河崎秋子のレビュー一覧

  • 颶風の王

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    北海道と馬の話。第1話が相当に凄まじい。河崎秋子さん味が深い。

    第1話 世は明治。祖母の家の最奥の部屋に母はいる。手折った野菊を渡す。母が妊娠期に病んだので、捨造は小作農家に養子に出された。養父母は困窮の中でも養ってくれた。養父母が亡くなったが、嫁取りなどは望めそうもない。ある日見かけた新聞記事に開拓民募集とあった。馬を買い、北海道に渡る。母から別れ際に手紙を渡される。捨造が産まれるまでの記録だった。

    第2話 昭和で戦後。北海道根室地方。捨造の孫和子。馬を育てている。いくらくらいの値がつくか楽しみでいる。捨造は妻を第二子出産時に亡くした。
    ワカと名づけられた手のかかる馬が、帰厩の時刻になっ

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    2026年07月13日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    「ともぐい」で直木賞の河崎秋子さんはもともと羊飼いだったらしい。作家として独り立ちするようになるまでの道のりを描いたもので、エッセイというには重すぎる。ああ、だからあの文章か、と私は思った。読んでよかった。

    直木賞作家河崎秋子はもと羊飼い。今は北海道の十勝で保護猫二匹と共に暮らしている。羊の肉を食用にするために40-50頭飼っていた。

    子羊を畜用の銃で撃ち、解体する。最後の子が屠殺されたのを見届けて羊飼いではなくなった。本格的に日本で羊が飼育され始めたのは明治以降。日本ではマイナーだが、海外では超メジャーな家畜である。ニュージーランドの牧場に分娩シーズンに留学を始める。食事と寝場所を提供し

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    2026年07月03日
  • 土に贖う

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    最初は暗くて救われない話が多かったけど、だんだんと時代と共に良くなった。好きな話が多かった。特に馬蹄屋さんの話が好き。

    第1話 ヒトエは札幌の蚕種所で父が働いているので手伝っている。養蚕が広がるにつれ、桑畑に夜中に忍び込んで葉を取っていくなどされることが増え、桑の葉が足りない。兄が女工と出奔し、その女工の借金まで背負わねばねらなくなった。父が新種の苗をたくさん買ってきた。期待を込めて植えたが、北海道の寒さに耐えかねてあっという間に枯れた。養蚕は歴史の隅に追いやられる。

    第2話 道東のバラサンでミンクを養殖している。毛皮を取るために繁殖させているのだ。日本は日清日露と大陸で戦ったが、寒さ対策

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    2026年07月02日
  • 土に贖う

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    明治30年代の札幌。養蚕工場を営む両親のもとに生まれたヒトエ。
    昭和40年代の根室。ミンクを養殖業者の孝文。
    戦前戦後の北見。ハッカ草栽培農家のリツ子。
    明治後半の大島。羽毛貿易のためひたすら鳥を求めて南北を放浪する弥平。
    昭和30年代の江別。蹄鉄屋家業の息子雄一。
    昭和20年代の江別。レンガ工場で働く佐川吉正。
    5作目の続編。陶芸家として生計を立てる佐川の息子、光義。

    衰退した産業に従事していた人間たちを書いた6編の短編集。

    ・感想
    これぞ文学、と感じた作品だった。
    個人的な偏見だけどやはり文学ってのは「北」に限る。
    北で育ち北で生まれ、北で生きてる全ての生命ってやっぱたくま

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    2026年06月20日
  • 愚か者の石

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    北海道の監獄で出会った相方の、来し方を探る旅。重厚な作品だけど、読み口は重くない。すごく良かった。

    瀬戸内巽はボンボン育ちだったが、大学で革命思想に出会い、樺戸集治監に投獄された。雑居房。大二郎という同室の者が語り出す。大二郎は天皇が身体を壊して恩赦が出ることを祈っているようだ。

    大二郎がある日、監獄内を覗き込んでいた女がいたと言ったが、中田看守はそんな女はいなかったと言った。大二郎はホラ吹きなのかもしれない。その夜巽は田淵に襲われかけるが、看守の見回りに助けられる。

    巽は虫歯が痛くてたまらない。他の囚人たちは病の際辛かった話で盛り上がる。中田看守が虫歯を抜いてくれる。囚人たちは北の大地

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    2026年06月17日
  • 銀色のステイヤー

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    競走馬が生まれてからトレーニングを積み、レースに出て、引退するまでの時間の中で、それを取り巻く生産者や調教師、ジョッキー達の心情がすごく身近に感じられた作品だった。シルバーファーンは仮想のサラブレッドなんだけど、読みながら自分も大好きになっていたし、読み終わったあとは少し切ないような寂しいようなそんな気分になった。やっぱり競馬は面白い。改めてそう思わせてくれた作品だった。

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    2026年06月16日
  • 父が牛飼いになった理由

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    とっても良かった!!

    クマ´•ᴥ•`がニュースで話題になり始めた頃に『ともぐい』で直木賞を受賞されていて、気になっていた作家さん
    さらに
    表紙カバーイラストとタイトルも素晴らしい✨

    イラストは阿部海太さん
    このイラストに惹かれるひと多いはず…私もそのひとりです
    (*´艸`*)♡

    さて、本題
    エッセイのイメージだったんですが…
    NHKの『ファミリーヒストリー』(知ってる方いるかなぁ??)のようなドキュメンタリー調

    作者さまのお父さまとご家族への思いがあふれてます

    自然と命に向き合っているからこその言葉選びの数々にグッときました

    作者さまの小説もぜひ読んでみたい!!

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    2026年06月03日
  • 愚か者の石

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    ごっつごつの石でぶん殴られるみたいな読書体験
    読んでて血生臭さとかを感じる


    読んでてホントに衝撃的だった
    北海道の真冬の寒さとかを知ってる人は読んでて情景を想像しやすいと思う

    ともぐいも、愚か者の石も本当に大好き

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    2026年05月17日
  • 絞め殺しの樹

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    菩提樹と呼ばれる木はお釈迦さまに関連する慈愛豊かな植物を想像させるが、寄りかかれる木が空洞になってしまうまで巻きつき締め殺してしまうという。
    生まれて間も無く母を失ったミサエは、その真っ直ぐな人柄ゆえ周りの人々に巻き付かれ不幸を背負っていく。その不幸さに読み進めるのも躊躇した時もあるが、彼女の息子雄介に遺伝した、真っ直ぐな心が希望を繋いでくれる物語の終わりに安堵した。
    不幸な登場人物、理不尽な悪人たちの多い物語ではあるが、だからこそ優しい人の温もりにホッとする。
    所々現れる真っ白い猫に作者は癒しと希望を託したのだろうか。

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    2026年05月13日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    作家誕生前夜にこういう生活をされていたことに驚きと共にこれまでの作品をもう一度読み返したくなりました。「自称」に鋭く反応される箇所は特に印象的です。命を生み出し経済活動として生活していることに真剣だったからでしょう。新鮮な国内産ラムってどこに売ってるのかな。

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    2026年05月09日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    河﨑秋子の世界観がすごく好きで。
    土に贖う、のような少し前の時代の産業と暮らし、みたいなお話が興味深いので、こちらを読むきっかけに。

    作者紹介で実家が酪農を営んでると見て、最初はびっくりした。ご自身が羊を飼っていると聞き、さらに驚くとともに興味がわく。

    羊を飼うまで、飼っている間、そしてその後…の流れがあり、最後のレストランのシーンで目頭が熱くなりました。職業にも、命にも誠実に向き合ってきた姿が描かれており、なかなか他にはない作品だと思う。

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    2026年04月04日
  • 銀色のステイヤー

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    馳星周の『黄金旅程』もそうだったけど、競馬に関心のない私も馬を育て勝たせる物語は刺さる。とてもおもしろくて夢中になって読んだ。

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    2026年03月16日
  • 銀色のステイヤー

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    shintak5555さんの本棚から

    来ました
    これはもう好きなやーつです
    わいの好きなやーつです

    弱小生産牧場で期待いっぱいに生まれた暴れ馬が周りの人々に愛情に育まれながら大活躍
    ありがたい
    こんなんなんぼあってもいいですからね

    そしてあーた河﨑秋子さんですよ!
    もうほんとね硬軟自在でびっくりしちゃうよね
    わいはほら河﨑さんのエッセイとかも読んでるから、このほわ〜んとした文体もそこまでびっくりないけどね(5行前にびっくりしとったやないか)

    シルバーファーンや魅力的な登場人物たちをほのぼのとした世界でうまく動かしてる
    やるね〜

    わいはほのぼのバージョンの秋子さんのが好きだな〜

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    2026年03月01日
  • 愚か者の石

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    ブグログのレビューでを見て読んでみた。
    明治18年北海道の監獄の
    囚人2名と看守1名の3名が主人公。
    明治時代の冤罪や刑務所の過酷な労働、重い物語、切なかった。
    続編があれば是非読みたい

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    2026年02月17日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    羊飼いといえば…
    ハイジに出てきた少年…ああ、彼はヤギ飼いだった。そう思ったくらい、私には馴染みがない。

    羊飼いに憧れ、職業にした河﨑さん。
    とても興味深くて、一気読みだった。
    酪農をしている家で育った土壌があるからだろうが、動物を家畜として育て、それを肉としていただくことに淡々としている。
    と畜場で最後の時間を過ごす羊の写真があるのだが、私はどうしても「かわいい」という気持ちになり、なんとも切なくなる。
    ちゃんと、肉として良いものであることに心が動いている河﨑さんはプロだなと思った。

    最後のエピソードで「えっ!」と声が出てしまった。
    河﨑さんが立派に羊飼いとして存在していた証だなと感動し

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    2026年02月13日
  • 土に贖う

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     作者の河﨑秋子さんというと、北海道出身の直木賞作家で羊を飼っていたということを知っている。この本が、初めて読む作品でとなる。北海道を舞台にした短編集である。いづれの短編も、養蚕、ハッカ栽培、羽毛採取、ミンク養殖、レンガ製造など明治以降に栄え、やがて廃れていく産業に携わり、夢を追った人々を描いている。
     
     歴史的な経緯から、いづれも 結末はハッピーエンドとは言えない。しかし、いづれも短編ながら、中身が濃いと思う。作中の登場人物が必死で生きているというか、生活をしているからだろう。

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    2026年02月04日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    『ともぐい』で直木賞を受賞した著者によるエッセイ。大学卒業後に羊飼いになった理由や、そこから小説家の道に専念するまでの経緯が語られ、著者の半生がとても興味深い。家族や周囲の人とのつながりを大切にしながら、自分のやりたいことを少しずつ形にしていく姿が印象に残った。可愛らしい表紙からは想像できないほど読み応えがあり、読み終えるころには、美味しい羊料理が恋しくなった。

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    2026年01月30日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    大好きな作家さんの新たな一面が見れました。と同時に、この経験があるからこそ力強い自然の描写ができるんだなと納得。読みながら、学びのある有意義な時間が過ごせる本でした。

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    2026年01月16日
  • 愚か者の石

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    石の仕掛けはやや大げさに感じるも、
    主人公2人とメインの看守の交流、互いが抱く感情や厳しい北海道の刑務所環境の描写などは非常にリアル。

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    2026年01月04日
  • 愚か者の石

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    引き込まれて夢中になって読んだ。明治時代の北海道の劣悪な環境の集治監に送られた巽と鎖に繋がれたほら吹きの大二郎。冷徹で何を考えているかわからない看守の中田。謎が多いがそれぞれ不思議な魅力があり過去が気になる。次々と周囲が亡くなっていく中でどう生き残っていくか肉体的精神的なサバイバルであり、ふとした拍子に覗く人間性であったり絶妙なテンポで話は進んでいく。

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    2025年12月21日