絞め殺しの樹

絞め殺しの樹

990円 (税込)

4pt

4.2

新・直木賞作家のブレイク作!

北海道根室で生まれ、新潟で育ったミサエは、両親の顔を知らない。昭和十年、十歳で元屯田兵の吉岡家に引き取られる形で根室に舞い戻ったミサエは、農作業、畜舎の手伝い、家事全般を背負わされボロ雑巾のようにこき使われた。その境遇を見かねた吉岡家出入りの薬売りの紹介で、札幌の薬問屋「仙雲堂」で奉公することに。戦後、ミサエは保健婦となり、再び根室に暮らすようになる。幸せとは言えない結婚生活、早すぎた最愛の家族との別れ。数々の苦難に遭いながら、ひっそりと生を全うしたミサエは幸せだったのか。養子に出された息子の雄介は、ミサエの生きた道のりを辿ろうとする。

「なんで、死んだんですか。母は。癌とはこの間、聞きましたが、どこの癌だったんですか」
今まで疑問にも思わなかったことが、端的に口をついた。聞いてもどうしようもないことなのに、知りたいという欲が泡のように浮かんでしまった。
「乳癌だったの。発見が遅くて、切除しても間に合わなくてね。ミサエさん、ぎりぎりまで保健婦として仕事して、ぎりぎりまで、普段通りの生活を送りながらあれこれ片付けて、病院に入ってからはすぐ。あの人らしかった」(本文より)

※この作品は単行本版『絞め殺しの樹』として配信されていた作品の文庫本版です。

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絞め殺しの樹 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     木内昇さんの解説の冒頭にあるよう、この作品からは〝においが激しく立ち上″ってきた。
    まさに、登場人物の体臭がしてくるのだ。
    それ故に嫌なヤツは嫌な臭いが濃く漂い、読んでいてムカムカする。
    その世界に放り出されて、逃げたいのに逃げられない読書体験となる。
     それは何故か。
    第二部第一章無花果の、″シ

    0
    2025年04月04日

    Posted by ブクログ

    こんな苦しい小説を久しぶりに読みました。
    読み進めるのに何度も挫けそうになりました。
    あまりにも主人公が不幸すぎて、悲しすぎて。
    それでも最後まで読んだのは圧倒的な面白さがあったからです。
    いや、面白いという表現は不適切かもしれません。
    これは面白いという物語ではありません。
    とにかく苦しくて切なく

    0
    2025年03月27日

    Posted by ブクログ

    河崎秋子『絞め殺しの樹』小学館文庫。

    戦中から戦後の厳しい時代から昭和までの北海道の道東、根室を舞台にした母子二代にわたる大河小説。第一部は橋宮ミサエの物語で、第二部はミサエの息子で吉岡家に養子に出された雄介の物語という構成になっている。

    健気なミサエの余りにも過酷な境遇に胸を抉られるような思い

    0
    2024年04月16日

    Posted by ブクログ

    うわー、、、、
    前半はどこを読んでもそんな感想になる
    昭和時代エグイ
    血筋とか一家の長とか世間体とか
    そんなもので自分の人生が決まってしまう
    後半は想像もしてない展開でまさかだった

    とりあえず昭和時代の「俺のメシの用意は!!」と怒号をとばす父親に「知らんがな」と言いたい

    0
    2025年03月26日

    Posted by ブクログ

    すごく読み応えのある本でした。決して明るい内容ではないし、辛くて読む手を止めてしまったこともあります。でも、この作品には他作品にはない意味と多くのメッセージが込められてます…たくさんの人に読んでほしい。

    0
    2025年03月25日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    『ともぐい』で痺れてファンになりました。
    一気に一日で読み終わりました。
    激動の昭和を駆け抜けて生きたような日曜日になりました。

    同じ北海道の桜木紫乃さんの『ラブレス』みたいな感じかな、と思って読み始めたら…
    あれ、かわいそうな時代はあっという間で、案外トントンでミサエ、幸せになるんじゃないのー!

    0
    2024年06月30日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    悲しすぎて、読むのが辛すぎた第一部。ミサエの生き様には最後まで共感できなかった。登場人物たちにも薄暗さがつきまとい、不遇の生い立ちを引き摺り続けた負の連鎖がやりきれなかった。第二部に入り、息子に話が移行することでここまでの悲しみが意味を為すことに。衝撃の事実も判明するも希望の光が見えてきたときには心

    0
    2025年05月02日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    昭和初期の根室の開拓地で、奴隷のように使われる少女ミサエ。死ぬまでこき使われるかに思われたが、薬売りのオヤマダに救い出されて札幌で保健婦になり、また根室に戻る。

    見合い結婚をするものの、苦労人ゆえの子供への厳しさと旦那の薄情さで子育てに躓き、イジメも重なった娘は自殺をしてしまう。離婚の後に妊娠が発

    0
    2025年03月30日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    釈迦は、菩提樹の根元で悟りを開いた。そして蔦であるその菩提樹のことを別名「シメゴロシノキ」と呼ぶそうです。
    この小説はミサエという女性の一代記ですが、ミサエの孝行先の家族がとにかく酷い人たち。同じ集落に暮らす人々も同様。
    ミサエがどんなに努力家で立派な人物であっても、この環境で暮らすうちに、どんどん

    0
    2024年04月24日

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