早く極楽へ行きたいさんのレビュー一覧
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各縁起し融通しマンダラと成る
これは立派な作品ですね。
何より筋がいい。インフォーマントに会って取材する緻密な考証で歴史ドラマとして秀逸。
一方的な視点で単純化してないので各々キャラ立ちして、色んな思惑でノモンハン事件に突入していく。
終わりも巧い。
絵も上手くて各キャラの個性が分かるように描かれている。
ただ、好みとしてはもっと劇画タッチだとよかったんだけど。
名作です。映画化望む。
八巻、あとがきの著者の言葉と合わせて、ウクライナ戦争を逆照射するようだ。 -
ネタバレ
成功せず死にたく世恨み足掻く
「私とは何か」「生の意味は何か」苦しくてこう考えてしまう状態に近代人は追い込まれたようですね。
倫理には他者を傷つけないを根本として様々な習慣・常識がありますが、その諸習慣をギリギリまで削ったとこにハードボイルドとかヤクザ・ギャングものが成り立つ。
例えば、健さんの任侠は仲間の仁義だけは守る。 マーロウのいう「優しくなければ生きていく資格がない」とかですね。
二つが融合して作られるサイバーパンク。『ブレードランナー』とか『攻殻機動隊』とかが代表的で、どちらも倫理・道徳最小限世界で「私とは何か」「生の意味は何か」を求めてもがく。
で、『フリージア』その荒いタッチが美しくてエロくてパンクな -
大人の秘密結社もの
子供の頃、ショッカーのやることがじれったかった。何ぬるいことやってるんだと。
その感を改めて非常に巧く見せてくれているかんじなのが『ベアゲルター』に思えます。
腕や足だけだけど改造人間が、臓器売買組織に挑む。
作者は長編の場合、諸布置が済んでから話が面白くなるように思う。『無限の住人』も『波よ聞いてくれ』もそう。
特に『無限の住人』は試行錯誤的な最初の頃より、途中からの方が断然面白い。
本作もそうで段々背景が明らかになるにつれて面白くなる。
たいていの創作の登場人物は作者に近い思考形態になることが多いので、沙村さんの登場人物は論理的で分析的な人が多い。
そうでない人はすぐ消えて