河崎秋子のレビュー一覧
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主に北海道で、厳しい環境を生き抜くために生き物たちの生命を奪い利用していく人々の功罪ある生き様と、時代の流れに抗えず消えていく生業の姿を描く短編集。蚕、ミンク、ハッカ、農耕馬と、人間たちによって北の大地に移入された生命は共生のような形で繁栄してやがて衰退していく。
未開の原野だからこそ、無尽蔵とも思える自然資源から換金性の高い生産物を栽培する開拓民たち。貧しさからやがて泡のような豊かさを得て、それが滅びへの萌芽となる。人間の業とも呼べる様は儚くも悲しい。他の生命を貪って生きる人間たちは、現代社会に生きる我々も例外ではなく、罪悪感を漂白する仕組みが整っているだけだ。
土から離れ、死からも遠く -
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「私たちは命をいただいている」とかよく言われるけど、それを実感できている人ってどれくらいいるんだろう。
そんなことを言われる時って、感謝しなければいけないってニュアンスが多分に含まれている気がするけど、このエッセイでは動物の肉を食べることが人間の性の営みの中で行われるごく自然な作業として描かれている。
感謝をしていないということでは決してなく、あらためて感謝せずとも日々の食べる行為の中に自然に感謝の思いが寄り添っているというか。
家畜や農作物を育てることと食べることの距離が近いと、生きることがシンプルになる気がした。
実際はとても大変な作業なんだろうけど。 -
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作家河﨑秋子さんが『父が牛飼いになった理由』を知るのと同時に、自らのルーツについても調べながら、日々の暮らしや酪農農家の現状や想いを綴るノンフィクションとなっております
これね、河﨑秋子さんファンの人に是非ともおすすめしたい
小説のあの骨太な文章からは一切想像できない、軽くてユーモラスな語り口
言葉選びもおしゃれなんだわ〜
もちろん素の河﨑さんはこっちなんだろうけど、ギャップ萌え必須w
このルーツ探しが、なんていうか自分を知る旅って感じなのよね
当たり前なんだけど自分の血肉ってご先祖様たちから出来てるんだろうなぁなんてことを思ったのと
あらためて亡くなった父との共通点に思いをはせるわたく -
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明治18年…樺戸集治監
瀬戸内巽の牢獄での地獄が始まった
物語の大半は監獄生活の描写なのだが、外役と言う厳しい労働、僅かで粗末な食事…キツい(꒪⌓︎꒪)
そんな過酷な中で出会い共に生き抜いてそれなりに心を許し合ったと思っていた大二郎が脱獄!
何故?何も気づかなかった…
大二郎にとって自分は何だったのか?
そして後半で大二郎の行方を探すことになってからが俄然面白くなる‹‹\(´ω` )/››
看守の中田が二人の担当として登場するのだけど
すごく良い!
巽、大二郎、中田のキャラが良いから、キツくて暗い話もサラッと入り込む。
ラーゲリのニノを思い出してウルウルしたり
大二郎の軽さがゴールデンカ -
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『ともぐい』が強烈だったので、どんな方が書かれたのか興味があった。
北海道の酪農家の家で育ち、一人で羊飼いを数年やった…動物の解体・精肉をこなすことができる。なるほどそうか、そういう方が書かれたのだなぁと納得がいった。
NZに羊飼い修行に行くなどものすごいバイタリティの持ち主。父親の介護、フルマラソン、小説執筆。そして羊飼い廃業。
河崎さんは、小学生が家畜を飼い、成長させてやがて食に供する「いのちの授業」に強烈な違和感を抱くという。
p191 食育としてもクラスの団結のためにも良い取り組みのように思える。しかしだ。少なくとも、現行の日本の義務教育学校の仕組みで、その理念がゆがまずに子どもたち -
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羊飼い、兼作家であった著者の自伝的な本。この本読んだ後、北海道産の羊(サフォーク)を買って食べた。うまかった。日本で羊がマイナーな肉になっているの、もったいないなあ。
一番印象的なエピソード、としてはズレているのかもしれないが、自称羊飼いと言われて著者がキレたところが心に残っている。自分の仕事の扱われ方に関して憤れるというのはかっこいい。ともすると、自分自身でさえ、自分の仕事をどう表現すればいいのか分からなくなることもあるというのに。
荒川弘さんの「百姓貴族」と繋がるところがあって面白かった。経済動物を飼うことのシビアさとか。そもそも経済動物という言葉自体、これらの作品を読むまで知らなかった言