河崎秋子のレビュー一覧

  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    ともぐいより面白かった。

    あらすじで最後の最後までしっかり展開をネタバレするのをやめてもらってたら今年1番だったかも!そこまで書かないと読もうって思わないと思ってんのかな〜。

    そこまでネタバレされても中身はしっかり面白いので途中からは忘れてたぐらい。
    巽と大二郎コンビと看守の中田の3人からみる監獄生活。
    時代も相まって囚人の扱いはおとぎ話みたいな酷さ、作業中も相方と縛られたまま、足には鉄球。
    何をしてる時も2人一緒だから、だんだん運命の人みたいになって、片方が居なくなっても囚われたまま強い因果により探さずにはいられない。

    そして看守の中田がまたいいです。
    悪役ではないのがこの小説の面白いところ。
    巽たちへの扱いから公平な人だとわかる。
    俳優さんだとクリーピーの時の東出昌大をイメージして読んだ。
    ラスト近く巽と2人で探す展開があるのが嬉しい。

    表紙から面白そうだと思ってたけどやっぱり面白かった。
    次の新作も楽しみ!

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    2024年12月24日
  • 愚か者の石

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    ネタバレ

    何に1番驚くかと言うと、男性の描写の違和感の無さ。男性作家だと錯覚する。『ともぐい』は野生の男だったが、今回は囚人2人と看守。看守の中田は某有名北海道漫画のOさんで脳内再生していた。
    主人公の囚人、瀬戸内巽は赤狩りかなんかで捕まり、山本大二郎は隠されていたが人殺し。鉄仮面の中田看守は愛情不足の潔癖ワーカーホリック。
    樺戸集治監から硫黄採掘の外役への移送の際に移送隊が遭難し、この3人だけが一緒に難を逃れ、馴れ合うわけではないのだが奇妙な絆が生まれる。労役で死にかけるもなんとか命拾いしたところへ大二郎が突然脱獄。いつもひょうけてた大二郎って一体なんなんだ?と探査が始まる。

    人によっては長冗と感じるかも知れない。大二郎の罪状が細部まで暴かれなくても人となりの印象は変わらないと思うし、むしろ深まった気がする。ちょっと書きすぎてる感じがするけど、この3人の雰囲気が、ベタついてなくて、私には好もしかった。
    罪とか罰とか善とか悪とか、あるにはあるけど、明確な形を持ってない。愚か者の意志探し。

    表紙の絵もとても良く合ってる。

    最近、昭和の小説家達に心惹かれてる私に、河崎秋子さんは別格の光を放っている。作家になる前にこれを読むと良いと、勧められたのが、木内昇さんの『ある男』だという文を読んで、なるほど納得。
    エッセイも買ったのでこれから読むのが楽しみだ。

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    2024年12月23日
  • 愚か者の石

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    言葉もない。「ともぐい」のように女性作家がほんとに書いたのかとまた驚かされるのだろうなと思っていたが、3人の男たちの生きざまを見事に描いたと感動した。
    それにしても
    北海道は広い。

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    2024年12月04日
  • 颶風の王

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    直木賞作家。手元に未読の文庫が積読本の山の一番上にあったので読んでみた。

    どうやらデビュー作らしいが、これが骨太の力強い作品で驚いた。およそ六代にわたる一族の歩みを中編の長さにギュッギュッと凝縮して描いている。

    相当壮絶なお話なのだが、人と馬との関わりを必要以上に感傷的にならないで描いているのが気持ちが良く、北海道の自然もまたよく描かれている。

    エピソード的には最後のひかりの章が、少し弱い気もするし、中編でなく堂々たる大河小説に仕上がったもをの読んでみたい気もするが一気読みで至福の時を過ごせた。

    また一人気になる作家ができた。

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    2024年12月03日
  • 土に贖う

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    描写力がすごくて、本当に馬糞風の匂いがしてる中で読んでる気になってました。でも実際嗅いだことはないので、馬糞じゃなくて牛糞のイメージだと思うけど。
    漫画を読むより映像がリアルだし、鳥も殴り殺したことなどないのに、触感まで想像できてしまいました。恐ろしい作家さんです。

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    2024年11月16日
  • 銀色のステイヤー

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    ヤンチャな1頭の競走馬を中心に競馬の裏と表を描いた作品。競馬、全然知らなかったけど、むちゃくちゃおもしろかった。
    クセ強の馬オタクが成長する様子もよかったし、鉄子さんのかっこよさにも痺れた。
    競馬やってみたくなった!

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    2024年11月10日
  • 銀色のステイヤー

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    ヤンチャ坊主、シルバーファーンが競馬界を駆け抜ける。生産牧場、調教師、馬主の夢を乗せて。

    めっちゃ面白かった。各々の登場人物の大変さと喜びがすごく伝わって来る。競馬を裏方から描く小説には傑作が多いけどこれもその一つ。

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    2024年10月22日
  • 銀色のステイヤー

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    競馬界に留まらず、読者をも魅了する芦毛のファーン。牧場、調教師、騎手…皆の力が結集され、ファーンが優秀な競走馬に成長してゆく過程に酔い痴れた。馬と共に成長してゆく人々も爽やか。人間と動物の描写に偉才を放つ河﨑先生。早くも次回作が楽しみである。

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    2024年10月11日
  • 銀色のステイヤー

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    競走馬の育成や調教に主眼を置いたストーリー。
    私も競馬は好きで、強く速い馬を見るとカッコいいと思うけど、終わってみれば今日も無事でよかったということを考える。古馬の中でも特に6歳以上だと、毎レース、これが最後かもしれないという気持ちを抱きながらレースを見つめる。一ファンですらこういう気持ちだから、生産者や厩舎の馬に対する気持ちは並大抵のものでははいだろう。馬が紡ぐ縁や絆が美しいと感じた。
    最近、競馬界では悲しいことが続いている。人馬ともに望まれたタイミングで引退できることを願うのみ。

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    2024年09月11日
  • 土に贖う

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    河﨑秋子さんの作品は今回初めて読みましたが、
    一文一文が重厚で肉厚、かなり好みの文体。

    7篇からなる短編小説ですが、【生】に対する本能、執着、残酷さ、愚かさをまざまざと感じさせる内容です。
    動物好きの自分には心を抉るような描写もありました。
    読んだ中で『南北海鳥異聞』が1番印象的、というか衝撃でした。語弊を招く言い方かもしれないですが、ラストの動物の使い方がまた上手い。
    そして本のタイトルにもなっている『土に贖う』が1番人間臭い内容でした。

    他の作品も気になるので是非読んでみようと思います。

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    2024年08月15日
  • 鯨の岬

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    普通の60代くらいの主婦の話で嫁の愚痴とか老後の不安とかの話かと思いきや、とんでもない事実が明らかになり、読んだ後も衝撃の余韻にしばらく浸ってました。時代小説の方も全然違う雰囲気でしたが、思わぬ展開と描写力で、一気に引き込まれました。解説も良かった。

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    2024年07月29日
  • 土に贖う

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    娘からシェアしてもらった。これはすごい。道民として知っておくべき現実なんだろうけど悲しい話ばかり、読み進むのがつらくなる。でもこんなふうに表現出来る河﨑秋子さんのクールな視点とすぐ目の前に起こっていることのように錯覚させる表現力や書き写したくなるようななんども噛みしめたくなるような文章に、何というか人が生きていくことの意味を考えさせられる。とにかくとても良い!もう一度読む。北見のハッカもますます好きな香りとなった。

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    2024年07月23日
  • 絞め殺しの樹

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    ネタバレ

    『ともぐい』で痺れてファンになりました。
    一気に一日で読み終わりました。
    激動の昭和を駆け抜けて生きたような日曜日になりました。

    同じ北海道の桜木紫乃さんの『ラブレス』みたいな感じかな、と思って読み始めたら…
    あれ、かわいそうな時代はあっという間で、案外トントンでミサエ、幸せになるんじゃないのー!と思ったら、それこそが暗転の入り口でした…。
    えー、なにごと!!
    とまんねー!!

    河崎秋子さんは自分と同年代なんだけど、何回も生まれて死んだかのよう。
    よくこんな人間の業、生と死を描けるなあ…。

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    2024年06月30日
  • 颶風の王

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    最近読んだ本の中で間違いなく自分にとっては一番。音読したくなるようなリズムのある文章 何度も反芻したくなる力強い味のある言葉の数々 とにかく良かった。どんなに頑張ってもオヨバヌトコロが厳然として在るのが自然界でそこが哀しくも美しい。読後感も爽やかで読んでよかった。

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    2024年04月08日
  • 絞め殺しの樹

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    河崎秋子『絞め殺しの樹』小学館文庫。

    戦中から戦後の厳しい時代から昭和までの北海道の道東、根室を舞台にした母子二代にわたる大河小説。第一部は橋宮ミサエの物語で、第二部はミサエの息子で吉岡家に養子に出された雄介の物語という構成になっている。

    健気なミサエの余りにも過酷な境遇に胸を抉られるような思いで読み進む。そして、実の母親のミサエの顔も知らぬままに吉岡家の養子となった実の息子が懸命に生きながら、自身の進むべき道を切り開いていく姿に胸が熱くなった。

    時折、姿を見せる白猫。その飼い主だけが、ミサエと雄介の味方のように描かれていたのが印象に残る。

    タイトルの『絞め殺しの樹』とは菩提樹のことであり、本当の菩提樹は蔓性の植物で他の木に絡み付いて栄養を奪いながら、元の木を殺すのだと言う。ミサエや雄介が吉岡家や小山田家、林家という『絞め殺しの樹』に蝕まれていく様は非常に残酷だ。


    北海道の根室に生まれ、両親の顔も知らぬままに新潟で育った橋宮ミサエは、昭和10年、10歳の時に根室の屯田兵の吉岡家に引き取られる。吉岡家は士族としての威厳を尊び一家の実権を握る大婆様と一家の主である光太郎、その妻タカ乃、息子の一部と娘の保子の5人家族だった。ミサエは学校にも通わせてもらえず、吉岡家の使用人として、農作業、畜舎の手伝い、家事全般を背負わされ、ボロ雑巾のようにこき使われた。

    吉岡家に出入りしていた富山の薬売りの小山田はそんなミサエを見兼ね、大婆様にミサエを学校に通わせることを進言する。吉岡家での過酷な労働に加え、学校での虐めにも耐え、ひたすら学ぶことに喜ぶを覚えるミサエは優秀な成績だった。

    ミサエが14歳の時、光太郎とタカ乃が謀り、ミサエを女郎屋に売ろうとしていた。その危機を救ったのは、またしても富山の薬売りの小山田だった。小山田の紹介でミサエは本間家が経営する札幌の薬問屋『仙雲堂』で奉公することになる。ミサエは本間夫妻の計らいで、学校にも通わせてもらい、看護婦となる。

    看護婦として札幌で働き、24歳となったミサエに小山田から根室で保健婦を務めて欲しいと懇願される。戦後、保健婦の資格を取ったミサエは再び根室で暮らすことになる。

    根室に戻ったミサエは吉岡家の光太郎とタカ乃の勧めで木田浩司と見合いし、結婚する。11年後、ミサエは突然、娘の道子を喪う……

    時は流れ、腹の中に子供がいることを知りながら、木田と離婚したミサエは雄介と名付ける男の子を産むが、再び吉岡家に光太郎とタカ乃の謀りにより、雄介を養子に取られてしまう。

    本体価格900円
    ★★★★★

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    2024年04月16日
  • 颶風の王

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    ネタバレ

    捨造が一頭の馬を連れて東北から北海道に渡る。結婚して根室に住み、馬を飼い、孫たちと一緒に暮らすようになった。台風の時、貸し出していた馬が無人島のがけ崩れで帰れなくなりそのまま置き去りにされた。年月が経ち、全滅したと思っていた馬が子孫を残して一頭だけ生き残っていた。台地状の島で強く激しく吹く風の中に一頭だけ。

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    2024年03月28日
  • 颶風の王

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     直木賞受賞前から気になっていた作品で、たまたま北海道出張中に本屋で特集が組まれており、勢いで購入。
     北海道の地で馬と共に生きた家族6代の物語。各章のメインシーンの読者を引き込む力が凄い。一気に読まされる臨場感と心情の機微の表現。序章の遭難時の馬食に至る過程、第二章のフクロウの睨みを感じる場面は、こちらもドキッとさせられた。
     話として好きなのは最終章の現代で祖母のために馬の行方を探るひかりの物語。この章は立派な青春小説で、自分のルーツを知ることで積極的になり、精神的にも充実していく姿が心地よい。最後の馬との邂逅は非常に美しい映像が想像できた。
     北海道と馬への造詣の深さと卓越した表現力が生み出した素晴らしい物語だった。

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    2024年03月15日
  • 鯨の岬

    購入済み

    すごく面白かった。ミステリーとは違うんだろうけどどんでん返しというか、決して明るい話ではないけど、絶望的な気分になる話でもなく、良い。

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    2024年02月20日
  • 鯨の岬

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    描写が素晴らしい。
    感性が合ったのだと思うけど、語り手の主人公に感情移入がし易く景色が目に浮かぶようだった。
    一話目の「鯨の岬」は少しミステリのようなオチがあるのが良い。ちょっとした逃避行だが無駄ではない感じが良かった。
    二話目はもっと時代が遡る。オチはよく分からなかった。ただこちらも描写が良いので楽しく読めた。

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    2023年12月10日
  • 颶風の王

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    全編わずか244ページとは思えない人と馬の壮絶な物語です。
    ちなみに颶風とは強く激しい風の意味とか。

    北杜夫氏の「酔いどれ船」を思い出す。

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    2023年09月04日