河崎秋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレともぐいより面白かった。
あらすじで最後の最後までしっかり展開をネタバレするのをやめてもらってたら今年1番だったかも!そこまで書かないと読もうって思わないと思ってんのかな〜。
そこまでネタバレされても中身はしっかり面白いので途中からは忘れてたぐらい。
巽と大二郎コンビと看守の中田の3人からみる監獄生活。
時代も相まって囚人の扱いはおとぎ話みたいな酷さ、作業中も相方と縛られたまま、足には鉄球。
何をしてる時も2人一緒だから、だんだん運命の人みたいになって、片方が居なくなっても囚われたまま強い因果により探さずにはいられない。
そして看守の中田がまたいいです。
悪役ではないのがこの小説の面白いところ。
巽たちへの扱いから公平な人だとわかる。
俳優さんだとクリーピーの時の東出昌大をイメージして読んだ。
ラスト近く巽と2人で探す展開があるのが嬉しい。
表紙から面白そうだと思ってたけどやっぱり面白かった。
次の新作も楽しみ! -
Posted by ブクログ
ネタバレ何に1番驚くかと言うと、男性の描写の違和感の無さ。男性作家だと錯覚する。『ともぐい』は野生の男だったが、今回は囚人2人と看守。看守の中田は某有名北海道漫画のOさんで脳内再生していた。
主人公の囚人、瀬戸内巽は赤狩りかなんかで捕まり、山本大二郎は隠されていたが人殺し。鉄仮面の中田看守は愛情不足の潔癖ワーカーホリック。
樺戸集治監から硫黄採掘の外役への移送の際に移送隊が遭難し、この3人だけが一緒に難を逃れ、馴れ合うわけではないのだが奇妙な絆が生まれる。労役で死にかけるもなんとか命拾いしたところへ大二郎が突然脱獄。いつもひょうけてた大二郎って一体なんなんだ?と探査が始まる。
人によっては長冗と感じるかも知れない。大二郎の罪状が細部まで暴かれなくても人となりの印象は変わらないと思うし、むしろ深まった気がする。ちょっと書きすぎてる感じがするけど、この3人の雰囲気が、ベタついてなくて、私には好もしかった。
罪とか罰とか善とか悪とか、あるにはあるけど、明確な形を持ってない。愚か者の意志探し。
表紙の絵もとても良く合ってる。
最近、昭和の小説家達に心惹かれてる私に、河崎秋子さんは別格の光を放っている。作家になる前にこれを読むと良いと、勧められたのが、木内昇さんの『ある男』だという文を読んで、なるほど納得。
エッセイも買ったのでこれから読むのが楽しみだ。
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Posted by ブクログ
河崎秋子『絞め殺しの樹』小学館文庫。
戦中から戦後の厳しい時代から昭和までの北海道の道東、根室を舞台にした母子二代にわたる大河小説。第一部は橋宮ミサエの物語で、第二部はミサエの息子で吉岡家に養子に出された雄介の物語という構成になっている。
健気なミサエの余りにも過酷な境遇に胸を抉られるような思いで読み進む。そして、実の母親のミサエの顔も知らぬままに吉岡家の養子となった実の息子が懸命に生きながら、自身の進むべき道を切り開いていく姿に胸が熱くなった。
時折、姿を見せる白猫。その飼い主だけが、ミサエと雄介の味方のように描かれていたのが印象に残る。
タイトルの『絞め殺しの樹』とは菩提樹のことであり、本当の菩提樹は蔓性の植物で他の木に絡み付いて栄養を奪いながら、元の木を殺すのだと言う。ミサエや雄介が吉岡家や小山田家、林家という『絞め殺しの樹』に蝕まれていく様は非常に残酷だ。
北海道の根室に生まれ、両親の顔も知らぬままに新潟で育った橋宮ミサエは、昭和10年、10歳の時に根室の屯田兵の吉岡家に引き取られる。吉岡家は士族としての威厳を尊び一家の実権を握る大婆様と一家の主である光太郎、その妻タカ乃、息子の一部と娘の保子の5人家族だった。ミサエは学校にも通わせてもらえず、吉岡家の使用人として、農作業、畜舎の手伝い、家事全般を背負わされ、ボロ雑巾のようにこき使われた。
吉岡家に出入りしていた富山の薬売りの小山田はそんなミサエを見兼ね、大婆様にミサエを学校に通わせることを進言する。吉岡家での過酷な労働に加え、学校での虐めにも耐え、ひたすら学ぶことに喜ぶを覚えるミサエは優秀な成績だった。
ミサエが14歳の時、光太郎とタカ乃が謀り、ミサエを女郎屋に売ろうとしていた。その危機を救ったのは、またしても富山の薬売りの小山田だった。小山田の紹介でミサエは本間家が経営する札幌の薬問屋『仙雲堂』で奉公することになる。ミサエは本間夫妻の計らいで、学校にも通わせてもらい、看護婦となる。
看護婦として札幌で働き、24歳となったミサエに小山田から根室で保健婦を務めて欲しいと懇願される。戦後、保健婦の資格を取ったミサエは再び根室で暮らすことになる。
根室に戻ったミサエは吉岡家の光太郎とタカ乃の勧めで木田浩司と見合いし、結婚する。11年後、ミサエは突然、娘の道子を喪う……
時は流れ、腹の中に子供がいることを知りながら、木田と離婚したミサエは雄介と名付ける男の子を産むが、再び吉岡家に光太郎とタカ乃の謀りにより、雄介を養子に取られてしまう。
本体価格900円
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Posted by ブクログ
直木賞受賞前から気になっていた作品で、たまたま北海道出張中に本屋で特集が組まれており、勢いで購入。
北海道の地で馬と共に生きた家族6代の物語。各章のメインシーンの読者を引き込む力が凄い。一気に読まされる臨場感と心情の機微の表現。序章の遭難時の馬食に至る過程、第二章のフクロウの睨みを感じる場面は、こちらもドキッとさせられた。
話として好きなのは最終章の現代で祖母のために馬の行方を探るひかりの物語。この章は立派な青春小説で、自分のルーツを知ることで積極的になり、精神的にも充実していく姿が心地よい。最後の馬との邂逅は非常に美しい映像が想像できた。
北海道と馬への造詣の深さと卓越した表現力が生み出した素晴らしい物語だった。