河崎秋子のレビュー一覧

  • 鯨の岬

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    河﨑秋子さんの初期の作品ということで、興味を持ち読んでいる間に直木賞受賞となりタイムリー?な読書でした。

    「鯨の岬」は出だしからもう磯の匂いや魚の匂いがゴメの声と共に立ち上ってくるような描写。五感を刺激されるようなつかみ。
    主人公がショートトリップに出向いた展開からなにか楽しい展開になるのかななどとのんびり読んでいたけれど、最後には思いもよらないところへ連れて行かれて絶句。こんな始まり方の河﨑さんの作品が、そんなのんきな小説であるはずないのに。それにしても…。鯨の肉を目にしたらこれからはこの小説を思い出しそうです。
    「東陬遺事」北海道文学賞を受賞されたということでずっと読んでみたかった一作。

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    2024年01月26日
  • 肉弾

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    野犬と熊との闘い。摩周湖のカルデラ。
    河﨑秋子らしく狩猟の事など詳しく生々しい。歴史ものでない点が河﨑秋子らしくない。

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    2023年04月26日
  • 鯨の岬

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    ネタバレ

    自分が住まう土地が舞台の本を手に取ってしまうことありませんか?自分はよくあります。これもそんなふうにして手に取った一冊なんですけどね。主婦・奈津子さんの憂いとでもいうんでしょうかね。子育てが終わってひと段落したと思ったら孫育が待ち構えていて、嫁にいいように使われているような虚しさとでもいうんでしょうか。責任と割合の見合ってなさとか。親の介護も決して苦ではないにせよ。そういう鬱屈した思いを胸に抱えて、開けてしまった幼少の頃の記憶の扉。そういう時代が確かにあったし、それはなかったことにはならないんだよなと。

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    2023年02月26日
  • 颶風の王

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    明治の初めの頃でしょうか。東北の庄屋の娘が雪崩の被害に遭いながら、偶然生じた雪洞の中に乗ってきた馬と共にまぎれる。助けの望めないまま、長い間馬とその雪洞に過ごす娘は、空腹のためにその馬を食べ、生き延びるのだけれど……。

    娘が生んだ捨造は一頭の馬と共に開拓民を募集していた北海道に渡り、以後、根室にて主に馬の生産で食べていく。その捨造から5代にわたる家族の話です。

    力強いストーリーテリングでした。僕が通ってこなかった道に咲いている言葉の花たちを多く所持しているような著者、という印象がまずありました。時代小説として始まることもあり、その語彙の種類や言葉の用い方が、僕のカバーしていない領域にあるも

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    2023年02月23日
  • 鯨の岬

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    「鯨の岬」と「東陬遺事」の2篇が収められている。「鯨の岬」は老境に差し掛かった奈津子が、孫が爆笑していた鯨が爆発する動画を気に留めつつ、施設にいる母をみまおうとでかけた際にたまたま故郷に立ち寄り、過去のおもいでをなぞったり母から話を聞いて、むかし友人らが巻き込まれた爆発事故があったことをを思い出す、そんなお話で、なかなか良かった。「鯨の岬」は江戸時代の北海道の話なのだが、今ひとつなんのことだか掴みそこね、今一つだったなあ。

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    2022年08月04日
  • 颶風の王

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    馬と人の、何代にも渡る物語。
    明治時代、東北地方でのミネの壮絶な体験とそれを知る捨造。
    昭和戦後、根室地方での捨造と孫の和子の、馬との生活。
    平成、大学生のひかりが祖母和子のために動く、そして出会った馬との交感。

    短編のように、次の時代に移る話に戸惑うものの、最後まで読んで、長い長い物語を読んだような満足感があった。

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    2021年06月20日
  • 肉弾

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    人生に自暴自棄な青年が、横暴な父に連れられ北海道のカルデラの森に。鹿狩りのはずが熊を撃つよう父に命ぜられる。そこへ異様な熊が、野犬が……。

    熊、おっかなかった!

    犬は健気だな。

    迫力ある内容で、ため息をもらしながら読んだ。

    命に、手を合わせたくなる。

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    2021年01月17日
  • 肉弾

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    『颶風の王』も『肉弾』も、生き物の体温と場所の寒さが印象に残った。

    食べる食べられる、人間とそれ以外の動物、父と息子、庇護するものとされるもの。
    いろいろなものの対比があるなかで、自分はどちらかに属さないといけない場合、その決断の難しさを感じた。
    そして、否応なしに所属させられる場合の覚悟。

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    2020年10月14日
  • 颶風の王

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    ネタバレ

    この中篇のどこに圧縮されていたのかと驚くほどに力強く、壮大。
    人の力が及ばぬ厳しい自然を前にしては何事も及ばず、ただ静かに畏怖の念を抱き、生きる。
    ひかりが見た光景は私の心にも焼きついている。

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    2018年09月18日
  • 颶風の王

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    違う本を目当てに本屋に行ったのだが、表紙に馬の絵があって、帯に”JRA賞馬事文化賞”とあれば、こちらを買わない手はない。
    明治の時代、東北の寒村から北海道に渡った男の、その母から続く6代に亘るお話。
    全編に馬が絡むが、表紙の絵には魅かれるよね。

    今年は『北海道』と命名されてから150年目にあたるということで、先日、式典も行われていたが、北海道開拓の歴史を紐解けば、『昭和時代でさえ、開拓民は縄文時代さながらの暮らしを強いられたことが分かります』との記述があり、明治の開拓民の厳しさは恐らく今の我々の想像を遥かに超えるものであっただろう。
    そうした時代の中、雪山で遭難し乗っていた馬を喰って生き延び

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    2018年08月29日
  • 愚か者の石

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    面白かった。一気読みした。

    敢えて気になった点↓
    大二郎のホラ話エピソードちょい弱
    中田氏成長根拠ちょい弱
    受刑者の皆さんいい人過ぎ

    あと北九州市と東京の緯度、気温差。
    編集・校閲で引っかからなかったのか。

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    2026年08月30日
  • 愚か者の石

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    「生きることは、まだ許されている」

    明治18年、樺戸集治監に収監された国事犯・瀬戸内巽。虚実混じる法螺話で場を惑わす同房の山本大二郎。
    吹雪の遭難を経て送られた道東・標茶の硫黄山は、亜硫酸ガスが眼や肺を侵す酷寒の地獄だった。
    当時の富国強兵のために使い捨ての部品のように削られていく囚人たち。北海道出身の作者が暗に示したかった意図が少し透けて見えるようだ。

    やがて火災に乗じて姿を消した大二郎の影を、仮放免となった巽はかつての看守・中田とともに追うことになる。

    過酷な囚人の人生と、それを静かに監視し仕事を全うした男。激しい物語であるはずなのに、不思議なほど心静かに読み進められる。
    それは著者

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    2026年08月26日
  • ともぐい(新潮文庫)

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    ◼️ 河﨑秋子「ともぐい」

    繰り返されるのかなと。既視感。熊ものは好きだけど、乗り切れなかった。直木賞。

    熊、熊猟の書きもの、好きで良く読みます。星野道夫のアラスカの熊、吉村昭「羆嵐」、最近でいえば西村武重「ヒグマとの戦い ある老狩猟家の手記」。ほかもろもろ。で、インパクトがあった作品といえば熊谷達也「邂逅の森」です。自分の本懐、本当の姿は熊猟師だと信じた男の話。

    この作品も似ているところがあります。思うに、熊猟という題材は日本の国に根付いているもので、猛獣の怖さ、命を賭した猟の迫力と命を守るための専門性、荒っぽさ、命と向き合うこと、自然への畏怖と理解、など何かを訴える力があるのではと思

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    2026年08月23日
  • ともぐい(新潮文庫)

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    うーん、なんか私には難しかったですね。
    生と死の描写が生々しいので、生と死について描きたかったのか?
    と思うが、読んでいて生と死を感じられたかというとそうでもないし
    ストーリーも猟師と熊の戦いがメインかと言われるとそうでもない感じだし
    あと登場人物に共感もできず…
    まぁ私には合わなかったな

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    2026年08月22日
  • ともぐい(新潮文庫)

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    個人的にはめちゃくちゃ引き込まれる内容だったか?と問うと微妙なところ。結局最後の結末に関してなぜ??というのが大きい。

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    2026年08月15日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    この本の漢字一字は「生」。いきもの・じんせい・なまにく・せいとし、著者がかかわった様々な生があふれている。
    羊飼いの楽しいエッセイかと思ったら、生の力や熱量に圧倒され、押しつぶさるかと思った。

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    2026年06月19日
  • 土に贖う

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    北海道で生きてきた人たちの話。生きるとはと考えさせられる。当たり前に感じてしまう日常も何も当たり前ではないのだなと改めて感じさせられた。

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    2026年05月05日
  • 父が牛飼いになった理由

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    「私の最後の羊が死んだ」が良かった分、少し期待しすぎたかも。先祖まで遡るファミリーヒストリーにはあまり惹かれなかったが、祖父や父の北海道移住の経緯や、道東の酪農の現実には興味深いものがあった。丁寧に調べ尽くして書かれた作品だと感じた。

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    2026年04月10日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    河﨑さんが「羊飼い」として生きた日々は、確実にこの作品によって広まっていくだろう!

    読むと無性にジンギスカンが食べたくなる。

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    2026年03月20日
  • 鯨の岬

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    河崎秋子さんのお話は文章から匂いがしてくる。
    この作品だけじゃなくどれもこれも嗅覚が鋭利になるような感覚。

    北海道を舞台にした作品で、いわゆる本州の人が想像するような広くて穏やかな大地というよりは、暮らしていないとわからない暗さを孕んだ面を描くのがものすごく住んでいるものとしてもリアルに感じられる。根室や霧多布には行ったことがないので河崎さんの作品を読むたびに訪れてみたいなと思っている。

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    2026年03月16日