの。なので、小説といってもドキュメンタリーに近い。
主人公の望月環と景那(ケイナ)は百々谷(どどたに)で幼少期を過ごし、そこの自然に触れながら育った。そこで絶滅したドードー鳥と孤独鳥(ソリテア)をそれぞれに投影する。大人になっても環は科学を扱う記者になって絶滅動物を追う、特に江戸時代に日本に入ってきたドードーについて調べる。ケイナは動物の研究者になって絶滅動物のゲノムなどを研究する。ケイナは孤独鳥のように孤高な研究を続け、そこからが小説らしくなる。ケイナの本当の研究内容を環が知ったときに、絶滅動物に対する希望と倫理の狭間で物語が動く。
Posted by ブクログ
自然豊かな場所を小学生の少女二人はささやかに開拓していく中でドードー鳥と孤独鳥に自分たちをなぞらえるようになる。少女たちはそれぞれの道を進み大人になって一人はライターにもう一人は研究者となって絶滅した鳥の姿を追い求め、二人は再会し、人生はまた寄り添うように進んでいく。
小説だけど途中の挿絵が写真だったり資料だったりするので鳥の勉強にもなります。絶滅した動物や植物を私たちはどうするべきなのか、というのはこれほど身近な問題になってきているということを知らず勉強になりました。遺伝子操作のお話は、説明で分かったような気にはなり読み進めましたがなかなか難しかったです。
しかし私みたいなタイプの人間にはこういった問いが「そこにいまある」ということを知るだけでもプラスになると思いますし、こういった話題が好きな方にはぜひ手に取ってほしい作品です。
#国書刊行会 #NetGalleyJP
ドードー鳥については、一般的な知識しかありませんでした。孤独鳥は、名前も聞いたことがなく、この本で初めて知りました。
ノンフィクションではありませんが、ドードー鳥と孤独鳥について多くのことを知り、絶滅危惧種の保護についての考えも知る機会となりました。
ワクワクするような内容ではありませんが、じっくりと読ませる小説です。私としては、もう少しワクワク感があればと思います。