河崎秋子のレビュー一覧

  • 颶風の王

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    本屋の角で山積みにされていた100円コーナーの本。何気なく手に取ってみるとこれが面白い。生も死も馬に託して、生き抜いていく力強さ、温かい血液の通った物語。私は好きだった。

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    2026年03月26日
  • 愚か者の石

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    明治時代、政治運動に関わっていたとの疑いで収監され、北海道の樺戸集治監に送られた巽は、そこで同じ囚人の大二郎と、看守の中田に出会う。
    …獄中での過酷な生活が描かれるが、和製ショーシャンクの空にとでも言えるような、囚人たちの生活の中にも、密かな楽しみや人間関係があって興味深い。
    時代もあるとは思うが、死と隣合わせとも言えるような獄中での生活は、参考文献を見る限り、ほぼ事実なのだろうと驚かされる。
    大二郎が隠し持っていた石の秘密と、描かれ続けた巽の様子にずっと心を動かされた。

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    2026年03月19日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    羊飼いや牧畜についてあまり知らなかったから羊や牛を飼うことの大変さや尊さが分かった

    著者の作品は読んだことがないけど、自然と人間をテーマにした作品が多いと知り読んでみたくなった。

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    2026年03月13日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    直木賞作家の川﨑秋子氏の羊飼いを始めて終わるまでを綴った自伝的エッセイ。

    謙虚でひたむきでユーモラスな姿勢に胸を打たれまました。グッときたり、思わずニヤリと笑ってしまった場面は数知れず。

    川﨑秋子氏の小説は今まで読んだことがありませんでしたが、これを機にまずは同氏の著書で直木賞を受賞した「ともぐい」から読んでみたいと思います。

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    2026年01月31日
  • 愚か者の石

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    終盤にかけてこれまでの伏線の回収等最高に盛り上がってくる。残り少ないページを読んでいる時、ジェットコースターの終わり際のように感じる。ああ楽しかったと、もう終わりか。という感じ。愚かものの石が何だったのか答えが明かされるが、それまでの話とあまり関連しない。本のタイトルになるほどの物だったのかなぁという印象。網走刑務所を見学したことがあったのでだいぶイメージしやすかった。これを書くためによく調べたなぁと思う。

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    2026年01月17日
  • 颶風の王

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    6世代に及ぶ人と馬との数奇な関係を描いた作品。
    始まりであるミネは馬と共に雪崩に遭い、1ヶ月もの間雪洞に閉じ込められてしまう。その息子である捨蔵は開拓民を募る新聞広告を目にし、単身北海道に渡る。孫である和子は根室で祖父と共に馬を育てていたが、予期せぬ災害で家業を手放す。そして現代。もはや馬との関係はないひかりは、病に倒れた祖母のために無人島を訪れる。
    さほど長い話ではないが、河﨑さんのすべての要素が盛り込まれている。特に第1章で描かれるミネの生への執着が凄まじい。妥協を許さない人と自然との関係も読みどころだ。

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    2026年01月10日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    河﨑秋子さんの、羊飼いとして生きてきた日々のエッセイ。
    『ともぐい』のイメージが強いので、ドキュメンタリータッチの淡々とした文章が続くのかと思って読み始めたのですが、ところどころなんだか軽〜い言い回しが出てきたりして、あれ?今のって笑うところかな?と恐る恐る読み進める感じでした。
    途中からは、あ、これ笑わせられてるんだ!と気付き、そこからは思いっきり楽しめるように。
    だって、冒頭から、河﨑さんが育てた最後の羊が解体される描写なのです。1ページ目からこちらは息をのみながら体を固くしているわけで、途中からなんだかゆるいことを言われても、笑っていいのかいけないのか戸惑ってしまいます。
    にしても、やはり、肉を生産し販売するという経験をした人でなければ目を覆い耳を塞ぎたくなる場面は多々ありました。同じ動物を飼う、でもペットとは違うのだということがまざまざと描かれています。
    美味しい肉を育てて消費者に売る、それはお米や野菜と同じなのだな、と改めて知ることができました。
    やはりプロのお仕事というのはカッコいいですよね。
    そんなプロの方のおかげで私の食生活も成り立っているんだな、としみじみと思ったり。
    あの『ともぐい』は、こんな河﨑さんから生まれたんだな、もっと色々読んでみたいな、と感じた一冊でした。

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    2026年01月09日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    タイトルとジャケット以上の内容だった。残ページが薄くなってもう終わってしまうのかと時間をかけてじっくり読んだ。河﨑さんの自分語りが大好きだ。食育教育についての意見は説得力があるし、決して人を傷つけることなく、おもしろくも承認に満ちている。「書かれるべきものがあるから」という理由で羊飼いを廃業し、最後に自ら育てた羊を食べた感想を語るところはホロリとくるものがある。
    年末年始で河﨑さんの本を4冊読むつもり。小説家のファンになれたのは初めてだ。

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    2025年12月29日
  • 愚か者の石

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    樺戸集治監に収容された巽。同房の大二郎と親しくなりなんとか生き延びるも、硫黄採掘をするため釧路集治監へ移送される。弱っていく大二郎。後生大事に持っていた石を巡って運命が左右されていく。
    明治時代のことを書いた作品。フィクションだが地名などが本当にある場所のためか妙にリアリティがあった。脱獄をめぐる話や大二郎の罪など読み応えもありおもしろいと思う。

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    2025年12月26日
  • 颶風の王

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    3つの時代に生きる馬主の一族と、それぞれの世代の馬への想いを淡々と描いている。この「淡々と」というのが河崎作品の妙で、度し難く不安定な北海道の情景の忠実な表現については右に出る者がいないのではないかと思う。
    人間側の描写についても妥協はなく、作中を通して自然への畏怖を示す「オヨバヌトコロ」という言葉は毎度印象的でありずしんと重く感じる。
    花島のモデルとなったユルリ島を遠望してみたくなった。

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    2025年12月22日
  • 父が牛飼いになった理由

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    お父様への想いが伝わってくる。
    お父様が大好きなんだろうな。

    介護がいかに大変だったか、全くクドクド書かれてないけれど、文字に起こして語らなくても、大変さや葛藤が伝わってきた。

    変わってしまったお父さんを受け入れるのに、きっと時間がかかったのだろうと思う。
    あの時、ああしていれば・・・私も何度も後悔がループする時ある。

    この本は、お父様へ向けて書かれた本なのだろう。



    私と河﨑秋子さんの共通点、共感点がたくさんあって、何だか感激しつつ、現実を見ると「羊飼い」の「直木賞作家」さんと同じ土俵に上がれないことに気がつく。そして、私と河﨑秋子さんの才能の落差に唖然とする。
    仕方がない、遺伝ってそういうものだ。

    河﨑秋子さんのエネルギー量がすごいのは、お父様の遺伝だね。

    河﨑秋子さんの『ともぐい』のルーツが少しわかった気がする。

    この本をご紹介いただけて、嬉しい。ありがとうございます。

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    2025年12月19日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    羊飼い、畜産業に関わる人の信念とか思いがよく伝わった。大切な宝物の羊を育て、食肉用におろすという作業には、その人たちにしかわからないものがあるのだろうと。それを、わかりやすくシンプルに、時にユーモアも交えて書かれているので、すっと共感も出来たし、読み応えのある本でした。

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    2025年10月31日
  • 父が牛飼いになった理由

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    『ともぐい』で直木賞を受賞した河﨑秋子のファミリーヒストリー(『青春と読書』2023.9〜2024.8に掲載したものに加筆修正)

    十五年間ずっと寝たきりである父親のことを中心に、河﨑家の400年に渡る歴史をたどった著者。北海道民の通例として、先祖は本州から来ているが、ルーツは加賀藩や大阪にあった。
    加賀藩では加賀八家(はっか)本多家に仕えていたそう。

    また、祖父は満州から引き上げた後、どういうわけか、酪農家を目指して大阪から北海道に渡るのだが、そのわけは最終章で腑に落ちる。

    365日1日たりとも休めない、過酷な労働である酪農業。最近はヘルパー制度というものもできたそうだが、経営も難しく、離農者が絶えない。
    著者たち子供も小さい頃から、手伝いをさせられ、休んでいたら叱られ、今なら児童虐待だという。
    しかし、農作業の合間に、ワカサギ釣りに連れて行ってくれたり、楽しい思い出もたくさんあるようだ。
    ずっと、誰が誰だか分からないままの父を、酪農業のかたわら10年以上在宅介護し、今も生き続けることを願っている著者やその家族を尊敬する。

    また、ところどころに入る小さい字のツッコミも楽しい。

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    2025年10月08日
  • 父が牛飼いになった理由

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     金沢で武士だった先祖は維新後、主家が愛媛県で知事になったので一家で西条に移住した/祖父・昇は川﨑家に養子に入り薬剤師となり旧満州に移住し、大連のお嬢尾様育ち祖母と結ばれ、戦後幸運に4子を含む一家無事に帰日でき、大阪に居を構えたが、長男次男が高校卒業する頃、北海道で営農したいと思ったようで、男兄弟三人を帯広畜産大学に進学させた/卒業後、長男・章は農業機械会社に就職、三男・繁は農業の勉強をしにアメリカへ。次男・崇は、公務員だが農業改良普及員。数年おきに道内での転勤があるが、畑作地域なら、果樹栽培ある道南、酪農地帯ならと、そのたびに勉強し直さなければならないなかなかハードな仕事である。
     著者は子供の時から鶏を絞めて解体を担当した/乳牛120頭ほど、一頭につき1haの牧草地
     事故で寝たきりになり意識不明の父に代って、彼と自らのルーツをさぐる

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    2025年09月21日
  • 愚か者の石

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    明治の北海道の監獄で出会った二人の男。
    過酷な環境で人はどのように尊厳を保つのか。
    相棒のようになった男の秘密。
    水を閉じ込めた透明な石。
    深い人間洞察が胸に刺さる。傑作。

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    2025年09月13日
  • 鯨の岬

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    打ち上げられた鯨。
    ガスが溜まる。
    遺骸が膨らむ。
    爆発。
    漂う腐敗臭。

    里帰りの際にふと生まれた意識の隙間。
    誘われるように向かった故郷で巡る記憶の旅の果てに見るもの――。

    《鯨の岬》

    江戸時代。
    ロシアの南下政策に危機を感じた江戸幕府は、
    蝦夷地の調査のために訪れた幕府の役人と、
    はるか北の地で暮らす和人との交流を描く。

    《東陬遺事》

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    2025年09月10日
  • 父が牛飼いになった理由

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    新聞に紹介されていて、この本を知りました。
    河﨑秋子さんの著書を読んだのは初めてでした。
    父が牛飼いになった理由を探るべく、戦国時代まで家系を遡って調べたり、祖父母の話や秋子さん自身の子供時代の思い出など、色々な話が出てきて、興味深く読めました。
    普段、当たり前のようにスーパーに並んでいる美味しい牛乳。私たちの食卓に届くまでには、生産者の皆さんの計り知れない努力や苦労があるということに思いを馳せています。

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    2025年08月25日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    畜産業を営んだ人の頭の中を覗けてよかった
    パックの精肉を美味しくいただく側なので

    自分の経験に基づく考えや価値観を適切に言葉で表現する力を持った人が書いた、畜産業の仕事内容と食肉に対する意見を読むという、貴重な機会を与えてくれてありがとうという気持ちになる

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    2025年08月22日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    河崎秋子
    『ともぐい』直木賞作家
    前職が[羊飼い]
    本作はエッセイで
    前職の羊飼いを志したときから閉業をするまでを書いている。
    受賞作『ともぐい』を読んで、その描写の力と物語の構成に 感激をしたが、エッセイもなかなか面白い。
    文章は的確で、無駄な表現が無く、彼女の人柄がよく現されていて、楽しく読めた。
    挿入写真の地味さも良かった。

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    2025年06月07日
  • 土に贖う

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    主に北海道で、厳しい環境を生き抜くために生き物たちの生命を奪い利用していく人々の功罪ある生き様と、時代の流れに抗えず消えていく生業の姿を描く短編集。蚕、ミンク、ハッカ、農耕馬と、人間たちによって北の大地に移入された生命は共生のような形で繁栄してやがて衰退していく。

    未開の原野だからこそ、無尽蔵とも思える自然資源から換金性の高い生産物を栽培する開拓民たち。貧しさからやがて泡のような豊かさを得て、それが滅びへの萌芽となる。人間の業とも呼べる様は儚くも悲しい。他の生命を貪って生きる人間たちは、現代社会に生きる我々も例外ではなく、罪悪感を漂白する仕組みが整っているだけだ。

    土から離れ、死からも遠くなり、手に入れた快適な都市生活にとって、あまり見たくない現実かもしれない。だからこそ、この本に描かれた世界観は貴重なのだろう。

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    2025年06月03日