松本次郎のレビュー一覧
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ネタバレ
成功せず死にたく世恨み足掻く
「私とは何か」「生の意味は何か」苦しくてこう考えてしまう状態に近代人は追い込まれたようですね。
倫理には他者を傷つけないを根本として様々な習慣・常識がありますが、その諸習慣をギリギリまで削ったとこにハードボイルドとかヤクザ・ギャングものが成り立つ。
例えば、健さんの任侠は仲間の仁義だけは守る。 マーロウのいう「優しくなければ生きていく資格がない」とかですね。
二つが融合して作られるサイバーパンク。『ブレードランナー』とか『攻殻機動隊』とかが代表的で、どちらも倫理・道徳最小限世界で「私とは何か」「生の意味は何か」を求めてもがく。
で、『フリージア』その荒いタッチが美しくてエロくてパンクな -
Posted by ブクログ
内戦下にある架空の日本を舞台に、挺身隊として町の治安活動に勤しむ女子高生を描いた作品。「べっちんとまんだら」「女子攻兵」に続く制服女子高生+タクティカルギアモノの新作。制服女子高生にタクティカルギアという組み合わせは松本次郎の発明だと思っているのだが、別に先例があったりするのだろうか?
「女子攻兵」が制服女子高生+タクティカルギア+巨大人型兵器+地獄の黙示録というちょっと要素てんこ盛り過ぎだったせいか、本作は訳あり優等生+イカレツインテールの割とストレートなバディ物な出だしだが、ディティールはいかにも松本次郎という感じ。続きに大いに期待。 -
購入済み
3実一体の魅力
1,ファンタジー幻想と
2,リアリティー生々しさと
3,性を誠実に画く性力学(エロ)、が心掴まれます。
僕なりには「ブラック版、世にも奇妙な物語?」という印象を受けました。
フリージアは読んだあと自分の心が主人公に侵食され(飲み込まれる)、精神的に読む前の状態まで回復するのに時間がかかりました。魅了させられ呪われる感がありましたが、この作品また違う魅力があります。
ただ見るだけでは暴力と乱雑な性とカオスにしか見えないかも知れません。
この作品は観るでないと、3実一体の魅力が伝わらないと思います。
それと、
コンプライアンスにガッツリ引っかかるでしょうね、
ただ、コンプライアンスに縛られた表現な -
購入済み
終わった
最後に残るは一太刀だけ
本当にグッダグダグッダグダと命を惜しんだ命のやり取りを続けて
斬る理由がなくなってから斬る理由ができて
本当に本当に
殺す人の物語を描くのが上手い。
買ってよかった。読んでよかった -
購入済み
殺人者の悲哀
殺人者の悲哀をすごい感じた。やはり、本当に、最高の葛藤を描く作家だよこの人・・・。操られる人が操られてる事に気づいてもどうしようもないって描写も含めてすごい。傑作でしょいちげき
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購入済み
登場人物が…
つい最近までこの作品を知りませんでしたが、あらすじに興味を持ち購入してみたところ、登場人物がもれなくどこかおかしいというとんでもない作品でした。
最初はまともかな?と思った人物も、話が進むごとに変化していく。先が全く読めない展開で息つく間もなく読み終えました。 -
購入済み
面白いです!
原作があるせいか至極真っ当に話が進むのも良いし、シリアスなシーンでも時々我慢できないような次郎先生のお茶目が顔を覗かせてるとこが好きです。
伊牟田が良い奴で参った。島田様も海江田もみんな憎めない。今後どうなるのか、原作はあえて読むのを我慢して(この連載が無事終わったら小説を読もうと思います)ワクワクで次を待ってます。 -
購入済み
傑作です
これだけぶっ飛んだ世界観だけでも秀逸なのにどのキャラにも感情移入できる。移入っていうか、ああコイツの気持ちはわかるって思える。それだけ人物描写が巧みでキャラが人間的なんですね。一見全員クレイジーなようでも背骨にはそのキャラの個性がきちんとある。どれだけの観察眼なのか先生の力量はハンパないっす。
おまけに戦闘シーンもカッコいい。E◯O基地からのスピード感溢れる戦闘シーンなどは圧巻です。
松本次郎先生はデッサン力もあってリアルな描写が巧みな方ですが、この先生の魅力はやはり極端にデフォルメしてでも描きたいものを描ききる表現力。溢れる漫画力ですね。
漫画にリアルな画力を求める読者は多いけ -
鬼才の逸品
ウェンディからずっと大ファンで松本次郎先生の作品は長編、短編、全て大好きですが、この作品は特に素晴らしい一作だと思います。
松本先生が描く若者たちの若者特有の向こう見ずな無謀さやおバカさや真面目さ、そして繊細さがたまりません。人物の持つミステリアスなピュアなオーラも松本先生が描くキャラの不思議な魅力ですね。
どうしたらこんな人物が描けるのか、天才の御業なんでしょうね。 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い。侍の口車に乗せられて「一撃隊」に登用された百姓たちが、薩摩藩にゲリラ戦を仕掛ける、と言う話なのだが、農業で鍛えた肉体と豪胆さが日ごろ百姓を見下している本物の侍を翻弄する様。一撃を習得しただけで刀術を統べている訳ではないのだが、主人公・丑五郎の機転の良さなどを見ていると「教えて貰えれば本職より向いている場合がある」と言うある種の職業漫画とも読める。
『フリージア』は、その仕事を行うスキルが天才的だったのか、やってスキルが開花したのか(元々素養があった)敵討ち法が施行されている世界での「執行人」として働く事になった叶の不気味さ…松本次郎さんの描く線の生々しいざらざらした感覚が