河崎秋子のレビュー一覧

  • 銀色のステイヤー

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    河崎さんの作品はいつも疾走している。
    ラスト、芦毛のファーンが観客の声援を受けて。。美しい!
    装丁にも惹かれた・・芦毛という競走馬で言われる用語の意味も初めて知った。

    ストーリー的には競場用の馬の生産牧場が舞台。
    そこに人生をかける男女~先代社長夫人、専務、調教助手、スタッフ・・そして意外な輝きを見せてくれる馬主。

    男性陣より女性陣にスポットが当たっていた気がした。
    競馬は無論、馬牧場の事はからっきし無知な私でも楽しめる構成になっており、さらっとした読後感。

    時にはあくの強い、臭味きつい河崎ものにしては爽やか系といったところかな。
    表題のステイヤー・・父馬のシダロングラン、母馬のドラちゃ

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    2024年10月02日
  • 愚か者の石

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    明治18年、北海道月形町の「樺戸集治監」に収監された巽と大二郎。凄絶な服役生活の中にあって、大二郎の明るさだけが巽の救いだった。そんな大二郎が火事に乗じて脱獄する。残された巽は割り切れない思いと怒りを抱きながらも模範囚となって服役し、12年後恩赦により仮放免される。札幌でその日暮らしをする巽の元を訪れたのは、彼らの担当看守だった中田だった。


    北の開拓地での囚人たちの地獄のような苦役。死と隣り合わせの房生活。非人道的な扱いがこれでもかと描かれる前半。そんな中にあって、大二郎の憎めなさに救われる。
    巽と大二郎と看守の中田、この3人の間にある立場を超えた思いが物語に深みを増す。

    大二郎が隠し持

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    2024年09月30日
  • 愚か者の石

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    元士族の巽は運悪く運動員で捕まり、過酷な北海道の監獄へ送られる。そこで大二郎と鎖で繋がれながら作業をする事になる。大二郎は不思議な石を夜な夜な眺めそれを看守の中田に見咎められるが、何故か中田は巽に抜けた歯と一緒に持っていろという。過酷な労働で死んで行く囚人達。それでも巽は生きていこうとする。

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    2024年09月22日
  • 土に贖う

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    明治あたりから現代に至るまでの北海道の産業の栄枯盛衰。それに携わった人々の喜びや悲哀が書かれてる短編集。

    中でも、羽毛や毛皮を採るために動物を殺す職業の、動物は生きてるだけではなんの価値も無い、こうやって羽をむしって売ることで価値を付けてやってるんだという考え方。人間はどこまで傲慢なんだと思う一方で、現代だって羽毛布団を使い、革の靴を履き、蚕を殺した絹を纏っているじゃないか。なんの変わりもない。

    産業の廃れによって、人知れず堕ちて行った人々。その怒りや感情や諦めた希望が、最後の「温む骨」の頭骨に宿る。
    ここに集結させるという河崎秋子の筆力に感服。

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    2024年09月18日
  • 銀色のステイヤー

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    ステイヤー(stayer)は競馬用語で長距離レースの得意な馬のことだそうです。
    北海道・静内の小さな生産牧場で誕生した葦毛(白っぽい毛並)の競走馬・シルバーファーンが持ち前の負けず嫌いでクラシックを制覇し、そのヤンチャっぷりで人気馬となり、6歳の引退レースまでを描いた作品。
    人物像が見事。男性陣も良いのだけど、特に女性たちが良い。自ら鉄子を名乗る調教助手の大橋姫菜、生産牧場の先代の奥さんで今は専務の社長の倍おっかない千恵子、馬が好きすぎて周りと摩擦ばかり起こす従業員のアヤこと綾小路雛子、馬主でやり手の広瀬夫人。それぞれに癖があって、でも根っこで良い人。
    『颶風の王』『肉弾』に代表されるような、

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    2024年09月05日
  • 颶風の王

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    生きるって大変だ。人間も馬も。気持ちが通じすぎると苦しい。通じないのも苦しい。
    時間の流れがうまく書かれている小説で、歴史を全て見せられた気になる。三浦綾子文学賞、納得。

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    2024年09月02日
  • 銀色のステイヤー

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    ネタバレ

    芦毛の馬は昔から好きで、何で好きなのか考えるとやはり目を引くからだと思う。そして、ドラ夫と同じようにヤンチャで気まぐれな乗馬クラブにいた芦毛の馬を思い出して懐かしくなった。

    大人しくて言うことをよく聞いてくれる優等生な馬ももちろん可愛いが、ヤンチャで騎乗者を無視するが負けん気は強くやたら人間らしい馬(ドラ夫)はもっと可愛い。手のかかった子ほど可愛いと言うのは、こう言うことなのだろうか。

    馬だけでなく、登場人物も良かった。ドラ夫の生産牧場のオーナーは良い馬を生産したいという飾らない気持ちを持っているのが良い。問題児のアヤはオーナーにも楯突くし、なかなか大変な性格ではあるが、間違いなく馬が好き

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    2024年08月22日
  • 銀色のステイヤー

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    競馬はやらないし特に馬好きというわけでもないが、競馬界を舞台にした小説には良作が多い気がしてつい手を出してしまう。
    本書も、北海道・静内の生産牧場で生まれた、“幻の三冠馬”を父に持つシルバーファーンと、彼に関わる多くの人々を描いた競馬小説だ。
    読みどころはもちろんファーンの成長とレースでの活躍であるが、牧場の問題児アヤと彼女の扱いに手を焼く牧場主、ファーンを預かる二本松厩舎の鉄子、ファーンに騎乗するジョッキーなど、分厚い人間ドラマが繰り広げられる。

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    2024年08月12日
  • 肉弾

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    何でも人のせいにして不貞腐れている主人公が反省して一段成長する話かと思っていたら、反省する暇もなく、十段くらい成長せざるを得ない状況に追い込まれるような話でした。

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    2024年08月04日
  • 土に贖う

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    北海道を舞台とした6編からなる短編集
    屯田兵から過酷な台地に住みその時代に合った商売をしている主人公たち
    いつの時代もどの仕事も上手くいかない時がやってくる
    心に残ったのは『頸、冷える』
    最後の章だけが現代だったけれど、結局今の時代も明治時代も仕事の根本的な部分は変わらないけれど、大きく変わったなと感じる
    川﨑さんの作品には馬がよく登場するけれど、作者自身北海道で牧場を経営する兄夫婦と生活する傍執筆活動を行っていたらしい
    腑に落ちる

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    2024年07月19日
  • 颶風の王

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    人と馬との関係を主軸に
    6世代(約120年)に渡って展開される生命の物語。

    三浦綾子賞受賞も納得出来る、大自然と生命の荘厳さを感じる内容で、全編にわたり迫力のある文章と、誠実で真摯な物語がとても好感が持てました。

    特に後半が面白い。感動的。
    一撃でファンになりました。

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    2024年07月27日
  • 土に贖う

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    「肉弾」で大藪春彦賞受賞後の作品。実はその作品は余りいい読後とならなったので、今回は・・と恐る恐る頁を捲る。

    よかった・・・
    北海道を訪れるたびに目にする自然の、遠景、そして情趣の背後にちらちらする滅びて行ったかつての産業。無論、朽ちて行った自然のみならず、国の殖産興業の掛け声のもとにぼろ布のような扱いを受けて去って行った人々の命も脳裏をよぎる。

    7つの短編は種々の雑誌に掲載されたもの。
    40歳代かかりの筆者が資料駆使のみならず、耳で聞き、目で確かめて地歩を固めて綴って行った珠玉の煌めきを持つ掌品の手触り。

    養蚕、競走馬、渡り鳥、薄荷、煉瓦、野幌土・・題材は動植物にとどまらず、生きる人々

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    2024年07月12日
  • 颶風の王

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    ネタバレ

    捨造の毋ミネと愛馬アオの逃亡の第1章はインパクトがあり、グッと物語に引き込まれる。第2章の捨造が北海道根室で馬を育て孫の和子に引き継がれたところでの花島の悲劇。第3章は和子の孫が花島に取り残されて生き抜いた最後の馬を訪ね、納得しての別れ。一族の歴史と馬への深い愛情が程よくミックスされ読み応えのある物語でした。

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    2024年07月10日
  • 颶風の王

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    馬とある一族の繋がりの話。福島と北海道の自然の風景が、浮かんできます。北海道の離島の少し冷たい空気と、そこに立つ馬、想像するだけで震わされました。

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    2024年05月21日
  • 鯨の岬

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    ずいぶん平和な雰囲気で、「こういう河﨑さんの著作もあるのか」と思っていたら、いい意味で裏切られ、呆気に取られた。これぞ河﨑作品!

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    2024年03月25日
  • 颶風の王

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    たまたま直木賞授賞式をリアルタイムで観たので著者に興味は湧いたが、いかんせん守備範囲ではないカテゴリーの小説なのでとりあえず入門として購入

    インタビューの受け答えから感じたイメージ通り、期待通りの作品だった
    謎やトリックから離れた小説もたまには悪くないな

    6世代に渡って繋がれた馬への思いの着地点

    最も理解しやすいはずの現代パートが尻すぼみに感じたのは、それ以前の物語に引き込まれたせいか
    捨三と和子のパートは良かったねえ


    解説はただのあらすじだった
    書評家とは

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    2024年03月24日
  • 土に贖う

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    北海道の歩んで来た産業史とその産業に関わってきた人々の生活を感じる短編集。
    お蚕さんに、ハッカ、煉瓦、そして馬。ミンクの育成とアホウドリの話は衝撃を受けつつ、そんなこともあったのだろうなと、小説なのだけれどノンフィクションを読んでいるような感覚にもなる作品たちです。
    本を読むことにのめり込めます。

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    2024年03月20日
  • 土に贖う

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    河﨑秋子集英社文庫北海道に入植したご先祖さまはどんな思いでこの地に辿り着いたのか。開拓民は東北の農家の次男三男が多いというのは嘘かほんとかはわからないけれど。何某かの期待はあっただろう。自然だけはべらぼうにあり、可能性だけは無限に広がるのが北海道という土地なのかもしれない。養蚕、レンガ工場、ハッカ栽培…。当たれば大きいが、しくじれば命すら奪い取られる地。華やかな時代もあっただろうがこの本に収められている短編の主人公たちは皆、辛抱強く、たくましく、でも、どこかしなやかで、したたかだ。解説にあった「生命の秤」が腑に落ちる。

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    2024年02月28日
  • 鯨の岬

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    河﨑秋子さんの初期の作品ということで、興味を持ち読んでいる間に直木賞受賞となりタイムリー?な読書でした。

    「鯨の岬」は出だしからもう磯の匂いや魚の匂いがゴメの声と共に立ち上ってくるような描写。五感を刺激されるようなつかみ。
    主人公がショートトリップに出向いた展開からなにか楽しい展開になるのかななどとのんびり読んでいたけれど、最後には思いもよらないところへ連れて行かれて絶句。こんな始まり方の河﨑さんの作品が、そんなのんきな小説であるはずないのに。それにしても…。鯨の肉を目にしたらこれからはこの小説を思い出しそうです。
    「東陬遺事」北海道文学賞を受賞されたということでずっと読んでみたかった一作。

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    2024年01月26日
  • 肉弾

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    野犬と熊との闘い。摩周湖のカルデラ。
    河﨑秋子らしく狩猟の事など詳しく生々しい。歴史ものでない点が河﨑秋子らしくない。

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    2023年04月26日