河崎秋子のレビュー一覧

  • 鯨の岬

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    鯨が爆発する、ということは何となく知っていた。
    この文庫に収録されている「鯨の岬」「東陬遺事」どちらも、北海道の歴史を元にしたネタから練られた掌編で、読み進めるにしたがってほうほうと頷くことが増えていった。
    特に「東陬遺事」は、江戸時代の道東という未知の領域の話だったのでとても楽しめた...
    というと語弊があるけど、知らない知識を得られて幸せな時間だった。

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    2025年02月24日
  • 愚か者の石

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    明治の北海道の監獄、想像しただけで
    背中から寒さが這うようだ。
    東京から来た坊々の青年と何処か
    捉え所のない男。
    普通なら出会う筈の無い二人が出会った
    のは極寒の監獄だった。
    不思議な石を後生大事にし過去を語らない
    大二郎をただ明るいホラ吹きだと
    若い巽は思っていたが、その石と大二郎の
    過去には深い因縁と愛情があった。
    大二郎と真逆の看守の田中は観察眼も
    鋭くそして見えない正義と情もある。
    この三人の関係が人としての正義とは
    極限で生きるすべてとは何か
    罪はどう赦されるべきなのか
    大二郎の最後の生き様で、考えさせられる。

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    2025年02月14日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    著者が大学生〜直木賞を取るまでの生活が記されている。酪農家の家に生まれ、羊飼いになるため国内外に学びに行き、良質な肉を卸すほどになった著者から、あのともぐいという作品が生まれたんだなあと納得した。食べるために他の生き物の命を扱う環境にいらっしゃるので、それらとの距離感や捉え方が自分達と違うなと感じる。お父さんの介護のことも悲劇や美談でなく、生の中の一つのような感じですんと胸に落ちた。

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    2025年02月11日
  • 愚か者の石

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    北海道の監獄ものというと、どうしても吉村昭の破獄と比べてしまう。
    別ものだから比べちゃいかんとは思うが、もうちょい重厚感というか緻密さを欲してしまう。

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    2025年01月31日
  • 肉弾

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    作者は犬と北海道が好きなんだろうなと思った
    犬と一緒に熊を倒すところはちょっとファンタジーでしたが、主人公の性格がガラリと変わって良かったです。

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    2025年01月27日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    羊飼いでもある作家・河﨑秋子さんが、羊飼いを始めてから最後の一頭を出荷し、羊飼いをやめて専業作家になるまでの十数年を綴ったエッセイ。

    河﨑秋子さん=羊飼いという認識だったけど、しばらく前に羊飼いはやめていたのだと本書で初めて知った。
    それにしても、羊飼いになりたいと単身ニュージーランドの牧場に乗り込むなどかなりの行動力に圧倒される。
    着実に努力を重ね、北海道でも数少ない羊飼いとなり十数年。実家の酪農牧場の従業員でもありながら、羊飼いもし、父親の介護もしながら作家稼業まで、あの「不封の王」描かれた頃はこんなにも過酷な日々を送っていたのかと驚く。

    やりたいこととやるべきことの中で時間を削られ、

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    2024年12月25日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    河崎秋子さんの自叙伝兼エッセイのような書籍
    河﨑さんから生み出された力強い小説は、
    今までの経験から発露されたものなんだとこの本を読んで納得しました。

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    2024年11月30日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    羊飼いを夢見た河崎さんが、細い糸を手繰るようにその道に邁進して、自分の羊を手にしたパワーに圧倒されました。実家の酪農を手伝いながらも、美味しい羊肉を生産して販路を見つけ商売として羊飼いをしていた姿が面白く書かれています。それは、生半可ではできないことで、ほんとに好きなのだなあと思えました。動物にかかわる食や医療、そのほかの様々な経験が、リアルに作品に現れているのだと納得です。
    羊飼いを廃業して作家一本となったこれから、北海道の歴史にまつわるものや生き物とかかわるもの、そして畜産・酪農・農業など、河崎さんの目線にある作品を読めればと思いました。

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    2024年11月13日
  • 銀色のステイヤー

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    今まで触れることのなかった競馬の世界がつぶさに描かれていて、おもしろかった。

    一頭の馬の誕生からデビュー、引退までを牧場で働く人々、調教師たちの視点から描いた一作。

    競馬の世界のシビアさや馬がレースに出るまでにどれだけ多くの人が関わり力を注いでいるかよくわかって、ドキュメンタリーを観ているようだった。

    淡々とした物語の運びで少し物足りなさも感じたが、登場人物たちの競馬に賭ける思いがリアルに描かれていて良かった。

    ☆3.4

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    2024年11月12日
  • 愚か者の石

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    明治時代中期の北海道石狩川沿いの刑務所での、出自も物事の基準も違う二人の囚人と看守の三人を中心にした話。殺人の罪で服役する同房の大二郎のことを、鎖で繋がれて一緒に外役をする思想犯の巽はなぜか気にして過ごします。同じく普段から冷徹な看守の中田もさりげなく大二郎を監視している様子。脱獄した大二郎の行方を休みをとった中田は、恩赦で放免となった巽を誘い探します。大二郎の最後と殺人の経緯はあまりにも愚かで、そして尊いものでした。
    河﨑さんの作品から北海道の歴史や自然を教えてもらっています。樺戸集治監の建物は、今は博物館となっているようなので覗いてみたいものです。

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    2024年09月30日
  • 銀色のステイヤー

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    一頭の競走馬の成長と、その馬に係わる人々の心情の変化(成長・挑戦)を描いた物語です。馬券を買い求める人だけではなく、生産者・馬主・厩舎・騎手の方々それぞれが馬に賭けて夢を追っているのだと思いました。二本松調教師の先見の明が素晴らしく、自分だけにとどまらず馬や周りの人たちの将来も同時に見据えていて見事です。
    華やかさだけではない、馬の体温や鼻息、そして鼻をつまむような臭いも身近に感じられるようでした。

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    2024年09月23日
  • 鯨の岬

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    内容は悪くないのですが、何を訴えているのかを匂わす雰囲気もなかったため展開が大きく変わってびっくりしました。少々読みづらいと感じました。
    それにしても辛い経験はそんなにキレイサッパリ記憶から消えるものなのでしょうか?共感は難しいと思いました。
    もう一方の短編は、なんのけじめをつけたかったのか、わからない。ただただ悲しい物語と思いました。

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    2024年09月19日
  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    網走監獄博物館と弟子屈の硫黄山に行ったことがあるので物語の解像度がかなり高く脳内再生できた。集治監の過酷さは特にリアル。
    物語冒頭から大二郎のキャラクタ的にやむにやまれぬ事情で罪を犯したのだろうなぁと思っていたので、ラストはあまりの救済のなさに切なくなった。1人の子どもが救われたと思えば良いのだけど…
    根底にはとりあえず生きろ!と強いメッセージのある骨太なお話でした。
    一つ不満を挙げるなら本の帯で200ページ分くらいがっつりネタバレしてるのはどうなの?って思ったことくらい。火事で脱走するシーンめちゃくちゃ後半じゃん…

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    2024年09月07日
  • 愚か者の石

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    毎日帰宅が22時近くのいわゆる社畜である私が、程度は違えど囚人と同じような生活してんだな…と内容とは一切関係ない感想を抱いた序盤。
    そこから想像よりも過酷で地獄そのもののような環境におかれても、生きる事を諦めなかった登場人物達はすごいなあと感嘆した
    やっぱ生きようとする力、生命力って大事だな〜
    私なんかすぐ辞めたくなるしな〜と…。

    だからこそ最後の結末は非常にあっけなく、どうにも悲しい気持ちになってしまった。
    ずーっと暗く重たい雰囲気の本だったけど不思議と読み応えがあったので作者さんの他の本も読んでみたいと思う。

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    2024年09月04日
  • 銀色のステイヤー

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     ワクワク、ドキドキが何度か襲いかかります。
     芦毛の引き締まってツヤツヤした馬体が目に浮かびます。

    本文より
     デビュー戦で勝利。最終オッズでは十番人気からの単勝万馬券。残った記録は確かに輝かしい。
     しかしその実態は、パドックで馬っ気を出したうえ、返し馬であわや放馬というところまで暴れた。向こう正面で戦略とは思えないかかり方をした上で最後一ハロンをハナ差で抜き返し。

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    2024年08月23日
  • 土に贖う

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    明治時代の札幌で蚕が桑を食べる音を子守唄に育った少女が見つめる父の姿。「未来なんて全て鉈で刻んでしまえればいいのに」(「蛹の家」)。昭和26年、最年少の頭目である吉正が担当している組員のひとり、渡が急死した。「人の旦那、殺してといてこれか」(「土に贖う」)。ミンク養殖、ハッカ栽培、羽毛採取、蹄鉄屋など、道内に興り衰退した産業を悼みながら、生きる意味を冷徹に問う全7編。どの話も良かったのですが、個人的には「うまねむる」が一番好きかな。

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    2024年08月14日
  • 颶風の王

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    6世代にわたる馬とヒトとの交感。馬が命をつなぎ、馬を生業にし、馬を見捨てた。捨造の運命は壮絶だ。運命なんて軽々しく口にはしたくないけれど。生かされたはずなのに、見捨てなければならなかった悔しさ辛さは物語の中とはいえ、目頭が熱くなる。そして三代後、かつて見捨てた馬が、もしかしたら生きながらえているかもしれない。人のエゴ、自然の厳しさ、感情という感情が揺さぶられる。全体的に荒削りな印象はある。谷村志穂さんの海猫と対局にあるように思えた。

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    2024年07月16日
  • 颶風の王

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    ネタバレ

    明治、庄屋の娘が恋仲となった男の子供を妊娠する。
    男が育てた馬(アオ)に乗って駆け落ちを敢行したが、男は村人に殺され、娘は雪崩に遭遇し、かろうじて木の根元に出来た隙間に入り込んで死を免れた。
    アオによって生をつないだ娘(ミネ)はやがて男の子を生み、その子は捨造と名付けられる。
    ミネから数世代、平成までの長い時代とアオの末裔に寄せる情を描いたもので、
    羊の飼育を生業としている作者だからこそ書けた作品かもしれない。

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    2024年05月05日
  • 絞め殺しの樹

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    ネタバレ

    釈迦は、菩提樹の根元で悟りを開いた。そして蔦であるその菩提樹のことを別名「シメゴロシノキ」と呼ぶそうです。
    この小説はミサエという女性の一代記ですが、ミサエの孝行先の家族がとにかく酷い人たち。同じ集落に暮らす人々も同様。
    ミサエがどんなに努力家で立派な人物であっても、この環境で暮らすうちに、どんどん締め殺されていく・・・
    明るいところやカタルシスがほぼないし、長編なので疲れました。
    私は、河崎さんのリアリティ表現がとても好きなのですが、それが発揮されたのは娘の自殺を発見したシーン・・・何とも・・・
    そして血縁関係がドロドロです。横溝正史かっ!

    蔦が巻き付いて、生きながら死んでいく・・・そんな

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    2024年04月24日
  • 鯨の岬

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    孫と嫁の描写がリアルでムカムカして出だしがしんどかった。クジラが爆発した映像で笑い転げる孫に、記憶を取り戻した主人公は今後どう接するんだろう。でも、だからといって、何かが変わるわけではないんだろうなぁ。やるせない。しんどい。

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    2024年03月24日