河崎秋子のレビュー一覧

  • 私の最後の羊が死んだ

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    「私たちは命をいただいている」とかよく言われるけど、それを実感できている人ってどれくらいいるんだろう。
    そんなことを言われる時って、感謝しなければいけないってニュアンスが多分に含まれている気がするけど、このエッセイでは動物の肉を食べることが人間の性の営みの中で行われるごく自然な作業として描かれている。
    感謝をしていないということでは決してなく、あらためて感謝せずとも日々の食べる行為の中に自然に感謝の思いが寄り添っているというか。
    家畜や農作物を育てることと食べることの距離が近いと、生きることがシンプルになる気がした。
    実際はとても大変な作業なんだろうけど。

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    2025年05月18日
  • 父が牛飼いになった理由

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    作家河﨑秋子さんが『父が牛飼いになった理由』を知るのと同時に、自らのルーツについても調べながら、日々の暮らしや酪農農家の現状や想いを綴るノンフィクションとなっております

    これね、河﨑秋子さんファンの人に是非ともおすすめしたい

    小説のあの骨太な文章からは一切想像できない、軽くてユーモラスな語り口
    言葉選びもおしゃれなんだわ〜
    もちろん素の河﨑さんはこっちなんだろうけど、ギャップ萌え必須w

    このルーツ探しが、なんていうか自分を知る旅って感じなのよね
    当たり前なんだけど自分の血肉ってご先祖様たちから出来てるんだろうなぁなんてことを思ったのと
    あらためて亡くなった父との共通点に思いをはせるわたくしなのでした

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    2025年05月15日
  • 絞め殺しの樹

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    ネタバレ

    悲しすぎて、読むのが辛すぎた第一部。ミサエの生き様には最後まで共感できなかった。登場人物たちにも薄暗さがつきまとい、不遇の生い立ちを引き摺り続けた負の連鎖がやりきれなかった。第二部に入り、息子に話が移行することでここまでの悲しみが意味を為すことに。衝撃の事実も判明するも希望の光が見えてきたときには心に火が灯った気がした。

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    2025年05月02日
  • 愚か者の石

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    明治18年…樺戸集治監
    瀬戸内巽の牢獄での地獄が始まった
    物語の大半は監獄生活の描写なのだが、外役と言う厳しい労働、僅かで粗末な食事…キツい(꒪⌓︎꒪)

    そんな過酷な中で出会い共に生き抜いてそれなりに心を許し合ったと思っていた大二郎が脱獄!
    何故?何も気づかなかった…
    大二郎にとって自分は何だったのか?

    そして後半で大二郎の行方を探すことになってからが俄然面白くなる‹‹\(´ω` )/››
    看守の中田が二人の担当として登場するのだけど
    すごく良い!
    巽、大二郎、中田のキャラが良いから、キツくて暗い話もサラッと入り込む。

    ラーゲリのニノを思い出してウルウルしたり
    大二郎の軽さがゴールデンカムイの白石を思い出したりして笑

    ラストで大二郎〜っと叫びましたよ!
    頑張ったね大二郎。゚(゚´Д`゚)゚。


    ゆーきさんオススメしてくれてありがとね!!


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    2025年04月20日
  • 銀色のステイヤー

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    北海道の放牧地で黒鹿毛の母ドラセナから生まれた灰色の仔馬。癖の強い父親の血を受け継ぎ自由奔放な仔馬は亡き夫の馬主資格を受け継いだ広瀬夫人が馬主となり、競走馬として歩み始める。一筋縄では行かないファーンに人間はあたふたしながらも愛情深く接する。様々な考えを持つ人達も結局は馬が好きで仕方がないのだ。

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    2025年04月08日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    『ともぐい』が強烈だったので、どんな方が書かれたのか興味があった。
    北海道の酪農家の家で育ち、一人で羊飼いを数年やった…動物の解体・精肉をこなすことができる。なるほどそうか、そういう方が書かれたのだなぁと納得がいった。
    NZに羊飼い修行に行くなどものすごいバイタリティの持ち主。父親の介護、フルマラソン、小説執筆。そして羊飼い廃業。

    河崎さんは、小学生が家畜を飼い、成長させてやがて食に供する「いのちの授業」に強烈な違和感を抱くという。
    p191 食育としてもクラスの団結のためにも良い取り組みのように思える。しかしだ。少なくとも、現行の日本の義務教育学校の仕組みで、その理念がゆがまずに子どもたちに行き届くとは私には思えない。
    p192 押し付けられては結局歪む。子どもたちは、パック詰めの肉に慣れていて構わない。それぞれが、自分が何の肉をどういった経緯で食べているのかを知りたいと思った時、自ら向き合えばいい。それが子どもの頃であれ、大人になってからであれ。あるいは一生、血の匂いを知らないでも、生き続ける権利だってある。
    p193 他の動物の命を食べねば自分の命を維持できない、というのは生物としての業だ。(略)言い換えれば、ヒトの進化は業の深化とワンセットともいえる。そして、進化したゆえに、ヒトは自分たちの業を認知し悩むのだ。耳当たりのいい言葉はあったとしても、安易な正解などありえない。だからこそ、教育の現場で、まだまだ精神成長の余地がある子どもたちに与えられる課題としては、肉と死の問題は大きすぎるのだ。
    そして、形の定まらない答えの隙間を埋めるために、私は小説を書いている。なにせ、私だって、自分が育てた羊の脳を食べて『いずい』と感じる理由を、明確になど説明できやしない。
    問題は容易に解決するはずもない。だからこそ、私は羊飼いの職を手放してでも、この問題を小説という武器で問い続けるのだ。

    そうか、彼女が小説を書くテーマはこれなのだな。

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    2025年04月02日
  • 父が牛飼いになった理由

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    「ともぐい」で直木賞を受賞した河崎秋子さんの家族を描いたエッセイ。北海道の酪農家の歴史や実際が分かればと思っていたのだが、そういう本ではなかった。ただし、もちろん伝わってくるものもあった。
    戦後、満州から引き上げてきた一家が、子どもたちを帯広畜産大に入れてから入植。秋子さんのお父さんも、帯畜を出て、農業普及員になり、そして独立。こんなライフコースがあるんだな。もっと多くの人の話を読んでみたいと思う。

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    2025年03月29日
  • 絞め殺しの樹

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    うわー、、、、
    前半はどこを読んでもそんな感想になる
    昭和時代エグイ
    血筋とか一家の長とか世間体とか
    そんなもので自分の人生が決まってしまう
    後半は想像もしてない展開でまさかだった

    とりあえず昭和時代の「俺のメシの用意は!!」と怒号をとばす父親に「知らんがな」と言いたい

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    2025年03月26日
  • 絞め殺しの樹

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    すごく読み応えのある本でした。決して明るい内容ではないし、辛くて読む手を止めてしまったこともあります。でも、この作品には他作品にはない意味と多くのメッセージが込められてます…たくさんの人に読んでほしい。

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    2025年03月25日
  • 愚か者の石

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    本の雑誌2024年エンターテイメントベスト10で2位にランクインした作品。
    「ショーシャンクの空」を彷彿する様な監獄物ではあるものの、映画の様なキレがあるストーリーでは無く、あくまで気の遠くなる時間の経過を淡々に描いている。
    囚人2人と看守1人の心の変化を「語らない」「描かない」手法で読み手に想像させるギリギリ紙一重の表現が厳粛なものとして物語を昇華させてます。
    しかしながら北が舞台なので極寒や過酷な状況下でのイメージがつきまとい、外へ対して閉塞的な物語として私にとっては「エンターテイメント」にはなり得ませんでした。

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    2025年03月20日
  • 土に贖う

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    ネタバレ

    河崎秋子さんの著書を読んだのはともぐいに続いて2作目だったが、北海道で生きる人の生命力の強さを重苦しいほどに感じた。厳しい気候や時代の流れに翻弄されながらも、たくましく、しなやかに生き抜いた人々がいたからこそ今の北海道があるのだと思った。

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    2025年03月10日
  • 愚か者の石

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    明治時代の牢獄が舞台で、最後まで読めるか心配だったが、面白かった。「ともぐい」よりも共感しやすい

    人権意識が乏しかった時代、筆舌に尽くしがたい理不尽な人生を送るはめになっても、人としての矜持を忘れずに真面目に生きた大二郎、すごいなぁ。でも彼の人生は一体何だったのだろうか。

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    2025年03月06日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    お人柄がよくわかるエッセイだったと思います。時にクスクス、時に一緒に考えながら拝読しました。自分に対してではなく自分が作り出したモノに対してプライドを持つことが、人間としての深みを増すのだと感じました。次は小説も読んでみたいです!

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    2025年02月19日
  • 銀色のステイヤー

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    これまでに読んだ河﨑作品とは違って、爽やかな青春小説でした。競馬を楽しむうえで、こういう小説を通じてでも、馬を送りだす側の視線は忘れないでいたいものです。

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    2025年02月11日
  • 愚か者の石

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    半分読むの辛かった。北海道の監獄で、とてつもなくしんどい労役が課されといたことは、2つの博物館で聞いていたが、
    苦しい囚人ライフ、いつまで続くのか、もしかして起承転結の転はないのでは…と辛かった。が、転機はきた。
    釈放されても、また監獄に戻るような不運があるのではないか、と心配し続けた。
    看守の中田、監獄仲間の大二郎、2人が信頼できるのかできないのか、とても魅力的で、最後は予想に反して…

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    2025年01月05日
  • 私の最後の羊が死んだ

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    羊飼い、兼作家であった著者の自伝的な本。この本読んだ後、北海道産の羊(サフォーク)を買って食べた。うまかった。日本で羊がマイナーな肉になっているの、もったいないなあ。
    一番印象的なエピソード、としてはズレているのかもしれないが、自称羊飼いと言われて著者がキレたところが心に残っている。自分の仕事の扱われ方に関して憤れるというのはかっこいい。ともすると、自分自身でさえ、自分の仕事をどう表現すればいいのか分からなくなることもあるというのに。
    荒川弘さんの「百姓貴族」と繋がるところがあって面白かった。経済動物を飼うことのシビアさとか。そもそも経済動物という言葉自体、これらの作品を読むまで知らなかった言葉だったように思う。
    ところどころにやや生々しい写真があるので、苦手な人はちょっとギョッとするかもしれない。
    最後の2ページがとても良かった。ここで、こう繋がるんだ、と思った。

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    2024年12月24日
  • 銀色のステイヤー

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    静内の生産牧場で生まれたヤンチャな牡馬“シルバーファーン”。一頭の馬と共に歩む生産者、調教師、馬主、騎手それぞれの思い。
    調教助手の鉄子、調教師の二本松、問題児のアヤと登場人物のキャラがいい。
    もちろん主役であるシルバーファーンが一番だけど。

    一頭の馬をレースに送り込むまでの彼らの奮闘と、馬によって人生を輝かせ成長していく人間たちのドラマは最初から最後まで軽やかで爽やかさを失わない。

    いつも動物への愛情を感じる河﨑さんらしい作品で、今回は重さがなく読後も文句なし。

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    2024年11月12日
  • 銀色のステイヤー

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    この小説に登場する競走馬「シルバーファーン」の設定がとてもいい。2011年に三冠を達成したオルフェーヴルを彷彿させる気性難は闘争心と表裏一体であり、秘めた爆発力にものすごく魅力を感じる。競馬ファンとしては日頃知ることのできない厩舎や生産牧場での仕事が生き生きと伝わってきて良かった。そして馬を愛する気持ちは尊く大切なものであるが、それだけでは競馬社会が成立しないという厳しい現実を、登場人物の成長と重ねてきっちりと描いているところが良かった。

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    2024年11月08日
  • 銀色のステイヤー

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    シルバーファーンことドラ夫の誕生からそれに関わる牧場,馬主,厩舎,厩務員,調教師,騎手などみんなの思いが一つになって成長し,レースを駆け抜けていく.ワクワク感が止まらない.

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    2024年10月17日
  • 鯨の岬

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    表題作と短編一編が収録されています。読みやすいのは表題作ですが、北海道の自然を感じられるのはもう一つの方。

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    2024年10月12日