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札幌に暮らす奈津子は、鯨が腐敗爆発する動画を見て臭いを思い出す。後日、釧路の母を訪ねる途中、捕鯨の町にいた幼い頃の記憶が蘇ってくる……。老境の主婦の置かれた生活環境と家族関係を描きながら、その生い立ちと忘れていた過去を掘り起こした彼女は(「鯨の岬」)。江戸後期の蝦夷地野付に資源調査のため赴任した平左衛門。死と隣り合わせの過酷な自然の中で、下働きの家族と親しくなり……(「東陬遺事」/北海道新聞文学賞受賞作)。命を見つめ喪失と向き合う人々の凄絶な北の大地の物語。全二編。
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Posted by ブクログ
常に北海道を舞台に、歴史を含んだ物語を綴られている河崎秋子さん。 今回手にした『 鯨の岬 』も、北海道を舞台にした中編2話の構成となる。 第一話『 鯨の岬 』 札幌に住む主人公の奈津子は、息子夫婦が共働きということで孫の蒼空の世話を押し付けられていた。 小学校から帰ってきた蒼空は、二世帯住宅の自宅に...続きを読むは戻らずに、奈津子の住まいで両親が帰宅するまで過ごしていた。 流石に時折気苦労を感じることもあって疲労感に苛まれるのだが、夫の援助は全く期待できなかった。 奈津子は月に一日、母親が入所している釧路の施設に出かけることにしていた。 釧路に向かう途中、小学生の時に住んでいた霧多布へ向かうことにした。 その浜に打ち上がった鯨が腐敗し、膨らんだ腹が裂けて爆発を起こし、見物していた奈津子や友達たちは、飛び散った鯨の血や肉片を浴びた記憶があったのだが⋯。 がしかし、奈津子は何かその記憶に納得し難いものを感じ続けていたのだ。 第二話『 東陬遺事(とうすういじ) 』 江戸後期の文政時代、蝦夷地の多目的価値調査のため、幕府の役人である山根平左衛門は、野付(知床半島と根室半島の中間に位置)に赴任した。 平左衛門が駐在する通行屋では、下働きの男が4人、女中が2名、そして5歳ほどの娘が彼を迎え入れた。 男の一人が弥輔と称し、その姉にたづ、娘はりんと呼ばれたたづの娘だった。 弥輔は幕府から預かっている3頭の馬の世話もしていて、子供の頃に凍傷で足の指を無くしていたのだが、仕事ぶりは熱心な男だった。 姉弟は、幼い頃に両親を亡くし、その後の苦労を伴った生き方に特別の絆を抱いていた。 ある日、幕府から授かった馬の一頭が、流氷の間に前足を挟み、脱出できずに足掻いていた。 弥輔は幕府からの大切な馬を亡くしてはと、身を挺して馬を助けるのだが、そのために弥輔は命を落とす。 弥輔の人間性を認めていた平左衛門は、姉のたづの面倒を見ようとするのだが、たづは頑なに断るのだ。
普通の60代くらいの主婦の話で嫁の愚痴とか老後の不安とかの話かと思いきや、とんでもない事実が明らかになり、読んだ後も衝撃の余韻にしばらく浸ってました。時代小説の方も全然違う雰囲気でしたが、思わぬ展開と描写力で、一気に引き込まれました。解説も良かった。
すごく面白かった。ミステリーとは違うんだろうけどどんでん返しというか、決して明るい話ではないけど、絶望的な気分になる話でもなく、良い。
描写が素晴らしい。 感性が合ったのだと思うけど、語り手の主人公に感情移入がし易く景色が目に浮かぶようだった。 一話目の「鯨の岬」は少しミステリのようなオチがあるのが良い。ちょっとした逃避行だが無駄ではない感じが良かった。 二話目はもっと時代が遡る。オチはよく分からなかった。ただこちらも描写が良いので...続きを読む楽しく読めた。
ふと手に取ったら、またも北海道を拠点にしている女性作家だった。桜井紫乃とか谷村志穂とか、そしてこの河﨑秋子とか、北海道は骨太な物語を生む女性作家が多いなという印象。 この文庫本には表題作とデビュー作の「東郰遺事」の2編が入っている。いわば平凡な主婦がふと日常をエスケープして幼時の忘れていた思い出がよ...続きを読むみがってくる「鯨の岬」と、江戸時代に北海道に来た武士の目からこの地に住む人々を描く「東郰遺事」とは大きく赴きが違うんだけど、同じ作家の手になるとすると何だかうなずけるような感じがする。北の地に生きる人ならではの真摯で熱い感情が表れているとでもいうのか……それって北海道の外に住む者の勝手な感傷かもしれないけど。胃の腑に重いものを残してくれるような2編だった。
北海道の出身の作家さんだということで、読んでみました。 釧路行ったばかりだったので、札幌から釧路長旅だよね〜と主人公に共感。この作家さんの登場人物は身近にいる、悪くもないけど聖人でもない、ふつうに毒を抱えて生きている人がリアルに感じられるところがいいなと思う。 合理的な嫁とかうるさい乗客にイラつくと...続きを読むころとか。。昔育った場所の行き方とか参考になりました。いつか行ってみたい。 鯨の岬ともう一つ乗っていたお話はどう消化して良いかわからなかったです。開拓使の歴史学んだら理解できるかな。
農繁期に読んで、そのままになっていた。 時間をかけないとと記録しておけない内容だったので、ここに河崎秋子作品をまとめて。 幼馴染と母親の介護の話を、鯨を絡めて語ることを、誰が考えつくだろうか。しかもその鯨は爆発するのだ。北海道の道東に住み、この景色を見て育ち、牛や羊を育て、屠り、人に出逢いながら人...続きを読む生を積み重ねてきたものでないとできない発想だと思う。 しかし、話はいたって穏やかにすすむ。夫も孫もいる奈津子は、普段の生活を離れて、母の施設を訪問する。札幌から釧路までの4時間を、電車の中で読書で過ごし、面会して、帰ってくる。その日常が突然、鯨の記憶によって覆る・・・。 (鯨の岬) 野付に設けられた通行屋に赴く幕府の役人、平左衛門は、根室から国後、択捉に至る場所の資源調査や他詳細な検分のためにやってきた。訳ありの武士の女たづとその娘、りん、弥輔との関係を、逗留の時間のなかで知る。そして彼らの宿命も。野付半島の自然を余すところなく描き、その自然が人々に何をもたらしてきたか、これから何をもたらすのか、また与えることがないかを滲ませる。 (東陬遺事) 「東陬遺事」は、20212年第46回北海道新聞文学賞受賞作品。中編であるが、ここに河崎秋子の才能と、その後描かれる小説のエッセンスが、全て凝縮されていると言っても過言ではない濃さの作品。そして、明らかに新人のレベル越え。 あとがきの桜木紫乃さんが、まるで一つの作品のように河崎秋子氏を語っていて、それもまた読み応えがある。
素晴らしく面白かった。22年上半期ベスト3に入る。 静謐な文章で、おばあちゃんになってから自分の過去を振り返る「鯨の岬」。淡々と今の生活を振り返りながら過去を思い出す話と思ったらミステリーみたいな驚きが。 北海道新聞文学賞の「東陬遺事」。主人公が目にするある家族の因果応報の物語。最後かなり残酷な結...続きを読む末で、びっくりする中にひとつだけ希望。レミゼラブルのコゼットちゃんみたいな希望。
河﨑秋子『鯨の岬』集英社文庫。 表題作で書き下ろしの『鯨の岬』と第46回北海道新聞文学賞受賞作の『東陬遺事』の2編を収録した作品。 河﨑秋子は個人的に注目している作家の一人である。静謐な文章の中に感じる不思議な自然の力と人間の運命の機敏。そんな作品を描き続ける河﨑秋子から目が離せない。 『鯨の...続きを読む岬』。安穏で無為な日常と幼い頃の記憶。どこかでねじ曲げられた記憶が再び甦る時、全てを知ることになる主人公に驚愕させられた。見事なプロットと結末。札幌に暮らす主婦の奈津子はある時、孫からYouTubeで鯨が腐敗爆発する動画を見せられ、幼い頃の鯨の血の臭いを思い出す。後日、釧路の施設に居る母を訪ねる途中に捕鯨の町にいた幼い頃が蘇り、ふと花咲線の根室行きの電車に飛び乗る。そして、奈津子はかつて過ごした町、霧多布に降り立つ。遠い昔の爆発した鯨の記憶……★★★★★ 『東陬遺事』。厳しい自然の前に激しく生きるも儚い人間の運命。因果応報。喪失感に打ちのめされる結末。江戸時代後期の蝦夷地に資源調査のために赴任した山根平左衛門は土地の下働きの家族と親しくなる。身のまわりの世話をする女、たづと男女の仲になった平左衛門は、たづの娘のりん、たづの弟で下働きの弥輔とも親交を深める。やがて、平左衛門が知る弥輔の過去。★★★★★ 本体価格570円 ★★★★★
打ち上げられた鯨。 ガスが溜まる。 遺骸が膨らむ。 爆発。 漂う腐敗臭。 里帰りの際にふと生まれた意識の隙間。 誘われるように向かった故郷で巡る記憶の旅の果てに見るもの――。 《鯨の岬》 江戸時代。 ロシアの南下政策に危機を感じた江戸幕府は、 蝦夷地の調査のために訪れた幕府の役人と、 はるか北...続きを読むの地で暮らす和人との交流を描く。 《東陬遺事》
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