河崎秋子のレビュー一覧
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河﨑秋子さんの初期の作品ということで、興味を持ち読んでいる間に直木賞受賞となりタイムリー?な読書でした。
「鯨の岬」は出だしからもう磯の匂いや魚の匂いがゴメの声と共に立ち上ってくるような描写。五感を刺激されるようなつかみ。
主人公がショートトリップに出向いた展開からなにか楽しい展開になるのかななどとのんびり読んでいたけれど、最後には思いもよらないところへ連れて行かれて絶句。こんな始まり方の河﨑さんの作品が、そんなのんきな小説であるはずないのに。それにしても…。鯨の肉を目にしたらこれからはこの小説を思い出しそうです。
「東陬遺事」北海道文学賞を受賞されたということでずっと読んでみたかった一作。 -
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明治の初めの頃でしょうか。東北の庄屋の娘が雪崩の被害に遭いながら、偶然生じた雪洞の中に乗ってきた馬と共にまぎれる。助けの望めないまま、長い間馬とその雪洞に過ごす娘は、空腹のためにその馬を食べ、生き延びるのだけれど……。
娘が生んだ捨造は一頭の馬と共に開拓民を募集していた北海道に渡り、以後、根室にて主に馬の生産で食べていく。その捨造から5代にわたる家族の話です。
力強いストーリーテリングでした。僕が通ってこなかった道に咲いている言葉の花たちを多く所持しているような著者、という印象がまずありました。時代小説として始まることもあり、その語彙の種類や言葉の用い方が、僕のカバーしていない領域にあるも -
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違う本を目当てに本屋に行ったのだが、表紙に馬の絵があって、帯に”JRA賞馬事文化賞”とあれば、こちらを買わない手はない。
明治の時代、東北の寒村から北海道に渡った男の、その母から続く6代に亘るお話。
全編に馬が絡むが、表紙の絵には魅かれるよね。
今年は『北海道』と命名されてから150年目にあたるということで、先日、式典も行われていたが、北海道開拓の歴史を紐解けば、『昭和時代でさえ、開拓民は縄文時代さながらの暮らしを強いられたことが分かります』との記述があり、明治の開拓民の厳しさは恐らく今の我々の想像を遥かに超えるものであっただろう。
そうした時代の中、雪山で遭難し乗っていた馬を喰って生き延び -
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「生きることは、まだ許されている」
明治18年、樺戸集治監に収監された国事犯・瀬戸内巽。虚実混じる法螺話で場を惑わす同房の山本大二郎。
吹雪の遭難を経て送られた道東・標茶の硫黄山は、亜硫酸ガスが眼や肺を侵す酷寒の地獄だった。
当時の富国強兵のために使い捨ての部品のように削られていく囚人たち。北海道出身の作者が暗に示したかった意図が少し透けて見えるようだ。
やがて火災に乗じて姿を消した大二郎の影を、仮放免となった巽はかつての看守・中田とともに追うことになる。
過酷な囚人の人生と、それを静かに監視し仕事を全うした男。激しい物語であるはずなのに、不思議なほど心静かに読み進められる。
それは著者 -
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◼️ 河﨑秋子「ともぐい」
繰り返されるのかなと。既視感。熊ものは好きだけど、乗り切れなかった。直木賞。
熊、熊猟の書きもの、好きで良く読みます。星野道夫のアラスカの熊、吉村昭「羆嵐」、最近でいえば西村武重「ヒグマとの戦い ある老狩猟家の手記」。ほかもろもろ。で、インパクトがあった作品といえば熊谷達也「邂逅の森」です。自分の本懐、本当の姿は熊猟師だと信じた男の話。
この作品も似ているところがあります。思うに、熊猟という題材は日本の国に根付いているもので、猛獣の怖さ、命を賭した猟の迫力と命を守るための専門性、荒っぽさ、命と向き合うこと、自然への畏怖と理解、など何かを訴える力があるのではと思